2017年12月27日水曜日

【回顧2017年(1~6月)】スタジアム・アリーナプロジェクト、全国で動き顕在化

 まもなく2017年も幕を閉じようとしている。今年もスタジアムやアリーナの整備では様々な事業が顕在化。新設、改修などで官民の動きは例年以上に活発だった。2019年から国際的な大規模スポーツイベントが相次ぎ開催されることもあり、大会に備えたプロジェクトは本格化。地域活性化やまちづくりの方策として、計画の具体化を目指す取り組みも増えている。本紙に掲載した主なスタジアム、アリーナ関連の記事を紹介する。(カッコ内は新聞掲載日、画像提供元など)


 沖縄県/サッカーJ1規格スタジアム建設/16年度末に基本計画策定

 沖縄県は、サッカーJリーグ1部(J1)規格のスタジアムの建設に向け2016年度末をめどに基本計画を策定する。

 スタジアム以外の機能を複合化することも検討しており、施設の機能や規模、事業手法などと併せて基本計画に盛り込む予定。17年度の補正予算に関連事業費を盛り込み、基本設計に着手する見通しだ。(1月13日)


 さいたま市ら協議会/美園地区都市デザイン方針素案/埼スタ中心に交流拠点づくり

 さいたま市などで構成する「みその都市デザイン協議会」は、さいたま市の美園地区を対象とした「みその都市デザイン方針」の素案をまとめた。サッカー専用の埼玉スタジアムを中心に、にぎわい・交流拠点づくりに取り組むほか、新駅設置に対応して公園内の空間配置を見直す。綾瀬川の護岸や堤防上の遊歩道の整備、環境やエネルギーといった面でモデルとなる住宅街区の形成も進める。主要地区で景観協議の仕組みを取り入れるなどデザインマネジメント体制も構築する。(1月25日)


 香川県/新県立体育館基本計画策定業務(高松市)/石本建築事務所に

 香川県は、1月30日に一般競争入札を開札した「新香川県立体育館基本計画策定業務委託」の落札者を150万円で石本建築事務所に決定した。新体育館は22年開催の全国高校総合体育大会の会場として使用する予定。(2月1日)


 東京都町田市/野津田公園陸上競技場大規模改良/5000席増設、19年度着工へ

 東京都町田市は野津田公園内にあり、Jリーグ・FC町田ゼルビアが本拠地として使用している市立陸上競技場の観戦席を5000席増設する。

 公園を所管する都市づくり部公園緑地課によると、2020年度の工事完了に向け2017年度予算案に関連業務の経費を計上。測量や調査などを行った上で基本設計に入り、2019年度に着工する予定だ。石阪丈一市長が8日の定例記者会見で明らかにした。(2月10日、写真提供:町田市)


 埼玉県/大宮公園など3公園再整備/グランドデザイン検討、17年度に検討委設置

 埼玉県は2017年度、大宮公園(さいたま市大宮区)など3公園(約68ヘクタール)の再整備に向けたグランドデザインの検討に乗りだす。大宮公園と、近接する第二公園、第三公園が対象。造園の専門家や、民間事業者、行政機関などで構成する検討委員会を設置する予定。大宮公園は一部施設の老朽化が進んでおり、今後のあり方について一体的に探っていく。 大宮公園には体育館や小動物園、日本庭園、野球場、水泳競技場、陸上競技場・双輪場、ボート池、サッカー場「NACK5スタジアム大宮」、売店などがある。(2月20日)


 岩手県釜石市/釜石鵜住居復興スタジアム建設/大成建設JVに

 岩手県釜石市は、2019年のラグビー・ワールドカップ日本大会に備えて建設する「釜石鵜住居復興スタジアム(仮称)」の指名競争入札を行った結果、18億5000万円で大成建設・新光建設特定JVに決めた。

