2018年12月28日金曜日

【回転窓】道具を見れば人が分かる

大工道具の世界で名人と謳(うた)われる千代鶴是秀。11歳で道具鍛冶の叔父に入門し、1957年に84歳で亡くなるまでかんなやのみを作り続けた▼棟梁(とうりょう)らはしなやかでありながら、適度な固さを持ち、切れ味が鋭い是秀の道具を「しんなりがたい」と評し、一度は手にしたいと望んだという▼是秀没後の冬のある日、東京の老舗刃物商の非売品のかんなを店員が誤って客に10万円で売ってしまった。大学出の初任給が1万円の頃の話だ。購入者は間組(現安藤ハザマ)の社長。現場を退いても、刃物商に立ち寄っていたのだから、道具への愛着を失っていなかったに違いない▼「道具にこだわれば道具に恥じない仕事をするようになる」とは現場で出会ったベテラン職人の言葉。手道具から電気工具に変わっても、若手には「ものづくりを代表する建設の現場だからこそ、道具を大切にしてほしい」と言い聞かせているそう▼「道具を見れば人が分かる」とも漏らしたベテラン職人の腰に下がった工具は磨き抜かれていた。良いお手本が現場にいる今、若手が道具にこだわり技を磨き抜く努力を怠ってほしくない。

【工期は2023年11月30日まで】リニア名古屋駅中央東工区2(名古屋市中村区)、大成建設JVに

リニア新幹線名古屋駅の施工位置図㊤と工事フロー
JR東海は、リニア中央新幹線(東京・品川~名古屋間)の名古屋側のターミナル駅となる「中央新幹線名古屋駅新設(中央東工区)(2)」工事の施工者を大成建設・ジェイアール東海建設・シーエヌ建設JVに決めた。27日に特命随意契約を結んだ。契約金額は非公表。地中連続壁工・本体柱工を担当し、その後の受け替え工・本体構造物構築工・埋め戻し工は別途発注する。

 リニア新幹線の建設プロジェクトで難工事の一つとされる名古屋駅(名古屋市中村区)は地下に構築する計画。工区・工期を分割して発注し、地上を走行する在来線部と新幹線部の中央東、中央西両工区の仮受け準備工は先行して発注済み。施工は中央東工区をジェイアール東海建設・前田建設・シーエヌ建設JV、中央西工区を大林組・ジェイアール東海建設・前田建設JVがそれぞれ担当している。

 名古屋駅新設工事の対象範囲は東西に伸びた全長約1キロ。うち在来線部の中央東工区の延長が約130メートル、新幹線部の中央西が約90メートルとなる。中央東工区では仮受け準備工に続いて、地中連続壁工・本体柱工などに着手する。工期は2023年11月30日まで。

【野音の改築方針検討へ】日比谷公園再整備でグランドデザイン策定

東京都建設局は、千代田区にある日比谷公園の再整備に向けたグランドデザインをまとめた。

 開園から130年の節目を迎える2033年を見据え、園内全体の将来像や区域別の方向性などを示した。日比谷公園整備計画の検討に入り、バリアフリー化やユニバーサルデザインなどに配慮した具体的な施設整備の内容を固める。

 東京の新たな顔となるセントラルパークに造り替えるため、多様な利用者のニーズに対応する。2020年東京五輪・パラリンピックも意識し、早期の整備着手を目指す。

 誰もが心地よく過ごせる空間となるよう、園内にある段差などの解消を進める。街と公園をつなぐ地下空間やデッキなども整備する。園内の大音楽堂(野音)については、新たな魅力を生み出す改築方針を検討する。利用を停止している日比谷公会堂の改修・活用方針も明確にする。

 整備計画の検討では、公園運営の関係者などと新たにつくる協議会や都民、事業者の意見も踏まえる。

【堤体非越流部のコンクリ打設が完了】八ツ場ダム建設事業(群馬県長野原町)、本体工事が大詰めに

 関東地方整備局が群馬県長野原町で建設中の八ツ場ダム本体工事が大詰めを迎えている。

 ゲート部分を除いた堤体の非越流部は、26日にコンクリート打設が完了し、堤頂まで立ち上がった。施工を担当する清水建設・鉄建建設・IHIインフラシステム異工種JVは同日、非越流部の打設完了を祝う式典を現地で開いた。

 同局八ツ場ダム工事事務所の朝田将所長や同JVの平塚毅統括所長ら現場関係者が出席する中、左岸ダムサイトのコンクリート製造プラントから、最後のコンクリートが運搬され、打設作業が行われた。

 残るゲート部分では、非常用洪水吐き設備の組み立て・据え付け作業を進めている。同局は来秋ころの試験湛水開始を目指している。完成は19年度末を予定している。

 同ダムは堤高116メートル、堤頂長290・8メートル、堤体積約100万立方メートルの重力式コンクリートダム。総貯水量は1億0750万立方メートル。洪水調節や水道・工業用水の確保、発電などさまざまな観点から首都圏を支えるインフラとして機能する。インフラツーリズムも盛んで、秋の紅葉シーズンなどに多数の観光客が現地を訪れている。

2018年12月27日木曜日

【回転窓】観光立国の憂い

年末年始は帰省や旅行などに出掛ける方も多かろう。鉄道や飛行機、自動車などの利用が集中し例年のことながら大変な混雑や渋滞が予想される▼利用者サービスの一環で、交通機関の事業者側が輸送能力増強に向けた投資を行えばいいかと言えば、ことはそれほど簡単に進まない。一時的に急増した旅客数が元に戻れば採算性が低下し、過剰投資が事業継続に重くのし掛かる▼インバウンド(訪日外国人旅行者)が急増する地方などの観光地では「オーバーツーリズム」が問題になりつつある。過剰な混雑が観光施設の受け入れ能力を超過するだけでなく、渋滞悪化やごみの増大など、地域住民の日常生活にも悪影響を及ぼす事態が起こっているという▼インフラ分野でもトイレ増設に伴う下水道整備や道路の拡幅・拡充などでコストが膨らむ。観光客の増加で地域が得られる利益以上に負担や損失が大きくなっては、国策のインバウンド戦略も本末転倒だ▼来年以降、ラグビーワールドカップや東京五輪、大阪万博など、世界各国から人々が集まるイベントがめじろ押し。オーバーツーリズムへの早急な対応が必要ではないか。

【山岳トンネル工事の生産性向上狙う】大林組ら、山岳トンネル向けコンクリ吹付マシン開発

 大林組は26日、古河ロックドリル(東京都中央区、三村清仁社長)と共同で、山岳トンネル工事向けのコンクリート吹き付け機を開発したと発表した。

 アームの旋回に対応して、アーム自体が自動で伸び縮みするようにした。先端のノズルを常に最適な軌道に保てるため、作業効率が高まる。短時間で操作方法を習得でき、熟練オペレーター不足の解消につながると期待している。

 山岳トンネル工事では、1回の掘削ごとに露出する奥行き1メートル程度のアーチ型の岩盤面にコンクリートを吹き付けて支保部材としている。アームの伸縮動作を自動化した新型吹き付け機は、アームの旋回などに伴い先端部で弧を描くように動こうとするノズルに対し、アームが自動で伸縮する。これによって、ノズルを切羽鏡面から一定の距離にある「仮想の平面上」に保ち続けることができる。

 仕上がり面の平滑性など施工品質が向上する。壁面に付着せずに落下するコンクリート(リバウンド)を減らせるため、材料コストを抑制できる。粉じん発生量を減らし、坑内環境を改善する。

 従来の吹き付け機は、ノズルを正しい位置から外れないように、素早く手動でアームを伸縮させながら吹き付ける高度な熟練技能が必要だった。今後、トンネル現場で有効性を確認した後、大林組が施工する山岳トンネル工事に積極的に導入していく。

【地域の子どもたちにプレゼント】大豊建設、都内工事現場周辺でクリスマスイベント開く

大豊建設は25日、東京都葛飾区で施工中の「中川護岸耐震補強工事(その34)」の現場周辺でクリスマスイベントを実施した。社員などがサンタクロースなどに変装し沿道の清掃活動を行ったほか、地域の子どもたちと交流しながらプレゼントを渡した。夜はイルミネーションを現場周辺に設置し、道行く人たちの注目を集めた。

 現場を統括する三好浩司作業所長は「地域の方々の工事に対するご理解とご協力のおかげでこれまで工事が順調に進んできた」と強調。その上で「何か恩返しができないか考え、クリスマスイベントを企画した。ほんの小さな活動だが、地域や家庭の話題になって少しでも建設業のイメージが良くなれば幸いだ」と話す。

 思わぬサプライズを受けた地域住民からは「工事現場の人がこのようなことをすると思わないのでびっくりした」「プレゼントまで用意してくれてうれしかった」「地域の清掃活動だけでも感心できるが、クリスマスを演出するとは良いアイデア」など、多くの喜びの声が上がった。

【収容3万人、全席覆う屋根設置】瑞穂陸上競技場改築計画、概算事業費610億円

 ◇2026年アジア大会までに整備◇

 名古屋市教育委員会は25日、瑞穂陸上競技場の改築計画を発表した。現競技場を取り壊し、2026年のアジア競技大会のメイン会場にふさわしい新スタジアムを建設する。客席の収容人数を現在の2万7000人から3万人に増やす。

 整備に当たっては、PFI方式を導入する。19年度に事業者選定手続きに入る。21年度に設計と既存施設取り壊しに着手、23年度から建設に入り、25年度内の完成を目指す。総事業費は約610億円を見込んでいる。

 瑞穂区山下通の瑞穂運動公園内にある陸上競技場は、県内唯一の第1種公認陸上競技場。Jリーグ「名古屋グランパスエイト」のホームグラウンドにもなっている。1941年の完成後に何度か改修されてきたが、老朽化や国際大会などでの設備不足が目立つため、全面的に建て直されることになった。

 計画によると、新競技場のスタンドは、2層構造(南側のみ1層構造)とし、全周を高さ31メートルの屋根で覆う。アジア競技大会時にはフィールド内に約5000席分の仮設席を設け、最大3万5000人を収容する。トラックは400メートル×9レーン、ピッチは天然芝で108メートル×71メートル。

