2017年7月31日月曜日

【建設業の心温まる物語】河西建設・伊藤真二さん(山形県)

 ◇受け取らなかったはずの千円札◇

 建設業にたずさわるようになり30年以上になります。これまで数十カ所の現場を完成させてきました。国道48号線の道路拡幅工事をしているときのことでした。現場と隣接する無人くで作業を行っていると、一日数本しか停車しない電車から老夫婦が降りてきて立っていました。

 気になって「どうしましたか」と声をかけてみると「一つ前の駅で降りるつもりが間違えて下車してしまった」とのこと。無人駅なのでタクシーなどいません。私は「次の駅まで、車で乗せていってあげますよ」と話しました。老夫婦は恐縮しながらも笑顔で私の車に乗られ、次の駅に着きました。降りる際に、「これお礼として受け取ってください」と千円渡されましたが、「いえいえけっこうです」と私は受け取りませんでした。

 お二人が何度も頭を下げる様子を見送りながら現場に戻りました。ふと、後部座席を見るとそこには、受け取らなかったはずの千円札が置いてありました。私は当たり前のことをしただけなのにと思いながら、お役に立てた喜びを感じました。

 また別の日には、タイヤがパンクして交換できない人を助けたり、側溝にタイヤを落として動けない車を助けたり、といろいろ人助けをしてきました。山形にはまだ整備されていない道路が多いため、そんなときは私たち建設会社の出番だと思っています。住みよい山形を作るためにこれからもがんばろうと思います。

0 コメント :

コメントを投稿