2018年11月20日火曜日

【回転窓】規制の変更にご用心を

11月も半ばを過ぎ、朝晩の冷え込みを感じるようになった。冬の訪れに歩調を合わせ、松の木などにわらでできた「こも」を巻き害虫から守る伝統行事の便りが各地から届いている▼冬将軍が到来し雪が降り始めると、毎年のように問題になるのが除雪作業の担い手不足。過酷な環境の中で地域の交通を守るため、地域建設業の方々は奮闘する。一朝一夕で解決できるものではないのだろうが、暮らしの安全安心を守るのに欠かせない役割をどうやって維持していくのか、多くの人に関心を持ってほしい▼本格的な降雪時期を前に知ってもらいたい話題が一つある。それはこの冬から一部の道路でスタッドレス車を含む全ての車でタイヤチェーンの装着が義務付けられることだ▼国土交通省によると、対象は大雪時に車が立ち往生する可能性が高い国道の一部区間など。来月上旬に省令を改正し、豪雪地を中心に運用が始まる▼昨冬は北陸地方で大規模な車の立ち往生が発生するなど各地で大雪の被害が起こった。どの区間が規制の対象になるかは道路管理者が指定し、道路情報板などに新たな標識を表示するそう。ぜひご注意を。

【自転車をもっと身近に】石井国交相、土浦市のサイクリング拠点視察

 石井啓一国土交通相は18日、茨城県土浦市にあるJR土浦駅に直結したサイクリング拠点施設「りんりんスクエア土浦」を視察した。

 来訪者が気軽にサイクリングを楽しめるよう設けた自転車貸し出し窓口や更衣室、シャワー、ロッカーなどの機能について説明を受け、石井国交相は「規模も中身も素晴らしい。土浦が自転車の町として生まれ変わる予感がした。期待したい」と述べた。

 同施設は茨城県が土浦市、JR東日本と連携して整備し3月に開業した。駅直結のサイクリング拠点は国内初。駅ビルの地下1階と地上1階にショップや充実した設備、交流スペースなどを設けた。東京圏から約1時間とアクセスしやすく、霞ケ浦を周遊する全長約180kmの自転車専用道「つくば霞ケ浦りんりんロード」のスタート地点となる。

 政府の自転車活用推進本部長を務める石井国交相は、「本部長ながら最近は自転車に乗れていない。自転車活用をしっかり後押ししていきたい」と語った。

【金沢の冬支度を体験】造園工訓練生、金沢市で雪つり作業

 造園工を目指して金沢市内で訓練中の未就業者たちが18日、冬の風物詩として知られる樹木の「雪つり」作業を体験した。湿った重い雪から木の枝を守る雪つりは、この地域の造園業者にとって欠かせない技能。ベテラン職人の手ほどきで竹と縄を使って作業を仕上げた。

 建設業振興基金(振興基金、佐々木基理事長)では、厚生労働省から受託している建設労働者緊急育成支援事業で行われる訓練の一つとして、石川県造園業協同組合(吉村務理事長)の協力を得た「建設ものづくりコース(造園)in金沢」(11月6日~12月7日)を実施中。年間を通じて緑を創り、守り、育てる仕事の一端を教えている。

 訓練生たちがこの日体験したのは、竹を芯柱として数十本の縄で枝をつる「リンゴつり」と呼ぶ技法。金沢市では毎年、11月1日から始まる兼六園を皮切りに、市内各地で冬支度として雪つり作業が見られるようになる。地域の造園業者にとって、最も忙しい時期になるという。

【新東名・御殿場JCTの工事進む】中日本高速会社、通行止め伴う最後の架設工事実施

 ◇4夜間で段階的に作業推進◇

 中日本高速道路会社が20年度の全線開通に向けて整備を進めている新東名高速道路の建設工事が大詰めを迎えている。

 未開通区間のうち、静岡県御殿場市の御殿場ジャンクション(JCT)付近では、東名高速道路の通行止めを伴う最後の架設作業を実施。今月に入って4夜間(13、15、17、20日)かけて巨大な橋桁を段階的に運搬・設置している。

 新東名の未開通区間のうち、神奈川県内の厚木南インターチェンジ(IC)~伊勢原JCT間(延長5キロ)が本年度、伊勢原JCT~伊勢原北IC間(2キロ)が19年度の開通を予定。伊勢原北IC~御殿場JCT間(45キロ)では、20年度の開通を目指して工事を進めている。

 東名高速道路を通行止めにして新東名の橋梁架設作業を現在進めている工事名は「新東名高速道路 新駒門東第二高架橋他1橋(鋼上部工)工事」。架設作業の実施箇所は、新駒門東第二高架橋の本線部上下線(鋼5径間連続箱桁橋、橋長470・0メートル、有効幅員10・0メートル)、Cランプ第二橋(鋼3径間連続I桁橋+鋼3径間連続箱桁橋+鋼3径間連続I桁橋、橋長633・3メートル、有効幅員8・5メートル)の3カ所となる。施工は横河ブリッジ・JFEエンジニアリング・IHIインフラシステムJV。工期は20年8月15日まで。