 競技場への出入りについては選手、観客、VIPの動線を分離するため、デッキを整備する。バリアフリー対応では、「Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン」に準拠する。

 事業は、民間事業者が設計、建設と既存施設解体を行い、市に所有権を引き渡した後、周辺の瑞穂公園内施設も含めて維持管理・運営するBTO方式を採用する。陸上競技場の維持管理・運営期間は2026~40年の15年間、その他施設は18年間。VFM(バリュー・フォー・マネー)は5・74%と試算している。民間活力導入可能性調査はパシフィックコンサルタンツが担当した。

2018年12月26日水曜日

【回転窓】学校給食130年に思う

年末年始の休みに帰省し、久しぶりに同級生らと会うのを楽しみにしている方もおられよう。すぐに共通の思い出話に花を咲かせられるのも旧友のありがたさである▼以前に小中学生時代の給食の話で盛り上がったことがある。当時はお世辞にも「おいしい」と言えるメニューではなかったが、とりとめのない話をしながら笑い合える貴重なひと時であった。今も学校生活で楽しい時間のはず。そう思っていたが、中には給食でのことが原因で体調を崩す児童らもいるという▼昨年発足した日本会食恐怖症克服支援協会には、教員に給食を残さず食べるよう指導され、不登校や体調不良になったなどの相談が17年5月~18年9月に延べ1000人以上から寄せられた(時事)▼個々の指導内容は分からないが、子供の心にストレスを与えるほどの行き過ぎた完食指導であれば問題だ。この団体は「給食は本来、楽しく食べて、食事の大切さを学ぶ場。強制は絶対にやめて」と訴える(同)▼日本の学校給食は明治時代に山形県内の私立小学校で始まり、来年に130年を迎える。時代が変遷しても皆に楽しい給食であってほしい。

【施工は戸田建設、19年12月完成へ】日本代表新拠点(千葉市美浜区)、名称は「JFA夢フィールド」

会見で記念撮影の応じた
(左から)元日本代表キャプテンの長谷部誠選手、田嶋会長、森保監督
日本サッカー協会(JFA、田嶋幸三会長)は千葉市美浜区に建設しているサッカー拠点施設の名称を「JFA夢フィールド」に決めた。25日に東京都内で開いた会見で、田嶋会長は「日本代表が活動するためのトレーニング施設であり、情報を集約・発信する拠点となる。世界に挑戦するために必要な施設だ」と語った。サッカー日本代表の森保一監督は「ファンなどとのコミュニケーションの場であり、素晴らしい立地にある」と述べた。

 建設地は美浜1の1(敷地面積12万3518平方メートル)の一部。建物規模はクラブハウス棟=S造2階建て延べ4319平方メートル、フットサルアリーナ=RC一部骨組膜構造平屋1581平方メートルなど。設計監理は三菱地所設計・戸田建設JV、施工は戸田建設、CM(コンストラクションマネジメント)は山下PMC・オオバJVが担当。19年12月の完成を予定している。

【天然芝フィールドが屋根に】福島商議所らつくる会、福島市にサッカースタジアムの建設提案

天然芝フィールド上昇時の完成イメージ
福島市の経済団体やサッカーJ3の福島ユナイテッドFCを運営するAC福島ユナイテッドなどでつくる「福島市にサッカースタジアムをつくる会」(会長・渡邊博美福島商工会議所会頭)は21日、福島市街地などへの立地を想定した総合スポーツスタジアムの建設を提案した。

 天然芝のフィールドが上昇して屋根になる世界でも例を見ないスタジアムで、同会では国内外に広く周知し、実現に向けた機運を高めたいとしている。設計は東畑建築事務所が担当。

 スタジアムは中心市街地の活性化につながる「福島街なか集客交流施設」と位置付けた。サッカーをはじめ、全天候型の施設としてコンサートや展示会などに対応するコンベンション機能を持ち、冬季は各種スポーツの練習場としても利用できる。会議室や商業施設も備えることで稼働率の高い総合スポーツ拠点を目指す。

 具体的な整備計画は決まっていないが、立地場所は福島市街地や鉄道駅の近くを想定。規模はRC・S造地下1階地上6階建て延べ約4万8000平方メートル。J1の基準を満たす1万5000人を収容し、フィールド(アリーナ)の面積は9360平方メートル(117メートル×80メートル)。
天然芝フィールド下降時の完成イメージ
固定屋根上部のウインチを巻き上げてピッチを約30メートル上昇させることでフィールド部分をアリーナとして利用できる。

 今後、官民連携協議会の設置や事業可能性の調査を進める。事業主体や運営主体、運営収支などについても検討する。同会は国際試合を開催できるスタジアムを整備しようと、15年に設立した。

【20年度着工へ来年度から実施設計】ジブリパーク(愛知県長久手市)、大芝生広場中心に5エリア配置

ジブリパーク「大倉庫エリア」のイメージ
(提供:スタジオジブリ)
愛知県は、スタジオジブリのアニメ作品の世界を展開する「ジブリパーク」について、整備概要を発表した。愛・地球博公園(長久手市)にある大芝生広場を取り囲むように5エリアを配置する。デザイン監修を同社、基本設計を日本設計が担当、本年度中にまとめる。19年度から実施設計に入り、20年度に着工する。5エリアのうち「青春の丘」「ジブリの大倉庫」「どんどこ森エリア」の3エリアを22年秋に開業、残る「もののけの里エリア」「魔女の谷エリア」は約1年後のオープンを目指す。

 計画によると、「青春の丘エリア」になるのは、現在のエレベーター棟周辺約7500平方メートル。同棟を19世紀末の空想科学的要素を取り入れた建物に改修。映画「耳をすませば」に登場する「地球屋」を再現した施設やロータリーのある広場も整備する。

 「ジブリの大倉庫エリア」は、温水プール跡地に整備される。約60メートル×70メートルの建物内に和洋折衷の建築空間を配置する。「どんどこ森エリア」は、既存の「サツキとメイの家」の周辺約2万平方メートルが対象。受付棟を改修するほか、裏山の遊歩道をトトロの森をイメージさせるよう再整備する。

 「もののけの里エリア」の対象地は、体験学習向けの果樹園や田として使われている「あいちサトラボ」内の未供用エリア約5400平方メートル。映画「もののけ姫」をイメージした「タタラ場」は体験学習施設となる。そのほか、炭焼き小屋や休憩所などを設置する。

 「魔女の谷エリア」は大芝生広場東側の未利用地約2万7000平方メートル。北ヨーロッパ風の空間として映画「ハウル動くの城」「魔女の宅急便」をイメージしたエリアとする。

2018年12月25日火曜日

【回転窓】備えの総点検を

地名にはその土地に起きた災害の歴史や特徴を現在に伝えるメッセージが隠されている。「浅」「深」「田」「谷」などの付く地名は海岸線や川の近く、低地、湿地帯などを表し、過去に津波や台風、豪雨などが発生したと考えられる▼地名から災害の記憶をたどるだけでなく、土地の成り立ちからも身の回りの自然災害リスクを知ることができる。例えば、周囲が浸食により削られ周囲より高い「台地・段丘」は河川氾濫のリスクはほとんどないが、河川との高低差が小さい土地は注意が必要だ▼土地の成り立ちを簡単に確認できるよう、国土交通省などがハザードマップポータルサイトの「重ねるハザードマップ」に地形分類図の表示機能を搭載した。身近な土地が台地・段丘だったのか、あるいは谷底平野や旧河道だったのかを知ることができる▼地名の由来に関心を持ち、土地の成り立ちを調べることは、地域の歴史や過去の災害に向き合い、災害対策の優先順位を考える大きなヒントになるだろう▼今年頻発した自然災害を通じて、事前の備えの大切さを改めて痛感させられた。これまでの備えの総点検に当たりたい。

【先頭車両の空気抵抗低減】リニア新幹線、JR東海が改良型試験車製作へ

 JR東海は、リニア中央新幹線で導入する営業車両の仕様策定に向け改良型試験車を製作する。

 山梨リニア実験線で走行試験しているL0系車両に比べて、先頭形状の最適化によって先頭部の空気抵抗を約13%下げ、消費電力や車外騒音の低減を図る。改良型車両では室内の快適性などもさらに高めていく。

 改良型では営業車両の仕様である誘導集電方式を全面的に採用。ガスタービン発電装置を搭載する必要がなくなり、L0系の走行試験で得られた結果なども踏まえ、先頭部はより丸みを帯び、凹凸を際だたせたデザインとする。

 前照灯と前方視認用カメラの位置を上方に変更し、前方の視認性を向上させる。カラーリングについては、青の流線デザインで「深化し続ける躍動感と新しい先頭形状での滑らかな空気の流れ」を表現している。

 改良型試験車は先頭車1両を日立製作所が製造。中間車1両は日本車両製造が担当し、20年春に完成する予定。既存のL0系車両と組み合わせながら走行試験を行う。

【最優秀賞に登坂茂さんの「静寂の千桜橋」】建コン協東北、社会インフラ写真コンテストの受賞者決定

 建設コンサルタンツ協会(建コン協)東北支部(菅原稔郎支部長)は、創立50周年記念「社会インフラ写真コンテスト」の受賞者を決定した。最優秀賞には登坂茂さんの作品「静寂の千桜橋」が選ばれた。

 66作品の応募があり、1次審査で東北支部の委員会が9作品を選定。2次審査は11月9日に開催した50周年記念行事で来場者による投票を行い、最優秀賞1点と優秀賞3点、特別賞5点を決めた。

 登坂さんの作品は船岡城址公園(宮城県柴田町)でライトアップした夜桜と千桜橋を撮影。暗闇の中で桜と橋をくっきりと浮かび上がらせた。最優秀賞は5万円分、優秀賞は3万円分、特別賞は1万円分の商品券を贈る。作品は50周年記念誌に掲載する。

 他の入賞者と作品名は次の通り。

 〈優秀賞〉

 ▽荒木孝廣さん=きぼうの輝(ひかり)▽米持詠梨子さん=由利の夕暮れ▽荒木孝廣さん=常磐線の車窓から 黄金色の頃

 〈特別賞〉

 ▽牛来裕司さん=万葉の里風力発電所▽齋藤真彦さん=復興の花咲くまちづくり▽紺野健一さん=胆沢ダム▽鈴木由香子さん=青い空と海の間に一橋▽矢田晴彦さん=中田川水門と防潮堤。

