2017年6月30日金曜日

【五輪終了後は一般開放】五輪カヌー・スラローム会場の詳細計画明らかに

カヌー・スラローム会場の完成イメージ
(16年5月時点、提供:東京都)
2020年東京オリンピックのカヌー・スラローム競技で使用される会場の詳細計画が明らかになった。葛西臨海公園の隣接都有地に新規整備する国内初の人工スラロームコースには、延長200mの競技コースやフィニッシュプール(8700㎡、ウォーミングアップコース含む)、ボートコンベアを配置。S造2階建て延べ1520m2の管理棟、RC造地下1階地上平屋延べ720m2のろ過施設も建設する。

 オリンピック開催時には競技コースの南側に約1万5000席のスタンドを仮設。大会終了後は、カヌー以外にラフティングといった水上スポーツ・レクリエーションが楽しめる施設として葛西臨海公園や葛西海浜公園と一体的に運用し、年間10万人来場を見込む。
スラローム会場の施設配置図
(実施段階環境アセスメント資料より)
競技会場の建設地は東京都江戸川区臨海町6の1。敷地面積は約7・6haで、敷地の北側に50台分の平面駐車場を設ける。競技コースには高低差があるため、水路内に循環水流を起こす揚水ポンプを設置。フィニッシュプールからスタートプールまでカヌーに乗ったまま移動できるようにするため、ボートコンベアを配置する。コースの水には上水を使い、水質を維持するためにろ過設備を設置する。
カヌー・スラローム会場は葛西臨海公園と荒川にはさまれた場所に整備する
(実施段階環境アセスメント資料より)
江戸川区が運用する緑化基準を満たすため敷地のうち9970㎡を樹木や芝生で緑化する。工期は準備工を含めて24カ月を計画。今年9月に着工し19年10月の完成を予定している。工事がピークを迎える着工後10カ月目には1日当たり大型車両180台、小型車両124台が現場付近を走行する見通し。工事に伴い5万6900m3の土が発生する見込みだが5万6300m3、率にして99%を再資源化する計画。建設汚泥は現場内でスラリー化安定処理土を製造して現場内で盛り土材などに利用し、場外搬出しない予定だという。 

 カヌー・スラローム会場の実施段階環境アセスメント業務は日本工営が担当している。 

【労災ゼロに向けた取り組みは?】日建連・竹中康一安全対策本部長に聞く


 ◇きめ細かい管理で労災減めざす◇

 東京オリンピック・パラリンピック関連工事の本格化や都市部の民間開発による工事量増加に伴い新規入職者が増加している。その一方で労働災害の発生件数の増加も懸念される。

 事故が起こることにより、作業員本人のみならず家族や仲間が悲しみと苦しみを抱え、担い手確保の面でも大きなマイナスとなる。安全管理を徹底し、労働災害を無くすことは建設業界の命題とも言えるだろう。

 日本建設業連合会(日建連)の竹中康一安全対策本部長に、事故を無くすための安全活動方針を聞いた。

 ――建設業の労働災害の発生状況は。

 2016年の全産業での労働災害死亡事故発生件数は2年連続で1000人を下回りました。そのうち建設業の死亡者数は294人です。2015年より10%減少しており長年の目標であった300人以下を達成しました。

 ひとえに皆が安全活動を誠実に取り組んだ結果だと感じています。一方、日本建設業連合会(日建連)会員の死亡者数は土木関連16人、建築関連14人の合計30人で昨年より一人減少しました。

 災害の種類の内訳は、機械による災害が12人、墜落災害が9人となっております。特に昨年の4月には新名神高速道路の建設現場で橋桁落下事故が発生し、多数の死傷者を出す重大事故となりました。

 労働災害には至りませんでしたが、博多の地下鉄工事で大規模な道路陥没事故が発生しました。いずれの事故も一歩間違えば第三者を巻き添えにした事故になっていてもおかしくなく、大変重く受け止めています。

 ――東北復興事業での安全活動は。

 毎年国土交通省との意見交換会を実施していますが、昨年の意見交換会の直前にトンネルでの事故が立て続けに発生しました。そのため東北地方整備局から事故防止の要請がありました。それを受け、6月の災害防止対策特別活動や10月の粉じん傷害防止対策推進強化月間で特に東北地区のトンネル現場を重点的に点検しました。

 伊藤寛治安全対策本部安全委員会委員長も三陸国道工事事務所の現場を巡回するとともに、永井浩泰所長に先駆的なトンネル工事の事故防止例と、安全に対する事務所の取り組みを伺い粉じん傷害防止対策推進強化月間リーフレットで紹介するなど、全国的な水平展開をしました。

 リーフレットには、坑内粉じん傷害防止自主点検表も盛り込み、それぞれの現場の安全意識向上を図りました。本年は東北地方整備局の2017年度工事事故防止対策方針に基づき、東北支部を中心に特定現場点検を実施する予定です。

 ――本年度の安全週間での安全対策本部の取り組みは。

 〝組織で進める安全管理 みんなで取り組む安全活動 未来につなげよう安全文化〟をスローガンに全国安全週間が展開されます。この全国安全週間は1928年に始まって以来、一度も中断されることなく続けられ、90回目を迎えます。

 残念ながら今年は全産業での死傷・死亡災害が昨年度と比較して増加しております。第三次産業での他店舗展開企業などに安全担当者が不在で安全活動が低調になっていることが原因と想定されます。このような状況を踏まえ、さらなる労働災害の抑制を目的に本スローガンを決定したと聞いています。

 日建連では労働災害の撲滅を目指して、全国安全週間の準備期間である6月1日~30日を2017年度災害防止対策特別活動月間と定めました。墜落災害と重機災害の防止をメインテーマに会員各社の全国の作業所を対象として災害防止活動を実施しています。

 加えて「災害防止対策活動」と題したリーフレットを3万部ほど用意し、会員各社に配布するなどして本活動の趣旨徹底を図っています。また、日建連の支部と連携して安全委員会委員によるパトロールを土木14現場、建築8現場の計22現場巡回しています。

 ――本年度の安全対策本部の活動方針は。

 日建連の安全対策活動の基本は建設工事の施工に伴う安全・衛生の確保、建設工事に起因する公衆災害・労働災害の防止、快適な労働環境の構築に向けての現場点検の実施、優良作業所の表彰、講習会の開催、教育資料の作成を効果的に推進していくことです。

 工事量が高まり現場経験の浅い労働者の増加が懸念されていますが、新規入職者教育の徹底、作業手順書の周知会励行などきめ細やかな安全管理が浸透するように会員企業に働きかけていきます。

 東京オリンピック・パラリンピックの大会施設工事も本格化します。わたしも当大会の施設安全衛生対策協議会委員の一員として、快適で安全な建設工事のモデルとなるように安全衛生対策を徹底していきたいと思います。

【竹中工務店と博報堂がタッグ】IoT活用の共同研究開始

 竹中工務店と博報堂は29日、オフィス内の階段利用を促進させる新技術の開発に着手したと発表した。

 IoT(モノのインターネット)を活用して階段に映像を投影することで、階段を利用しようという意欲を喚起する。19年の商品化を目指し、階段への映像投影技術などの開発を進める。

 開発に着手した「ta-tta-tta(タッタッタ)」は、IoTを活用して階段に「階段を昇ることがつい楽しくなる映像」を投影する技術だ。

 ホルダー型タグを付けた社員が階段を上ろうとすると、階段に設置したIoTセンサーに信号が飛び、階段を上っているタイミングに合わせて映像を投影する。毎回飽きずに楽しめるよう、個人の利用履歴に応じて映像を変化させることで、階段利用に対するモチベーションを高める。