 13日の通行止め(全車線交通規制午後7時~翌午前7時)では周辺の地組みヤードで製作していた橋桁のうち、Cランプ第二橋の橋桁(桁長93メートル、重さ約516トン)を架設場所付近の待機ヤードまで多軸式特殊代車で運搬した。2日目の15日は本線下り線側の橋桁(桁長95メートル、重さ約571トン)を同様に待機ヤードに運搬。併せて、Cランプの橋桁を架設箇所の直下まで移動させた後、つり上げ装置で一括架設した。

 17日には上り線側の橋桁(桁長102メートル、重さ約658トン)の待機ヤードへの運搬、下り線側の橋桁の運搬・架設作業を実施。最終日の20日は上り線側の橋桁の運搬・架設作業を実施し、通行止めを伴う一連の架設作業が完了する。

 今回の橋桁の運搬作業では1主桁当たり7軸・14軸・7軸構成の多軸台車(1軸当たり搭載可能重量60トン)を使用。地組みヤードから待機ヤードへの移動の際、東名本線の砂沢川橋を台車が直接通過することができないため、橋の反対側に別の台車を用意し、受け替え作業を行って橋上を横断させた。

【記者手帳】絶景を眺めて思うこと

中央径間長390m、幅1.5m、地上からの高さ173m-。大分県九重町にある「九重“夢”大吊橋」は国内最大規模の歩行者専用つり橋として、2006年10月に完成した。日本の滝百選に選ばれた雄滝と雌滝からなる「震動の滝」の勇壮な姿が目の前に広がり、足元には鳴子川渓谷の豊かな原生林が生い茂る◆開業以来、順調に入場者数を増やし16日に1100万人を突破した。開業後1年間の経済波及効果は町から100km圏内で356億円との試算もある。町の財政に貢献し、「夢」ブランドの地元特産品も開発されている。この季節は紅葉を目当てに訪れた観光客でにぎわった◆町は自力で橋を架け、「鳥しか見ることがかなわない」と言われた絶景を眺めるという夢を実現した。約20億円の事業費を投じたが国や県の補助はゼロ。公共事業への逆風が強まる中、よほどの覚悟と思いを持って挑んだ事業だったに違いない◆地元の良いところを見直し、夢を語る。錦繍(きんしゅう)に彩られた九重連山を日本一のつり橋から眺めながら、地域の活性化に大切なことを改めて教えられた気がした。(松)

【団体28チーム、女性剣士15人が技競う】建設業剣道大会、RFテクニカが団体戦2連覇達成!!

 ◇女子個人、工藤選手(伊田テクノス)が初優勝◇

 第39回建設業剣道大会(日刊建設工業新聞社後援)が18日、東京・東新橋の日本通運武道場で行われた。団体戦に18社28チーム、女子個人戦は15人が出場。団体戦は決勝戦でアールエフテクニカ(東京都渋谷区、宮原禎社長)Aチームが清水建設Aチームを下し、2連覇を果たした。女子個人戦は伊田テクノスの工藤礼佳選手が初優勝に輝いた。

 開会式の冒頭、大会委員長を務める小倉隆氏(大成建設管理本部)は「150人を超える剣士の皆さんの日ごろの努力、たゆまない精進に深く敬意を表す。普段の稽古の成果を遺憾なく発揮し、良い試合を期待する」とあいさつした。

 来賓の祝辞に続き、昨年の団体戦を制したアールエフテクニカ剣道部主将の飯田竜矢選手が「同業者の皆さんとの交流も深め、有意義な大会になるよう全力で臨み、正々堂々最後まで戦い抜くことを誓います」と選手宣誓した。

 団体戦は、午前の予選リーグを勝ち抜き▽安藤ハザマ▽シンドウA▽同B▽鉄建建設▽五洋建設A▽アールエフテクニカA▽伊田テクノスA▽同B▽大成建設▽清水建設A-の10チームが決勝トーナメントに進出。決勝戦では4大会ぶりの優勝を狙う清水建設Aチームに競り勝ち、アールエフテクニカAチームが優勝杯と日刊建設工業新聞社杯を手にした。

 同社剣道部の監督を務める宮原社長は「昨年の優勝から1年頑張り、ここでまた一つ結果を残せてよかった。これからも1試合1試合頑張ります」と喜びを語った。大将を務めた神崎力選手は「対戦相手の方々といい剣道ができたのがうれしい」と述べた。3位はシンドウBと伊田テクノスBだった。

 女子個人戦の決勝は、伊田テクノスの工藤選手が同門の小林日南乃選手を下した。3位も同社の松本実姫、高橋杏奈の両選手となり、入賞を独占した。工藤選手は「みんなと練習してきた成果が出せてよかった。連覇できるように今後も頑張りたい」と語った。

 閉会式では中田琇士審判長(関東管区警察学校名誉師範、江戸川区剣道連盟副会長)が「大変内容が濃く、練度の高い試合を見せていただいた。次を目指して頑張ってほしい」と講評し、大会を締めくくった。

【現場人】関西スチールフォーム(大阪市西淀川区)・小林美穂さん

 ◇経験21年、建設マスターに◇

 鉄筋工として働き始めて21年目の今年、関西スチールフォーム(大阪市西淀川区、田中勲社長)の小林美穂さんは、優秀施工者として国土交通大臣から顕彰される「建設マスター」の称号を得た。鉄筋工の女性マスターは極めて珍しい存在。所属会社はもちろん、職長として現場を担当するゼネコンからもお祝いの電報や電話が数多く寄せられたという。

