2017年3月1日水曜日

【企業と学生に意識の差?】活動解禁、どうなる就活・採用戦線

東京電業協会が1月に都内で開いた「電気工事業界フォーラム」の様子。
採用活動は企業の将来を左右する重要な経営課題だ
2018年春に卒業する大学生らの就職活動が1日解禁される。面接試験が可能になる6月1日までの3カ月間、企業の人事採用担当部門は会社の将来を担う優秀な人材確保に向け、企業説明会のエントリー数や採用試験の受験者数の底上げに力を注ぐ。

 採用コンサルティングなどを展開するディスコ(東京都文京区、新留正朗社長)が、全国の主要企業約1万8000社を対象に実施した18年春の「新卒採用調査」によると、回答した1385社の82・2%が新卒採用戦線が「非常に厳しくなる」あるいは「やや厳しくなる」と答えた。人口減少と産業構造の変化によって産業間、企業間の採用競争は激化している。売り手市場が続く状況で、18年3月卒業予定者の採用見込みについて、同調査では29・3%が「増やす」と回答した。


 各企業は企業説明会の開催や大学への訪問、OB・OGを活用したアプローチなど、あの手この手で学生にPRする。業界や会社を知ってもらうためのインターンシップ(就業体験)も以前に比べ実施企業数が増えている。

 同調査で、企業側に「学生へのアピールポイント」を5項目選択で聞いたところ、最も多かったのは「若手が活躍できる」の46・8%。続いて「職場の雰囲気が良い」(43・0%)、「安定している」42・3%の順だった。一方、学生側に「企業選びで重視する点」を聞いた調査では、トップは「安定している」の47・6%で、「将来性がある」(43・9%)、「給与・待遇が良い」(36・7%)などが多かった。

 企業がアピールしたい「若手が活躍できる」という項目を学生はほとんど重視しておらず、企業側と意識が大きく乖離(かいり)。学生が求めるものと企業が訴求したいポイントには明確なずれがあった。


 民間信用調査会社の帝国データバンクがまとめた17年1月の「人手不足に対する企業の動向調査」では、回答した1万0195社の43・9%が「正社員が不足している」と答えた。この割合は過去10年で最も高く、規模が大きい企業ほど正社員の不足感は強い傾向が出ている。人材確保に必死な状況は、同社が行った17年度の「賃金動向意識調査」にも出ており、約1万社の回答企業の51・2%が基本給を引き上げるベースアップや賞与増額など「賃金改善を行う予定がある」と答えた。

 18年新卒採用のスケジュールを見ると、自社セミナーの開催は3月上旬~中旬がピーク。就活解禁と同時にエントリーシートを受け付け、筆記試験や面接を経て6月上旬には内定が出される見通し。大手企業と中小中堅企業で置かれる状況は異なるが、「優秀な人材を是が非でも確保したい」という思惑は共通する。長時間労働や就業環境など働き方に対する社会の視線も厳しくなる中、企業と学生は就活・採用戦線にどう臨むのか、短期決戦の幕が上がる。

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