 プロトタイプを使用し竹中工務店東京本店で行った実証実験では、映像投影前の1週間と比較して階段利用量が平均で26・1%増加。参加者からは「階段を利用することで会話の機会が増えた」などの評価もあったという。

 今後は異業種企業と連携しながら、階段への映像投影技術や運用システムの開発を進め、18年の開発完了と19年の商品化を目指す。

【回転窓】稼ぐ力を備えるには

政府が今夏から「地方創生推進交付金」の対象を拡大し、従来の観光振興や地方移住促進策、街づくりなどに加え、地域経済をけん引する事業にも交付金の配分を決めた▼これまでの人を呼び込む事業から一歩踏み込み、地方自治体に「稼ぐ力」を求めたのは新たな試みだが、自治体がすぐに民間並みの経営感覚を持てるのかは疑問もある▼日本図書館協会が昨年8月から自治体に実施していた図書館政策のアンケートによると、500近い自治体が街づくりや地域振興に役立てる目的で図書館事業を行っていると答えた▼青森県八戸市は全国でも珍しい市営書店を開設して注目を集めるが、年間数千万円と見込まれる赤字は市が穴埋めするという。収益事業の企画力・運営力はやはり人もノウハウも持つ民間企業に分がある▼最近は民間企業と連携を模索する自治体も多いが、企業を呼び込み、信用力・提案内容を見極める人材がいないことが悩みの種とこぼす現役職員の声を聞いたことがある▼制度や政策も大事だが、最後に行き着くのは人材の確保。官民の人材交流をより活性化する仕組みづくりがカギを握るのではないか。

【現場で活躍できる人づくりめざす】工学院大学・後藤治理事長に聞く-大学運営の方針は

 ◇創造力、応用力養う教育に注力◇

 10月31日で創立130周年を迎える記念の年に、工学院大学初の建築学部出身の理事長として5月26日付で就任した。「実務の最先端で活躍する人材づくり」という建学の精神を受け継ぎ、「その道のリーダーとして応用力、創造力を現場で発揮できる人材を育成したい」と意気込みを語る。

 --運営方針は。

 「1887年の開学以来、社会の現場の先頭に立って動く技術者を育成することを第一に掲げてきた。社会で活躍する人材を育てるには最先端の研究に触れる機会を与えることが大事だ。企業との共同研究に力を入れる。八王子キャンパス(東京都八王子市)は敷地も広く、耐震分野の起震装置や反力壁、環境分野のソーラーパネル設備などの実験設備が整っている。都内の私立大でこれだけの研究施設を抱えているのは本学だけ。これからも充実させていく」

 「新宿キャンパス(東京都新宿区)は首都高速道路、八王子キャンパスは中央自動車道のインターチェンジが近くにあり、バス会社と提携して両キャンパス間を結ぶバスを走らせている。両キャンパスの利点をうまく生かし、メーカー、地方自治体、ゼネコン、設計事務所などとの共同研究を増やしたい」

 --他大学の教育とどう差別化を図る。

 「工学系に特化した単科大だが、国立大の工学部単体などと人数を比較すれば規模はこちらの方が大きい。幅広い専門分野の教員が多数いるため、一定のスコープ(カリキュラム編成で選択すべき学習の範囲)をすべてカバーできる。その強みを生かすことが大事だ。現在は学生全体の3割程度にとどまっているインターンシップの取り組みも強化する。受け入れてくれる企業に足を運び、企業が保有する素晴らしい教育施設などを使った特別な独自のプログラムを構築できればと思う」

 「『ハイブリッド留学』制度の運用を始めた。学生の滞在期間は4カ月で、専門科目は本学の担当教員が渡航して行い、滞在中はホームステイを通して英語で生活する。留学した期間は通常、単位をもらえず卒業が遅れるが、ハイブリッド留学は単位を取得できる。専門用語が分かり、ある程度のコミュニケーションを取れれば海外ではどうにかなる。積極性と現場力を養うのが狙いだ」

 --6年前に建築学部を創設した。大きく変わった点は。

 「建築学部の創設に伴ってランドスケープ、地域防災、インテリアデザイン、福祉住環境デザインの分野を充実させた。この結果、女性の入学者が増えた。現在は建築学部で学ぶ学生の3割を女性が占める。社会で活躍する卒業生も多くなってきた。通ってよかったと口コミでPRしてくれている効果もあり、入学希望者も増えている」

 「もう一つ、学部創設によって1年から専門課程の授業を増やすことができた。普通は1、2年時に教養課程、3、4年時に専門課程を学ぶが、教養は専門を習った後に学んだ方が役に立つ場合もある。例えば、構造物を造る時にその所有者責任、管理者責任を知っておくことは大切であり、専門を学んだ上で民法を習えば、知識も身に付きやすい。学部創設のメリットの一つだと考えている」

 --これから注力する分野は。

 「建物管理分野を強化したい。建物を健康な状態で維持する、傷んだものを健全にするという事業ニーズは増えていく。設備リニューアルに強い人材を育成する必要がある。デザイン系の志望者は多いが、入学後に多様な分野を学び、今は材料施工系、環境設備系、構造系も人気が高まっている。設備分野には学生の目が向きにくいところもあり、視野の広い学生を育成することが課題だ」

 「大学院の充実も図りたい。国立大の大学院は研究者の育成に強いが、本学は社会に役立つ人材の育成に重きを置いている。新宿キャンパスは東京の一等地にあり、本学のヘッドクオーターといえる。新宿にキャンパスを保有していることで著名な建築家も呼びやすく、意識の高い学生も集まってくる」

3月に竣工した八王子キャンパス新2号館
 --キャンパス再整備は。

 「新宿キャンパスの建物はリニューアルの時期を迎えているが、新宿駅西口の再開発の行方を注視している。大成建設と都市再生機構が事務局となり、駅西口から新宿中央公園までの街のあり方を検討している。まちづくりの中で新宿キャンパスが担う役割などを見定め、積極的に関わってその一翼を担いたい。実務分野にたけた教員も多く、八王子キャンパスのあり方を含め地域と連携したまちづくりを考える。まちづくり研究などで培った成果を生かしたい」。

 (ごとう・おさむ)84年東大工学部建築学科卒。88年東大大学院工学系研究科建築学専攻博士課程中退。文化庁文化財保護部建造物課文部技官、文化財調査官(調査部門)を経て、99年工学院大学工学部建築都市デザイン学科助教授、05年同工学部建築都市デザイン学科教授、11年同建築学部建築デザイン学科教授、工学院大学常務理事、17年工学院大学理事。東京都出身、56歳。

【18年3月までに方向性取りまとめ】日ハム、ファイターズ新球場建設構想公表

スタジアムと周辺エリアのイメージ
プロ野球・北海道日本ハムファイターズと親会社の日本ハムは29日、北海道の札幌市か北広島市で建設を検討している新球場について、現段階での施設構想を発表した=イメージ。具体的な規模や総事業費は未定。イメージによると球場はスライド式の開閉屋根を採用し、球場周辺には商業施設や宿泊施設などを配置する。「北海道のシンボルとなる空間」をコンセプトに、球場を核とした国際競争力のあるライブ・エンターテインメント・タウンを目指すとした。

 札幌市内の球団事務所で会見したファイターズの三谷仁志事業統轄副本部長は、施設規模について「建設候補地の建ぺい率などを考慮すると一概には言えない」と前置きした上で、「スタジアム単体で5ヘクタール、スタジアムを含めた施設全体ではイメージの実現に20ヘクタールの敷地が必要」との試算結果を明らかにした。建設地は決定していないものの、多少の変更を加えれば、建設候補地に挙がっている3カ所のいずれでも建設が可能と見込んでいる。
メインストリートのイメージ
施設に導入する機能は球場の他に商業施設、宿泊施設、選手が利用するクラブハウス、オープンカフェなどを想定。具体的な内容については今後詰めていく方針だ。