 工業高校の機械電子科を卒業した後、警備員として働いていた現場で鉄筋工事の仕事を間近で見る機会があった。もともと「ものづくり」が好きで、体を動かして働く仕事にも興味があった。鉄筋工事に触れて居ても立ってもいられなくなり、会社を調べていくつかに電話を掛けてみた。だが女性だからという理由で断られ続けた。

 ようやく受け入れてくれたのが最初に勤務した会社だった。当時、女性だけのチームで鉄筋作業を手掛けるといった活動を展開していた。念願の職に就けたものの1人、2人と抜けていき、数年後に残ったのは小林さんだけ。それでも好きで始めた仕事を辞めようとは思わなかった。

 鉄筋工として働き始めたといっても何も知らない。そんな自分を指導してくれた職長から、一冊の分厚い本を渡された。そこには鉄筋のことが詳しく書かれていた。難しかったが分からないまま読み続け、現場作業を通じて「これはあのことか」「あれはこのことか」と繰り返し確認するうち、現場作業の一つ一つに意味があることを知った。そして仕事がそれまで以上に面白くなった。

自分が携わった現場が完成すると、その建物に足しげく出向いた。「マンションに人が
住み、店舗にお客さんが訪れる様子を見ることがうれしく、家族や友人にも自慢した」。ものづくりのやりがいは、人々の暮らしに貢献することだと思っている。そのことに誇りもある。

 鉄筋工の仕事は重い材料を抱えなければならないことも多い。決して大きくない体では、男性にかなわないことも多い。だから「現場でできるだけ力作業がないように」と、図面から材料を拾い出す作業に時間を割き、現場作業が極力少なくなるよう鉄筋加工を行う施工図の作成に注力。体力を工夫でカバーすることに腐心した。

 今の会社に入って16年。8年ほど前から職長として現場に立っている。今は大阪府東大阪市の物流センターの工事で、ベトナム人技能実習生に仕事を教える日々。「素直で仕事にも一生懸命。責任感を持ち、前向きに取り組んでくれる」と実習生の姿勢に目を細める。いずれはどういう人材に来てもらうかなど、経験を生かして実習生の採用にも取り組んでみたいという。

 (こばやし・みほ)

2018年11月19日月曜日

【回転窓】勤労感謝の日を歓喜の日に

会社勤めをする身として人ごとではない「働き方改革」。勤労感謝の日を前に、該当する記事を会社の検索システムで調べてみると、その数は今年、1000件を大幅に超える▼統一土曜閉所運動の毎月実施、週休2日工事を拡大、関係法改正…。建設業界にとって働き方改革は欠かせないキーワードとなった。法制度が整い、これからは決まったルールや制度をどう運用していくかが焦点になろう。祝日に閉所される現場が少しでも増えるよう期待したい▼今年の勤労感謝の日は働き方改革とは違った面でも重要な日になる。パリで開かれる博覧会国際事務局の総会で、日本も開催に名乗りを挙げる2025年国際万博の開催地が決まる▼大阪・夢洲を候補地に大阪府や大阪市、地元経済界らが誘致活動を進めた。建設業界も「業界を挙げて協力する」(関西の建設関係団体首脳)と意欲を見せてきた▼ライバルは初開催をアピールするロシア(候補地エカテリンブルク)とアゼルバイジャン(バクー)。国際交渉力が試される勝負の日。両都市の方々には申し訳ないが、大阪が歓喜に沸く日になるよう願ってやまない。

【凜】国土交通省関東地方整備局東京国道事務所・下平幸英さん


 ◇未来切り開く技術者に◇

 計画から維持管理までインフラに幅広く携わりたいと考え、技術系公務員の道を選んだ。「皆さんの安全を守るとても重要な仕事。愛着も湧いてきた」と笑顔で語る。

 現在は、道路空間を利用したカーシェアリング事業の運営などが担当。全国初の社会実験として、小型モビリティーの貸し出し・返却拠点が東京・大手町などに設けられている。利用状況を踏まえつつ、課題整理などを進めている段階だ。

 道路の安全対策の面では、ETC2・0で収集した車両交通のビッグデータを利用して、生活道路の安全性を高める業務に取り組んでいる。データを分析して次の施策を考える点でどちらも共通する。「周りと相談しながらデータをしっかり読み解いて、道路の上手な利用につなげたい」。

 地元関係者と調整する場面も多く、理解しやすい資料の作成にも力を入れている。自分の思いを相手に伝えるセンスがあるというのが上司の評。「新しい道路の計画や維持管理なども経験し、技術者の基礎を形づくっていけたら」と将来を見据える。

 勤務する東京国道事務所では、品川駅(東京都港区)の西口駅前広場の再整備なども検討中だ。最先端モビリティー導入などを見据えている未来型プロジェクト。「もう少し実力が付いたら、品川の計画づくりに携わってみたい」と今後を思い描いている。

 (交通対策課、しもだいら・ゆきえ)

【中堅世代】それぞれの建設業・215

現場のマネジメントも生産性向上も、職人との向き合い方が鍵となる
 ◇お互いにスパイラルアップ◇

 安全表彰を受けるための出張から現場に帰ってくると、あるベテラン職人が昼休みにトイレの清掃を行っていた。誰もが気持ち良く使えるよう、現場では1日に必ず1回は清掃することを決まりにしている。ルールを超えて清掃する理由を職人に尋ねると、「1日1回ではきれいになりにくいこともあるから」と淡々と答えてくれた。

