2017年3月31日金曜日

【桜並木と土木工事のコラボレーションをぜひ】弘前城石垣解体、市が専用展望デッキを設置

工事見学用に設置した展望デッキ
(提供:弘前市)
1世紀ぶりの石垣修理に入っている国の重要文化財「弘前城」(青森県弘前市)で、事業を進める弘前市は工事が間近で観察できる展望デッキを整備、4月1日から使用を開始する。桜並木の真下にあり、お堀を挟んで石垣を眺めることが可能。4月9日には一つ目の石を外す「石垣解体始め式」の開催を予定している。 弘前城は桜の名所として知られている。今年のゴールデンウィークは満開の桜並木をめでながら、歴史的な工事を見学するのはいかが?
天守移設前の弘前城と桜
大林組・南建設・嶽開発JVが施工する「史跡弘前城跡本丸石垣解体工事」は、昨年9月に着工した。石を取り外す前に、元の位置に戻すために必要な番号付けなどの作業を実施。降雪期にいったん工事を中断し、厳冬期を越えた3月1日から墨入れ作業を再開していた。工事では天守の重みなどで外側に膨らんだ石垣を解体。発掘調査や石垣の3次元モデル作成といった作業も行いながら、2019年3月までに石垣を元の姿に戻す。

  弘前公園の桜の開花予想は4月23日。2017年の弘前さくらまつりは4月22日~5月7日の開催を予定している。展望デッキは石垣の前にあるお堀にせり出す形で設置されており、咲き誇る桜の真下で石垣の解体工事を見ることができる。地元の方はもちろん、観光や仕事で弘前市に足を運んだ方は、花見と石垣解体工事のコラボレーションを楽しんでみては。

【回転窓】建設業の働き方改革元年

政府が働き方改革実行計画を策定した。日本の産業界の課題とされる長時間労働の是正に向けて今後、労働基準法など関連法制度の改正作業が始まることになる▼今回の実行計画でポイントとなるのが、長時間労働の代表選手ともいえる自動車運送業と建設業の扱い。国土交通省所管の両業界とも残業時間の規制がない「適用除外業種」である。石井啓一国交相は、両業界の将来の担い手を確保するためにも適用除外の見直しが必要との方向性を示し、並々ならぬ覚悟で計画づくりの議論に臨んだ▼安倍晋三首相もこれに理解を示したのに加えて、両業界の長時間労働を改善するには「荷主や施主の理解が必要」と指摘した。これにより両業界の働き方改革は、それぞれの業界内部だけではなく、全産業的な課題になった▼首相にそこまで言わせるためには、水面下で相当の議論があったものとみられる。建設業界にとっても、他産業並みの労働環境を構築する歴史的転換点になろう▼大切なのは、計画を絵に描いた餅にしないこと。実行あるのみだ。あすからの17年度が建設業界の「働き方改革元年」となることを期待したい。

【積女ASSALだより】建築積算協会・田中さやかさん

 ◇興味を持ってもらえる活動に◇

 今回は事務局からのメッセージをお届けします。2014年度に女性技術者で構成する「積女ASSAL委員会」を発足させ、当初は本部と関東支部を拠点として委員会活動を行ってきましたが、今年度から東北支部・関西支部と各地でも初会合を開きました。

 年明けの1月には「積女ASSAL委員会」主催の勉強会「『入札時積算数量書活用方式』ってなに?」を開催しました。女子会主催の勉強会でしたが、申込者の半数が男性ということに(笑)。

 これからも皆さまからご要望をいただくテーマでの講習会や委員による勉強会、交流会など建築積算に関わる女性の皆さまに興味を持ってご参加いただける活動を続けていければと思います。

 (たなか・さやか)

【けんせつ小町委、各社の活動継続支援】日建連会員企業、女性活躍促進の取り組み広がる

 日本建設業連合会(日建連)の会員企業が、建設業で働く女性の活躍を促す取り組みに一段と力を入れている。

 22日に表彰式が開かれた「16年度日建連けんせつ小町活躍推進表彰」の受賞会社を見ると、現場に配置する技術者全員を女性にするなど対応の幅が広がっている。育児をしながら海外の現場で所長として活躍する職員もおり、働き方の新しいロールモデルとして注目を集めている。

 最優秀賞に選ばれた長谷工コーポレーションの現場は、工事に従事する技術者を全員女性にした。職長会の会長も男性の職長の意向で協力会社の女性が務める。

 賞状を受け取った早坂淳子同社建設部門総合所長は、最もうれしいエピソードに「男性の職長が女性の会長を盛り立てようと意見してくれたこと」を挙げた。現場では女性の活躍に向けたハード・ソフト両面の課題の抽出と改善が進んだ。職長会の運営に女性の繊細さが加わり、女性技能者の自信になったという。

 岩田地崎建設は、入社以来、広報を担当している女性土木技術者が情報発信や講演などを積極的に行ってきた結果、就職活動中の学生から話を聞きたいという問い合わせが増えている。

 鹿島は土木工事の現場で妊娠期と育児期それぞれに合わせた勤務体制を職員に選択してもらったり、担当に正・副を設け、フォローし合う体制を構築したりしている。配偶者の出産後に2週間の育児休暇を取得した男性社員もいる。

 大成建設は北海道のある建築工事現場で、建設業未経験の地元出身の女性を所員として採用した。17年は倍の6人の採用を目指す。同社管理本部人事部では「人材いきいき推進室」が管理職・男性社員・パートナーと女性社員それぞれを対象にしたセミナーなどに意欲的に取り組んでいる。

 海外で女性の現場所長に活躍してもらってきたのは大林組。海外でも育児と現場勤務を両立させ、女性技術者の可能性を広げた。

 清水建設の技術研究所では、同社初の部長職に就いた女性研究員が家庭と研究活動を両立させつつ、後進の女性研究員の指導、支援に力を入れている。五洋建設は作業船の船室から見えない場所に鍵付きの女性専用トイレを設置し、船着き場や海上の護岸にも専用トイレを設けた。

 三井住友建設は、職員が地域の自治体と協力して地元ラジオの番組に出演し、建設業で働く女性をPRした。

 女性の活躍を促す取り組みを進めている日建連のけんせつ小町委員会は、各社の対応について「女性の活躍が建設業の将来に不可欠という信念でなされている」(則久芳行委員長)と見て、活動を応援する考え。表彰は17年度も行い、優れた取り組みの情報を広く発信する方針だ。

【施工は西松建設JV】リニア新幹線、神奈川県内で初の起工

鍬入れする山田会長㊧と近藤社長
(提供:JR東海)
 JR東海が東京(品川)~名古屋間で2027年の開業を目指すリニア中央新幹線プロジェクトで、川崎市内で進められる「中央新幹線梶ケ谷非常口及び資材搬入口新設工事」の安全祈願と起工式が30日に現地で行われた。施工は西松建設・五洋建設・青木あすなろ建設JVが担当する。