 建設候補地には現在、道立産業共進会場(札幌市豊平区)と八紘学園所有地(同)を合わせた13ヘクタール、北海道大学構内の10ヘクタール(札幌市北区)、きたひろしま総合運動公園(北広島市)の36ヘクタールの3カ所が挙がっている。
スタジアムの俯瞰イメージ
北海道日本ハムファイターズと日本ハムは昨年12月、新球場建設構想に関するタスクフォースを設置。現在の本拠地である札幌ドーム(札幌市豊平区)を撤退して独自の球場を建設する構想について検討を進めており、18年3月までに一定の方向性を示すとしている。
ロッカールームなど施設内部のイメージ

2017年6月29日木曜日

【リニア新幹線整備が本格化】JR東海、難工事中心に先行発注

 JR東海が、東京・品川~名古屋間で2027年開業を目指すリニア中央新幹線の建設プロジェクトで、本線・駅部の工事が本格化してきた。土かぶりが1000メートルを超す南アルプストンネルをはじめ、品川や名古屋の両ターミナル駅など、工期が長く施工難度の高い工事を中心に先行して発注が進み、鉄道建設・運輸施設整備支援機構への業務委託区間を含め、これまでに主要18件の工事契約を締結。うち14件で工事が始まっている。未着手区間の工事も準備が整い次第、発注手続きに入る。

 □駅・本線部で本工事契約済み18件の概要□
 (△件名=〈1〉施工者〈2〉契約時期〈3〉工事概要、▲は未着工)

 【東京都】

 △品川駅(北工区)=〈1〉清水建設・名工建設・三井住友建設JV〈2〉15年9月〈3〉土留め壁構築と掘削工、工期21年2月まで

 △品川駅(南工区)=〈1〉大林組・東亜建設工業・熊谷組JV〈2〉15年10月〈3〉土留め壁構築と掘削工、工期21年2月まで

 △北品川非常口及び変電施設(地下部)=〈1〉清水建設・鴻池組・竹中土木・名工建設JV〈2〉16年4月〈3〉シールド機の発進立坑となる非常口(直径36m、深さ90m)と変電施設の地下部分、工期19年6月まで

 △小野路非常口他=〈1〉鹿島・オリエンタル白石・鉄建建設JV〈2〉16年4月(鉄道運輸機構委託発注)〈3〉シールド機の発進立坑となる非常口(直径40m、深さ75m)、工期44カ月

 △品川駅(非開削工区)=〈1〉安藤ハザマ〈2〉16年5月〈3〉シールド機の製作と発進立坑の整備、工期21年6月まで

 【神奈川県】

 △東百合丘非常口=〈1〉大林組・フジタ・大本組JV〈2〉16年11月〈3〉シールド機の発進立坑となる非常口(直径36m、深さ100m)、工期20年9月まで

 △梶ケ谷非常口及び資材搬入口=〈1〉西松建設・五洋建設・青木あすなろ建設JV〈2〉17年2月〈3〉シールド機の発進立坑となる非常口(直径50m、深さ80m)と資材搬入口(直径30m、深さ80m)、工期20年7月まで

 【山梨県】

 △南アルプストンネル(山梨工区)=〈1〉大成建設・佐藤工業・錢高組JV〈2〉15年8月〈3〉本線トンネルの一部(施工延長7.7km)、工期25年10月まで

 ▲第四南巨摩トンネル(西工区)=〈1〉西松建設・青木あすなろ建設・岩田地崎建設JV〈2〉16年7月〈3〉本線トンネルの一部(施工延長2.6km)、工期26年5月まで
南アルプストンネル山梨工区での掘削作業の様子
(ⓒ JR東海)
【長野県】

 △南アルプストンネル(長野工区)=〈1〉鹿島・飛島建設・フジタJV〈2〉16年2月〈3〉本線トンネルの一部(施工延長8.4km)、工期26年11月まで

 ▲伊那山地トンネル(坂島工区)=〈1〉清水建設・大日本土木JV〈2〉16年9月〈3〉本線トンネルの一部(施工延長5.1km)、工期26年9月まで

 ▲中央アルプストンネル(松川)外=〈1〉戸田建設・あおみ建設・矢作建設工業JV〈2〉16年12月(鉄道運輸機構委託発注)〈3〉中央アルプストンネルの一部(施工延長4.9km)と風越山トンネルの一部(同2.3km)、工期101カ月間

 【長野・岐阜県】

 ▲中央アルプストンネル(山口)=〈1〉鹿島・日本国土開発・吉川建設JV〈2〉16年8月(鉄道運輸機構委託発注)〈3〉本線トンネルの一部(施工延長4.7km)、工期76カ月間

 【岐阜県】

 △日吉トンネル(南垣外工区)=〈1〉清水建設・大日本土木・青木あすなろ建設JV〈2〉16年6月〈3〉本線トンネルの一部(施工延長7.4km)、工期26年9月まで
実験線で試験走行を重ねるリニア新幹線のL0系車両
【愛知県】

 △名城非常口=〈1〉大林組・戸田建設・ジェイアール東海建設JV〈2〉16年4月〈3〉シールド機の発進立坑となる非常口(直径40m、深さ90m)、工期19年9月まで

 △名古屋駅(中央東工区)=〈1〉ジェイアール東海建設・前田建設・シーエヌ建設JV〈2〉16年9月〈3〉在来線を盛り土構造から橋梁構造に置き換えるための仮土留め杭と工事桁の構築、工期19年5月まで

 △名古屋駅(中央西工区)=〈1〉大林組・ジェイアール東海建設・前田建設JV〈2〉16年9月〈3〉新幹線高架下などへの仮受け杭と地中連続壁の構築、工期19年5月まで

 △坂下非常口=〈1〉前田建設〈2〉16年10月〈3〉シールド機の発進立坑となる非常口(直径40m、深さ85m)、工期19年6月まで。

【回転窓】先端技術で忘れ物対策

梅雨がないとされる北海道を除き列島全域が梅雨入りした。沖縄は一足早く先週梅雨明けしたが、九州以北の各地はしばらく雨や曇りの日が多くなる▼雨が降ったりやんだりで雨具が手放せないこの季節。曇り空で短時間で戻るから大丈夫と傘を持たずに外出した時に限って降りだすこともしばしば。逆に出先でやんでしまい、電車に傘を置き忘れることもよくある▼鉄道会社を中心に、忘れ物を持ち主に自動通知するサービスを試験導入する取り組みが相次いでいる。東京メトロは、忘れ物の取扱量が多い銀座線渋谷駅や丸ノ内線池袋駅などでサービスの実証実験を19日に開始した。専用アンテナを設置した駅事務室に専用タグ付きの忘れ物が届くと、タグが発信する位置情報をアンテナを介して持ち主に通知する▼東京メトロ管内の16年度の忘れ物受領件数は1日当たり1835件に上るが、返還率はわずか29%にとどまる。今回の実験結果を踏まえてサービスを拡大し、返還率向上を目指すという▼先端技術を活用した忘れ物対策の成否はなかなかの見ものだが、大事な物は手から離さないこと、やはりそれが一番である。

【3棟総延べ25万平米】NHK放送センター(東京都渋谷区)、建替本格スタート

東京都渋谷区にあるNHK放送センターの建て替え事業が本格スタートする。

 現在地で建て替え事業を段階的に進める計画で、新たに建設する施設は3棟、総延べ床面積約25万m2の規模となる。日本放送協会(NHK)は27日、建て替え事業の初弾案件となる「NHK放送センター建替工事」の一般競争入札を公告した。

