2017年2月27日月曜日

【首都圏 Look at】東京23区、保育所整備の用地確保に知恵絞る

中央区が水谷橋公園で計画している保育所の完成イメージ。
屋上に公園機能を設ける
 ◇立体都市公園制度活用も◇

 東京23特別区にとって保育所の待機児童対策は最優先の課題だ。保育定員を年間1000人以上拡大している区もあるが、それでも子育て世帯の需要に施設整備が追い付いていないのが現状。今後も継続的な定員拡大が必要とされる中、各区とも施設整備用地の確保に知恵を絞っている。

 待機児童の解消に向けては、国や都も施設整備費の補助を拡充するなど緊急的な支援策を講じている。各区とも、区有地から国有地まであらゆる公共用地を有効活用して施設整備を急ぐ。未利用地などを持つ民間の土地所有者から整備用地を募集し、保育事業者とのマッチングに取り組む区なども出てきている。

 江東区は、区内の大規模開発に合わせて保育所整備に取り組む。住友不動産が複合開発を進めている「臨海副都心有明北3-1地区」に幼稚園と保育所が一体化した「認定子ども園」を設置することを決めた。

 区は通常、独自に制定した「公共施設整備協力金」の拠出をマンション開発事業者に求めているが、それに代わって住友不が整備した施設を区に寄付してもらうことにした。施設規模はS造3階建て延べ2824平方メートルで、定員は310人を予定。5月に着工し、19年10月の竣工、20年4月の開設を目指す。完成後、運営を担当する武蔵野大学に貸す。

 現在、多くの区で検討が進められているのが、国家戦略特区制度を活用した都市公園への保育所設置だ。その特例を先行的に適用した荒川区(都立汐入公園)、世田谷区(都立祖師ケ谷公園、都立蘆花恒春園)、品川区(区立西大井広場公園)は既に整備工事に入っており、4月以降の開設を予定。江東区(都立木場公園)、杉並区(都立和田堀公園)なども計画中で、18年度以降の開設を目指す。

 ただ特区を活用できたとしても、公園の中の広場面積に対して保育所の建ぺい率の上限値が30%に設定されるなど一定の制限がかかる。そのため、敷地が比較的広い公園だけに適用が限られているのが実情だ。

 そこで、広い公園を持たない中央区が編み出したのが「立体都市公園制度」を活用した保育所整備手法だ。銀座の街中にある小ぢんまりした区立水谷橋公園(敷地面積713平方メートル)の敷地全体に保育所を入れる施設を建て、その屋上に公園機能を設けるという前例の無いプロジェクトが進行している。

 現時点の計画によると、施設規模は3階建て。保育環境に影響を与えないように公園直下の3階に設備類を集約し、1~2階に保育所(定員70~80人)を配置する。保育所では銀座の買い物客向けに一時預かり事業も実施する。詳細な施設内容は検討中で、公園らしさを出すため、階段などのアプローチ部に緑にあふれたバルコニーを設けることなども想定している。

 区は17年度予算案に設計委託費など5046万8000円を計上。同年度早期に設計委託先を決める。完成後の施設運営事業者の選定、立体都市公園化のための都市計画変更の手続きも並行して進め、18年度の着工、19年10月の開設を目指す。

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