 基本・実施設計は梓設計が担当。施設の収容能力は1万5000人以上を確保する計画。施設規模は未定だが、都市公園法の許容建ぺい率が12%のため、建築面積の上限は1万0800平方メートル、建築可能な延べ床面積は18万平方メートルとなる。(3月6日、パースは完成イメージ、提供:釜石市)


 沖縄県沖縄市/多目的アリーナ実施設計/梓設計JVに

 沖縄県沖縄市は、施工予定者が設計を支援するECI(アーリー・コントラクター・インボルブメント)方式を採用する多目的アリーナ施設の実施設計の委託先を選ぶ「(仮称)沖縄市多目的アリーナ施設等整備実施設計業務委託」の公募型プロポーザルで最優秀提案者に梓設計・創建設計事務所・アトリエ海風JVを選定した。契約額は2億0200万円。業務履行期限は12月28日。プロポーザルの参加は1者だった。(3月7日、パースは完成イメージ、提供:沖縄市)


 京都府/京都スタジアム運営権PFI導入可能性調査業務/PwCアドバイザリーに

 京都府は9日、「京都スタジアム(仮称)運営権PFI事業導入可能性調査業務」の委託先を選ぶ公募型プロポーザルで、PwCアドバイザリーを受託候補者とする選定結果を公表した。

 同スタジアムの整備に当たり、収益性向上につながる複合機能化や「公共施設等運営権」制度の導入などに関する検討を行う業務で、今後は同者との協議がまとまり次第、契約を締結する予定だ。(3月10日、パースは完成イメージ、提供:京都府)


 横浜スタジアムら/横浜スタジアム増築・改修/事業費85億円、11月着工へ

 横浜スタジアム(岡村信悟社長)と横浜DeNAベイスターズ(同)は15日、横浜スタジアム(横浜市中区横浜公園)の観客席を6000席増設するなどの改修計画を発表した。

 施設の老朽化と収容人数不足に加え、同スタジアムが2020年東京五輪で野球・ソフトボールのメイン会場となることなどを踏まえた改修事業で、横浜市などとの調整が順調に進めば11月ごろに着工。2020年2月までの完成を目指す。事業費は約85億円。設計・施工は清水建設が担当する予定。(3月17日、パースは完成イメージ、ⓒ 清水建設)


 滋賀県/新県立体育館施設整備基本計画案/延べ1・4万平米、PFI導入

 滋賀県は17日、大津市の県庁で「新県立体育館を核としたスポーツ・健康づくり拠点に向けた施設整備検討懇話会」の第7回会合を開き、「新県立体育館施設整備基本計画(案)」を示した。

 新施設の規模は延べ床面積約1万4000平方メートルで、事業費は約94億円と試算。事業手法にはPFI方式を採用するとしている。本年度内に最終の取りまとめを行い、2017年度から本格的に事業を進めていく方針だ。基本計画等策定業務はみずほ総合研究所が担当した。(3月21日、施設配置案は基本計画より)


 東京都/ラグビーW杯へ東京スタジアム改修(調布市)/照明改良やバリアフリー化検討

 東京都は、2019年に日本で開かれるラグビーワールドカップ(W杯)の開催に備え、競技会場の一つとなる「東京スタジアム」(味の素スタジアム、調布市)を改修する。

 競技用照明の改良や、2020年東京五輪も見据えた施設のバリアフリー化などを検討している。16日の都議会予算特別委員会で都は「今後、詳細な工事内容や施工時期などを盛り込んだ改修整備計画をまとめる」との方針を明らかにした。(3月21日)


 鹿児島市/サッカー等スタジアム整備/検討協議会が初会合、17年度内に提言

 鹿児島市は、サッカーJリーグ3部(J3)に所属する鹿児島ユナイテッドFCのホームスタジアムの整備について検討する「サッカー等スタジアム整備検討協議会」(会長・井上佳朗鹿児島大学特任教授、13人)を設置し、このほど初会合を開いた。今後、スタジアム整備の必要性や施設のコンセプトなどの検討を進め、17年度中に市長に提言する予定だ。(3月30日)


