2017年2月8日水曜日

【技能教育リポート】渋川地区高等職業訓練校(群馬県)


 ◇自信を持って活躍できる職人に◇

 群馬県の渋川地区高等職業訓練校(萩原文明校長)は、同県内で最も早く職業訓練を開始した県認定の訓練校だ。

 1952年に技能者養成協議会として発足してから65年。施設を転々とした後、現在は吉岡町下野田に76年に建設したRC造3階建ての校舎と実習教室を拠点に、木造建築、左官・タイル、建築板金、とび、鉄筋コンクリート施工などの建設職人を育成している。これまでに1500人以上を輩出した。

 同校の運営母体は、渋川地区の事業主や事業主団体を中心に組織する渋川職業訓練協会。協会に所属する事業主が雇用する従業員の能力開発・向上を狙いとしているが、人材は県内外から集まってくる。

 各職種をけん引するリーダー役の事業主が講師となり、学科と実技を織り交ぜた2~3年のカリキュラムで訓練を実施。「経験年数に応じて1、2級の技能検定に合格し、それぞれの職種で自信を持って活躍できる人材を育てる」(萩原校長)ことを方針に掲げる。2年コースは週2回、3年コースは月4~5回が訓練日に当てられている。現在通っているのは26人。

 卒業前に行う技能照査試験に合格すると、2級検定の学科試験が免除される。ただ、「やることをすべてやって取得を目指そう」(同)との意気込みで資格取得に挑ませる。修了を待たずに1級検定にチャレンジする訓練生もいる。

 訓練内容はコースごとに決められているが、講師の手ほどきだけでなく、現場経験を持つ人材が未経験の若手に率先して教えるなど、訓練生同士が互いに技能向上に努めているのも特色だ。普段は別々の事業主の元で働く年齢の近い訓練生同士がコミュニケーションを取りながら、卒業後も同じ業界で共に活躍していけるよう仲間意識を育んでいく。

 自身も左官の事業主である萩原校長は、入校式で「忙しい親方が皆さんのことを思って送り出してくれた。その期待に応えられるよう、怠け心を持たずに取り組もう」と訓練生を激励。卒業時には「ここで覚えたことを最大限に利用して有意義な人生を」とエールで送る。

 巣立った人材が習得した技能をそれぞれの職場で後輩に伝えていく。そうした良い循環が築かれていくことも、訓練校の存在意義となっている。

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