2017年3月22日水曜日

【大正建築の木造駅舎を復原】JR九州、門司港駅保存修理のスケジュール公表

復原工事完了後の駅舎イメージ(ⓒJR九州)
JR九州は鉄道駅舎として初めて国の重要文化財に指定された門司港駅舎(北九州市門司区)を、創建時の姿に復原するプロジェクトのスケジュールを公表した。2012年9月から行っていた解体調査や耐震改修工事の状況を踏まえ、2019年度中にすべての作業を終え、1914(大正3)年に完成した駅舎の姿に戻す。

 改修前に駅舎の正面にあった入り口部分の屋根は撤去する。2018年秋ころをめどに、現在駅舎を覆っている素屋根の解体を終えるとともに、仮駅舎に移している駅機能を新駅舎の1階に戻す。2019年春ころには2階部分を含めた駅全体の供用を開始する予定だという。
1914年ころの門司駅(ⓒJR九州)
1914年2月に営業を開始した門司駅舎は、ドイツ人技師ヘルマン・ルムシュッテルが監修し、鉄道院九州鉄道管理局工務課が設計した。建物は木造で、1918(大正7)年に駅正面に電気時計が設置された。1929(昭和4)年に駅舎正面に大庇(ひさし)を設置、1931(昭和6)年には西側上屋などを増築した。建物内の設備や装飾を含めネオ・ルネサンス調のデザインは大正時代の木造建築を現代に伝えている。関門鉄道トンネルの開通に合わせ、1942(昭和17)年に駅名を現在の「門司港駅」に改称。1988年12月に国の重要文化財に指定された。

 JR九州は、駅舎の復原プロジェクトに当たり、可能な限り創建当時の姿にすることを基本方針とした。骨組みを残してほぼすべての部材を取り外し、傷みなどを確認した上で再利用可能な物は元の位置に戻す。傷みが激しい部材は同じ材質の物を調達して忠実に再現加工し使用する。駅舎正面に設置されている時計、西側の通路上屋などは歴史的価値を尊重してそのまま残す。

 保存修理工事は当初、2017年度末の工事完了を予定していた。だが耐震補強工事の実施や解体調査に時間を要したため、スケジュールを再検討し2019年度内の完成を目指すことにした。駅舎の復原に合わせたイベントも開いていく計画で、今後、北九州市と協議し内容を詰めていく。
保存修理工事着手前の門司港駅(ⓒJR九州)

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