2017年5月10日水曜日

【技能教育リポート】山形県立産業技術短期大学校の土木エンジ科始動

 山形県立産業技術短期大学校(山形市、尾形健明校長)に4月、「土木エンジニアリング科」が発足した。県内の大学や専門学校に土木系学科のない山形県が、地元建設産業界の要望を受けて構想した公共職業訓練初の土木系高度職業訓練専門課程だ。

 2年間のカリキュラムで、社会資本の長寿命化や自然災害、除排雪といった新たなニーズや地域特有の課題に対する知識や素養を身に付けた担い手を養成する。

 第1期生は、この春に高校を卒業したばかりの若者を中心に総勢21人(普通高卒9人、工業高卒12人)。大方の予想に反して普通高校の卒業生が多く、青森や秋田から入学した学生や女性も2人いる。

 ◇全国初の「土木エンジ科」設置◇

 多様な人材を呼び込めた背景には、土木の基礎知識の修得に加え、ICT(情報通信技術)やCAD、ドローン(小型無人機)といった新しい技術を駆使した施工を管理できる人材を育成しようと設定した独特のカリキュラムがあるようだ。昨年のオープンキャンパスでも、建設産業がかつての「労働集約型」から「技術集約型」に変化しているとの説明を聞き、就職先としての可能性に関心を示した情報や機械系の工業高校生も少なくなかったようだ。

 2年間のカリキュラムは、高度職業訓練の基準を満たす2800時間を確保。うち半分は、施工管理、測量・設計と実践経験を含めた実習に充てる。「実験や研究が主体となる大学と違い、施工管理で即戦力になる人材を毎年、業界に送り出せるようにしたい」と語るのは、学科主任の鈴木賢一教授。在学中には、2級土木施工管理技士(学科)や測量士補の試験の合格も目指す。

 21人の学生に講師は6人。少人数指導の体制も特色で、県内建設産業で働く人たちや、ほかにも県内外の大学の教員や国土交通省、山形県県土整備部の職員なども授業内容に応じて講師に招き、土木技術者として働く心構えや専門の知識や技術を学ぶ。

 青森から期待を抱いて入ってきた菊池果歩さんは、「土木に関するいろいろなことを学んで資格も取り、どんな仕事に就きたいかを見定めたい」と話す。県内工業高在籍時にインターンシップ(就業体験)に出向いた会社への就職を希望する佐藤圭人さんは、「将来は現場監督としてダムやトンネルなどの施工に携わってみたい」と意欲を示す。


0 コメント :

コメントを投稿