2017年8月8日火曜日

【回転窓】敗者を思いやる

 このところ、テレビでスポーツの試合を見ていて気になることがある。勝ったり点を入れたりした時の選手の喜び方、その感情表現の仕方が尋常でないことである▼得点を奪った、ホームランを打ったとなれば派手なガッツポーズに雄たけび。優勝すると全員が人さし指を天に突き上げて小躍り。一昔前まではあまり見なかった光景ではないか。今、勝っても負けても無表情は大相撲ぐらいだろうか▼王貞治さんが早実時代、ホームランを放ってグラウンドで小躍りして喜んでいるのを、兄の鉄城さんが「打たれた相手のことも考えろ」と厳しくたしなめたという話はよく知られる。王さんに限らず、かつては力のある選手ほど勝っても謙虚、喜び方も控えめではなかったかと記憶するがどうだろう▼勝負の世界は非情。優勝者以外は全員が敗者になる。だからこそ、負けた相手の気持ちを思いやる配慮が求められる。プロもアマもそこに違いはない▼夏の甲子園が始まる。各地の厳しい予選を勝ち抜いたエリート選手が集まる。日本学生野球憲章には、学生野球は「教育活動の一環」と書いてある。指導者の姿勢も問われよう。


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