【高さ275m、建設費1千億円超】大阪メトロ、万博会場・夢洲に駅タワービル開発構想

 大阪メトロが2025年国際博覧会(万博)の会場となる夢洲(大阪市此花区)に、斬新なデザインを取り入れた新駅と駅ビル「夢洲駅タワービル(仮称)」を一体開発する構想をまとめた。

 商業やホテル、オフィスなどが入る高さ275メートル程度の複合ビルをイメージ。建設費は1000億円超と試算する。同日会見した河井英明社長は、万博に続くIR(統合型リゾート)の誘致実現と土地の確保を開発の前提としつつも、「全社を挙げて取り組む新たな発展の象徴であり、2024年までに実現させたい」と意気込みを語った。

 夢洲開発への参画は、7月に民営化後初めて策定した中期経営計画の主要施策の一つ。現在、夢洲への鉄道アクセスはないが、万博開催に合わせ、咲洲の大阪メトロ中央線「コスモスクエア駅」(住之江区)から夢洲の新駅「夢洲駅(仮称)」に至る約3キロを延伸する。咲洲と夢洲の海底を結ぶ「夢咲トンネル」は、道路と鉄道の併用トンネルとして09年に完成している。

 大阪メトロでは新駅周辺の土地確保など、条件が整えば積極的に開発計画を進め、大阪の発展に貢献していく考えだ。専門家を交えた社内のプロジェクトチームが作成した構想によると、夢洲駅と直上のタワービルは「新しい大阪の活力拠点」として整備。この拠点から活力を生みだし、それが大阪全体に染み渡っていく流れをイメージして外観等をデザインしたという。

 現時点では55階建て程度の複合ビルを想定。低層階に商業施設やエンターテインメント関係施設など、中層~上層階にオフィスやホテルなど、最上階には大阪を一望できる展望台も計画している。

 駅と商業施設は開放的な空間で一体感を創出。コスモスクエア駅と夢洲駅を結ぶトンネルは、エンターテインメントへの入り口と位置付け、LED技術などを駆使して新しい体験を期待させる“ワクワク感”を演出する。

 開発構想では4年程度の工期を見込む。開発の前提となる用地について、河井社長は「24年に完成させるためには、1~2年以内に土地を確保する必要がある」(河井社長)としており、関係機関などとの協議・調整を急ぐ考えだ。

【記者手帖】国土強靱化と働き方改革

2月の福井豪雪、6月の大阪府北部地震、2018年7月豪雨、7月から9月にかけての台風12、20、21号、9月の北海道胆振東部地震…。事あるごとに「平成最後の」という表現が用いられた今年1年で、これだけ相次ぐのは「もう最後に」と願いたいほど、日本列島各地が自然災害に見舞われた◆安倍晋三首相の指示による重要インフラの緊急点検結果に基づいてまとめられた「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための3か年緊急対策」も踏まえて編成された政府の19年度予算案。公共事業関係費が久しぶりにほぼ7兆円に達し、160に及ぶ同対策の実施項目で列挙された事業の着実な進展が期待される◆相次ぐ自然災害は、地球温暖化に起因しているといわれる。「災害レベル」の今年の酷暑も同様だ。教育現場への影響は大きく、小中学校に空調設備を導入することが自治体に急がれている◆酷暑は屋外作業が主体の建設の仕事にも影響を与えた。年を越し、数カ月すれば、また暑い夏が来る。最前線に従事する職人たちのためにも、働き方改革が求められよう。(佳)

【洋服や家具のリサイクル拠点に】首都高高架下利用デザインコンペ、最優秀に法政大学

 東京建築士会(近角真一会長)は、東京・東池袋周辺を通る首都高速道路の高架下利用を目的とした「としまアンダーハイウェイ・デザインコンペ」の受賞作品を決めた。

 最優秀賞に「リサイクルセンターイケブクロ」(法政大学下吹越武人研究室+A.A.E)を選出。不用になった洋服や家具などを保管し、再生した上で販売するアイデアを提案した。

 デザインコンペは45作品の中から、最優秀1点、優秀2点、佳作2点の計5点を選んだ。リサイクルセンターは、△古着や雑貨などを保管するストックヤード△職人の手で再生するファクトリー△再生した商品を販売するギャラリー-の三つの機能で構成。アーティストや文化人が多く集う池袋の地域特性を生かし、近接する東京芸術劇場の大・小道具も展示できるという。

 東京都内で20日に開いた公開審査で、審査委員長の建築家・隈研吾氏は「実現性が高く、より一歩踏み込んだ作品だ」と評価した。

2018年12月21日金曜日

【回転窓】韓国でも働き方改革

働き方改革はお隣の韓国でも大きな課題になっているようだ。7月1日から週当たりの最大労働時間が68時間から52時間に短縮された韓国。本紙が提携する同国の建設経済新聞は、時短に伴う話題をたびたび報じている▼同紙によると、韓国の建築設計界では、プロジェクトごとに会社を渡り歩くフリーランサーが急増しているそう。納期を控え、時短で残業できない社員の代わりに仕事を仕上げるという需要が高まっており、フリーランサーに支払う報酬も跳ね上がっているとか▼日本の建設会社でも残業時間を減らそうと契約社員が増えていると聞く。先日インタビューしたある企業の社長は「残業の要因となる各種協議の議事録づくりを外部に任せている」と話していた▼気になるのは、時短で本来社員が行うべき仕事まで切り出していないかということ。業務を通じてさまざまな経験をし、スキルを高めていくのは、これからも変わらないだろう▼働き方改革はもちろん重要なのだが時短を突き詰めるあまり、経験を積む機会が減ってしまえば代償は高くつく。本当に大切なのは何か-。読書亡羊では将来に禍根を残す。

【合格者数は3827人】1級建築士試験、設計製図の合格率41・4%

国土交通省は20日、18年の1級建築士試験の合格者を決定したと発表した。

 10月14日に全国50会場で行った最終試験に当たる設計製図試験を受験した9251人のうち、41.4%の3827人が合格した。

 7月22日に全国54会場で行った1次試験の学科試験受験者と、過去2年に学科試験を合格して今年の設計製図試験から受験した人を合わせた全受験者数(3万0545人)の合格率は12.5%となっている。

【人工地盤で覆い緑化空間創出】首都高都心環状線築地川区間、上部空間の活用ビジョン作成へ

 東京・中央区は本年度、首都高速道路都心環状線の築地川区間の上部空間の活用に向けたビジョンをまとめる。

 首都高速道路会社が同区間を耐震化する一環で、上部を人工地盤で覆う「頭覆化」を検討していることから、区は創出される空間を緑化することで快適で良好な都市環境の形成につなげたい考えだ。

 現在、活用コンセプトの検討や課題抽出などを進めるのと併せて、首都高速会社と共に実現可能性などを協議している段階という。検討業務は日建設計が担当している。

 対象は築地川区間のうち、三吉橋~新尾張橋間の延長1キロ。半地下の掘割構造で、1964年東京五輪の際に築地川を埋め立てて整備された。Y字形をしている三吉橋は東京メトロ有楽町線新富町駅や中央区役所の目の前に位置し、新尾張橋はベルサール汐留や銀座郵便局と近接している。

 区は▽上部空間形成のコンセプト▽覆蓋化に向けた課題抽出と技術▽機能配置とゾーニング▽上部空間のイメージ-について19年3月末まで検討を進め、その成果をビジョンにまとめる方針。区が描いたビジョンを基に首都高速会社との協議・調整を加速させたい考えだ。対象区間の上部空間を覆えば、3ヘクタール程度の用地を創出できるという。

【施設規模は総延べ10万㎡】宇都宮駅東口地区整備、19年1月にも野村不らと事業契約

宇都宮市は19年1月にも、JR宇都宮駅の東口にある市有地で計画している宇都宮駅東口地区整備事業で、野村不動産を代表とする企業グループ「うつのみやシンフォニー」と事業契約を結ぶ。

 官民連携でコンベンション施設を核とする複合開発を進めるプロジェクト。施設規模は総延べ約10万平方メートルを見込んでいる。先行する施設は来秋にも着工する予定だ。

 計画地は宮みらい1ほかの約2・6ヘクタール。計画によると、公共施設として市のコンベンション施設(4階建て延べ約1万2000平方メートル)や、市営駐輪場(3階建て延べ約4000平方メートル)、交流広場が整備される。

 民間施設は商業・業務や宿泊機能などが入る複合施設(14階建て延べ約2万7000平方メートル)をはじめ、生活サポート機能や業務・宿泊機能で構成する複合施設(25階建て延べ約3万4000平方メートル)、高度専門病院(6階建て延べ約8000平方メートル)、分譲マンション(20階建て延べ約1万4000平方メートル)が予定されている。

 事業契約で市や同グループが実施すべき事項や権利などを定める。同グループは、高度専門病院の建設工事から着手する見通しとなっている。

 野村不動産以外のグループ構成企業は次の通り。

 ▽民間施設所有者=北関東綜合警備保障、住友商事、JA三井リース建物、ビッグ・ビー、脳神経脊髄脊椎外科サービス▽公共施設設計=アール・アイ・エー、AIS総合設計、隈研吾建築都市設計事務所

 ▽公共施設建設=中村土建、前田建設、増渕組、渡辺建設▽コンベンション運営=五光宇都宮店、コンベックス、JTBコミュニケーションデザイン、野村不動産パートナーズ。

2018年12月19日水曜日

【回転窓】名付けてゼブラ・ストップ作戦

何かと慌ただしい12月は1年の中でも交通事故が多い。年末にかけて交通量が増えるのも一つの要因のようだ▼千葉県警が今年8月から進める交通安全のための活動は、名付けて「ゼブラ・ストップ作戦」。シマウマの英訳「ゼブラ」と交通安全がどう関係するのかを知ると、なるどほどそうかと合点がいく。横断歩道の和製語である「ゼブラゾーン」の「ゼブラ」にかけて、横断歩道上の歩行者の保護を強化することなどが目的の作戦という▼視覚的にもシマウマの白と黒のしま模様は、横断歩道を連想させる。ゼブラの「ゼ」は前方、「ブ」はブレーキ、「ラ」はライト。これらを運転者に強く意識させて事故防止につなげる▼建設工事に伴う事故は、現場内だけで発生するとは限らない。現場周辺の道路で交通事故を起こさないためにも細心の注意が必要だ▼アニメソング歌手の渡辺あゆ香さんが作詞・作曲した「ゼブラ・ストップの歌」が県警ホームページで配信されている。〈♪ゼブラストップ ゼブラストップ 道路にシマウマ見つけたら…ゼブラを守って運転だ!〉。今年もあと10日ほどで仕事納め。どうぞご安全に。