 18年4月には落札者を決め、2020年東京五輪の終了後に着工する。

 新設する施設は延べ7万㎡の情報棟、16万㎡の制作事務棟、2.1万㎡の公開棟の3棟。初弾案件には施設全体の基本設計や、情報棟の実施設計・施工などが含まれる。

 建て替え事業は複数の工区に分けて進める。第1期として建設する情報棟は20年秋に着工し、25年の運用開始を目指す。第2期以降の工事をどう分割するかは今後固めるが、28~30年に制作事務棟の1期棟、33~35年に同2期棟と公開棟を整備する計画。人工地盤や駐車場整備を行い、36年の全体完成を予定している。

 設計・建設費の参考額(放送設備費は除く)は情報棟が600億円、制作事務棟と公開棟は合算で1100億円を見込んでいる。

【基礎地盤コンサルの大田孝氏登場】関東整備局HP「技術者スピリッツ」、業務分野にも対象拡大

 関東地方整備局が、建設現場の技術者を同局のホームページで紹介する「技術者スピリッツ」の取り組みが、委託業務の分野にも拡大している。

 これまでは工事関係が掲載されてきたが、第118話で、初めて地質調査技術者が取り上げられた=写真。関東整備局は業務を担う技術者も積極的に紹介していく方針だ。

 掲載されたのは、「H29下館管内地質調査業務」を手掛けている基礎地盤コンサルタンツの大田孝担当技術者。「縁の下の力持ちとして、防災や減災に貢献しています!」との思いを披露している。

【開発・運営は鹿島グループ】羽田跡地第1ゾーン開発、20年に大半施設開業へ

東京・大田区の松原忠義区長は28日、区役所で記者会見し、羽田空港跡地(東京都大田区羽田空港1の2)の第1ゾーンで鹿島を代表とするグループが開発・運営する総延べ約12・5万平方メートル規模の施設群のうち、ベンチャーオフィス・研究開発ラボやイベントホールなど大半の施設が20年4~7月に先行開業するとの見通しを明らかにした。

 残る先端医療研究センターなどが入る施設とアート&テクノロジーセンターの2施設は先行開業後に整備に着手し、22年にオープンさせるという。

 第1ゾーン(約16・5ヘクタール)のうち、京浜急行電鉄天空橋駅に近い約5・9ヘクタールの敷地を区が鹿島グループに定期借地権方式(事業期間50年)で貸し付け、先端技術の開発や文化産業、エリアマネジメントの拠点機能などを盛り込んだ施設群を開発・運営してもらう。

 施設群は▽先端医療研究センター、研究開発施設、オフィス▽アート&テクノロジーセンター▽クリエイティブモール▽イベントホール▽飲食施設▽体験型施設▽ベンチャーオフィス・研究開発ラボ▽会議研修センター▽水素ステーション▽駐車場-で構成する。

 鹿島グループは区と基本協定・事業契約を締結した上で設計に着手し、18年9月ごろから順次、区画整理(施行=都市再生機構)が完了した部分の土地の引き渡しを受け、本体工事を進める。設計、施工はグループ所属企業が担当する見通し。事業費は約540億円を見込む。

 鹿島グループの構成員は空港施設、京浜急行電鉄、大和ハウス工業、東京モノレール、日本空港ビルデング、野村不動産パートナーズ、JR東日本、富士フイルムの8社。このほか協力会社として20事業者が参画する。

 松原区長は会見で、「『平成の長崎の出島』をつくりたいと言ってきたが、(鹿島グループの提案は)それに応えてくれている。地方創生を含め、日本経済の突破口になれば」と期待を述べ、羽田エアポート都市開発(代表企業=住友不動産)がホテルを建設する第2ゾーンについても「全体を含めて連携を取る必要がある。今後よく話し合いを重ねていきたい」と強調した。

【問われる、働き方改革の〝本気度〟】求人倍率高止まり-深刻なのは求職者激減

高止まりする有効求人倍率から人手不足業種の代表格ともいわれる建設業。日刊建設工業新聞が厚生労働省が毎月発表するデータの推移を調べたところ、問題点は求人倍率よりもむしろ求職者の激減にあることが分かった。

 他産業に比べ、給料や休暇取得など処遇面で劣り、魅力に欠ける実情を裏付けたともいえる。事態の改善へ業界が本気で「働き方改革」に取り組めるかが問われる。

続きはHP

2017年6月28日水曜日

【設計対象は16会場】五輪競技会場の仮設オーバーレイ基本設計、2件の委託先決まる

幕張メッセではレスリングやテコンドー、フェンシングなどの競技が行われる
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、「仮設オーバーレイ基本設計業務委託(4)幕張メッセAホールほか10会場」と「仮設オーバーレイ基本設計業務委託(5)オリンピックアクアティクスセンターほか4会場」の落札者を決めた。
東京スタジアム(奥)と武蔵野の森総合スポーツ施設(手前)
(撮影:16年2月)
仮設オーバーレイ基本設計業務委託(4)は1億4660万円でINA新建築研究所・エーシーエ設計・手島建築設計事務所JV、同(5)は1億4800万円で日総建がそれぞれ落札した。履行期間はいずれも9カ月。
ゴルフ競技が行われる霞ヶ関カンツリー倶楽部
(ⓒ tokyo2020)
同(4)の対象施設は▽幕張メッセ(A、B、C各ホール)▽釣ケ崎海岸サーフィン会場▽霞ケ関カンツリー倶楽部▽さいたまスーパーアリーナ▽埼玉スタジアム2002▽横浜国際総合競技場▽札幌ドーム▽宮城スタジアム-など。同(5)は2020年東京五輪の競技会場のうち、▽オリンピックアクアティクスセンター▽東京辰巳国際水泳場▽アーチェリー会場▽武蔵野の森総合スポーツ施設▽東京スタジアム-の5施設へ一時的に備え付ける仮設オーバーレイ(仮設観客席、テントなど)の基本設計を担当する。
バスケットボール競技会場のさいたまスーパーアリーナ
(ⓒ tokyo2020)

東京都内5市と相模原市、五輪自転車競技のコース誘致めざす

 東京都の多摩地域に位置する八王子市など都内5市と相模原市が、2020年東京五輪の自転車競技(ロードレース)誘致に向け、要望書を都と東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に提出した。

 石森孝志八王子市長は「五輪を盛り上げるため、何としてでも甲州街道沿いと相模原市を通り、富士スピードウェイまで行くコースを実現したい」と要望の趣旨を伝えた。

 要望書を受け取った山本隆都副知事は、「ロードレースのコースは組織委とIF(国際競技連盟)が協議・検討している。多摩地域と相模原市には整備された道路に加え、豊かな自然もある。要望はしっかりと受け止める」と答えた。

 石森市長は「ロードレースのコースは当初、皇居外苑をスタート・ゴールとする方向で進んでいたと認識しているが、国際自転車競技連合から、富士山をバックにしたコース設定ができないかとの要望があり、現地視察も行われたと聞く。このコースが実現すれば、競技性が高まるだけでなく、多くの国民が競技を観覧できるようになる」と期待を示した。

 要望書を提出したのは▽八王子▽日野▽立川▽国立▽府中-の都内5市と相模原市の計6市。

【回転窓】ボードゲーム人気再び

昭和生まれの世代には懐かしい「ボードゲーム」の人気が高まっているという。遊びの世界でもアナログは捨てたものではないとこのブームを歓迎したい▼テーブルやこたつの上にボードゲームを置き、家族や友達と時間も忘れて熱中した思い出のある方は多かろう。最近は現代風にアレンジされたゲームなどが人気のようで、今月初めに東京都内で開かれた玩具見本市「東京おもちゃショー」にも多くの商品が出展された▼その一つが野球盤。「カラーの電光掲示板が搭載され、臨場感が増した」と1日の時事通信が報じていた。野球盤は1970年代を中心に少年たちから高い人気を集めたゲーム。中でもエポック社が発売した「消える魔球」装置付き野球盤は当時、一大ブームを巻き起こした▼日本弁理士会の広報誌『PATENT AttorneY』の最新号が、この魔球にまつわる特許の話題を取り上げている。「特許明細書に架空の球種が登場する珍しい例」と弁理士の中川裕幸氏は解説する▼ボードゲームの人気に再び火がついた理由を探ると、デジタル時代に忘れられていたものを見つけられるかもしれない。