 「こういう職人に現場は支えられている」。ゼネコンに入社して25年になる現場所長の小関裕太さん(仮称)は、現場を大切に思ってくれるこの職人の善意に感謝し、表彰することにした。回数や時間を決めれば、職長会が当番を決めてくれて、丁寧にトイレの清掃を行ってくれる現場は多いが、求められたからではなく、ただ現場のためを思ってしてくれた行動が素直にうれしかった。「現場はきれいでないといい仕事はできない」と先輩から教わってきた。労働環境の整備にはこれからもこだわるつもりだ。

 「表彰されたことを伝えたら、かみさんがすごく喜んでくれたよ」と、表彰した職人が照れながら話してくれた。現場関係者の懇親を深めようと思って企画したイベントに孫を連れてきてくれたこともあった。「こういうつながりを大事にしたい。職人と職長会を大切にする」。当然のことながら、そう心掛けている。「やらされている感じではうまくいかない」。職人との付き合い方をそう感じており、「良かった、悪かった、もっとできた、とタイムリーに評価すること」を現場のマネジメントのポイントに挙げる。

 休日を増やしたり、残業を減らしたりするために、会社が生産性の一層の向上を目指している。必要性を理解し、協力は惜しまないが、実現に欠かせないのは「現場からのアイデア」だと思っている。大量の部材を効率的に組み上げたり、揚重の回数を減らしたりするような工夫は、着工前から視野に入れている。それでも現場では刻々と変化する条件に応じて段取りや作業を変更する必要がある。

 「おもしろいアイデアが生産性向上の鍵」。いいアイデアは、すぐ生まれることもあるし、時間がかかることもある。現場の技術者と職人それぞれからアイデアを引き出す必要があり、「まずは発想を否定しないこと」を会社に求めたいと考えている。

 現場では、手順の確認や合意形成を促すのに加えて、元請と協力会社の英知を結集するために、構造物のモックアップの作成に努めている。「自信を持って作業に臨める」と手応えを感じており、機会があれば社内外に成果を積極的にアピールしている。

 経験を重ねる中で、同業他社の所長との付き合いも長くなってきた。竣工に伴って他社の所長に譲った清掃道具や植栽用のプランターが巡り巡って自分の現場に戻ってきた。「この仕事は、人と人とのつながりで成り立っている」と改めて思うようになった。「いいとこ取りしながらお互いスパイラルアップしよう」。現場で奮闘中の同世代の活躍を励みに、所長として負けないよう「選ばれる現場づくり」にまい進する。

【女子高生がまちづくりに貢献】福井県鯖江市、全国地域づくり協議会会長賞受賞

 ◇JK課、自由な発想で各種企画◇

 女子高生が街づくりに貢献-。福井県鯖江市が14年度に立ち上げた「鯖江市役所JK課」は、市内の高校に通う女子高生の自由な発想で、自分たちの街を楽しむ数々の企画や活動を展開している。

 このほど国土交通省が創意と工夫を生かした個性的な地域づくり活動に贈る18年度地域づくり表彰で、全国地域づくり協議会会長賞を受賞した。

 JK課は、女性の高校卒業後の転出や地域離れを食い止めようと、若者や女性が日常生活の中で気軽に地域活動に参加する実験的プロジェクトとして始動。これまでに、市の地場産業であるめがねフレームのデザイン、伝統薬味の「山うに」を使用したおにぎりとサンドイッチの開発、市内のパティシエグループと協働したオリジナルスイーツの開発・販売などの活動を展開。発足以来、年間80日、20回以上の事業実施という実績を上げている。

 大人を巻き込みながら地域活動を実践することを通じ、若者や女性が進んで地域活動に参加する新たなモデルの構築を目指している。地域の産業振興や街づくりの活性化に寄与し、プロジェクトの趣旨に賛同する全国の自治体への横展開も始まっている。

【駆け出しのころ】みらい建設工業執行役員施工本部副本部長・久野木哲也氏

 ◇ステップアップへの努力を◇

 三井不動産建設(現みらい建設工業)に入社したのは1981(昭和56)年で、就職難の時代がようやく終わり、各社が採用人数を増やし始めた頃であったと思います。就職試験の面接の中で突然、「相撲を取れますか?」と質問されました。当時は三井不動産グループの運動会に相撲があったようで、質問にはびっくりしましたが、「明るい雰囲気の会社だな」と感じたのを覚えています。

 箱根の研修施設で新入社員研修を受けた後、中部支店に配属となり、名古屋港の現場に赴任しました。学生の頃は映画のように、現場に出たらネクタイを締め、図面を脇に抱えて、いろいろと指示している格好いい自分の姿を思い描いていましたが、現実の仕事は測量や丁張り設置などが中心で、イメージとはかなり違ったものでした。ただ、現場や寮ではいい先輩たちに恵まれ、仕事も遊びも充実した、楽しい新人時代を過ごさせていただきました。

 20代半ばに担当した漁港工事でのことです。漁船を岸壁から海に降ろすためのレールをスロープに設置したのですが、竣工検査の時に漁船を載せる台車が途中で「コットン」と止まってしまうのです。後で調べると、設計とは違う長さのボルトでレールをつないでいたのが原因と分かるのですが、検査中に何度やっても止まってしまい、これには焦りました。この日のことを知っている先輩たちからはしばらくの間、「コットン事件」と言ってからかわれました。細かな点までチェックしなかったミスでした。