【工事現場でメリークリスマス!!】熊谷組、保育園児ら招き名古屋市内で見学会

 熊谷組は7、13の両日、名古屋市北区で施工している「愛知学院大学名城公園キャンパス第2期整備工事」の現場で、隣接する市立名城保育園の園児を対象とした現場見学会を開いた。

 0~5歳の乳幼児約80人と引率の保育士ら約10人が参加。ダンプカーやクレーン、バックホウなど大型重機が作業する様子を間近に見た園児たちは迫力に歓声を上げていた。

 園児たちは工事概要や見学時の注意事項などを聞いた後、現場を見学。サンタクロースの格好をした同社職員がクレーンで運ばれてきた袋からクリスマスプレゼントを取り出し、一人一人に手渡した。現場を出る時には、バックホウが手を振るようにアームを動かすと、園児たちは手を振り返していた。

 見学の感想を聞かれた園児たちは「もっといろいろ見てみたかった」「将来はクレーンの運転手になりたい」と笑顔で答えた。保育士からは「ぜひこれからも工事の進行に合わせ、子どもたちに現場の様子を見せてほしい」という声が寄せられた。

 「子どもたちに工事現場を見学させてほしい」という保護者からの要請に応え、作業所の職員と協力会社が「幼い頃から建設業に親しみや関心を持ってもらいたい」という願いを込めて見学会を企画した。工事の発注者である愛知学院(山本健善理事長)が協力した。

 子ども用のヘルメットを用意し、要所要所に作業所の職員を配置した。カラーコーンとグリーンマットで見学者通路を示すなど、通常の見学会に比べてより安全対策に気を配ったという。

 同社の金丸芳樹作業所長は、「初めて重機に接した時の驚きや現場を見た楽しさが少しでも記憶に残ってくれればうれしい。見学会を通して、現場のメンバー全員が力を合わせることにより、チームワークやモチベーションの向上にもつながった」と話している。

【準備組合が発足】渋谷桜丘地区再開発(東京都渋谷区)、事業協力者に東急不

東京都渋谷区の渋谷駅西側に広がる桜丘町地区で新たな再開発事業が動きだした。

 総延べ25万平方メートル超の再開発ビル群を建設する「渋谷駅桜丘口地区」と超高層複合ビルのセルリアンタワーに挟まれた約2・1ヘクタール区域の地権者が11月、「ネクスト渋谷桜丘地区再開発準備組合」(木津秀幸理事長)を設立。再開発の実現に向けた検討に本腰を入れている。

 建物規模やスケジュールは未定。準備組合は事業協力者として東急不動産を選定し、14日に協定を結んだ。

 対象区域は国道246号の南側に位置する桜丘町16~18、23の一部、24、25の一部。国道246号を挟んだ北側には建設中の複合施設「渋谷フクラス」(道玄坂一丁目駅前地区第一種市街地再開発事業)が隣接。

 同地区は以前から「桜丘ウエスト地区」として準備組合が再開発を検討してきたが、7月20日の臨時総会で解散。新たにネクスト渋谷桜丘地区として再開発の検討を仕切り直すことにした。権利者総数は58人。うち7割が準備組合に加入している。

 建物の導入機能などは、東側に隣接する渋谷駅桜丘口地区の再開発ビル群との住み分けや連携を模索しながら今後検討していく。

 渋谷駅桜丘口地区とネクスト渋谷桜丘地区は、再開発によって代官山エリアや恵比寿エリアとの回遊を促すようなゲート機能を果たすことが期待されている。東急不は渋谷駅桜丘口地区の組合施行の再開発にも組合員、参加組合員として携わっている。

【都市高速と空港を直結】福岡市、福岡空港関連自動車専用道路の計画案策定

福岡市は、福岡都市高速道路(福岡高速3号線)を延伸し福岡空港に直結する「福岡空港関連自動車専用道路」の計画案を明らかにした。

 道路構造は高架とトンネルで連結路を含む道路延長は約1・8キロ。概算建設費は約470億円を見込む。19年1月ごろから都市計画原案の縦覧や説明会を行い、同年春ごろに都市計画案を公告・縦覧し早期の都市計画決定を目指す。17日に市議会第4委員会に報告した。

 同道路は市南部地域や太宰府インターチェンジ方面から福岡空港国内線ターミナルへのアクセスを強化し、国道3号空港口交差点の混雑緩和を図るのが目的。4車線で設計速度は時速60キロ、事業予定者は福岡北九州高速道路公社。

 空港方面への計画では天神・博多方面からの福岡高速3号線を空港方面へ延伸するとともに太宰府方面からの福岡高速2号線と約400メートルの連結路で接続。国道3号の直下をトンネルで立体交差し、一般道出口と空港出口の2カ所の出口を設け国内線ターミナルに接続する。

 空港出口はトンネル構造も検討したが、アクセス利便性を確保しつつトンネル延長を短縮できるよう都市高速専用右折レーンによる平面部での接続とする。福岡空港からの計画では空港北口交差点の西側に一般道入り口を設け、国道3号の下をトンネルで立体交差し新設する料金所を通過した後、天神や太宰府方面へ分岐する。

 トンネル部の延長は掘り割り部を除き200メートル程度になる見込みで工法は開削工法や推進工法などを今後検討する。今後、福岡空港の滑走路増設に合わせた供用を目指し都市計画と環境影響評価の手続きを進める。

 完成すれば国内線ターミナルへの所要時間は現在の一般道を利用するのに比べ約5~10分短縮され、信号交差点を3~13カ所回避でき定時性の向上も見込まれる。主要渋滞箇所である周辺の交差点の混雑緩和も期待される。

【こちら人事部】佐藤工業/海外事業と休暇取得推進をPR


 ◇事務系も短期就業体験開始◇

 黒部トンネル(長野県~富山県)や青函トンネル(青森県~北海道)、八甲田トンネル(青森県)など、数多くの歴史的な土木構造物の施工を手掛けてきた佐藤工業は今年で創業156年。トンネル工事を得意とする一方で、近年はゼビオアリーナ仙台(仙台市太白区)、函館アリーナ(北海道函館市)などのアリーナ建築でも着実に実績を上げ、社会のニーズに幅広く応えてきた。

 このほか環境事業に取り組んだり、今夏には海外で新たな拠点を開設したり、多角的な事業展開を図っている。

 会社の発展を支える人材として毎年50人前後の新卒社員を採用している。藤井恒管理本部総務部長は、求める人物像として▽ものづくりに魅力を感じて技術継承の担い手として積極的に取り組む人▽困難から逃げずに果敢にチャレンジする人▽協調性に富み、さまざまな環境に柔軟に対応できる人-の3点を挙げ、「この三つをベースに面接で人物を見極めている」と話す。

 採用活動では、アジア5カ国で展開する海外事業と、休日の取得推進を中心とする働き方改革への取り組みの2点を学生に積極的にPRしている。海外事業の中でも特にシンガポールは40年以上の実績を持つ。こうした実績に着目した学生が「将来的に海外の仕事に挑戦したい」という野心を持って応募するケースは少なくない。

 海外赴任は原則として希望者を募集し、選抜を経て現地で研修として実務に当たり、その後本配置という流れだ。赴任前の社員には海外勤務経験者によるレクチャーを受けさせ、就業時間に会社負担で英会話教室に通えるようにするなど、スムーズな赴任をサポート。海外で活躍したいという社員を後押しする体制を整えている。

 働き方改革の取り組みでは21年度末までの週休2日の定着を目指し、「週2閉所実現部会」を昨年社内で立ち上げた。生産性向上や業務改善で休暇を取得しやすい環境を整えると同時に、誕生日などに有給休暇取得を奨励する「アニバーサリー休暇」を設けて有給休暇の取得促進に取り組む。成果は徐々に現れてきている。別所達三管理本部総務部人材開発課長によると「有給休暇の取得率は年々上昇している」という。

 これらの取り組みに加え、「社員の人柄や明るい社風も当社の魅力のひとつ」と別所課長は強調する。社員に直接会って会社の魅力を知ってもらう機会として、年に複数回の長期・短期インターンシップ(就業体験)を開催する。本年度から開催回数を増加。これまで技術系のみだった短期のインターンシップを事務系でも新たに始める予定だ。

 「採用活動をする中で、近年は『建設をやりたい』という熱意を持った学生が減り、技術系の人材は官公庁やコンサルなどに流れている傾向がある」と藤井部長は指摘する。就職活動中の学生に対しては、「ものづくりの世界は魅力的。インターンシップや会社説明会に足を運んでもらい、当社が掲げるコーポレートメッセージ『建設品質。』を感じ取ってほしい」と呼び掛ける。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】 男性40人(うち技術系36人) 女性12人(9人)

 【3年以内離職率】9・1%(15年度新卒)

 【平均勤続年数】 男性18年、女性12年(18年6月末時点)

 【平均年齢】   43・5歳(18年6月末時点)

2018年12月18日火曜日

【県産材利用促進条例を制定】群馬県、県整備の建築物を原則木造に

群馬県議会は17日、議員提案の「林業県ぐんま県産木材利用促進条例」を可決した。19年4月1日から施行する。条文が盛り込まれている県が整備する建築物を「原則木造」にする取り組みは、20年4月1日から実施する。

 木造が難しい場合などを除き、公共事業で建設する県の建築物などを木造化する。工事に当たっては県産の木材や木材製品を率先して利用するよう努める。群馬県は面積のおよそ3分の2を森林が占める。森林面積の割合は関東で最も高い。