 沖縄県沖縄市/多目的アリーナ施設実施設計技術支援業務/鹿島JVに

 沖縄県沖縄市は、ECI(アーリー・コントラクター・インボルブメント)方式を採用する多目的アリーナ施設の施工予定者を選ぶ「(仮称)沖縄市多目的アリーナ施設等整備実施設計技術支援業務委託」の公募型プロポーザルで鹿島・仲本工業・太田建設・富建JVを選定した。契約額は1270万円。業務履行期限は12月28日。

 建物規模はRC一部S造5階建て延べ約2万6200平方メートル。移動式を含め最大で1万1000人規模の観客席を備えたメインアリーナ、サブアリーナ、トレーニングルームなどを設ける。関連工事も含めた総工費は約159億円(うち本体工事費約136億円)。工期は約27カ月。2020年度の供用を目指す。(3月28日、パースは完成イメージ、提供:沖縄市)



 群馬県高崎市/高崎アリーナ完成/施工は戸田建設、4月1日オープン

 群馬県高崎市が建設を進めてきた新体育館「高崎アリーナ」の完成記念式典が25日に現地で行われた。設計は山下設計、施工は戸田建設が担当した。4月1日にオープンする。

 JR高崎駅から徒歩圏内にある下和田町4の1の18の旧日本製粉高崎工場跡地に建設された。RC・S(一部SRC)造地下1階地上3階建て延べ2万6312平方メートルの規模で、自然光を採り入れるための「のこぎり形状」の屋根が特徴だ。(3月28日)


 政府/スタジアム・アリーナ、25年までに20カ所整備方針/未来投資会議で首相表明

 政府は、2025年までに数千~数万人の観客を収容できる大型のスタジアムやアリーナを全国に20カ所整備する方針を決めた。安倍晋三首相が24日開かれた未来投資会議で表明した。首相は「民間の投資や知恵を呼び込み、(施設の)魅力を高める。地元企業や地方自治体を巻き込んだ取り組みを後押しする」と述べ、法律や予算、税制を総動員して具体化する考えを示した。(3月28日)


 東京都/6競技施設、五輪後の運営計画検討状況公表/命名権や企業広告導入方針

 東京都は29日、2020年東京五輪に備えて建設を進めている新規恒久の競技施設6施設について、五輪後を見据えた施設運営計画の検討状況を明らかにした。

 バレーボール会場となる有明アリーナ以外の5施設は、年間収支がマイナスになると試算。収益向上のため、今後選定する運営事業者から提案を募るとともに、施設のネーミングライツ(命名権)や企業広告などの導入を目指す方針を示した。(3月30日、パースは完成イメージ、提供:東京都)


 秋田県、秋田市/サッカースタジアム建設/17年夏に検討会立ち上げ

 秋田県と秋田市が共同で計画する大規模なサッカースタジアムの建設構想が近く本格的に動きだす。スタジアム整備を公約に掲げる佐竹敬久秋田県知事と穂積志秋田市長が4月の知事選・市長選でそろって再選され、県・市が共同でサッカー場を建設する事業が実現に一歩近づいた。

 県は6月補正予算案に施設整備に向けた検討会の開催経費を計上し、今夏までに市や有識者を交えた会合を立ち上げる。会合の検討結果を踏まえ、県と市は2018年度にも施設の建設場所や規模などを示す基本構想を打ち出す予定だ。(4月26日)


 岩手県釜石市/釜石鵜住居復興スタジアムが起工/ラグビーW杯日本大会に合わせ

 2019年のラグビー・ワールドカップ日本大会に向け、岩手県釜石市は4月27日、「釜石鵜住居復興スタジアム(仮称)」の建設に着工した。設計を梓設計が手掛け、施工を大成建設・新光建設JVが担当する。

 着工式では関係者による鍬入れが行われ、工事完了までの安全を祈願した。建設地は同市鵜住居町18、19地割。東日本大震災で津波被害を受け、かさ上げ工事を行った旧鵜住居小学校・釜石東中学校跡地で、敷地面積は約9万平方メートル。(5月1日)