 リニアの工事で神奈川県内で起工式が行われたのは初めて。大深度地下区間の本線トンネルを構築するシールドマシンの発進立坑などを建設する。工事場所の同市宮前区梶ケ谷で行われた起工式では、JR東海の山田佳臣会長と西松建設の近藤晴貞社長が鍬入れをし、工事の安全を祈った。

2017年3月30日木曜日

【回転窓】もやし生産が危ない

尿酸値が上がってしまい、食生活を変えざるを得ない。思うように食べられない中で着目したのが「もやし」。そこからもやしの素晴らしさに目覚め、栽培セットを持参しながら旅をする-。椎名誠さんの小説『モヤシ』のストーリーだ▼いつでも手軽に食べられるもやしは食卓には欠かせない。お気に入りは、カレーマヨネーズあえ。ゆでる、掛ける、混ぜる。たった三つの動作で、うまいつまみに仕上がる▼出会った中では、青森県大鰐町の「大鰐温泉もやし」が特においしかった。シャキシャキとした歯ごたえで、風味も良い。温泉熱を利用した土耕栽培で、全工程を温泉水だけ使って育てるそうだ。値段は少々高いが満足の味わいだった▼そのもやしが危機的状態にある。原料の種子や人件費が上昇する一方で、小売価格は05年比で約10%下落。廃業する生産者も多いという。もやし生産者協会は「生産者の窮状にご理解を!」と題した声明を発表。適正価格での取引への理解を求めている▼無くなるぐらいなら、少々の値上げはやむを得まい。こうした構図は多くの産業に共通する。買い手の側の一手が試されている。

【30階建て複合ビル整備、地下ホーム拡張も】名鉄、名古屋駅再開発で協議開始

 名古屋鉄道は29日、名鉄名古屋駅拡張の全体計画を公表した。リニア中央新幹線の開業を見据え、ホーム増設や大規模複合ビル整備を実施する考え。複数の既存ビルを巻き込んだ開発になるため、17年度から地権者や行政機関との協議を本格化させる。

 総額191億円の17年度設備投資計画では、安全・保安工事やサービス改善工事に118億円を投入。開発事業ではホテル建設などに58億円を投資する。

 名鉄名古屋駅の再開発は地下部でのホーム増設と複合ビルの建設が柱となる。ホーム増設は現在6300平方メートルの駅面積を1万4000平方メートルに拡張。空港線専用ホームの新設も視野に、規模を2倍以上にする。再開発ビルは南北方向で400メートルにわたって名駅通に面する立地を想定。名鉄、三井不動産、近畿日本鉄道、日本生命保険の4社の共同事業として、30階建て高さ160~180メートルの複合ビルの整備を検討する。

 設備投資計画のうち旅客安全・運転保安工事には72・9億円を投入する。瀬戸線小幡~大森・金城学院前駅間など3カ所で高架化工事を実施する。高架橋柱などの耐震補強は刈谷高架橋や日進車庫跨線橋などで推進する。

 45・4億円を投資するサービス改善工事では名古屋本線・常滑線の神宮前駅(名古屋市熱田区)で駅改良に着手。三河線碧南駅(愛知県碧南市)は駅舎を建て替える。開発事業は18年秋の開業を目指し、中部国際空港セントレアホテルに新棟を建設する。

【八紘学園が用地提供了承】札幌市、日本ハム新球場建設候補地2カ所提示へ

プロ野球チーム、北海道日本ハムファイターズによる新球場建設構想に関して、札幌市は早ければ4月にも建設候補地として市内の八紘学園周辺地域(豊平区)と北海道大学構内(北区)の2カ所を日本ハムに提示する考えだ。

 秋元克広市長が23日の定例会見で2カ所を建設候補地として球団側に提示する意向を表明したことに対し、土地所有者である八紘学園は28日、用地提供を了承することを市側に伝えた。

 八紘学園の木村宏理事長は市側への説明後、「市民の皆さまが楽しめるような公共用地として使っていただくことに異論はない。日本ハムという特定のところに土地を提供することについては、札幌市が責任を持って進めてほしい」と話した。

 日本ハムは現在の球団本拠地である札幌ドーム(札幌市)を撤退して独自の球場の建設を計画。18年3月までに方向性を示すとしている。

 新球場の建設候補地には札幌市のほか北広島市が名乗りを上げている。北広島市は昨年12月、建設地に関する提案書を日本ハムに提出。「きたひろしま総合運動公園」への誘致に向けて球団と協議を進めている。

【施工はJFEエンジJV】大島架橋(宮城県)、中央径間部の架設完了

クレーン船による中央径間部架設の様子
宮城県気仙沼市の大島と本土をつなぐ大島架橋事業で、橋梁のメイン構造物となる中央径間を設置する海上作業が29日午前、無事に完了した。地元住民の悲願だった架橋事業が完成に向け大きく前進した。

 同日、施工を担当するJFEエンジニアリング・橋本店・東日本コンクリートJVが、3000トン級のクレーン船で付近の朝日ふ頭から中央径間を搬入。午前10時ごろまでに橋台への設置を終えた。

 今後、9月までに橋梁部分の工事を終える。18年度内にアクセス道路やトンネルなどが完成。本土と島を自由に行き来できるようになる。

【17年度中に方向性提言】鹿児島市、スタジアム整備検討協議会の初会合開く

鹿児島市は、サッカーJリーグ3部(J3)に所属する鹿児島ユナイテッドFCのホームスタジアムの整備について検討する「サッカー等スタジアム整備検討協議会」(会長・井上佳朗鹿児島大学特任教授、13人)を設置し、このほど初会合を開いた。

 今後、スタジアム整備の必要性や施設のコンセプトなどの検討を進め、17年度中に市長に提言する予定だ。

 協議会は有識者やスポーツ関係団体、経済関係団体の代表らで構成し、全体で5回の会合を予定。当面は施設の必要性を検討し、必要性が認められれば新たなスタジアムの整備主体や施設のコンセプト、規模、機能、建設地、事業スケジュールなどを具体化する。

 ラグビーなどサッカー以外の競技団体の代表も協議会の委員となっており、サッカー以外のスポーツでの利用も検討する見込み。北九州市など先進地の視察も予定している。

 鹿児島ユナイテッドFCがホームスタジアムとする県立鴨池陸上競技場(与次郎)は老朽化が進み、現在は国体に対応するためメインスタンドや屋根部分の改修工事を行っている。

 Jリーグではライセンスの交付基準の一つにホームスタジアムの収容人数がJ1は1万5000人以上、J2は1万人以上であることを定めており、スタジアムの整備はJ1・J2昇格を目指す上での課題。このため16年11月の市長選挙で再選された森博幸市長はスタジアムの整備検討を公約に挙げていた。

