2017年2月15日水曜日

【回転窓】原発避難いじめの残酷

東日本大震災から間もなく6年がたつ。このところ、福島第1原発事故で各地に避難している児童・生徒が学校でいじめに遭っているというニュースが相次いでいる▼住み慣れた土地を突然離れ、不安を抱えながら暮らす子をいじめでさらに追い詰めるとは、誠に嘆かわしいというほかない。明るみに出たいじめが氷山の一角でないことを祈りたい▼文部科学省の有識者会議が先週、いじめ防止対策推進法に基づく国の基本方針の改定案を了承した。いじめの新たな定義や、いじめが解消したと判断する目安、学校の対応のポイントなどとともに、原発避難いじめの防止策も盛り込んだという▼子どもは残酷である。未熟ゆえに、大人なら普通に備えている自制やモラルからも自由。「無垢(むく)にして残酷」は子どもの持つ一つの側面でもあるだろう▼もっとも大人も偉そうなことばかりはいえまい。先月、大きな市の教育長が「金銭要求をいじめと認定するのは困難」と発言。批判を浴び謝罪に追い込まれた。子どもは大人の鏡でもある。最近、大人社会に目立つ不寛容が子どもの世界にも投影しているとすれば、問題の根は深い。

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