2017年5月29日月曜日

【建設業の心温まる物語】小島組・田平宏樹さん(愛知県)

 ◇カメルーンでピンチを救ってくれた人◇

 待望の第一子が生まれたばかりのときでした。海外出張が決まりました。場所は日本から遠く離れたアフリカのカメルーン。サッカー選手エムボバの出身国ですが、それ以外にカメルーンの知識は全くありませんでした。最初に言葉の問題がありました。他の外国のゼネコンと一緒に工事を進めるため、その国のことばがメイン。当社で外国人のWさんを通訳として雇いました。通訳を介しての交渉は難しく苦労しました。

 そんな中、最大の問題が食事でした。外国のゼネコンが用意した料理長の味が、私たちに合いません。そして外国の方のマナーにも悩まされました。食事は食堂で食べるビュッフェスタイルで、人気のあるおかずには早くから人が並びすぐになくなりました。

 後ろに3人待っていても気に入ったおかずであれば全て自分の器に入れてしまいます。たまに出るフルーツは我れ先に持ち去り、人気のないおかずばかり残っていました。事態は更に悪化し、食事の開始時間を守らなくなりました。あまりのマナーの悪さと食事の味によって日に日に食欲がなくなっていきました。

 そんな状況を毎日見ていた通訳のWさんがある日、食堂で外国の方を一喝しました。「見ろ、田平さんが食事を食べられなくて困っている。お前たちは自分のことしか考えられないのか?恥ずかしくないのか?」と。

 それからも毎日、Wさんは食事のたびに私たち日本人に気を使ってくれました。「明日は田平さんの好きなチキンが出るよ!」とか、「今日は洋梨があったからとってきたよ!」とか、少しホームシックになっていた私にとって本当に支えになりました。

 無事工事が終わり、その国の方々ともわかり合えるようになりました。カメルーンの振興、そして国際親善をすることができたこと、うれしく思いました。

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