2017年3月29日水曜日

【開業は4月1日】高崎アリーナ(群馬県高崎市)が完成

 群馬県高崎市が建設を進めてきた新体育館「高崎アリーナ」の完成記念式典が25日に現地で行われ、市民を含む約600人が完成を祝った。設計は山下設計、施工は戸田建設が担当した。4月1日にオープンする。

 富岡賢治市長は式辞で「高崎では主要なスポーツ大会の開催がこれまでなく、何とかしたいと思い、建設を決意した。この日を迎えるまでに足掛け5年かかった。高崎の新たな交流拠点となるようにしていきたい」と喜びを表した。

 高崎アリーナは、JR高崎駅から徒歩圏内にある下和田町4の1の18の旧日本製粉高崎工場跡地に建設された。RC・S(一部SRC)造地下1階地上3階建て延べ2万6312平方メートルの規模で、自然光を採り入れるための「のこぎり形状」の屋根が特徴だ。メインアリーナの最大収容は6000人。チアリーディング世界選手権大会や全日本体操競技種目別選手権大会・団体選手権大会、女子レスリングワールドカップなどの開催が決まっている。

【日建連、女性活躍推進でアンケート】女性技術者、活躍広がるも課題浮き彫りに

 ◇働きやすい現場環境づくりが急務◇

 建設業界への女性進出の現状は|。日建連が会員企業を対象に実施している女性の活躍推進に関するアンケートでは、現場監督をはじめとした技術系職種で女性社員の採用が増加傾向にあることが分かったが、さらなる女性進出を阻むさまざまな課題も浮き彫りにされた。特に現場では、女性専用トイレの設置のルール化や出産・子育てを支援する制度の整備が万全でなく、女性が働きやすい環境づくりが急務となっている。

 □女性技術者、1年で2割増□

 日建連が直近で公表しているのは、15年度版のアンケート(日建連会員企業139社のうち回答企業96社、調査期間16年3~4月)。日建連けんせつ小町委員会の所属企業31社を通じ、協力会社(回答企業321社、調査期間15年11月~16年1月)を対象とした女性技能者に関するアンケートも実施した。14年度版のアンケートと結果を比較し、女性の活躍推進に向けた取り組みの1年間の進展状況を分析している。
ゼネコンの技術系女性社員の採用機運は近年、大きく高まっている。日建連会員企業へのアンケートによると、1社当たりの技術系女性社員の人数は平均で35・2人(14年度は29・2人)、女性の現場監督の人数は平均で6・4人(同5・4人)にそれぞれ2割程度増加した。全体に占める女性の割合は、技術系社員で約2・8%、現場監督で約1・4%だった。

 国交省と日建連ら建設業団体が共同で14年8月に策定した「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」では、「女性技術者・技能者の5年以内の倍増」を目指すことを明確化した。日建連の会員企業のほとんどが将来的に女性技術者の採用増を見込んでおり、女性技術者を5年以内に倍増させる意向を示している企業も11社から25社に増加している。

 企業側が採用増に意欲的でも、そもそも就労希望者が増えなければ将来的な女性の定着は図られない。そこで各社では、女性の職場として建設業界をアピールする取り組みも活発化している。業界内の女性の活躍に関するコンテンツを広報誌などに掲載している企業は23社(同17社)、ホームページで紹介している企業は40社(同20社)に上る。自社の協力会社組織などを通じ、女性技能者の入職促進に取り組んでいる企業も9社(同2社)と大幅に増加した。

 □時差出勤など制度充実を□

 ただ、女性が働きやすい現場環境の整備は道半ばと言える。現場事務所に何らかの形で女性専用のトイレを設置している企業の割合は1年間で61%から64%に微増したが、そのルールを徹底している企業は6社にとどまる。現場によってはルール化している企業は20社、特にルール化していないが設置している現場がある企業は35社と過半数を占めるが、設置している現場がほとんど無いと答えた企業が34社もあるのが現状だ。

 トイレのほかに女性専用として整備すべき設備としては、回答が多かった順に、「更衣室」が77社、「休憩室」が55社、「化粧洗面台」が34社、「シャワー室」が20社。特に「更衣室」と回答する企業の割合は8割を超えており、トイレとともに整備促進の必要性が高まっている。

 出産や子育てを支援するための社内制度も、さらなる充実が求められる。支援制度の導入企業は71社に上っているが、そのうち現場配属の女性技術者に時差出勤を認めている企業は12社と少数派だ。

 自社の現場に従事する女性技能者を対象として、時差出勤や早期帰宅の制度を積極的に活用するよう指導している企業は2社、活用を許可している企業は30社だった。

 男性中心の社内で長く働き続けるには、女性社員に対する継続的なサポート体制も不可欠だ。出産・育児やキャリアパスに関する本人の相談を受けたり、働き方に関する上司の意識改革に取り組んだりと何らかの形で社内研修を実施している企業は19社を数える。直属の上司以外にも悩みを相談できるよう、社内外に相談窓口を設置している企業は39社。中には、社員だけでなく、その家族や派遣社員、協力会社の社員の相談を受け付ける企業もある。

 今後、子育てをきっかけに退職した女性技術者の再雇用制度を導入する動きも広まりそうだ。慣例として認めている企業も含めると再雇用を実施しているのは27社。将来的に実施する予定があると回答した企業は20社に上った。

 □協力会社は元請支援に期待□

 一方、女性技能者の雇用環境も改善が必要だ。日建連けんせつ小町委員会所属企業の協力会社に対するアンケートによると、技能労働者のうち女性の割合は約1・9%。軽作業員(女性比率60・0%)、CADオペレーター(同40・0%)、建具工(同21・8%)など女性の割合が10%を超えた職種もあれば、のり面工、石工、溶接工、潜かん工、板金工、ガラス工などの職種は回答企業で一人も女性がおらず、職種によって女性の入職に差があることが分かった。

 今後の雇用に関しては、専門工事業者の間で積極的な姿勢と消極的な姿勢が拮抗(きっこう)している。建設業界の担い手不足などを背景に、積極的な雇用を検討している企業は139社だったが、それを上回る149社が女性の雇用に消極的と回答した。

 消極的な理由を「女性を受け入れる現場環境が整備されていない」とした企業は38社。「力仕事なので女性には無理」「危険を伴う職種なので難しい」といった理由を上回っており、女性の雇用促進には現場環境の改善が不可欠であることが明らかになった。
元請のゼネコンに期待する取り組みについてのアンケートでは、女性専用トイレの設置など現場環境の整備を進めてほしいと回答した企業が108社で最も多かった。雇い入れ時の助成や優遇措置、出産・育児に配慮した休暇制度や柔軟な勤務形態への理解を求める意見も目立った。