【ノベルティーで竹中の環境活動PR】TAKリビング、木製スマホスタンドが好評

 竹中工務店グループのTAKリビング(東京都江東区、星拓治社長)が、内装材の木端材を活用して製作したノベルティーグッズが、顧客などに好評だという。

 従来は廃棄していた内装工事で発生する木端材を利用し、「T」字にかたどったスマートフォンスタンドを作成。各種展示会の際にノベルティーとして配布し、リユースとグループの環境活動PRという一石二鳥の効果を生んでいる。

 TAKリビングは、竹中工務店が全額出資する造作木工事・内装工事の施工専門会社だが、建設現場の内装工事で発生する木端材の処分が長年の課題となっていた。

 特に、最近は需要が多いマンション工事で内装下地材として使うラーチ合材の端材が多く、長さ1820ミリ×幅97ミリの端材が月に300枚ほどたまる。この端材を有効活用できないかと、竹中工務店の広報部と共同で企画したのが、グループのノベルティーティグッズとして製作したスマホスタンドだ。

 スマホスタンドは、22センチ×9センチほどの板一枚でできており、中央部分がT字形に切り抜けるようになっている。「一枚の板で完結する」「プラモデル感覚で木のぬくもりに触れてほしい」というコンセプトから組み立て式を採用した。

 本体とつながっているT字の型を自分で切り抜き、T字の縦棒部分を本体に差して組み立てると、板が自立し、横棒部分にスマホを立てかけられる。1枚の端材からはスマホスタンド8枚ができ、成型の際におがくずが出る以外は、新たな端材を出さずにほぼすべてを有効活用できる。

 スマホスタンドは、28日から30日まで東京国際展示場(東京都江東区)で開かれるインターフェックスジャパンの竹中工務店のブースで配布するほか、今後は営業ツールとしても活用する予定だ。

 星社長は「これまでは廃棄しかなかった端材の見方が変わった。今後は他の端材も活用して新しいものが作れないか挑戦していきたい」と話す。

【現場への導入後押し】国交省、「快適トイレ」普及拡大策展開へ

国土交通省は建設現場に設置する仮設トイレで、男女とも快適に使用できる「快適トイレ」の普及を図る。

 NPO法人日本トイレ研究所(加藤篤代表理事)が定めた「快適トイレ認定マーク」を、快適トイレの仕様を確認するための参考指標として活用。

 北海道開発局と沖縄総合事務局を含む全地方整備局に快適トイレの考え方やマークの扱い方を周知し、現場への導入を後押しする。

続きはHP

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/米インフラ市場への期待

今月末に文在寅大統領の米国歴訪に同行する経済使節団に韓国建設業界も含まれるのか関心が集まっている。新政府の最大目標が「雇用創出」であるだけに、米国のインフラ市場への進出を通じた雇用創出が緊要だという見方が出てきている。

 大韓商工会議所関係者は16日、本紙のインタビューで、「来週には大統領の米国歴訪に同行する経済使節団の参加企業が明らかになるだろう」としながら、「商工会議所の審議委員会で参加候補企業を選んで、大統領府、産業通商資源部と議論して最終選定する計画だ」と明らかにした。

 大韓商工会議所は、経済使節団の規模が70人程度で構成されるものと予想している。当初計画である30人より2倍以上増えた規模だ。2013年の朴槿恵政権の初めての訪米当時の経済使節団は51人で構成された。

CNEWS、6月19日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/熊本大学、ハノイ市でワークショップ開く

国立土木工学大学(NUCE)と熊本大学は、両校が提携を結んで15年となることを記念し、ハノイ市でワークショップを開催した。

 「持続可能な開発に向けた環境・建築デザイン」をテーマに、両校の研究者が参加して活発な議論が行われた。

 矢野隆熊本大教授はあいさつで、「これまでに多くのNUCEの学生が熊本大学に留学し、修士号や博士号を取得している。

 熊本大の学生も交換留学生としてNUCEで学ぶ機会を得ている。引き続き、学術分野での協力と学生の交流の両方を積極的に進めていきたい」と述べた。

セイ・ズン、6月23日)

2017年6月27日火曜日

【ERI学生デザインコンペ審査員インタビュー・1】今村雅樹氏(建築家、日本大学教授)に聞く「コンペの意義、学生への期待」

 建築確認検査や住宅性能評価などを手がけるERIホールディングスが主催する設計競技「ERI学生デザインコンペ」。2017年度の概要が発表され、今年のテーマが「RULE(ルール)/SPACE(スペース)/HARMONIZE(ハーモナイズ)」に決まった。選考委員は昨年に続き今村雅樹(日本大学)、木下庸子(工学院大学)、谷尻誠(大阪芸術大学)、千葉学(東京大学)、平田晃久(京都大学)、安原幹(東京理科大学)、中澤芳樹(ERIホールディングス)の7氏。

 今回、選考委員に聞いたコンペの特徴や学生へのメッセージをシリーズで紹介します。初回は建築家で日大教授の今村氏。

 ――学生がコンペに挑戦する意義は。

 「昔に比べて学生が参加できるコンペの数も多くなりましたし、研究室の学生には積極的に応募するよう促しています。コンペにはアイデアを募るものと実際に建てるところまで行うものの2種類がありますが、ERI学生デザインコンペのようなアイデアコンペは、案を導き出すまでの頭を鍛えるプロセスに教育的意味があると思います」

 「今村研究室には五原則があるのですが、その一つに「複数のことを並行してできるようになろう」というのがあります。大学の授業や課題、研究室のプロジェクトなどに取り組みながら、学外でこういったコンペに参加して建築をやることが大切です。行ったり来たりしながら物事に向き合うことが建築家への道を形成すると考えています」

 ――ERI学生デザインコンペの特徴を教えて下さい。

 「テーマに特徴があります。ピシッと一つのテーマが設定されるコンペが多いのですが、ERI学生デザインコンペでは、三つのキーワードを挙げています。昨年は「ルール」、「スペース」、「シェアラブル」とし、今年は「ルール」、「スペース」、「ハーモナイズ」の三つです。審査委員長は置かず、6人の審査員がフラットな関係で議論しながら「あうん」の呼吸でテーマを定めました。一人の強い力で物事を決めるのではなく、多様性を持たせるという意味でよいやり方だと思います」

 「建築はフィールドが広く、マクロからミクロまで視点もさまざまですが、このコンペのテーマは社会や都市の空間構築に寄っているように思います。昨年、最終選考に進んだのは大学院生が多かったことを考えると、建築を学び始めて日が浅い学生には都市を俯瞰的に見たり、アイレベルで見たりといったチャンネルの切り替えが難しいこともあり、ほかのコンペに比べると少しレベルが高いかもしれませんね」
 
 ――昨年の審査で印象に残った点は。

 「机上の空論であってもよいアイデアコンペだとは言え、あまりに空想的な話は高い評価を得られません。『こういうことがあるとおもしろいね』と感じられるような、街がよくなることを予感させるリアリティーが見え隠れするものが残りました」

