2017年11月14日火曜日

【駆け出しのころ】長谷工コーポレーション常務執行役員・古泉正人氏

 ◇興味を持てば好きになれる◇

 建築に興味を持ったのは高校生の頃で、超高層ビルの火災を描いたハリウッド映画『タワーリング・インフェルノ』を見たのがきっかけでした。本来なら消防隊による救出劇が見どころの映画だと思うのですが、私の感想は「超高層ビルはすごい」でした。この時の印象が違っていたら、建築技術者ではなく消防士を志していたかもしれません。

 入社して最初に配属された現場は兵庫県内のマンション工事です。現在でもそうですが、会社ではそれぞれの職場に配属された新入社員を定期的に集めてグループ研修を行っています。平日は現場内の事務所兼宿舎に寝泊まりしながら仕事をしていたので、仮囲いの中からほとんど出ることのない生活で、現場を離れて研修会に行くのが待ち遠しくて仕方がありませんでした。

 研修は午後5時には終わるのですが、現場にすぐ電話すると「帰ってこい」となるので、6時ぐらいになるまで待って連絡を入れ、「帰っていい」と言われてから皆で居酒屋に行って楽しく話したのもいい思い出になっています。同期のコミュニケーションを深めることも一つの目的とした研修制度だったのかもしれません。

 入社5年目に担当した現場では、所長から「職人さんをもうけさせるのではなく、もうけてもらうにはどうしたらいいかを考えろ」と繰り返し厳しく言われました。どれだけ自分たちがしっかり段取りや指示を行うのか。そして大事なのは過程ではなく、結果が全てとの教えでした。

 三十半ばの頃、兼任所長の下、一人で施工管理するという現場に配属になりました。頼りない監督を何とか支えてやろうと思ってくれたのか、当社の協力会社の人たちには最大限の協力を頂き、無事に工期通り完成させることができました。このことが自分にとって大きなステップアップになる経験を積むことができたと思っています。

 若い人たちは、真面目に一生懸命仕事をしていますが、加えて良い意味でのプレッシャーとやりがいを感じながら仕事に当たってほしいと思います。きめ細かく研修を行ったとしても、やはり実際に経験しないと身には付きません。そうした環境をつくるのも私たちの役割です。

 いつの時代も「今の若い世代は…」と言われるものです。それは各時代ごとの背景や考え方の違いがあり仕方のないことかもしれません。私たちの世代も言われたはずです。

 でも、時代が移り変わっても長谷工の仕事の基本は同じであり、それに興味を持ち続けてほしいと思います。何事も興味を持てば好きになれます。

 (関西建設部門施工管理担当、こいずみ・まさひと)1980年福岡大工学部建築学科卒、長谷川工務店(現長谷工コーポレーション)入社。第二施工統括部建設2部長、第一施工統括部長、長谷工リフォーム取締役常務執行役員などを経て、16年4月から現職。愛媛県出身、60歳。

30代前半の頃に研修で訪れた米国で

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