 ゼネコンの間では、協力会社が女性技能者を雇用・育成することを支援しようとする動きもある。日建連会員企業のうち、実際に支援策を講じているのは6社(14年度は1社)、支援を検討しているのは32社(同15社)に増えた。女性技能者を自社現場で研修させたり、協力会社の代表者が集まる会合でダイバーシティー(人材の多様性)の取り組みを報告したりして、女性が働きやすい環境づくりと積極的な情報発信に取り組んでいる。

【施工は大成建設JVら】屋島レグザムフィールド(高松市)、4月23日オープン


 ◇屋内競技場を併設◇

 高松市が整備している「屋島レクザムフィールド(高松市屋島競技場)」が完成し、28日、報道関係者向けの内覧会が開かれた。陸上競技場としてトラックやインフィールド、室内競技場などが整備され、4月23日にオープンする。

 同競技場は、四国大会などの陸上競技大会が開催できる第2種公認陸上競技場として整備。施設の規模はRC・S(一部SRC)造4階建て延べ1万8366m2。トラックは8レーンで全天候舗装。跳躍場や投てき場、障害用水ごうを設けるほか、トラック内のインフィールドにサッカー公式戦が開催可能なピッチサイズを確保し、天然芝となっている。補助競技場は200mトラック6レーン。

 全国初となる併設型室内競技場は、バックスタンドと西側スタンドの1階部分に整備。棒高跳び競技部分は上部吹き抜けで19mの天井高を確保し、400mトラックと同じ曲率を持つ延長約150mの走路、走り幅跳びや三段跳びに対応する走路などを設け、幅広い競技のトレーニングが可能な施設となっている。

 メインスタンドに3500席の個席とバックスタンドに1500席の階段席、サイドスタンドに1000人収容の芝生席を設ける。スタンドの屋根は、メイン、バックスタンドにそれぞれ設ける。

 設計は佐藤総合計画が担当。施工は建築を大成建設・高岸工務店JV、電気設備を四電エンジニアリング・四国電設工業JV、機械設備を星電がそれぞれ担当した。

【ターゲットは2030年代半ば】火星基地建設、NASAと設計事務所らコラボ

火星基地の完成イメージ
(提供:NASA/Clouds AO/SE Arch)
◇建築家・曽野正之氏、曽野祐子氏らがアイデア◇

 人類は火星に住めるのか-。SF映画に描かれた出来事を現実にするかもしれない火星基地の開発が、米航空宇宙局(NASA)と建築家などのチームにより進められている。地球からの資材の輸送、過酷な環境下での施工、長期滞在するクルーの健康への影響といったさまざまな課題を解決する鍵となったのが、材料に氷を使うこと。米国で活動する建築家・曽野正之氏・曽野祐子氏らがそのブレークスルーの生みの親だ。米国が火星有人探査のターゲットとする2030年代半ばに向け、着実に歩みを進めている。

 NASAのラングレー研究所がこのほど、新たな火星基地のコンセプト「Mars Ice Home(火星の氷の家)」を発表した。元になったのが、15年にNASA主催の火星基地の設計コンペで優勝した曽野氏らのアイデアだ。火星に存在する素材を使い、3次元(3D)プリンターで建設するシェルターの設計競技で、外壁を氷で覆う案を提示し、最優秀に選ばれた。

火星基地の完成イメージ
(提供:NASA/Clouds AO/SE Arch)
火星に豊富に存在するとされる水を素材に使うという斬新な発想がNASAのエンジニアの目に留まり、コンペの優勝チームであるニューヨークの設計事務所、Clouds AOとSEArchとのコラボレーションが始まった。

 氷を利用する最大のメリットは、人体に有害な銀河宇宙線を遮へいする効果があることだ。これまでは、放射線を防ぐために地下基地が想定されることが多かった。しかし掘削に必要な大型のロボット重機を地球から輸送することは現実的ではない。氷の選択で地上生活が可能になったことで、自然光が氷を透過して室内に届き、クルーにとってより健康的な環境を整えられるという効果も生まれている。

 オリジナルのアイデアから二つの利点を引き継ぎながら、今回のプロジェクトでは施工性や汎用性を追求。正之氏は「より総合的なエンジニアリングと汎用性、拡張性を視野に入れたデザイン」と表現する。直径13・5メートル、高さ10・9メートルの多層ドーム構造は、「ベータクロス」と呼ばれるテフロン加工されたガラスファイバーを外装材に使用。折り畳んだ状態で輸送し、火星到着後に二酸化炭素(CO2)を主体とする大気で膨らませる。最も外側の層に地中から取り出した水を注入すると、外気に冷やされて自然に氷のシェルが形成される。

 コンペの条件だった3Dプリンティング技術は、今回はひとまず使われない。宇宙線の照射量が最大になる天頂部分は氷を最も厚くする一方で、垂直の壁側は薄くして自然光の入射と眺望を確保した。

 ◇氷使い火星に基地建設◇

 氷に守られたドーナツ型の居住スペースは与圧され、氷チェンバーとの間にあるCO2を充てんした断熱層が適温を維持する。氷チェンバーを二重膜構造とし、気温が0度を超える場所で使えることもコンペ案から改善した点だ。生命維持システムなど外部設備とも接続し、拡張性を持たせた。

火星基地の断面パース
(提供:NASA/Clouds AO/SE Arch)
最大のチャレンジは、大量の水を地中からいかに効率的に採取するかだった。計算では、1日1立方メートルの速度で採取し、氷チェンバーを満たすのにかかる日数は400日。研究が進み、採取のスピードを上げることができれば、より大型のシェルターを建設することも可能だという。

 一連の工程はすべて無人で、クルーが火星に到着するまでに行われる。NASAの研究者は「数カ月も宇宙を旅して火星に着いた時、新しい家が出迎えてくれるなら、その日は素晴らしい一日になるだろう」と話す。

火星基地の断面図
(提供:NASA/Clouds AO/SE Arch)
正之氏は「NASAは現在、複数の火星基地コンセプトを進めているもようで、氷の家はその中の一つという位置付け。審査を経て素材実験の予算が決定し、年内には膜構造素材のサンプル作成という次の段階に進む予定だ」と明かし、自分たちのアイデアが発展していることに大きな意義を感じている。

 NASA主導の3Dプリンターを使った火星基地建設を目指す一連のプロジェクトは、15年の設計コンペに続き、現在は材料にフォーカスした新たなコンペが始まっている。8月には結果が発表される予定だ。次に行われる模型製作を含む施工コンペが最終段階となる。