 「審査員6人のそれぞれ違うリアリティーが感じられる作品が最終選考に進み、結果的に多様な提案がならびました。さらに、わたしが感じたリアリティーが本当に学生の意図と合致しているかどうか、プレゼンテーションや質疑応答で確認できるのがおもしろい。予想と違ってがっかりすることもあれば、『こういうことなのか』と新たな発見をすることもあり興味深いです」

 「首都圏の大学からの応募が多い中、崇城大(熊本県)大学院生の作品『風の便り』が印象に残っています。よく知らない土地ですから、『こんな街があるのか』という思いがあり、こんな仕掛けを起爆剤に街が変わりそうだと期待させられる提案でした。東京では都市空間が均質なものに変わりつつあると感じているため、地方の学生がどのように自分たちの街をとらえ、オリジナルのアイデアで活性化させていくか、新鮮な気持ちで見ていました。審査員もみんな熱意を持ってやっています。それぞれの土地を読み解き、地方の抱えている問題を建築的、空間的アイデアで解決を目指す提案が全国からあるとうれしく思います」

 ――学生への期待をお願いします。

 「大学で教えていて感じることは、みんな心優しいのですが、積極的に前に出る学生は少ないということです。でも、いい意味で自我を出さないと世界と戦えません。また考え方が似通った学生も多く、オリジナリティーはどこにあるか、常に問いかけるようにしています。わたしは『建築家教育』を指導方針に掲げていますが、その学生が目指す『建築家像』が、わたしたちの世代が丹下健三や前川國夫といった建築家をモデルにしていた時代と大きく違ってきたと感じます」

「学生の多くが組織に所属する建築家になり、世の中の建築の9割を作るマジョリティーになります。それでも、大学の授業やコンペへの挑戦で培ったオリジナリティーを追求する精神を忘れないでほしい。そんな学生がマジョリティーの建築家になってくれれば、日本はよい社会になると期待が持てますね」

 「熊本県医師会館の設計を手がけ、6月に竣工しました。坂倉準三が設計した建物を建て替えるプロジェクトです。今、こういった戦後モダニズムの名建築が次々に解体され、危機にひんしています。フランスなどでは財団が建築を管理していますが、日本では個別のオーナーに任せられており、建築を文化として守り続ける社会システムが生まれにくいように思います」

「こういった事態を建築の専門家ではない一般の人はどう考えているのか、個人的にとても興味があります。新国立競技場の建て替えが問題になったときも、マジョリティーの人たちからコストなどへの否定的なコメントはありましたが、建築に対する文化的な目線での発言があまり聞かれませんでした。若い世代のマジョリティーの建築家には、建築を議論できる土壌を日本に作っていってほしいと思います」。





ERI学生デザインコンペ2017

【主  催】ERIホールディングス
【協  賛】日本ERI、ERIソリューション、ERIアカデミー、
      東京建築検査機構、イーピーエーシステム

【特別協賛】日刊建設工業新聞社

【応募受付】2017年9月1~20日

【一次選考】2017年10月上旬

【最終選考】2017年11月11日(土、公開審査)

【賞  金】最優秀作品賞(1点)50万円、優秀作品賞(1点)25万円
      佳作(数点)5万円、特別賞

応募資格・方法など詳細はウェブサイト

【回転窓】「奇策」のとばっちり

地方の中学校で社会科の先生をしている友人に話を聞いた。毎朝7時前には出勤し、顧問を務める剣道部の朝練習の指導、放課後はまた部活、生徒の生活指導に保護者対応、会議に書類作り、翌日の授業の準備…と深夜の帰宅もしばしば。同僚の多くも同じという▼建設業をしのぐ長時間労働が問題化している学校の先生の典型である。それでも「まだまだ現場で頑張りたい」と学生時代と変わらぬ笑顔を見せる▼「子どもとしっかり向き合いたい」「良いものを造りたい」。学校も建設現場も、こうした職業的良心を持つ人たちの努力に支えられているのだろう。彼らが倒れてしまわぬうちに手を打つ必要がある▼と考えていたら、思わぬニュースを目にした。〈夏休み最短10日間〉。静岡県吉田町が来年度から小中学校の夏休みを最短10日間にする方針を決めたそうだ。授業日を増やすことで、先生の1日の労働時間を減らすのが目的という▼学校にわざわざ冷房を取り付けて授業をするらしいが、そもそも先生の時短は部活の負担や雑務の軽減が本筋では。「奇策」のとばっちりをくう子どもたちも気の毒というほかない。

【外観は格子戸モチーフ】大阪府高槻市、新文化施設の基本設計概要公表

 大阪府高槻市は「高槻市新文化施設」の基本設計の概要を公表した。配置計画では計画地・高槻城跡地の現代的な再生を表現し、公園やまちに開かれた施設とする。

 建築計画では入り口を入るとすぐに大ホールや小ホールなどの主要機能を一望できるように配置し発見や交流を促す。

 建築と公園が一つの風景としてつながるイベント広場も設ける。外観は日建設計が提案した高槻の格子戸をモチーフにした縦ルーバーを採用。19年度の着工を目指す。

 新文化施設は地下2階地上2階建て。大ホール(約1500席、車いす席含む)は市民利用やプロの公演など多彩な用途などに対応できる機能を備えた高機能ホールで、プロセニアム形式を採用。オーケストラピットは組み立て式とする。

 小ホール(約220席、車いす席含む)は市民の文化芸術活動の創造・発表や比較的規模の小さな音楽公演や舞台公演、集会などに利用できる空間。ここもプロセニアム形式で計画。スタジオも11室(大2室、中3室、小6室)配置する。

 新施設は野見町の城跡公園(高槻城跡)に計画。延べ床面積は約1万7300平方メートルと想定。基本計画では大ホール(約6000平方メートル)や小ホール(約1700平方メートル)のほか練習室やスタジオなどを配置する創造・交流部門(約2100平方メートル)や共有部門(約800平方メートル)、管理部門(約1400平方メートル)を設けるとしていた。現在の市民会館(野見町2の33)が開館から50年が経過し老朽化していることから、新文化施設として建て替えることになった。新施設は22年度の開館を予定している。

【19年度内の完成めざす】広島県福山市、総合体育館建設4件入札公告

広島県福山市は「(仮称)福山市総合体育館」の関連工事で4件の一般競争入札を公示した。いずれも7月26~27日に入札書、技術資料を受け付け、同28日に開札する。規模はSRC一部S造2階建て延べ1万6618平方メートル。場所は千代田町1。工期19年12月27日。設計は梓設計・今川建築設計JVが担当した。

 予定価格は、建築が69億1994万8000円、電気設備が10億6433万7000円、空気調和設備が7億6626万2000円、給排水衛生設備が5億6535万7000円。

 参加できるのは4件とも3者JV。建築は、建築一式工事で認定されていること、代表者は等級Aで経営事項審査の総合評定値が1020点以上、代表者以外の第1構成員は等級AまたはBの市内業者で総合評定値700点以上、第2構成員は等級Bの市内業者で総合評定値700点以上1020点未満など。

 電気設備は、電気工事で認定されていること、代表者は等級Aで総合評定値が930点以上、代表者以外の第1構成員は等級Aまたは等級Bの市内業者で総合評定値700点以上、第2構成員は等級Bの市内業者で総合評定値700点以上930点未満など。

 空気調和設備と給排水衛生設備は、いずれも管工事で認定され、代表者は等級Aで総合評定値が940点以上、代表者以外の第1構成員は、等級AまたはBの市内業者で総合評定値650点以上、第2構成員は、等級Bの市内業者で総合評定値650点以上940点未満など。