 30代、40代はほとんどの期間、高速道路の工事に従事しました。自分でいろいろと施工計画を考え、発注者や協力業者との調整に当たることができる年代になっていたこともあり、今振り返っても最高に充実した時期でありました。

 そんな中、1人の所長からは大きな影響を受けました。仕事に対する指導が非常に厳しく、私は怒られてばかりの日々。時には意見が合わずにぶつかり合い、「もう二度と同じ現場では働きたくない」と思ったこともありました。しかし、後で考えると、現場のことは何でも知っておられ、意見が対立して嫌われても、自分が正しいと思うことははっきり伝えるという姿勢は現場を預かる者として大切なことであると思いました。後に自分が主任、所長の立場となり、この方から教えてもらったことの大きさを実感したものです。

 私たちが仕事を教えてもらった時代とは違い、今は若い人たちを「褒めて育てる」と言われます。でも、ワンステップ上がる時にはそれぞれが苦しい思いをしながらも努力することが必要で、これは建設業に限ったことではないでしょう。新入社員が経験を積んでどんどん成長していく姿は頼もしく、どんな場面でもしっかりとした土木の知識で判断できる技術者に育ってほしいと思います。

 (くのぎ・てつや)1981年法政大学工学部土木工学科卒、三井不動産建設(現みらい建設工業)入社。本社、横浜支店、関西支店、中部支店で下水道工事や港湾工事、高速道路工事などに従事。中部支店工事部長などを経て、17年4月から現職。東京都出身、60歳。
高速道路工事の竣工を記念して
(後列右から2人目が本人)

2018年11月16日金曜日

【回転窓】G空間情報の活用で広がる夢

ギリシャ神話に登場する伝説の都市トロイ。その実在を証明したドイツ人実業家のハインリッヒ・シュリーマンは多くの資金と人をかけて発掘調査した▼技術の進歩とともに地表や地下の調査方法も変わってきた。調査の潮流を変えたのはレーザースキャン技術。航空機に搭載した装置は森林の下に隠れた人工物の特定も可能。海外では2週間で300平方キロの範囲を探査した実績もあるという▼技術進化は日進月歩。わずかな時間でそれまで不可能だったものが可能になる。15日に東京都内で開幕した「G空間EXPO2018」には、準天頂衛星システム「みちびき」を使った高精度測位サービスや高性能レーザースキャン技術などが並んだ。わずか数センチの誤差で位置を特定する衛星が今後、どのようなサービスを生み出すのか夢も膨らむ▼考古学界が次に期待するのは空から地中や構造物の中まで透過する技術だそう。ハードルの高い要望といえるが、「本当の技術革新はこれから」との力強い声も▼G空間EXPOの会期は17日まで。生活にも役立っている地理空間情報を活用した技術やサービスを体験してみてはどうか。

【土木学会広報大賞で優秀賞!!】噂のデミ&マツ、南阿蘇村で「立野ダムを食べつくせ!」イベント

 土木の大切さや魅力を伝えるために土木技術者2人で結成したボランティア団体「噂の土木応援チームデミーとマツ」は10日、熊本県南阿蘇村の立野ダムで土木体験イベント「探検!立野ダムを食べつくせ!」を開いた。

 小中学生の親子と国土交通省、工事関係者約70人が参加し、普段は見ることができないダム工事の現場の雰囲気を体感し、土木への理解を深めた。

 今回のイベントは、立野ダム工事関係者連絡調整会議の後援、九州地方整備局立野ダム工事事務所の協力の下、建設が進む立野ダムの役割など国土防災を担う土木事業への理解を深めてもらうために企画。立野ダムの秘密について講義が行われたほか、ダムトンネルを歩いて探検、カヌーに乗ってダム湖探検、ダムカレーの盛り付け大会などが行われた。

 イベント後、立野ダム工事事務所の鵜木和博所長は「デミーとマツさんに協力頂き、斬新なイベントを開催することができた。宮崎文秀工事事務所長をはじめとする現場技術者が生き生きと解説する姿や、参加者が鉄筋の結束作業などを楽しみながら体験されている姿が印象的だった」と感想を述べ、「ダムの現場にはさまざまな工法がある。今後も親子を対象にした現場体験型の土木体験イベントを仕掛けて行きたい」と話した。

 立野ダムは九州整備局が白川沿川の洪水被害の防止・軽減を目的に計画している洪水調節専用ダム(流水型ダム)。曲線重力式コンクリートダムで、堤高は87m、堤頂長は197m、堤体積は約40万m3、貯留容量は約1000万m3。8月に1期工事が起工した。西松建設・安藤ハザマ・青木あすなろ建設JVが施工し、今後約2年かけて基礎掘削を行い、20年度に本体コンクリート打設を開始する予定。総事業費は約917億円。22年度の完成を目指している。

【延べ2万㎡、王貞治ミュージアムなど配置】福岡ソフトバンクホークス、ヤフオクドーム隣接地にエンタメビル建設

福岡ソフトバンクホークスは、福岡ヤフオクドーム(福岡市中央区地行浜)の隣接地にエンターテインメントに特化した新ビルの建設を計画している。建物規模はS造9階建て延べ1万9774平方メートル。設計は三菱地所設計と竹中工務店が担当。竹中工務店の施工で12月に着工し20年の完成・開業を予定している。