【回転窓】スナイパーの安全指南

狙った標的を決して外さないプロのスナイパー(狙撃手)が企業に向けて安全対策を指南するというアイデアが面白い。そのスナイパーの名が〈デューク東郷〉と聞けば、知っている方は多いだろう▼外務省はこのほど、人気漫画「ゴルゴ13」の主人公デューク東郷が登場する中堅・中小企業向けの安全対策マニュアルを作成し、同省のホームページに掲載した。外相が在外邦人の安全対策のためにデューク東郷に協力を要請する-。こんな想定でストーリーが展開されていく▼昨年7月、バングラデシュの首都ダッカで起きたレストラン襲撃事件では、日本人の建設関連の企業の技術者ら7人を含む20人が犠牲になった。世界中でテロの脅威が高まっている今、いつでもどこにでも危険は潜んでいるということだろう▼強い危機意識を持ち、特に海外への出張者や赴任者、企業・組織には安全対策を徹底してもらいたい。ダッカの事件後、犠牲になった方々を悼む一方で、海外で仕事をしたいと思う若者が減ることを懸念する声も聞かれた▼海外での安全対策が広く周知され、若者が自ら活躍の場を狭めてしまわないよう願う。

【完成予定は19年6月】大井ホッケー競技場建設、12月上旬着工めざす

大井ホッケー競技場の完成イメージ
(16年6月時点、提供:東京都)
東京都は12月上旬、2020年東京五輪のホッケー会場として、大井ふ頭中央海浜公園(品川区八潮、大田区東海)内に新規整備する恒設施設「大井ホッケー競技場(仮称)」の建設に着手する。基本・実施設計は梓設計が担当。17年度に施工者の発注手続きを開始する見込み。19年6月下旬の完成を目指す。

 計画地は八潮4の1(敷地面積13万3751平方メートル)。規模はRC一部S・SRC造3階建て延べ5760平方メートル。メインピッチには観客席を含むメインスタンドを新築。サブピッチでは既存スタンドの内外装や設備の改修、エレベーターの増設なども行う。

【提携紙ピックアップ】建設建設新聞(韓国)/海外建設新戦略地図を構築

海外建設の持続可能な成長をけん引するための海外建設戦略地図が新しく描かれる。官民協力(PPP)など投資開発型事業の受注を拡大できる戦略を提示し、実質的な受注高を積むことができるターゲット国家を設定するのが狙いだ。

 関係部署によると、国土部は近い将来、世界建設市場新戦略地図の構築に本格着手する予定だ。

 海外建設受注額は2010年に716億ドルと頂点に達した後、11年は591億ドルに減少して停滞したが、12年は649億ドル、13年は652億ドル、14年は660億ドルとで3年連続上昇曲線を描いた。しかし15年に入り461億ドル、昨年には282億ドルと急落した。急変する環境の中で既存の受注戦略と方式では海外建設領域を拡大するのは限界という見方が支配的だ。

 そこで国土部は、グローバル建設市場の環境変化に対応する新しい地図を描いて世界建設市場での占有率を高めることにした。新戦略のキーワードは△投資開発型事業△公的開発援助(ODA)△重点国家△国家別有望事業分野△第三国との共同進出-などに要約される。

CNEWS 3月20日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/福島一等書記官に勲章

建設省は23日、在ベトナム日本大使館の福島陽介一等書記官の建設行政に対する功績をたたえ、勲章を授与した。

 レ・クアン・フン建設副大臣は授与式で、福島一等書記官が建設省と日本政府との協力事業に貢献し、ベトナム建設産業の発展に尽くしたことに感謝し、「両国の懸け橋となってくれた。中でも、建設省職員の日本での短期研修を実現し、人材育成での功績は大きい」と述べた。

 福島一等書記官は受章の喜びを語った上で、「建設省幹部らとともに国家的プロジェクトに関わったことが思い出深い」と話し、これまでの建設省の協力に謝意を示した。

セイ・ズン 3月24日)

2017年3月28日火曜日

【回転窓】スマホ片手に西へ東へ

初めは熱中して取り組むが飽きやすい傾向あり。頃合いを見て新しいイベントを用意し、飽きさせないような注意が必要…▼日本生産性本部の職業のあり方研究会が、間もなく社会人生活をスタートする今春入社の新入社員の特徴をこう分析し、「キャラクター捕獲ゲーム型」と命名した。昨年、爆発的にヒットしたスマートフォン向けゲームアプリからのインスピレーションだろう▼就職戦線が氷河期から売り手市場に変化し、企業や行政機関は少しでも優秀な学生を採用しようと躍起になっている。内定を得るのは比較的容易だが、優良企業が狭き門なのは変わりがない▼来春入社の就活戦線も解禁から1カ月余りが経過。大手企業では早くも中盤~終盤戦に入っているともいわれる。職を求める学生と人材を求める企業。そのどちらもがネットを駆使し膨大な情報の中から出会いの糸口を見つけ出そうと腐心する▼このところ街中でスマホをじっと見ながら説明会や面接の会場を探す学生の姿を頻繁に見掛ける。昨夏に大流行したスマホゲームを思い起こさせる光景だが、現実と仮想空間は異なる。どうか後悔のないよう。

【マンUスクールコーチ陣が直接指導】関西ペイント、横浜市内でサッカースクール開催中!!

 関西ペイントは27~31日の5日間、横浜市港北区のしんよこフットボールパークで小学生を対象にしたサッカースクールを開催している。

 同社がグローバルパートナーシップ契約を結ぶ、英マンチェスターユナイテッドが運営するサッカースクールのスタッフ・コーチが直接指導する。

 27日に開かれた午前の部には、社員や顧客の子どもら約30人が参加。前半は、練習の意味やサッカーを楽しむこつなどを講義形式で学んだ。後半は参加者を習熟度に応じて3グループに分け、実際の試合を想定し5対5の練習を行った。

 子どもらを指導したマンUサッカースクールのコーチは「あいにくの天気だったが、すごく良い練習になった。君たちは技術的に良いものを持っているから、練習を怠らずに精進してほしい」と述べた。

 参加した児童は「練習の目的や練習をする意味など細かいことを学べてとても楽しかった。マンUに所属する有名選手を目標に、プロを目指したい」と話し、笑顔を見せた。

【柔軟な勤務制導入】鹿島、日建連けんせつ小町活躍推進表彰で優秀賞

 鹿島は27日、女性の視点で現場の環境改善に取り組む「鹿島たんぽぽ活動」のうち、神奈川県で施工中の京急大師線工事での活動が日本建設業連合会(日建連)の第2回「日建連けんせつ小町活躍推進表彰」で優秀賞を受賞したと発表した。

 柔軟な勤務体制の導入や女性専用設備の整備、現場見学の積極的な受け入れなどが評価された。

 この現場では、妊娠期に現場管理業務を軽減し、育児期にはフレックスタイム制度を利用できるなど、個人のライフサイクルに合った勤務ができるよう配慮している。男性社員も配偶者の出産後2週間の育児休業を取得できるようにし、育児参加を後押しした。