【代表は和田匡平選手】福岡県鉄筋事業協組、福岡市で技能大会予選開く

代表に選ばれた和田選手(中央)ら大会参加選手
福岡県鉄筋事業協同組合(宮村博良理事長)は25日、福岡市東区の福岡人材開発センターで全国鉄筋技能大会(TETSU-1 GRAND PRIX)の福岡県予選大会を開いた。会員企業の鉄筋工7人が参加し技能を競い合い、福岡県代表に和田匡平選手(宮村鉄筋工業)が選ばれた。同氏は11月に千葉市で開催される全国鉄筋工事業協会主催の第2回全国鉄筋技能大会に出場する。

 予選大会では1時間40分の規定時間内に鉄筋の基礎・柱・梁組み立ての早さと正確さを競った。大会では宮村理事長が「日頃の技術・技能・経験を十二分に発揮してください」とあいさつ。代表に選ばれた和田選手は「福岡の代表として優勝を目指して頑張りたい」と意気込みを語った。

【記者手帖】梅雨時の水不足に考える

全国的に梅雨入りし、地域によっては豪雨による洪水や土砂災害が発生している。近年は過去に例のない量の雨が短時間に降り、各地で思いもよらない被害が人々の安住を奪っている◆一方、四国では4月には例年以上の降雨があったものの、5月以降、そして梅雨入り後もまとまった雨が降っていない。四国の水がめと呼ばれる早明浦ダム(高知県)の貯水率は50%台となり、取水制限が行われるなど水不足の状況になっている◆瀬戸内側の香川県では、気候や地形の関係で毎年のように渇水被害が発生。1973年には6月の降水量が83mmしかなく、60日以上も給水制限が行われ、「高松砂漠」と言われた。自衛隊などの給水車に市民が列を作る様子がテレビで報じられたのを今も覚えている◆その翌年に早明浦ダムを水源とする香川用水が完成し、水不足は大きく改善された。しかし、完全に解消されたわけではない。94年にも県内のほぼ全域で断水となるなど被害は発生している。地道なダムの建設や再開発に加え、普段から水のありがたさを感じて大切に使う心掛けがまだまだ必要だろう。(宮)

2017年6月26日月曜日

【スポーツを〝地域資源に〟】日本政策投資銀行・桂田隆行氏に聞く「スポーツ施設づくりのポイントは?」

 全国各地で健康増進・スポーツ施設の整備への機運が高まっている。それぞれの地域で、地方創生や高齢化社会の課題解決、コミュニティー形成などへの対応を求められる中、健康増進・スポーツ施設は地域の交流拠点として大きなポテンシャルを秘めている。

 地域の内外からさまざまな人々が集えるような魅力ある施設づくりが最近のトレンドだ。地域に愛される施設づくりのポイントは何か。日本政策投資銀行地域企画部の桂田隆行参事役に聞いた。

 日本政策投資銀行は多機能複合型交流施設「スマート・ベニュー2801R3301」というコンセプトを打ち出しています。

 「地域の街づくりの拠点としてスタジアム・アリーナなどのスポーツ施設を生かそうという発想です。とりわけ地方に言えることですが、従来のスポーツ施設は一般的に街の郊外部に整備されることが多く、観光振興やコミュニティー形成、健康づくりといった街を形作る他の観点との連動が考慮されていませんでした。スポーツ施設を市街地活性化のツールとして機能させるためには、『まちなか』に立地し、『収益性』を意識した施設として整備しなければいけません。そういった施設を『スマート・ベニュー』と呼ぶことにしました」

 「スマート・ベニューは、スポーツだけで使われる訳ではありません。地域のイベントやお祭り、コンサート、展示会などに利用できる多機能性を追求していく必要があります。さらに複合化という意味では、その施設の周辺域にショッピングや飲食、公共施設などが一緒に設けられることで利便性が高まり、イベントが開かれない時でも集客を見込めるようになります」

 スマート・ベニューを具現化するため、どんなことに注意すべきですか。

 「我々が提案しているのは、あくまでもスポーツを地域の交流拠点づくりのツール、コンテンツの一つと捉えるということです。何もスタジアム・アリーナに限らずとも、スポーツによる地域活性化の方法はさまざまです。スタジアム・アリーナの整備を前面に押し出した計画の進め方では、地域での協議が紛糾してしまうことも考えられます。都心には都心、地方には地方にふさわしい施設があります。スポーツというツール、コンテンツを、地域の実情に応じて活用してほしいと訴えています」

 「施設整備に関する地域の協議会や勉強会に出席する際には、『スポーツの自己主張のための施設は正しいのでしょうか』という問い掛けをするようにしています。スポーツを『する』『みる』『ささえる』それぞれのための施設であることはもちろんですが、それ以外の人々が訪れることができる拠点でもあるべきです。周辺域のエリアマネジメントも一つのポイントです。さまざまな人が訪れるきっかけをつかめて、喜ばれるような施設であってほしいのです」

 多様な機能を入れることで中途半端な施設になってしまうとの指摘もあるようです。

 「地域の交流拠点づくりという観点に立った場合、専門性が際立った施設で果たして良いのでしょうか。時間は掛かるかもしれませんが、地域のさまざまな人たちの意見を聞きながらプロジェクトを進めていかなければなりません。そうした意味で最初の段階のコンセプトづくりが大切です。『何のための施設なのか』という出発点に立ち返りながら、地域で納得して施設づくりを進めることが肝心です」

 政府主導でスポーツ施設を「稼げる施設」に変革するための取り組みも行われています。

 「スマート・ベニューでイメージしているのは、地域の拠点となって地域全体を盛り立てていく施設です。必ずしも施設だけがもうかるべきだとは思いません。地域全体で稼げる施設にはなってほしいと考えています。だからこそ最初のコンセプトが大事なのです。その施設の地域での意義を、地域の皆さんがしっかり納得できれば、地域で負担しながら施設を運営・維持していけるような形をつくれるのではないでしょうか」

 このところ全国各地でスポーツ施設の整備計画がめじろ押しです。

 「まだ検討を始めて1、2年に過ぎない施設計画がたくさんあるのが現状です。スマート・ベニューの実現に向けた全国的な動きは進み始めたばかりです。いずれにしても、施設のコンセプトの方向性を間違えてしまうと、地域の人々から愛される施設にならない可能性があります。例えば、プロ野球球団の広島カープは、なぜ広島市民から愛されているのでしょうか。その野球スタイルも理由の一つでしょうが、広島カープという存在を市民の代表だと思う感覚が浸透しているからではないでしょうか。施設整備を進める側から、スポーツのための情報発信だけでなく、もっと広く文化醸成のためのメッセージを届ける必要があります。地域の人々にスポーツを『地域資源』と感じてもらうことが大切なのです」。

 □全国の「まちなか」で施設整備プロジェクトが進展中□
後楽園球場の開業は約80年前。
東京ドームシティは機能拡張で成長を続けてきた
スポーツ施設を核とした街づくりの成功事例として、桂田氏が真っ先に挙げるのが「東京ドームシティ」(東京都文京区)だ。日本初のドーム型スタジアム「東京ドーム」を中心に、多目的ホール「後楽園ホール」、ホテル、遊園地、温浴施設、ショッピングモール、レストラン街などで構成する一大レジャー拠点をつくり出し、スポーツ観戦以外の来場者の誘致にも成功した。

 地方での事例としては、市庁舎やアリーナなどの複合施設「アオーレ長岡」(新潟県長岡市)を高く評価する。JR長岡駅の至近地に、さまざまな市民交流機能を盛り込んだ施設だ。JR小倉駅近くで今年3月にグランドオープンしたサッカースタジアム「ミクニワールドスタジアム北九州」(北九州市小倉北区)には、周辺施設との相乗効果による市街地活性化に大きな期待をかける。