【東京五輪開幕イベントなどでの活用視野に】横浜武道館、2020年7月に供用開始へ

横浜武道館の内部イメージ
(横浜文化体育館再整備事業の横浜市報道発表資料〈2017/9/14〉より)
横浜市は、建設中の横浜武道館(中区)の供用を当初の20年10月から同7月に3カ月早めると発表した。同7月の東京五輪・パラリンピックの開幕に合わせたイベントなどへの活用を可能にするとともに、同6月の市庁舎移転に伴う現庁舎周辺(JR関内駅周辺)地区の活性化にも波及させたい考え。一般の利用開始時期は調整中。

 横浜武道館は横浜文化体育館再整備事業でサブアリーナ施設に位置付けられている。同事業は横浜文化体育館の敷地と隣接する旧横浜総合高校跡地の2カ所の市有地を使い、BTO(建設・移管・運営)方式のPFIで二つのアリーナ(メインアリーナ、サブアリーナ)を備えた体育施設を整備・運営する。

 事業者はフジタら10者が出資する特別目的会社(SPC)のYOKOHAMA文体(横浜市中区、太田祐次代表)。設計は梓設計・フジタ設計JVが手掛け、施工はフジタ・馬淵特定JVが担当している。

 横浜武道館の建設地は旧横浜総合高校跡地の中区翁町2の9の10の一部(敷地面積は5702平方メートル)。規模はRC一部S・SRC造5階建て延べ1万6050平方メートル。

 横浜文化体育館の解体とメインアリーナ建設の工期は20年12月~24年1月。同4月の供用開始を予定している。

【3区画対象に民間提案募る】幕張海浜公園再整備、12者が飲食店や運動施設など提案

千葉市は、美浜区に立地する県立幕張海浜公園を対象に実施したマーケット型サウンディング(対話)調査の結果を公表した。

 12者から応募があった。幕張新都心を代表する公園周辺の回遊性を向上させる飲食施設や運動施設などでアイデアの提案を受けた。寄せられた意見を受け事業化の手法などを検討。年内にも事業者の公募手続きを開始する考えだ。

 公園の所在地はひび野2の116(敷地面積約68・4ヘクタール)。対話型調査はJR京葉線海浜幕張駅周辺に位置するAブロック(約5・5ヘクタール)、Bブロック(約10・3ヘクタール)、Cブロック(約3・6ヘクタール)の3区画を対象に実施した。

 調査に参加した事業者からはレストランやバーベキュー施設などの飲食施設、大規模プール、屋内遊技場といった運動施設、ドッグラン、保育施設などを設置する提案があった。ソフト事業ではバザールやマルシェなど、街頭市場の開催が挙がった。

 事業効果を高めるため公園の維持管理と施設管理を一体で実施できる事業手法での公募を求める声もあった。

【世界最大規模の斜張橋も】近畿整備局ら、大阪湾岸道西伸部の長大橋でイメージ案公表

新港・灘浜航路部の等径間連続斜張橋㊧と単独斜張橋のイメージ案
近畿地方整備局と阪神高速道路会社が大阪湾岸道路西伸部(六甲アイランド北~駒栄間)の海上部に設ける長大橋の橋梁形式比較案を公表した。東側の新港・灘浜航路部は「連続斜張橋(等径間)」と「単独斜張橋」、西側の神戸西航路部では「1主塔斜張橋」と「2主塔斜張橋」を予備設計候補案として選んだ。今後、技術的な課題などを検討し、19年をめどに各航路の橋梁形式を決定する方針だ。

 大阪湾岸道路西伸部は神戸市東灘区向洋町東の六甲アイランド(六甲アイランド北インターチェンジ〈IC〉)からポートアイランドを通り、長田区西尻池町に至る14・5キロ。陸上部、海上部とも大半が橋梁となり、公共事業と有料道路事業(阪神高速道路会社)の合併施行方式で行う。総事業費は約5000億円。

 技術検討委員会では橋梁形式選定に先立ち▽災害時ネットワーク▽世界に誇れる景観創出▽健全状態の長期維持-を計画コンセプト案として設定。これに基づき、設計基本方針の整理や橋梁形式の抽出、試設計、各橋梁形式の総合評価を行い比較案を選定した。

 六甲アイランドとポートアイランド間には、東側に灘浜航路(航路高54・6メートル、幅400メートル)、西側に新港航路(航路高65・7メートル、幅400メートル)がある。委員会では、コンセプト案に基づき、単独斜張橋を基本案として連続斜張橋2案(不等径間、等径間)、連続つり橋2案(4径間、5径間)の5パターンを抽出。経済性・性能を比較し、優位性が高い単独斜張橋と連続斜張橋(等径間)を選んだ。
神戸西航路部の1主塔斜張橋(奥側)と2主塔斜張橋のイメージ案
単独斜張橋案は、二つの航路幅を考慮した最小支間(新港航路部600メートル、灘浜航路部520メートル)を設定した2連構造。支間長は最小となるが中間部に橋脚が必要になる。

 各主径間を均等割り(650メートル)にした連続斜張橋案は、塔が大型化するものの、桁の重量がバランスして中央部の海上橋脚が不要。連続斜張橋では世界最大規模となる。景観性と維持管理性に優れるが、可とう性など技術的な課題もあり、詳細な検討を行った上で単独斜張橋との優劣を判断する。

 ポートアイランドと和田岬間の神戸西航路(航路高59・4メートル、幅300メートル)では、航路幅を考慮した最小支間(480メートル)を設定した1主塔斜張橋と2主塔斜張橋を選定した。1主塔案は世界最大規模となり、2主塔案と比較して平面線形と景観性、コスト面で優れるとしつつも、より詳細な構造特性を把握した上で優劣を判断することにした。

2018年12月17日月曜日

【長大橋は連続・単独斜張橋2案】大阪湾岸道路西伸部、橋梁形式の比較案公表

大阪湾岸道路西伸部の海上長大橋の最適な橋梁形式選定と橋梁・構造計画の検討を進めてきた大阪湾岸道路西伸部技術検討委員会(委員長・藤野陽三横浜国立大学上席特別教授)は14日、今後の橋梁形式決定に向けた方向性を示す中間取りまとめを公表した。

 神戸市東灘区の六甲アイランドから中央区のポートアイランドまでの長大橋については、各主径間を均等割りにした「連続斜張橋案」と、灘浜航路と新港航路の二つの航路幅より決定される最小支間長を設定した2連の「単独斜張橋案」を提示。連続斜張橋としては世界最大規模となる。景観性と維持管理に優れるものの、弾性変形のしやすさを示す可とう性などの技術的課題に対し、より詳細な検討を進め、単独斜張橋との優劣を判断する。単独斜張橋の支間長は最大となるが、中間部に橋脚が必要となる。

 一方、ポートアイランドと兵庫区の和田岬の神戸西航路部に設置する橋梁については、「1主塔斜張橋」と「2主塔斜張橋」で比較。平面線形と景観性に加え、コスト面でも優れる1主塔については、世界最大規模となるが、技術的な課題に対するより詳細な検討を進め、さまざまな制約条件を踏まえた上で2主塔との優劣を判断する。

【サポーターや家族連れも楽しめる施設に】ジャパネットHD、V・ファーレン長崎の練習拠点整備

 通信販売大手のジャパネットホールディングス(HD)は、グループ企業でサッカーJリーグに所属するV・ファーレン長崎のチーム強化に向け新たな練習拠点を整備する。

 天然芝・人工芝のグラウンド5・5面やクラブハウス、ショップなどを整備する。20年2月の利用開始を目指す。

 天然芝3面と人工芝2面、インドアハーフコート1面のグラウンド、クラブハウス、寮、トレーニングルームを備えた施設を整備。トップチームの選手とアカデミーの選手が同一環境で練習を行えるようにする。サポーターらが訪れ、家族で1日中過ごせるようショップやカフェも併設する。

 用地の確保に協力する長崎県内の市町を公募しており、19年2月下旬に優先交渉者を内定し同3月下旬に基本協定を締結する。

 用地の条件は有効面積10ヘクタール程度で一体的に利用でき、20年以上利用できることなど。無償での賃借契約を前提とする。トランスコスモススタジアムや今後建設予定のスタジアムなどからの距離や交通利便性などを考慮して用地を決める。

【回転窓】旨味と旨み

おいしさを表す「旨味(うまみ)」という言葉が、商売で使われると「旨み」の文字に置き換わり、その意味も利益やもうけに変化する▼10日に閉会した臨時国会で成立した改正水道法。行政に代わり、民間が水道料金を収受して運営する「コンセッション(公共施設等運営権)」を推進する規定が盛り込まれたが、「旨みがない」と建設コンサルタントの評判がよろしくない▼コストが落とせても水道事業以外で収益を上げる仕組みがないと、参入は難しいという。改正水道法によるコンセッションは国の許可制で、地方自治体の監視体制や料金設定も国がチェックする▼水の品質や安定供給という公共性を担保する具体策を後回しにして、先に法の内容を固めたことにも首をかしげる。民間からすれば法施行後に問題が噴き出し、運営の権限と利幅が抑えられる懸念が残る▼民間の知恵や資金の活用は厳しい財政状況にある自治体運営を支える切り札でもある。全国に広がりをみせる民活手法の導入の動きに、国が水を差すことがあってはならない。法に基づく今後の制度設計で民間、国民が納得する真剣な対応を期待したい。

【回転窓】災いを教訓に

日本漢字能力検定協会の今年の漢字は「災」。強い地震が相次ぎ、甚大な被害を生じさせた西日本豪雨、大型台風、災害級の猛暑…。公募の結果、災は2万票を超えての1位だった▼応募者の中には、災害の減少を願って災を挙げた人も多かったという。懸念される複数の巨大地震をはじめ、災害の発生は避けられない。災を意識せずにはいられなかった1年の教訓を備えに生かしていく必要がある▼国土を安全に強くしなやかにする政府主導の国土強靱(きょうじん)化が一段と推進されることになった。重要インフラの点検結果を受けた対策が決定。6兆円で推移してきた当初ベースの国の公共事業関係費は19年度以降、民主党が政権を握っていた前の水準に回復する公算も出てきた▼災害が激甚化する中、対策を講じたからこそ、大きな被害を免れた地域があることがクローズアップされつつある。一方で、予算の制約から先送りせざるを得なかった事業も少なくないと聞く▼必要だけれどできなかったという人災は、あってはならない。国を挙げた国土強靱化が十分に必要な期間にわたって着実に実行されることを切に願う。