 日々の業務では、共有サーバーやメールの活用により、作業所内で情報共有を図ると同時に、各業務に正・副担当を付け、互いにフォローする体制を構築した。現場方針「業務には組織全体で取り組む」に基づいた現場運営を徹底した結果、職員一人当たりの時間外労働時間が前年度に比べ約10%縮減できたという。

 女性専用設備として、セキュリティー対策を万全にしたパウダールームを現場内に設置。脱衣所を併設したシャワールームやヘアメイクもできるプライベートスペースなどを設けた。

 現場見学会や協力会社の女性技術者の長期研修、女子学生のインターンなどを積極的に受け入れ、実際の職場環境を体感してもらった。

【記者手帖】若い人の育て方

最近、いくつかの企業の人材採用・育成担当者に取材する機会があった。近ごろの若者の特徴を聞くと、「真面目でおとなしい」と口をそろえる。仕事に対する悩みや不平不満を表すわけでもなく、きのうまで黙々と仕事をしていたのに翌日から急に来なくなるということもあるそうだ◆そうしたことを背景に、新入社員研修の期間を延ばすなど若手の教育を充実させる企業が増えている。内容もより丁寧なものへと見直す企業が多いようで、これが定着率の向上につながっているとの見方もある◆駆け出しの頃、「仕事は背中を見て覚えろ」が当たり前だったわが世代からすると、手取り足取りの新人教育には違和感がないでもない。ある程度の放任は、新人であっても一人の大人として扱うことの表れでもあったと思うが、時代の変化とはそういうものかと話を聞きながら感じた◆そんな中、2人の子の小・中学校の卒業式に出席した。保護者控え室にあった子どもからの感謝の手紙の宛名はどちらも「お母さん」だった。人を育てるのは難しい。「背中を見ろ」はやはり考え直さねばならないかもしれない。(ほ)

【アサマ2000で熱戦】建設業スキー大会、団体総合優勝は鹿島

 ◇アサマ2000で110人が熱戦繰り広げる

 第42回建設業スキー大会(主催・建設業スキー大会事務局、後援・日刊建設工業新聞社)が3月3~5日に長野・高峰高原にある「アサマ2000パーク」で開催された。

 選手約110人が参加。団体総合は鹿島が2年ぶりに優勝。個人は2本の合計タイムを競い、女子は安藤ハザマの水谷万里子選手が2年ぶりに栄冠を手にし、男子は大成建設の黒羽秀之介選手が3連覇を達成した。1994年リレハンメル五輪回転の銅メダリスト、ユーレ・コシール氏(スロベニア)がゲスト参加し、大会を盛り上げた。

 本戦は快晴となった5日に全長800メートル、斜度が最大24度、平均14度のパノラマコースで行われた。アサマ2000パークでの大会は4回連続。常連の選手にとっては慣れ親しんだコースだが、今回はコシール氏が旗門のセットを担当。「1本目は直線で縦長な欧州仕様、2本目は横への移動が入るターンを組み込んだセッティング」(コシール氏)にしたという。

 水谷選手は「今までにない旗門のセットだった」ことで気を引き締めた。それでも女子でただ一人2本とも49秒台で滑り切り、実力を見せ付けた。黒羽選手は2本合計で全選手中唯一の1分20秒台の最速タイムをたたき出し、「国際レースのような面白いコースだった」とコシール氏に謝意を示す余裕も見せた。

 団体総合は、得点対象者のタイムに応じた得点の合計で順位が決まる。鹿島は、男女とも上位に選手が名を連ね、総合力で優勝を勝ち取った。

 本戦は、幹事を清水建設とフジタが担当。閉会式で柳田実大会会長(清水建設)は、運営への協力に対する感謝を述べた上で「天候に恵まれ、良いレースができた。力を発揮できなかった人は来年雪辱を果たす意気込みで臨んで下さい」とエールを送った。あさま2000パークの小平忠夫総支配人は、「皆さんが本気で挑んでいることを実感した。宿泊施設を新しくするので、ぜひまたお越しください」と呼び掛けた。コシール氏は「最高のコンディションだった。私のセットにはまった人とはまらなかった人がいましたね」と講評を述べた。

 大会には、コシール氏が所属するグループ・ロシニョール、ICI石井スポーツが特別協賛した。コシール氏は、選手の家族も参加した4日の前夜祭や表彰式・閉会式にも出席。メダルや賞品を贈呈したり、子どもたちとゲームに興じたりするなど交流を深めた。

 次回大会の幹事は安藤ハザマと戸田建設が務める。

 □団体総合優勝・鹿島スキー部の村上麻優子キャプテンの話□
 「初めてキャプテンを務めた。全国から集まった部員みんなで頑張れた。コシールさんや幹事会社のおかげで、すごく盛り上がった大会だった」 

 □個人男子優勝・黒羽選手の話□
 「斜面を生かした変化があったり、振り幅が出ていたり、誰でも滑れるようにしつつターンを深くする要素があったように思う。1本目をミスしたので頑張った。子どもが生まれました。優勝できて良かった」

 □個人女子優勝・水谷選手の話□
 「難しい所があって1本目はミスしてしまった。タイム差を埋めようと頑張った。スタッフが良いコースに仕上げて下さった。合格できた準指導員としても頑張ります」。

【沖縄アリーナ、工事着手へ準備進む】多目的アリーナ施設実施設計技術支援業務、鹿島JVに

沖縄県沖縄市は、ECI(アーリー・コントラクター・インボルブメント)方式を採用する多目的アリーナ施設の施工予定者を選ぶ「(仮称)沖縄市多目的アリーナ施設等整備実施設計技術支援業務委託」の公募型プロポーザルで鹿島・仲本工業・太田建設・富建JVを選定し、17日付で随意契約を締結したと公表した。契約額は1270万円。業務履行期限は12月28日。

 今後、施工予定者は技術的提案や経済的提案を行い、市、実施設計者との3者で工法や仕様などについて協議を進める。実施設計完了後に見積もりを取り予定価格の範囲内であれば工事請負契約を締結する。

多目的アリーナ施設はプロバスケットボールを中心としたスポーツ興業やコンサート、コンベンションなどを開催できる施設としてコザ運動公園内(山内1丁目、諸見里2丁目)の現在は屋外ステージがある敷地に計画。

 建物規模はRC一部S造5階建て延べ約2万6200平方メートル。移動式を含め最大で1万1000人規模の観客席を備えたメインアリーナ、サブアリーナ、トレーニングルームなどを設ける。関連工事も含めた総工費は約159億円(うち本体工事費約136億円)。工期は約27カ月。20年度の供用を目指す。