 同じく3月にオープンした「01THE BAYS」(横浜市中区)は、横浜01DeNAベイスターズが横浜スタジアムに隣接する国有建物を借り受けて整備したユニークな施設だ。新産業創出プラットフォームと銘打ち、フィットネススタジオやカフェに加え、クリエーターやクリエーティブ企業が入居するシェアオフィスを配置。球団と連携し、新たな街づくりや文化創出を目指すという。

 政府は2025年までに大型のスタジアム・アリーナを全国に20カ所整備する方針を示している。こうした後押しを受け、各地で多くの施設整備計画が立ち上がっている。
「桜スタジアムプロジェクト」の完成イメージ
(ⓒ2016桜スタジアム建設募金団体)
現在検討中の施設で桂田氏が期待するプロジェクトに挙げたのが、愛知県豊橋市が豊橋公園内で計画している新アリーナ構想と、サッカースタジアムのキンチョウスタジアム(大阪市東住吉区)の増設・改修計画「桜スタジアムプロジェクト」。前者は中心市街地に近接する「まちなか」施設として2020年代初めごろの建設を目標に検討中。後者は募金を通じて次世代スタジアムの整備を目指すチャレンジングな試みとして注目を集めている。

【工事は16年2月から】新国立競技場、屋根鉄骨工事へ施工検証中

検証で組み立てている大屋根の根元鉄骨
(ⓒ 大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV)
日本スポーツ振興センター(JSC)が進めている新国立競技場(東京都新宿区霞ケ丘町10の1ほか)の整備事業で、設計・施工者の大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVが18年2月に始まる大屋根の鉄骨工事に向け、実寸大の部材を使った施工検証を行っている。品質・安全を確保しながら短工期で竣工させるため、施工計画や作業工程・手順などを事前に確認するのが目的。夏頃までに完了させる。

 新国立競技場の屋根部は108スパンの部材で構成。1スパン(付属設備除く)当たり全長60メートル、幅15メートル、重さ130トンの規模で、「根元鉄骨」と「ユニット鉄骨」で組成する。

 いずれの鉄骨も地組みする。根元鉄骨は競技場外側から300トンクローラークレーンでつり上げてスタンドの地上躯体に固定。ユニット鉄骨は競技場のフィールドに組み立てヤードを設け、14スパン分を同時に組み立てる。作業期間は1スパン当たり9日間を想定。組み終えたユニット鉄骨は、フィールドに設置した1000トンクローラークレーンで揚重し、根元鉄骨の先端に接合する。

 ユニット鉄骨には、下弦材と補強するラチス材の鉄骨に木材を地上ではめ込む方針。屋根下地(野地板)やキャットウオーク、スピーカーや照明機器などの設備も地上で組み込み、高所での作業量を低減する。工期は、根元鉄骨が18年2月初旬~同5月末、ユニット鉄骨が同5月初旬~19年2月末。屋根工事全体では同5月中の完了を目指す。
大屋根鉄骨工事のイメージ
(ⓒ 大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV)
大成建設JVは6月初旬から現場での検証を開始した。屋根部の北東側2スパンを検証のモデル範囲に位置付けた。同範囲は、屋根空洞部内周のカーブの開始地点で、むくりを持つため難工事とされる場所。実際の工事でもこの近辺から施工を進めるという。

 このほか、屋根部材の先端が設置後に自重で50センチ前後下がると見ており、その予測値と実際の変状の値も検証する。

 JSCが23日に開いた定期ブリーフィングで、小林祥二大成建設東京支店新国立競技場整備事業作業所長は「ユニット鉄骨の組み立てヤードは十分な広さがない。その中でいかに効率的にスムーズに施工を進めるかが工程を順守する上で最も重要。事前に検証することで今後の工事にフィードバックしていきたい」と語った。

 新国立競技場の規模はS一部SRC造地下2階地上5階建て延べ19万4000平方メートル。現在は、スタンド全面で地下部の基礎工事が進められており、スタンド西側の一部では床付け工事も進行中だ。19年11月末までの施設の完成・引き渡しを目指している。

【回転窓】2人の若きリーダー

先日、国土交通省主催の建設産業女性活躍推進会議で、就労環境の整備を通じて女性の戦力化を積極的に進める企業のトップから貴重な話を伺えた。三承工業(岐阜市)の西岡徹人社長と由井電気工業(東京都渋谷区)の由井健太郎社長の2人。ともに1970年代生まれの若手経営者だ▼三承工業は企業風土の改善などによって全社員が輝く働きがいのある会社づくりに注力。子どもと一緒に出勤できる独自制度など仕事と家庭の両立を支援している▼由井電気工業は女性が楽しく長く働きたくなるような会社を目指す。社員の要望を取り入れた魅力的なオフィスに改装したり、カジュアルウエアのデザイナーと共同で女性用作業着を開発したりしている▼いずれも形式的でマスコット的な女性配置を一切せず、女性社員が長期的なキャリアを描けるような仕組みづくりを実践。社長自ら意識を改め、社員の仕事への意欲を高める取り組みに力を注ぎ続けている▼両社とも、女性社員の増加・活躍とともに業績も順調に上向いてきた。経営の改善は人の改善。それには「まずは社長の意識変革」という2人の姿が印象深かった。

【サークル】上海フジテック サッカー部

 ◇初出場の大会で優勝、さらに飛躍を◇

 キャプテンを務める周武峰さん(製造一部)の呼び掛けに応じて2015年に発足した上海フジテックサッカー部。設立当初はメンバーも少なく、練習試合もままならなかったが、製造一部を中心に品質管理部や購買部、生産技術部、総務部からメンバーが集まり、現在は約20人で活動する。

 部のモットーは「個々の能力を高め、大会で上位を狙うこと」。本格的に活動を始めたことをきっかけに、会社近くの敷地を利用して練習に汗を流すほか、今年はチームで初となる大会出場も果たした。

 初出場の大会では、順調に決勝まで上り詰め、見事優勝を飾った。周さんは「初出場の大会で優勝できたのは非常にうれしい。これもひとえにチームが一丸となって戦えたから。最後まで応援してくれたチアリーダーも含め、みんなに感謝している」と喜びをかみしめる。

 「大会では、素晴らしいパフォーマンスを発揮できた。これがきっかけとなって、社内にもサッカーに興味のある人が増えてきており、メンバーの拡大につなげたい。そして来年の試合を見据え、さらに練習に力を入れていきたい」とさらに情熱を燃やす。

【建設業の心温まる物語】マツナガ・大野悠也さん(愛知県)

 ◇自分が成長できるかどうかは自分次第◇

 入社2年目の冬の出来事です。私は内勤で働くことが多いのですが、ある現場の竣工が迫っており、工程を間に合わせるために少しでも力を借りたいとのことから、2週間ほど現場に常駐することになりました。

 内勤で働いていた私は現場のことが分からず、図面も読みとれず、なかなか皆さんの役に立つことができません。職方さんから言われるがままに、物を持って支えたり、資材を運んだりして日々を過ごしていました。こんな状態でいいのか、と考えていました。

 そんなある日の夜、上司Aさんが現場にやってきました。そして私の様子をみて変だと思ったのか「大野くん、がんばっているのか?」と声をかけてくれました。私は「現場の現状が何も理解できません。そのため、皆さんの役にも立てず働いている気がしないんです」と打ち明けました。するとAさんは、「分からないことを分からないままにしておくな。自分が成長できるかどうかは他人じゃなく自分次第なのだから。とにかく行動を起こせ」と言っていただけました。

 私は、甘えていた自分に気づき、ハッとしました。それからというもの、私は職方さん達に積極的に質問し、行動するように心掛けました。そうすると、今まで冷たく感じていた職方さんが次第に親しみやすくなってきたのです。また、日に日に成長していく自分を感じることができました。あの時、Aさんの言葉があったから今の私があります。今でも、そしてこれからもあの言葉は忘れられません。