【凜】水ingエンジニアリング建設本部・西岡巴さん

 ◇コミュニケーションが好き◇

 現場での堂々とした姿が印象的だ。作業員らとのやりとりにも気後れすることはない。今春入社し7月に現場配属されたばかりだが、「私は現場監督向き」と直感したという。

 地元の高知工業高等専門学校では電気情報工学を学んだ。上下水道インフラの施設建設に生かせるのか、半信半疑のままインターンシップに参加。現場の魅力を紹介してくれた先輩社員に感化され、今年初めて採用された現場監督志望の女性技術者の一人となった。

 東京都町田市の鶴見川クリーンセンター増設工事で、機械設備の施工管理を担当。男性中心の職場では、戸惑うことも多いのでは。そんな問い掛けに「コミュニケーションが好き。その強みを生かせるのは現場だと思った。みんなで心のつながりを強く持って仕事をつくりあげる。これまでなかった経験で、すごく楽しい」と笑顔で答える。

 来年には、母校から同じく現場監督志望の女性が入社する。「働きやすい環境に変えるため、自分が感じたことをフィードバックしていきたい。私たちが動かないと今の流れが止まってしまう」。そう語る時は頼もしい先輩の顔だ。

 入社して将来の夢もできた。全国有数の清流がある高知の良さを生かせば、新たな産業創出につながると考えている。「いつかは地元に貢献できるかな」という思いを胸に、今後も水と向き合い続ける。

 (建設管理部、にしおか・ともえ)

【中堅世代】それぞれの建設業・218

対話を重ね顧客の要望を設計に生かしている
 ◇建築で人々に笑顔を◇

 人々に寄り添える建築を設計したい-。大手建築設計事務所の構造部門でグループ長を務める飯塚一義さん(仮名)が追い求める理想像は、利用するすべての人が笑顔になれる建築をつくること。複雑で多様化する発注者からの要望に真摯(しんし)に向き合う中で、利用者一人一人の顔を思い浮かべながら設計することを心掛けている。

 建築の世界に興味を持ったのは地元の市役所を訪れた時に父親から出た「有名な建築家が設計しているそうだ」の一言。斬新でダイナミックな外観を目の当たりにして以来、建築に魅了された。最初はデザインそのものに興味を持っていたが、いつしか設計者という仕事に心が奪われた。

 地元の高校を卒業し、東京都内の大学で建築を学んだ。研究室に在籍していた先輩が数多く入社していると聞き、現在の会社へと就職した。

 約1カ月の研修を経て、配属されたのは構造設計部門。日々の仕事をこなしていく中、転機となった仕事に出会った。ある自治体が発注する図書館の設計だ。「お前の好きなようにやってみろ」。上司に掛けられた言葉に初めは緊張もした。思案するうち、いつしか「建物が完成した後、市民が喜んで使ってもらえる図書館をつくりたい」と感じ、寝る間も惜しんで仕事に没頭した。

 設計者の仕事は、ただ図面を描き上げるだけでなく、発注者や元請のゼネコン、下請の専門工事会社との調整といった現場監理など、やるべきことは多岐にわたる。苦労は絶えなかったが、決して辞めたいとも思わなかった。トラブルが発生した際も迅速に対応できるよう、コミュニケーションを重ねた。約1年5カ月の工期を経て、ようやく完成へとこぎ着けた。

 完成式典の夜、関係者と酒席を共にした。皆一様に笑顔だった。中には、これまでの苦労に涙する者もおり、感無量だった。その後、この図書館が建築の賞を受賞することになり、自分の仕事に対して改めて自信が付いた。

 就職して約20年がたち、部下も増えた。部下に対しては「常に顧客や利用者の目線に立って仕事をしてほしい」と対話の重要性を説いている。この仕事は顧客の要望を聞き、双方が納得した時に醍醐味(だいごみ)を感じる仕事。それを怠ってしまっては良い仕事ができない。

 設計者にとって、一番悔しいことはプロポーザルやコンペに落選すること。自分の提案で何が足りなかったのかを考えた時、「発注者や利用者を第一に考えていなかった」ことを痛感する。この悔しさを反省に変え、次の仕事に生かしている。

 辛くなったり、諦めかけたりした時、図書館の建築で一緒に仕事をしたゼネコン社員と飲みに行くこともある。「久しぶりにあの図書館に行ったら、市民の笑顔であふれていた」と話す仲間。思い描く理想の姿に、また一歩近づけたような気がした。

【サークル】パスコ ランニング部「パスコRC」


 ◇仲間との一体感が魅力◇

 ランニング好きの有志が集まり、16年度に会社公認の「パスコRC(PRC)」を発足。12月時点で東京、神奈川、千葉、埼玉在勤の社員27人が所属する。

 大会で好タイムを狙ってトレーニングを積むランナーから、運動不足解消やリフレッシュを目的とする初心者まで幅広く、ランニングを通じて親睦を深めている。

 毎週水曜日に皇居や赤坂御所外周、駒沢公園で定期練習会を行う。季節に合わせたお花見ラン、クリスマスイルミネーションラン、レインボーブリッジ夜景ランも。

 チーム参加のリレーマラソンでは大会ごとに団結力を強め、17年9月に横浜の赤れんがで開かれたリレーマラソン大会で2位に入賞した。個人でも東京マラソン、横浜マラソン、さいたま国際マラソン、目黒シティーマラソンなどメジャー大会に挑戦する。

 代表を務める中央事業部技術センターインフラマネジメント部副部長の窪田智則さんは「練習中に励ましあったり、大会で応援しあったり、人との距離を縮め、一体感を感じられる点がクラブの魅力」と語り、「仲間がいるから楽しく自分も頑張れる」と各自の目標に合った定期練習や楽しいイベントを考えている。

【駆け出しのころ】建設技術研究所代表取締役副社長執行役員企画本部長・兪朝夫氏

 ◇新たな気付きを得るために◇

 大学では河川工学の研究室に所属し、こうした分野の研究が生かせる会社に入りたいと建設技術研究所に入社しました。

 1週間の新入社員研修を終え、河川関係の仕事を手掛ける東京本社技術第3部に配属されると、その初日にいきなり予想もしない指示を受けました。翌日に予定されている役所との打ち合わせ資料を1人で作成するよう言われたのです。

 業務計画書を見ながら慌てて手書きで資料をつくったのですが、当然に十分な内容のものができるはずもなく、役所の方からは「建設技術研究所の資料でこんなにひどいのは見たことがない」と厳しく指摘されました。胃はきりきりと痛み、「これでコンサルタントとしてやっていけるのだろうか」と早くも入社2週目に思い悩みました。

 当時は現在と違い、新人が丁寧に指導してもらえるという環境ではありませんでした。まずは経験して覚える。そんな時代でした。ですから会社の書庫で過去の報告書を調べたり、社内でどの方がどういう分野のことに詳しいのかについて調べ、分からないことがあれば自らお願いして教えてもらったりしながら仕事を覚えていきました。こうした時代の人の育て方には良い面と悪い面があり、人によっては成長が早く、一方でいずれ優秀な技術者になったであろう人が途中で挫折してしまうことも少なくなかったかもしれません。

 入社2年目から、複数の業務を持ちながら阿賀野川水系の工事実施基本計画の改定に携わりました。大変に忙しくてプレッシャーも強く、会社を辞めたいと思った時期もありましたが、5年かけて改定業務をやり遂げ、これでコンサルタントとしてやっていけるかもしれないと自信を持つことができました。

 私が担当してきた計画分野の仕事には、筋道や出口がなかなか見えない業務もあります。これもあれもやってみようと本質的でない細かいことに執着し、変な迷路に入ってしまうのです。そんな時は、周りの人たちとディスカッションするか、その業務から少しの間だけ離れ、別の業務をこなしてからまた戻るのが効果的です。新たな気付きを得られて前に進め、焦る気持ちも抑えられます。

 私たちコンサルタントの役割は、クライアントが何に困っているのかを把握し、専門家として問題の解決に当たることです。これは昔も今も変わりません。解析技術などがどんどん進化しても、なぜこの問題が出てきたのか、あるいはどのような背景があって発注された業務であるのかを考えるという基本的なことが抜けてしまっては駄目です。若い人たちには発想と工夫が求められるコンサルタントの仕事にやりがいを覚え、クライアントの要望にしっかり応えられる技術者となるよう期待します。

 (ゆ・あさお)1979年京大大学院修士課程土木工学専攻修了、建設技術研究所入社。大阪支社河川部長、取締役東京本社副本社長、同中部支社長、同常務執行役員大阪本社長、同専務執行役員東京本社長、副社長執行役員などを経て、2017年3月から現職。京都府出身、63歳。
1982年、東京本社で阿賀野川水系の業務を担当していた

2018年12月13日木曜日

【回転窓】人類の進歩に貢献

今年のノーベル賞授賞式が10日、スウェーデン・ストックホルムで行われた。日本からは、医学生理学賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授が出席。カール16世グスタフ国王からメダルなどが授与された▼世界的に権威のある同賞は、ダイナマイトの発明者として知られるアルフレッド・ノーベルの遺言によって1901年に創設。生理学・医学、物理学、化学、文学、平和のほか、後に経済学が追加されて「5分野+1分野」で顕著な功績を残した人物に賞が贈られる▼日本からのノーベル賞受賞者は計26人。輩出先の学術領域として、素粒子物理学の関係者が目立つ。この分野の研究に欠かせない加速器技術でも日本は世界を先導する▼次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の日本への誘致に向けた活動が大詰めを迎えている。未知の素粒子を探り、宇宙誕生の謎に迫る研究成果に加え、地域経済への波及効果でも期待が高まっている▼巨額なILC建設費の負担などを懸念し、誘致には慎重な意見もある。財政問題と投資価値をどうとらえるか。日本政府の意思表明を国内外の関係者が注目している。