 CM(コンストラクション・マネジメント)業務は日建設計コンストラクション・マネジメント(NCM)、実施設計業務は梓設計・創建設計事務所・アトリエ海風JVが担当。

 (パースは完成イメージ、提供:沖縄県沖縄市)

【安倍首相が方針表明】政府、25年までにスタジアム・アリーナ20カ所整備

 政府は、2025年までに数千~数万人の観客を収容できる大型のスタジアムやアリーナを全国に20カ所整備する方針を決めた。安倍晋三首相が24日開かれた未来投資会議で表明した。

 会議の席上、首相は「民間の投資や知恵を呼び込み、(施設の)魅力を高める。地元企業や地方自治体を巻き込んだ取り組みを後押しする」と強調。スタジアムやアリーナを「スポーツ観戦だけでなく、市民スポーツ大会やコンサート、物産展などを開催し、多様な世代が集う地域の交流拠点に生まれ変わらせる」と述べた上で、「法律や予算、税制を総動員し2025年までに(地域拠点としてのスタジアム・アリーナを)20カ所整備する」との目標を明らかにした。

 同日決定した政府の第2期スポーツ基本計画(17~21年度)では、スポーツ産業の市場規模を20年までに直近(12年)の5・5兆円から10兆円、25年までに15兆円へと拡大させる目標を設定。具体策の一つとして、地域活性化の基盤としてのスタジアム・アリーナづくりを位置付けている。

 □アリーナ整備を地域活性化の起爆剤に□

 同日の未来投資会議では、スタジアム・アリーナ関連の提案としてジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)の大河正明チェアマンと、佐原光一豊橋市長がプレゼンテーションを行った。

全国で計画されているスタジアム・アリーナ整備
(未来投資会議・大河チェアマン提出資料より)
 大河チェアマンは「アリーナを核としたBリーグの取り組み」として、①交流人口の増大による地域活性化②日常的に人々が集まる(施設の)多機能化・複合化③地域戦略の起爆剤となる夢のアリーナ-の3項目を戦略目標に設定している現状を説明。その上で、「全国で〝夢のアリーナ〟実現を目指した動きが広がる中で、地域開発の核となるアリーナ建設をリーグも推進する」考えを示した。

 一方、佐原市長は市が検討している新アリーナ構想を説明した。人口減少や高齢化が進む上、「市内外の人を呼び込む施設かない」という現状を踏まえ、地域経済の起爆剤として「2020年代初めの建設を目指し(アリーナ構想の)具体化に向け検討している」とした。

 総合エンターテインメント型のアリーナを豊橋公園内に整備。Bリーグやコンサートなどを観て楽しむ空間にしたい考え。整備や運営には民間のノウハウを積極的に活用して収益性を確保する方針で、空港などの運営に採用が始まっているコンセッション方式の導入も検討する。建設候補地の豊橋公園は美術博物館や陸上競技場などの既存インフラが存在し、豊橋駅から中心市街地を通って容易にアクセスできる。

豊橋市の新アリーナ整備構想イメージ
(未来投資会議・佐原市長提出資料より)
 まちなか立地で施設整備の相乗効果が期待でき、メインアリーナでBリーグ・三遠ネオフェニックスをはじめとするプロスポーツの試合、コンサート、コンベンションといった比較的大規模なイベントを開き、サブアリーナで地域のスポーツ大会や市民活動を開くことで、「世代を超えた交流が可能になる」としている。

 構想実現に向け、佐原市長は政府に対し①アリーナを核としたまちの活性化に対する支援の充実②民間投資に対する税制や資金調達の支援③都市公園内での民間事業者による柔軟な施設運営を可能にする制度整備-を求めている。

2017年3月27日月曜日

【運営権取得、総額1500億円超】国交省、福岡空港コンセッション実施方針決定

 国土交通省は19年4月に民営化する福岡空港(福岡市)の事業実施方針を決めた。公共施設等運営権(コンセッション)方式を採用し、滑走路などの基幹施設と旅客ビルを一体的に運営してもらう。

 事業期間は原則30年間(最長35年間)。運営権者の選定手続きで設定する国に支払う運営権対価の提案条件を見ると、運営権の取得には総額1500億円以上の資金が必要になる見通しだ。

 5月に運営権者を選ぶ公募型プロポーザルの要項を公表し、18年5月に優先交渉権者を選定する。運営権対価の提案条件を、一時支払い金200億円、事業期間計30年間分の年間分割支払い金47億円以上とそれぞれ設定した。同8月に優先交渉権者が設立した特定目的会社(SPC)と契約を結ぶ。

 福岡空港は、国内線26路線・国際線18路線が就航中で、旅客数は15年度実績で2137万人(うち国際線465万人)。滑走路は1本(延長2800メートル)。現在、既設滑走路と並行する2本目の滑走路の増設工事が24年度の完成を目指して進んでいる。国交省は、コンセッションで得られる運営権対価を滑走路増設工事の財源に充てる。

【回転窓】別れと出会いの季節

東京の桜の開花に続いて、各地の公園などがポピーの花摘みでにぎわうニュースも目立ってきた。薄紅、赤、白、黄などの色とりどり。本格的な春がすぐそこまで来ている▼関東では温暖な南房総、千葉県館山市にあるテーマパークの花畑には、関東最大級といわれる10万株、100万本のポピーが咲く。ここのポピーには白、黄、オレンジが多いが、0・1%の割合でピンクの花が混じり、花畑に華やかな彩りを添えてくれる▼年度末を迎え、今年も取材先でお世話になった方から、人事異動に伴う転勤や配置換えの連絡やあいさつを頂いたりすることが増えている。別れを惜しみつつ、新しい職場でも元気にご活躍を、と願うばかりである▼長年慣れ親しんだ職場を退職される方も少なくない。4月からは悠々自適という団体職員の方が「何をしようかね」と少し寂しそうに話していた。春は別れと出会いの季節。4月になればまた、異動する人、入社する人、それを迎える人、皆に新たな出会いが訪れる▼ポピーの花言葉は「いたわり」や「思いやり」。どんな職場でも、そんな優しさに満ちた出会いの輪が広がるよう-。

【凜】宮地エンジニアリング千葉工場製造部・伊藤奈穂美さん

 ◇溶接箇所の美しさで成長分かる◇

 高校の授業の一環でアーク溶接を学び、楽しさと大きなやりがいを感じた。それがきっかけで、将来は「溶接の技能者として働きたいという気持ちが芽生えた」。溶接技能者として働ける就職先を探したものの、女性ということもあって思うようにはいかなかった。だが、「最後の希望」と思って受けた採用試験で今の会社に採用された。

