2017年7月3日月曜日

【駆け出しのころ】鹿島取締役常務執行役員財務本部長兼資金部長・内田顕氏

 ◇多くの経験が見方を広げる◇

 中学生の時、学校の映画鑑賞会で見たのが、霞が関ビルの建設を描いた『超高層のあけぼの』です。

 この映画が印象深かったこともあり、高校生の頃は建築設計をやりたいと考えていました。文系に進んだので実現できませんでしたが、鹿島に入社を希望したのは、建築に対する憧れもあったからだと思っています。

 入社して建築本部に配属され、7月からは現場で事務を担当しました。最初の現場は配送センターの建築工事です。現場事務の仕事には資材労務と庶務経理があり、ここでは資材労務を担当しました。所長は厳しい方でしたが、新人の私を大変にかわいがってくれました。事務担当者の目も通して工程管理するという所長の方針の下で、いろいろなことを教えていただきました。

 次に配属されたのは東京ディズニーランドの建設工事で、造成から開園の直前まで担当しました。米国のアミューズメント施設のフィロソフィーも実感でき、大変に貴重な経験となりました。ここでは庶務経理の仕事に携わりましたので、入社から二つの現場で、事務担当者が行う一通りの仕事を経験できたことになります。

 それから秘書の仕事に携わった後、会社経理をやりたいと自ら希望させていただいて主計部に異動します。30歳を過ぎてからの新たなスタートでした。そして1997年7月、シンガポールの現地法人に出向してからは、長年にわたり海外事業に携わることになります。

 会社では若手に「何でも経験してほしい」とよく話しています。例えば5年ほどのスパンでやることが変わったとしても、そうやってキャリアを積んでいくと20年で四つのことができるようになっており、ものの見方も広がります。一つの部署にずっといては分からなかった会社の幅の広さも理解できるでしょう。仕事でなくても継続的に関心を持って見ていけば絶対に役立つ時があり、若い時にこそいろいろなことを経験した方がいいと強く推奨しています。

 自分に投資することも大切です。私は入社2年目、当時は高価でしたが興味のあったマイコンをボーナスをはたいて買ったことがあります。そうやってIT(情報技術)のリテラシーを少しだけ持っていたことが、主計部時代に会計システム更新のプロジェクトチー
ムに入ったり、海外でも会計システムの更新に携わったりした時に役立ちました。

 素敵なレストランやホテルなども自分のお金で利用することで、サービスの質が分かるものです。海外にもぜひチャンスをつかんで行き、見聞を広げてほしいと思っています。

(うちだ・けん)1979年早大政治経済学部経済学科卒、鹿島入社。主計部主計課長、海外事業本部次長、KAJIMA EUROPE出向(President/CEO)、鹿島常務執行役員財務本部副本部長兼資金部長などを経て、17年6月現職。神奈川県出身、61歳。

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