【前田建設やタダノが節目】創業100年企業、19年は2160社

民間信用調査会社の東京商工リサーチによると、19年に全国で2160社が創業100周年を迎える。同社の企業データベースに収録される約310万社から抽出した。

 主な100周年企業は住友商事や前田建設、オリンパス、タダノなど。前田建設は1919年1月8日に創業した。節目を迎える企業で最も歴史があるのは400周年の帯伊書店(和歌山市)と堀口酒造(福井県南越前町)。三井不動産リアルティ(東京都千代田区)は50周年を迎えるという。

【世界最大級の客船も停泊可能に】東京国際クルーズターミナル整備(東京都江東区)、人工地盤構築の進む

 ◇東亜建設工業JVがジャケット設置作業◇

 東京都は12日、東京・青海近くの水域に新設する大型客船用埠頭(ふとう)「東京国際クルーズターミナル」の工事現場を報道陣に公開した。

 海底に打ち込んだ杭に人工地盤となるジャケットを載せ、桟橋式の岸壁を構築する作業の3回目を行った。2020年東京五輪・パラリンピック開幕までに、世界最大級の客船が停泊できる延長430メートル(水深11・5メートル)の岸壁とターミナルビルを整備する。

 建設地は江東区青海2丁目近くの東京湾の水域。岸壁は計7基のジャケットで構成し、4基分を東亜建設工業・本間組JV、3基分は東洋建設・不動テトラJVが担当する。2基分のジャケット設置は11月末までに完了し、当日は東亜建設工業JVの工区で3基目の設置が行われた。

 使用したジャケットの重量は854トン。1800トンまでつり上げられる起重機船で運搬し、鋼管杭に差し込んだ。今後はジャケット上にコンクリート床版を敷設する作業に移る。都港湾局東京港建設事務所の佐竹禎司港湾整備課長は「ジャケットは津市と、北九州市で製作している。今回は津市から送られたものを使った」と説明した。土木工事関係の進捗(しんちょく)率は約8割に達した。年内に4基目、19年2月に残りのジャケット設置を仕上げる。

 都は急成長するクルーズ船観光の需要と船舶の大型化に対応するため、ターミナル施設の新規整備を決めた。レインボーブリッジ(高さ52メートル)をくぐれない大型客船でも入港できるよう、高さを制限する構造物などがない沖合の水域を計画地に選定した。

 19年2~3月には、岸壁背後に建設するターミナルビルの躯体工事が始まる。施設規模は4階建て延べ1・9万平方メートル。エントランスホールや到着・出発ロビー、送迎デッキ、出国審査場・入国検疫検査場などの機能を導入する。基本・実施設計を安井建築設計事務所が担当し、五洋建設・東亜建設工業JVが施工する。

 ビルの屋根には、長方形の板が反ったような独特な形状を採用する。都港湾局港湾整備部の谷井隆建築調整担当課長は「神社・仏閣、波頭、帆立の三つのイメージを組み合わせてデザインした」と話す。

 2、3階のフロアは客船の利用者に合わせたレイアウト変更が可能な仕様にする。船の停泊がない時はイベントなどで活用する。客船とターミナルビルをつなぐ通路となるボーディングブリッジには、ビルの2階と3階に上下移動できる構造を取り入れる。

 来秋からビルの梁・柱の構築が進み、20年3月には外観が立ち上がってくる。全体の工事完了は20年6月末を見込む。五輪開幕前の同7月14日に最初の客船となる「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」(総重量16万8666トン)、同9月には「クイーン・エリザベス」(9万0900トン)も入港する予定だ。

【メインアリーナは約8000席】鹿児島県新総合体育館建設(鹿児島市)、延べ3・5万平米想定

鹿児島県は、JR鹿児島中央駅西口に計画している新総合体育館の施設規模や構成などをまとめ、県議会企画観光建設委員会に報告した。

 規模は地下1階地上4階建て延べ3万5046平方メートル。地下を駐車場とし、1~3階にかけてメインアリーナやサブアリーナ、柔道場、剣道場、4階に弓道場の配置を想定している。

 建設予定地は鹿児島市武の県工業試験場跡地とその隣接地を合わせた約1・6ヘクタール。

 1階にバスケットボールコート4面(3726平方メートル)のメインアリーナ、その北側に同1面(936平方メートル)のサブアリーナの配置を想定し、会議室や器具庫などを設ける。2階はメインアリーナやサブアリーナの固定席、3階はメーンアリーナの固定席、柔道場と剣道場各3面、4階に近的12人立の弓道場を設ける。

 観客席はメインアリーナが固定席5879席、可動席2160席、車いす41席の計8080席、サブアリーナが固定席400席程度、柔道場と剣道場がそれぞれ固定席150席程度、弓道場が固定席100席程度を想定している。地下には145台(一般141台、身障者用4台)の駐車場やトレーニング室、多目的室、倉庫、ホールなどを配置する。

 18年度中に事業スケジュールなども含めた基本構想を策定する。整備手法はPPP・PFIなどの公民連携手法を従来型手法より優先して検討する。基本構想策定支援業務は玉野総合コンサルタントが担当している。

2018年12月12日水曜日

【回転窓】夕日と文学気まま旅

冬型の気圧配置が強まり、ここ数日は全国各地で真冬並みの寒さとなっている。つい身を縮めてしまいがちだが、寒い季節ゆえの恩恵もある▼天候に恵まれた日は空気が澄み、夏とは違う夕日の美しさを見られるのも一つ。中でも日本海の夕日は美しく、夕方の早い時間から空と海が赤く染まり始める▼日本古典文学の研究者である浅見和彦成蹊大名誉教授が本紙連載で書いている。「日本海の夕景のすごいところは西から東、左から右、何一つとして目を遮るものがなく、空、海、夕照の百八十度の壮大な風景を一望できることだろう」(2010年2月4日付『文学気まま旅』19話)▼歌人の与謝野晶子は新潟・直江津の落日の光景に何を見て取ったのか。直江津の浦にどのような悲しい物語があり、今も海に向かい立っている供養塔とは…。いずれも浅見氏の連載19話に詳しい▼08年8月から15年8月まで連載した計55回の『文学気まま旅』が一冊にまとまり、三省堂から『日本文学気まま旅』のタイトルで出版された。47都道府県をあまさず巡る旅のガイドで、文学作品とともに「その先の小さな名所へ」といざなってくれる。

【洪水対応で職業体験プログラム】関東整備局荒川下流河川、小中学生向けの防災教育展開へ

関東地方整備局荒川下流河川事務所は近隣の学校などを対象に、洪水対応を題材にした職業体験プログラムを展開する方向で検討を進めている。

 同事務所の新人職員になってもらい、洪水対応や地域への避難周知などを訓練してもらう内容。子ども向け職業・社会体験施設「キッザニア」と連携して企画・立案したイベントが好評だったことから、ノウハウを生かしていく。水防災や避難の重要性などへの理解を深めてもらう狙いだ。

 同事務所は、10月28日に「アウト・オブ・キッザニア 洪水から街を守る仕事体験in荒川」を、東京都北区の同事務所内で行った=写真。大雨で荒川の水位が上昇した事態を想定し、水門の閉鎖や地方自治体への連絡、水防団への出動要請などを実際に利用している災害対策室で体験してもらった。

 荒川の水害対策の歴史、水害時の行動計画「マイ・タイムライン」を作成する研修も行った。1回90分の構成で3回のプログラムを実施。小学3年から中学3年まで計74人が参加した。

 子どもへのアンケートでは「とても楽しかった・楽しかった」(99%)が大多数を占めた。大雨や台風の際にとるべき行動についても「よく分かった」(78%)と「少し分かった」(18%)が多かった。自由意見では「ほかの仕事も体験してみたい」「マイクを使って発表したのが楽しかった」「台風が来た時、どのように動くかがよく分かった」などの声が寄せられた。

 保護者からも「こどもの真剣な姿が見られた」「国や自治体の危機管理業務によって守られていることを学べたのは、子どもにとって新たな気付きがあったと思う」「最初(イベント前)は地味な印象だったが、生活に密着した仕事を知るのもとても大事だと思う」と好意的な意見が多かった。

 同事務所は、キッザニアを運営するKCJ GROUP(東京都中央区、住谷栄之資社長兼最高経営責任者〈CEO〉)の協力を得て、プログラム内容や子どもへの説明方法などを詰めた。同社が中央官庁と連携するのはこれが初めて。募集開始から1週間程度で定員に至っており、同社は「キッザニアの中では絶対に体験できない。思った以上に関心が高い」(ブランディング部広報グループ)との認識だ。

 国土交通省は、15年に発生した関東・東北豪雨での鬼怒川堤防決壊を契機に、水防災意識社会の再構築に取り組んでいる。その一環として同事務所は近隣学校などに呼び掛け、地元の児童向けに同プログラムを実施することを視野に入れて意識啓発を図っていく考え。

□洪水への対応、より良い伝え方を模索□

 豪雨災害が頻発する中でどのような意識で洪水対応の周知に取り組んでいるのか、関東地方整備局荒川下流河川事務所の荒川泰二所長に聞いた。

 --取り組みの狙いを。

 「洪水時の河川管理者の対応はなかなか表に出てこない。治水施設の役割や地方自治体への情報提供などに焦点を当てて職業体験してもらうことで、見に来た親御さんを含めて理解してもらいたいと考えた。『台風時には河川の水位などを見なければいけない』という程度でも、印象に残っていればうれしい。水害に対して何をしなければいけないかを、体に染み込ませることが大切だ」

 --キッザニアと連携した感想は。

 「子どもたちの立場に立ったインパクトの与え方などが、大変勉強になった。私たちがイベントをやると小学生は小学生として扱うが、同社には、子ども扱いしないことが肝になると言われた。新人職員として作業を頼むことによって、受け身でなくなり、より意識が高まった。仕事の重要性も認識してくれた」

 --今後の活動をどう考える。

 「2018年7月豪雨などを受けて、防災教育がより重要視されている。近隣の学校などに声を掛けて、19年度以降もこの取り組みを続けていきたい。人気になっているところには学ぶべき部分がたくさんある。自分たちが考える以上の最良の伝え方が、まだまだあると感じた。今回の経験をいろいろな事業を説明する際にも役立てていきたい」。

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/日本企業の就職説明会開く

 国立土木工学大学(NUCE)と国土交通省は、11月23、24日にハノイ市の同大学で、日本の建設関連企業を招いてベトナム人学生向けの就職説明会を開いた。開催は昨年に続いて2回目。ベトナムの8大学で工学を学ぶ学生と、日本からは10社が参加した。