 最初の配属先は、希望していた溶接を担当する部署。しばらくは溶接に関連する基礎的な仕事をやってきた。今年に入ってからは「入社した時から憧れていた完全溶け込み溶接
(フルペネ)をやらせてもらえるようになった」と笑顔で話す。フルペネは強い強度を確保する必要があり、橋梁の品質に大きく影響する重要な作業だ。「技術的には難しいけれど、毎日の作業が楽しい」という。

 「自分自身でものを作っている達成感とやりがいを感じられることに加え、溶接した箇所の美しさなどから、どのくらい自分が成長しているか目で見て分かるところがいい」と溶接の仕事の魅力を語る。

 技術には自分なりのこだわりを持っているが、先輩たちと比べるとまだまだ未熟さは否めない。「これからも腕を磨き、早く先輩に追い付きたい」。

 将来の目標は、上司に一人前になったと認めてもらうこと。「溶接コンクールに出て日本一になりたい」と夢も描く。

 (製造第2グループ、いとう・なほみ)

【サークル】鴻池組・鳳共済会大阪支部将棋部


 ◇プロの講義や指導対局も受ける本格派◇

 2015年4月に、現在、部長を務める東琢さん(大阪本店建築部技術課主任)が1人で設立。その後、大阪支店の中で輪を広げ、現在は6人で活動する。モットーは「楽しく活動すること」。年齢、性別、経験の有無は問わない。

 月に数回、業務時間終了後に部員同士で対局するほか、日本将棋連盟にプロ棋士の派遣を依頼し、講義や指導対局も受けるなど、本格的な活動を展開しているのが特徴だ。実戦の場として各種大会にも積極的に参加し腕を磨く。

 「今後は部内での棋力認定や他社などの将棋ファンとの交流会も実施したい」と東さん。名古屋支店でも将棋部を立ち上げる動きが活発化。4月の発足に向け、サポートしていくという。「名古屋支部が発足すれば、交流戦などの共同企画もしていきたい」。

 若手を増やして部員を10人に拡大し、その後、皆の成長に合わせて日本将棋連盟の支部を作ることも視野に入れているという。「将棋界では『観る将』『撮る将』『描く将』などと後ろに『将』を付けて将棋に関連させた趣味を持つ人が増えている。今後はそういった関連分野にも目を向けていきたい」。

【駆け出しのころ】松井建設執行役員・高岡茂樹氏

 ◇「松井の線」を伝え続ける◇

 小さい頃は東京都文京区で護国寺の音羽幼稚園に通い、その中をよく歩き回っていました。そして母の実家は石川県の本願寺金沢別院に近く、一緒に里帰りすると祖母に連れられて別院の中にいた記憶が残っています。大学で建築を学んで松井建設に入り、社寺建築に携わるようになったのも、頭の中にそうした原風景があったからかもしれません。

 最初に配属されたのは、一般建築の施工図を作成する現業設計課でした。ここで9年間、庁舎や体育館、集合住宅などいろいろな用途の建物の施工図を手掛けました。一般建築の施工図であればどんな仕事が来ても対応できるという自信のようなものが付いた頃のことです。このままでいいのかと自身の進む道を模索する中で「社寺建築部」へ異動を希望しました。これが認められ、社寺建築の世界に入ります。

 まず困ったのは用語が分からないことでした。一般建築の用語と大きく違うだけでなく、仏教であれば宗派ごとに本堂の中の部屋の名称などがみな異なります。これを頭に入れて使い分けないと、プロとは言えません。東京・神田の古本屋に通い、関連書籍を買い集めて勉強したものです。2年目の後半にはもう設計担当としてお客さまの前に出ていました。

 社寺建築部で初めて設計したのは、横浜市内のお寺です。実物と同じスケールの現寸図も書き、大工さんと詳細に打ち合わせて施工していくのですが、出来上がった屋根の反りを見た時、「もう少しおとなしく設計しておけばよかった」と思ったのを覚えています。同時に設計者の微妙な感覚の違いで、実際に出来上がるものがこうも変わるのかと実感した時でもありました。

 例えば軒先の反りは、どれだけいったらどれぐらい幅を増すといった決まりなどなく、これまでの経験や体得してきたもので決まっていきます。当社にはそのようにして先輩たちが培い、伝え続けられてきた「松井の線」というものがあります。お客さまから「松井の設計施工が一番格好いい」とお聞きできた時は本当にうれしい思いがします。

 会社では若い人に「自分の仕事にこだわりを持ってほしい」と言っています。お客さまから聞いてきたイメージは本当にこれで合っているのか。そう何度も自問し、必要であれば大工さんたちにも「これは違う」とはっきり言えなくては駄目です。

 絶対に甘えず、何事にも後悔しないよう常にぶつかっていく前向きな気持ちが大切です。社寺建築は奥が深く、生産性や効率性だけでは考えられない世界でもあります。私の勉強は今も続いています。

 (建設本部副本部長兼社寺建築部長、たかおか・しげき)1972年日本大学卒、松井建設入社。建築本部工務部現業設計課、社寺建築部社寺建築課長、社寺営業部長、社寺建築本部副本部長、執行役員社寺建築本部長などを経て、13年から執行役員建設本部副本部長兼社寺建築部長兼営業本部副本部長、東京都出身、67歳。
20代の頃に神奈川県内の建築現場で
(後列左端が本人)

【4月から基礎工事本格化】JSCが新国立競技場建設現場を公開

大型重機を使って掘削工事が建設現場
(24日午前、東京新宿区で)
 日本スポーツ振興センター(JSC)は24日、2020年東京五輪のメイン会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の建設現場を報道機関に公開した。大型クレーンが建ち並ぶ現場では掘削工事が大詰めを迎え、40万m3を超す土砂掘削の約55%が完了。並行して一部着手した基礎工事が4月中旬から本格的に動きだす。
競技場はS一部SRC造地下2階地上5階建て延べ19万4000m2の規模。大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVが基本・実施設計と施工を担当し、昨年12月に本体工事に着手した。

 現在は、1日350~400人の作業員、650tを筆頭に100t超の大型クレーン11台など60台の重機を投入。フィールド部分の土間鉄筋・コンクリート工事やスタンドの掘削・地盤改良工事が進み、東側スタンドの一部では基礎工事が始まった。
 5月中旬には掘削を終え、8月には地上工事がスタート。スタンドの躯体を立ち上げる。来年2月には1000tの大型クレーンを投入して屋根工事を開始。並行して内外装工事、歩行者デッキ工事を進め、19年11月末の完成を目指す。

 JSCの下野博史新国立競技場設置本部総括役は「1日延べ300~350台のダンプトラックが往来し、大型重機も多い。重機災害や公衆災害に十分注意したい」と話した。
新国立競技場の整備スケジュール
(スポーツ庁「新国立競技場整備事業に関する連絡会議」第8回会合資料より)