2017年3月13日月曜日

【駆け出しのころ】三信建設工業取締役執行役員技術本部長・山崎淳一氏

 ◇地盤は奥が深くて面白い◇

 大学の在学中に土質工学に興味を持ち、卒業後も土木分野でやっていきたいと考えるようになりました。そうして建設会社を中心に就職先を探したわけですが、大きな会社で働くよりは、自分の力を発揮できる専門工事会社がいいと思い、先生に相談して紹介いただいたのが三信建設工業です。

 当時の社員数は300人近く、三十数人の同期と共に入社しました。2週間ほど社内外で研修を受け、続いていくつかの現場を見せてもらった後、技術開発部に配属されました。地盤改良工法の開発や薬液注入材料の開発などを行う部署で、開発の基本となる実験の計画を立てて実施するのが若手社員の主な仕事です。

 とはいえ、最初の2年ほどは先輩たちのお手伝いが中心でした。大学の卒業研究も地盤改良がテーマだったこともあり、抵抗なく技術開発部の仕事に入っていけたと思います。でも、学生のころは何となく漠然としたテーマの研究に取り組んでいたのに対し、会社では「これが実現できるとどうなるのか」といったストーリーがしっかりしています。こうした点が学生時代との大きな違いでした。

 この頃の試験室は、独身寮に併設されていました。私も寮に3年ほどいましたので、実験を行う時には自分の部屋から職場の試験室までが近く、気持ちの面ではとてもラッキーでした。

 当時はパソコンが出始めた頃で、市販のソフトウエアもありません。自分たちで、実験を行うための装置や道具を考案して作るだけでなく、簡単なプログラムを組んでデータ整理や計算に使いました。このときの経験が、後の仕事に大変役に立ったと感じています。

 技術開発部には11年間在籍し、その後、東京第二事業部に異動になりました。アンカーや斜面安定の分野を取り扱う部署で、主に計画や技術的検討などを担当しました。この部にいた期間も15年と長かったのですが、景気が悪い時期にはなかなか実績の数値を上げられずに苦労したことを思い出します。

 当社が対象とする「地盤」は自然そのものです。ですから、こちらが予想した通りの結果にならないことが多くあります。その結果とどう向き合うのか。教科書には書かれていないことも多く、奥が深くて逆に面白いところでもあります。

 工事、営業部門とも、当社の社員は若手でもそれぞれがお客さまと直接に相対します。そうしてやっていく上で、誰もが難しい問題に直面することがありますが、それをうまく解決できた時の達成感は非常に大きいものがあります。若い人たちには、この達成感を得ながら仕事に取り組んでほしいものです。私もそれをフォローしていきたいと思っています。

 (やまざき・じゅんいち)1982年武蔵工大(現東京都市大)工学部土木工学科卒、三信建設工業入社。東京統括事業部第二事業部長、技術開発本部技術部長、執行役員技術本部長などを経て、2014年から現職。17年4月に取締役常務執行役員経営企画室長。山梨県出身、58歳。

入社当時に会社の試験室で。技術開発部に所属していた

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