 冒頭あいさつした鈴木英二郎官房審議官(土地・建設産業局担当)は、NUCEをはじめ大学側の協力に謝意を述べた上で、「昨年同様、日本企業が能力の高いベトナム人学生を採用できる機会となればよい。学生には、日本の会社に就職して実務経験を積んでほしい。帰国後はベトナムのインフラ整備に貢献できる人材となるだろう」と述べた。

セイ・ズン、11月29日)

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/建設現場の外国人労働者数、19年は22・8万人に

韓国の建設現場で働く外国人労働者が増加している。韓国建設産業研究院がまとめた「2019年建設業外国人労働者適正規模算定研究」報告書によると、外国人建設労働者数は、17年の約17万7000人が今年は約3万5000人増の約21万2300人。19年はさらに約1万5000人増の約22万8000人に達し、2年連続で20万人を超えるとの見通しを示している。

 日刊建設工業新聞が提携する同国の建設経済新聞が4日付で報じた。建設労働者全体に占める毎年の外国人比率をたどってみると、17年が10・1%、18年が11・1%、19年が14・1%と年々上昇する傾向にある。

 報告書によると、19年の建設労働者の需要が151万9000人であるのに対し、供給規模は161万7000人。供給規模の内訳は韓国人が138万9000人余、外国人が22万8000人であり、両方を合わせると9万7000人ほどが超過供給となる。

 報告書が示す建設労働者の需給をみると、土木分野で43万9000人の需要が見込まれるのに対し、供給量は韓国人40万1000人、外国人6万6000人の計46万7000人で、2万8000人の超過供給を予想。94万7000人の需要が見込まれる建築分野では、韓国人86万5000人、外国人14万2000人と100万7000人が供給される見込みであり、6万人余の人材が過剰となる。プラントは、13万4000人の需要に対して、韓国人12万2000人、外国人2万人と14万2000人が供給され、超過供給規模が8000人になるとする。

 職種別には、「仕事が大変な割に賃金が安い」とされる型枠工や鉄筋工に従事する人数があふれ出す見込みで、それぞれ6万人が供給され、需要に対して2万人ずつ超過供給が発生すると分析する。このうち、19年の型枠工の外国人比率は28・9%となり、近い将来30%超となることが見込まれている。鉄筋工の外国人比率も10・8%となり、1
0%を越えた。

 一方で参入障壁が高い職種は、韓国人と外国人を合わせても需要に対する供給の不足が予想される。特に熟練工需要が多いとされる溶接工と配管工は供給不足が見込まれ、それぞれ2400人、3900人の人材がさらに必要と分析している。

 研究院のナ・ギョンヨン副研究員は、「受注産業であり、非製造業である建設業の労働市場の実態を反映した人材需給政策が必要だ」と述べた上で、「韓国人労働者が市場で不足し、外国人労働者を雇用する以外に方法はない建設業固有の特性を検討しなければならない」と強調する。

2018年12月11日火曜日

【回転窓】ネーミングは難しい

酒に溺れ自堕落な生活を送る怠け者の亭主を、やればできる男だと信じる妻の機転で立ち直らせ、改心した亭主が妻に感謝するという古典落語の名作「芝浜」は、クライマックスが大みそかということもあり年の瀬になると多く演じられる▼かつて江戸から品川にかけての海岸線のうち、芝付近の陸側は芝浜、海上が芝浦と呼ばれた。主人公がこの辺りで魚屋さんを営んでいたことから「芝浜」という題名が付けられたとされる▼夫婦の情愛を細やかに描いた人情ばなしの舞台では、国家戦略特別区域の特定事業に認定されたJR東日本、京浜急行電鉄、都市再生機構による都市再生プロジェクトが本格始動を迎える▼この戦略特区に設けられる山手線30番目の新駅の名称が1週間前に決定。山手線では初めて駅名にカタカナを用いることや、想定イメージとの食い違い、呼びづらさなどからキラキラネームとやゆする声も聞かれた▼JR東日本が6月に募集した駅名案には1万3228種類にも及ぶ名称が寄せられたそう。その第3位が3497票の「芝浜」。残念ながらグローバルゲートウェイにはふさわしくなかったようだ。

【政府の環境整備を注視】改正入管法成立、建設業界で交錯する賛意と不安

8日未明に成立した改正出入国管理法を巡って、建設業界内でさまざまな意見が交錯している。

 人手不足が深刻化しかねない将来への懸念がある中、堅調な建設需要を前に企業努力としての外国人材の活用に賛意を示し、「新制度の運用に協力する」姿勢の建設団体は少なくない。ただ元請業者、専門工事業者、国それぞれの役割分担と責任の明確化を求めたり、積み残しの検討事項に注文を付けたりする意見なども出てきている。

 国会審議などでは、建設業で働く外国人材の不法就労や不当な労働条件が問題になった。ある団体の幹部は「すべて建設業の責任と捉えられているなら残念」と指摘する。違法な外国人労働者の存在や労働条件の是正は、在留外国人としての問題であり、正すべき責任を負うのはまず国と考えているためだ。国内には工事に関わる人材の4%が外国人という現場もあるとされる。

 安全や品質を統括する元請業者にとっては、最低限の指導を理解できる語学力がない外国人材の存在は大きなリスクでもあるだけに、日本建設業連合会(日建連)のように元請業者の役割などに関する検討を開始した団体がある。

 政府は19年4月の新制度の導入を目指し、環境整備を進める。同法は国会審議前から注目を集めてきた。外国人材が安い賃金で雇用された場合に、日本人労働者の処遇改善の動きが後退しかねない懸念があるためだ。政府は、建設分野の外国人材の処遇などをチェックする仕組みを新設し、制度の適正な運用に努める。

 年内には、受け入れる外国人の規模などを定める建設分野の運用方針や、日本語教育をはじめ支援策を盛り込む総合的対応策がまとめられる見通し。建設分野は職種別に求める技能水準などが決まる。

 「改正出入国管理法の新制度も積極的に活用したい」と語るのは、技能実習制度に前向きに対応してきたある専門工事業団体の事務局幹部。少子高齢化による労働人口の減少に対する危機感が高く、「人材の不足は深刻化していく」と見ているためだ。「法律からは見えない部分が多い」とも指摘。外国人材の転職の在り方など政府による環境整備の行方を注視するという。

 受け入れた企業の倒産に伴う外国人材の受け皿の整備、外国人材を生かしたい企業への配慮、外国人材の送り出し・受け入れや制度の運用チェックに関するコスト負担、日本への就業を促すための魅力づくりなど、業界の関心は枚挙にいとまがない。

 人手不足がクローズアップされ、18年度補正予算や19年度公共事業予算の執行を不安視する声が再び大きくなることを懸念する見方もある。「制度を適正に運用するための自警的な役割を民間に求め過ぎるのはいかがなものか」(団体幹部)との意見もあり、政府の環境整備に関心が集まる。

【記者手帖】多様な働き方に注目

国土交通省が業界団体と共に建設産業の女性活躍推進に取り組む行動計画を策定してから、来年で5年を迎える。業界で活躍する女性の数を倍増するのが数値目標で、これが達成するかどうかは気になるところ◆数値目標は、女性技術者(1万人)、女性技能者(9万人)を倍増させ、合計20万人とすること。目標達成に向けて日本建設業連合会(日建連)の「けんせつ小町」活動など、業界団体が率先した活動を展開していることは、本紙でもたびたび報じている◆目標数値の達成による、数の充足はもちろん重要だ。ただそれ以上に、女性が活躍する上で多様な働き方が出てきていることを感じる。ある測量会社では3次元(3D)図面作成を全てパートの女性に任せている、また、女性活躍を支援するIT系企業は、総務部門などの内勤女性が現場を側面支援するバックオフィスの改革を提唱する◆女性の特性を生かして活躍する場面を新たに生み出すなど、国交省が行動計画を推し進めたことが、男性中心の業界の働き方改革に影響を与えたことは注目してよいだろう。(え)

【専門学生10人が出版に協力】『建設業で本当にあった心温まる物語』の漫画版第2弾発売です

ハタコンサルタント(名古屋市中村区、降籏達生代表取締役)の『建設業で本当にあった心温まる物語2 マンガ版』が出版された。建設業で働く人たちがつづった心温まるエピソードを分かりやすく読んでもらおうと、名古屋デザイン&テクノロジー専門学校で漫画を学ぶ学生が描いた10話を一冊にした。

 降籏氏は、日刊建設工業新聞で毎月掲載する同タイトルの「心温まる物語」でも選者を務めている。全国の建設技術者や建設技能者から集めたエピソードを題材に、10人の学生たちがそれぞれのタッチで描いた。
 
 16年に発行した初弾に続く漫画版について降籏氏は、将来建設業に1人でも多く入職してもらうためにも、「子どもや一般の方々に多く読んでいただくことで、建設業に興味や関心を持ってもらいたい」とその狙いを語る。

 10話の物語を内容に応じて「お父さんはヒーロー」「職人の技が光る場所」「仲間が気づかせてくれた建設業の誇り」に大別し、3章立てで構成している。

 同社と降籏氏が代表のNPO法人建設経営者倶楽部KKCが制作し、ハタ教育出版が発行。体裁はA4判68ページで定価500円+税。同社のオンライン公式ショップで購入できる。

【新しい仲間が加わるよ!】マンホールカード第9弾、14日から配布開始です

名所や名産物、キャラクターなどが描かれたマンホールの蓋を紹介する「マンホールカード」第9弾の配布が、12月14日から始まる。

 今回は60種類のカードが新たに発行され、人気アニメちびまる子ちゃんの主人公「まる子」がにっこりと微笑む静岡市のカードも登場する。

 下水道広報プラットホーム(GKP)が企画・監修するマンホールカードは第9弾までで全国407団体から478種類が発行されている。これまでに290万枚が配布されているといい、コレクションアイテムとして定着しつつある。

 14日から配布されるカードの詳細やデザイン、配布団体などはGKPのホームページで要チェック!!カードは下水道関連施設や観光案内所などで無料配布する。
マンホールカード第9弾の全カード