 「福岡ヤフオク!ドーム新ビル計画」は2019年に球団が福岡に移転してから30周年を迎えるのを機に次世代型複合エンターテインメント空間の創出を目指すプロジェクト「FUKUOKA超・ボールパーク宣言」の一環。

 新ビルの建設地はヤフオクドーム敷地内東側の駐車場などがある敷地(建築面積2650平方メートル)。免震構造を採用し、ヤフオクドームのデッキ(外周通路)に接続する。

 詳細な施設内容は近く発表するとしているが、ヤフオクドーム内から移転しリニューアルオープンする王貞治ベースボールミュージアムのほか、スポーツや知的好奇心に新たなテクノロジーを加えたエンターテインメント施設、食のエンターテインメント施設などを配置する。

【地上230mから躍動する渋谷を一望】渋谷スクランブルスクエア、最高層の東棟は来秋開業

渋谷スクランブルスクエアの完成イメージ(ⓒ 渋谷駅街区共同ビル事業者)
(中央左から最高層の東棟、中央棟、西棟)
東京急行電鉄とJR東日本、東京メトロの3社は、東京都渋谷区の渋谷駅直上で推進する総延べ床面積約27・6万平方メートルの大規模複合開発「渋谷スクランブルスクエア」のうち、第ii期(中央棟・西棟)の建設に向け、2020年東京五輪・パラリンピック後に既存建物の解体に着手する。解体完了後、本体工事に着手し、27年度の完成を目指す。工事が先行する第i期(東棟)は月内に上棟する見通しで、19年秋に開業する。

 渋谷スクランブルスクエアの計画地は渋谷2の23ほか(敷地面積約1万5300平方メートル)。敷地内の東急百貨店渋谷駅・東横店を核とする場所に第ii期の中央棟と西棟を整備する。建物は中央棟が地下2階地上10階建て、西棟が地下5階地上13階建ての規模。総延べ床面積は9万5000平方メートルを想定する。

 東急東横線の旧渋谷駅駅舎跡地などでは第i期の東棟を建設している。建物規模は地下7階地上47階建て延べ18万1000平方メートル。高さは渋谷エリア最高の約230メートルとなる。
東棟の屋上に設けられる展望施設(ⓒ 渋谷駅街区共同ビル事業者)
展望施設と産業交流施設、商業施設、オフィスを配置。目玉施設の「SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)」は地上14階の屋内展望エリアと45階~屋上の展望エリアで構成。屋上展望空間は国内最大級となる2500平方メートルの広さを確保する。360度が見渡せ、眼下のスクランブル交差点のほか、富士山や東京スカイツリーなどの眺望が楽しめる。

 15階に産業交流施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」を配置。イベントスペースを設けるほか、独自のプログラムや大学との連携で新たな価値の創造とクリエーティブな人材の育成を目指す。地下2階~地上14階に都市型商業施設、オフィスを地上17~45階に導入する。
「SHIBUYA SKY」の高さは230m。眼下にはスクランブル交差点など渋谷の街が広がる
(ⓒ 渋谷駅街区共同ビル事業者)
渋谷スクランブルスクエアの設計は日建設計・東急設計コンサルタント・ジェイアール東日本建築設計事務所・メトロ開発JV、デザインアーキテクトは日建設計、隈研吾建築都市設計事務所、SANAA事務所が担当。東急建設・大成建設JVが施工している。

2018年11月15日木曜日

【回転窓】労働の本質とは…

その集団の秩序を守り、その中に自分の幸福を見いだすこと、これが一番大事です-。ホンダの創業者である本田宗一郎が1970年の入社式で社員に贈った言葉は、半世紀近くたつ現代の働き方にも通じる▼戦後の復興期から高度成長期に入り、ワーカホリック(仕事中毒)とまで言われるほど、がむしゃらに働くことが当たり前だった時代。経済や社会が急速に成長・発展する中、一定のルールの下で個人の幸せを追求することに労働の本質を見いだしたトップのメッセージは重みがある▼幸せの感じ方は人それぞれ。体や心を害するような過酷な労働環境は是正されるべきだろう。だが一律的に労働時間に規制をかけて休日を増やすことを、すべての人たちが望み幸せだと考えるのは一方的な見方でもある▼働き方改革に取り組む建設業界。現場の休日を増やすことは、日給月給制の職人にとって収入減につながる。労働集約型の産業は働き方もさまざまで、多様な価値観が存在する▼組織の秩序を保ちながら自分の幸せのために働く。世界に冠たるものづくり企業の礎を築いた先人が残した言葉の意味を、いま一度考えたい。

【50点を展示、会期は11月20日まで】土木写真家・西山芳一氏が東京・銀座で写真展

 土木写真家の西山芳一氏(写真㊧)と、同氏に師事する大村拓也、徳川弘樹、飯室和也の3氏による写真展「土木四人展」が14日、東京都中央区のFMエキシビジョンサロン銀座で開幕した。

 4人による初の展覧会。それぞれがテーマを設定し各自の視点で土木の魅力を写し撮った作品約50点が並んだ。

 テーマは、西山氏が橋梁を中心とした「見上げる橋」、大村氏が都内の土木現場でさまざまな重機と作業員がダイナミックに動く姿を追った「東京工事舞曲」、徳川氏がトンネルや洞門の魅力を詰め込んだ「sheds」、飯室氏がドローン(小型無人機)を使って円筒分水を新しい視点で写した「Circle Works」。