 スポーツ庁/多機能型・複合型のスタジアム・アリーナ施設整備/モデル事業者募集開始

 スポーツ庁は9日、数千~数万人を収容できる多機能型・複合型のスタジアムやアリーナを官民連携で整備するモデル事業者の募集手続きを始めた。主な対象は地元にプロスポーツチームがある地方自治体や会社などの法人格団体。スポーツ以外のイベントも常時開催できたり、収益施設を併設したりする多機能・複合型の「稼げる」施設の整備を条件に事業計画を作ってもらう。(5月10日)


 堺市/大浜体育館建替PFI入札公告/2021年3月完成めざす

 堺市はPFIを導入する「大浜体育館建替整備運営事業」の事業者を決める総合評価方式一般競争入札を公告した。12月上旬に落札者を決める。新体育館は1971年に完成した現体育館(堺区大浜北町5の7の1)の南側隣接地(堺区大浜北町4の3の50)に計画。総延べ床面積は約1万2500平方メートル。設計・建設期間は約3年を見込み21年3月の完成を目指す。(5月23日)


 栃木県/総合スポーツゾーン新スタジアム(宇都宮市)が起工/施工は鹿島JVら

 栃木県が宇都宮市で計画している「総合スポーツゾーン新スタジアム新築工事」の起工式が29日に現地で開かれ、工事が本格的に始まった。2022年の栃木国体や全国障害者スポーツ大会のメイン会場となる施設。

 工期は2019年9月30日まで。20年度の供用開始を予定している。設計・監理は、久米設計・AIS総合設計・本澤建築設計事務所JVが担当。施工は鹿島・増渕組・渡辺建設・那須土木・磯部建設・浜屋組JVら。(5月30日、提供:栃木県)


 スポーツ庁ら/スタジアム・アリーナ改革ガイドブック作成/工事・運営「稼ぐ」視点で

 スポーツ庁と経済産業省は15日、数千~数万人を収容する多機能・複合型のスタジアムやアリーナの整備促進策として、設計や維持管理のポイントなどをまとめた「スタジアム・アリーナ改革ガイドブック」を作った。2025年までに全国に高収益型のスタジアムやアリーナを20カ所整備する政府目標の達成を後押しする。今後、進ちょく状況などを踏まえ工事や運営のポイントも追加掲載する。(6月16日)


 宮城県/五輪サッカー開催へ準備/宮城スタジアム大規模改修に着手

 宮城県は、2020年に開かれる東京オリンピックのサッカー試合会場となる宮城スタジアムの大規模改修に着手する。工事費20数億円を投入し、五輪競技の開催基準を満たす照明設備や2面の大型ビジョン設置、芝の張り替え、学校体育館と同規模の仮設メディア・センターなどを整備する。

 テロ対策として主要な出入り口周辺に頑丈な囲いも構築する。県は6月補正予算案に芝改修の設計委託費190万円を計上。芝を張り替える工事費1億8100万円の債務負担行為も設定した。議会承認を経て芝の改修設計を委託する。(6月16日、写真はⓒ tokyo2020)

日本ハム/ファイターズ新球場建設構想/スライド式開閉屋根採用、商業・宿泊施設配置

 プロ野球・北海道日本ハムファイターズと親会社の日本ハムは29日、北海道の札幌市か北広島市で建設を検討している新球場について、現段階での施設構想を発表した。

 具体的な規模や総事業費は未定。イメージによると球場はスライド式の開閉屋根を採用し、球場周辺には商業施設や宿泊施設などを配置する。「北海道のシンボルとなる空間」をコンセプトに、球場を核とした国際競争力のあるライブ・エンターテインメント・タウンを目指すとした。(6月30日、パースは完成イメージ、提供:北海道日本ハムファイターズ)

7~12月の動きはこちらから

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