 西山氏は「私の事務所のスタッフと『土木』をテーマに視点を変え、ステージを変えての写真展であり、この上ない幸せを感じている。皆が何度も対峙(たいじ)してカメラに収めたさまざまな土木の形相や息吹を十二分に感じ取ってほしい」と話した。時間は午前10時~午後7時。会期は20日まで。

【昭和基地で設備の設営など担当】関電工、社員2人を第60次南極観測隊に派遣

関電工の社員2人が第60次南極観測隊に選ばれた。参加するのは、営業統轄本部施工品質ユニット技術企画部の松嶋望氏(写真㊧)と曽宮優一氏。南極では昭和基地内の電気・空調設備の設営や保守管理などを担当する。

 松嶋、曽宮両氏は7月から国立極地研究所に出向し、設営隊員(機械担当)として越冬訓練や設営計画の検討などの準備を進めてきた。10日には晴海ふ頭(東京都中央区)から資機材の搬入を終えた南極観測船「しらせ」が出港。2人は25日に日本を出発し空路で豪州に入った後、しらせに乗船して南極を目指す。

 同社は1986年の第28次観測隊から社員を派遣。現在も社員1人が第59次観測隊越冬隊の設営隊員として任務に携わっている。

【施工は清水建設JV】八ツ場ダム本体建設工事(群馬県長野原町)、完成に向け総力を結集

 首都圏の治水対策や都市用水供給、発電などを目的に、国土交通省関東地方整備局が群馬県長野原町で進めている八ツ場ダム建設事業。本体工事を担う清水建設・鉄建建設・IHIインフラシステム異工種JVは、さまざまな工夫を凝らしながら、工事を進めている。堤体が約9割まで立ち上がった今も、約500人が昼夜で作業に当たり、完成に向け力を結集している。

 ◇大型設備や並行作業で工期短縮◇

 同ダムは堤高116メートル、堤頂長290・8メートル、堤体積約100万立方メートルの重力式コンクリートダム。総貯水量は1億0750万立方メートルに達し、東京ドームを約87個分満水にできる。現在は堤頂部のピア構築のほか、遮水のためのセメントミルク圧入なども展開中だ。

 ダム本体の構築に当たっては、スランプゼロのコンクリートをブルドーザーで敷きならし、振動ローラーで締め固めていく「巡航RCD工法」を採用。ピーク時には1カ月で約6万立方メートルを打設した。打ち継ぎ部をバキュームなどで清掃するなど、品質管理も徹底した。

 工期短縮を狙いに、ダム監査廊や放流設備などでプレキャストを積極的に取り入れており、そうした箇所には高流動コンクリートを採用した。表面部分は水を止める機能が求められるため、セメント量の多いコンクリートを打設した。清水建設JVの平塚毅統括所長は、「機能に応じてコンクリートを使い分けて、縫い合わせるように一体化させている」と説明する。

放流管の組み立ては上流側に設けた構台の上で実施。設置位置まで堤体コンクリートが打設されたタイミングに合わせ、横引きして据え付けた。これにより堤体コンクリート打設を極力止めずに設置することができたという。設備の大型化なども図り、工期短縮につなげている。

 ◇3Dスキャナーなど駆使し施工品質確保◇

 円滑な資材搬入もカギとなる。旧吾妻線跡を活用して、原石山から現場まで延長約9キロをベルトコンベヤーで結び、搬入効率を高めた。多種多様なコンクリートを用いる中で、使用する骨材を間違えないよう3次元(3D)スキャナーで骨材粒径を判別する新システムも取り入れた。

 清水建設らによるコンソーシアムとして、国交省の「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」を受託して、新技術開発も進めている。

 平塚所長は「コンクリートダムで一番怖いのはストップすること」と話す。1日当たりの設備損料や人件費は約2700万円。作業が止まれば出来高が上がらないまま、コストが積み上がっていく。

 ベルトコンベヤーにトラブルが生じたこともあったという。その際は長崎県から部品を取り寄せ、深夜に作業を進めて早朝に復旧させた。「絶対に止めないという緊張感を皆が持ってくれている。その積み重ねがあって今がある」と平塚所長。たすきを渡してゴールを目指す駅伝の姿に重ね、「そういうところがコンクリートダムの良いところ」と笑顔で話す。工期は20年3月まで。一体感のあるチーム力を武器に、完成へと突き進む。

2018年11月14日水曜日

【回転窓】現代の名工と技術貢献

卓越した技能を持ち、その分野の第一人者が対象となる「現代の名工」に、本年度は建設部門を含む150人が選ばれた。昨年より1人多く、12日に東京都内で表彰式が開かれた▼厚生労働省の発表資料を見ると、古代鋳造技術の考察を踏まえた銅鐸(どうたく)の復元製作、製鉄用連続鋳造金型への合金めっきなど、表彰対象の技能はさまざま。いかに多種多様な専門技能が日本のものづくりを支えているかが分かる▼受賞者の一人で工芸品「多摩織」の名工・澤井伸さんは、伝えられた技術を生かして新しい生地の開発にも取り組み、米巨大IT企業に技術供与もするなど世界的な評価を得ている(11日時事)。伝統技術が分野や国を超えて活用されている一つの好例でもあろう▼18年度の「現代の名工」が発表されたのと同じ11日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機から分離された小型回収カプセルが地球に戻り、小笠原諸島・南鳥島沖で回収された。日本の宇宙技術の歴史を塗り替える大きな成功だという▼身近な環境づくりから最先端の宇宙開発まで、建設産業の技術が貢献できる領域もまだまだ広い。

【16件の取り組み表彰】土木学会、都内で「土木広報大賞」授賞式開く

 土木学会(小林潔司会長)は12日夕、東京・四谷の本部で「土木広報大賞2018」の授賞式を開いた。土木インフラの役割や意義、魅力を伝える優れた広報活動を選定し顕彰。最優秀など各賞に選ばれた計16件の取り組みを表彰した。

 土木広報大賞は本年度に創設された。99件の応募の中から、最優秀賞としてフォーラム・シビル・コスモス(FCC)が行う市民向けイベント「どぼくカフェ」を選出。優秀賞は静岡県建設コンサルタンツ協会が実施した「CON!CON! 富士山の体積をはかる『アイデア』大募集!」、土木技術者2人がつくる土木応援チームのデミーとマツによる「ワクワク土木土木(ドキドキ) デミーとマツの驚き土木体験イベント」が選ばれた。

 授賞式に先立ち、淺見郁樹副会長は「どれも立派な活動であることを身を持って感じた」とあいさつした。続いて選考委員長を務めた田中里沙事業構想大学院大学学長が「土木分野に新しい価値を吹き込む広報を選んだ」と提案作品を総括した。

【レースの舞台は超高層ビル(の階段)】横森製作所、世界的レース「スカイラン」のメインスポンサーに

 レースの舞台は超高層ビル-。鉄骨階段メーカーの横森製作所(東京都渋谷区、有明利昭社長)がメインスポンサーを務める「YOKOMORI presents ハルカス・スカイラン2018」が4日、大阪市阿倍野区にあるあべのハルカスで開かれた。

 世界9都市の超高層ビルの階段を駆け登る「VWC(バーティカル・ワールド・サーキット)」の第7戦。あべのハルカスの60階展望台まで標高差288メートル、1610段の非常階段を駆け登るレースに約1000人のアスリートが挑んだ。最速はポーランドから参加したピーター・ロボジンスキー選手が記録した8分32秒だった。

 非常階段の設計・製造・施工を担当した横森製作所の有明社長は「日常生活で階段はなかなか意識されにくいが、建物を建てる際に作業員の安全通路となり、唯一の避難経路となる。当社製品は日本で多く使われているが、ハルカス・スカイランで選手の皆さま方と共に主役となりレースに参加できた。階段の新しい価値が創出されていることを喜ばしく思う」とコメントを寄せた。

【海外勤務契機に観測隊志願】飛島建設・馬場潤氏、第60次南極観測夏隊に参加

 飛島建設大阪支店建築部の馬場潤氏が、第60次南極観測隊(夏隊)の設営部門のメンバーとして派遣される。今回の南極観測隊では風力発電装置3号機の建設をメインに、ヘリパッドの建設、自然エネルギー棟屋根の防水工事、道路の補修などを実施する。今月下旬にも出発し、19年3月末に帰国する予定だ。

 同社は1994年から、南極観測隊の設営部門(土木・建築)に技術者を継続派遣、延べ人数は第60次で25人に上る。主な活動内容は昭和基地にある建物の建設、解体、保守など。現地ではブリザードなど天候状況により計画通りに作業が進まない可能性もある。馬場氏は「気候をみながら作業工程を組み、柔軟に対応する」と意気込む。

 夏隊として参加する40人のうち、建設のプロは馬場氏を含む7人。「研究者や医療関係者など、建築知識を持たない隊員は多い。作業で隊員にけがをさせないよう注意を払う」と自身の役割を説明する。4年前に海外で仕事をした経験がきっかけで南極観測隊に志願。「誰にでも経験できることではない。無事に帰ってきて、良い報告をしたい」と笑顔で話す。

【モデルはJR六甲道駅復旧工事】奥村組、関テレのドラマ制作に協力

阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けたJR六甲道駅の復旧工事(施工・奥村組)を題材にした、関西テレビ開局60周年特別ドラマ「BRIDGE~はじまりは1995年・1・17神戸~」が、19年1月15日午後9時からフジテレビ系列で全国放送される。

 難工事に立ち向かった奥村組が特別協力社として参画。当時の現場担当者による監修、工事記録や映像・写真の提供など、ドラマ制作に全面協力している。

 JR神戸線(東海道本線)で最も被害が大きかった六甲道駅では、駅舎と線路が崩壊し東西をつなぐ大動脈が寸断した。「一刻も早く、電車が走る“日常”を取り戻さなければならない」。そんな強い使命感で復旧工事に挑んだ奥村組は、持てる知力・体力・気力を結集して六甲道駅をよみがえらせ、震災から74日間という驚異的な早さで電車を開通させた。

 ドラマは実話に基づいたフィクション。74日間の壮絶な復旧工事と、それを見つめた地元の人々との関わり合いを描く。主演を俳優の井浦新さんが務め、JRから復旧工事の依頼を受けた建設会社・磐巻組の高倉昭工事所長役を演じる。高倉所長は、実際の工事を指揮した奥村組の岡本啓さん(当時)がモデル。

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/ハノイで都市計画セミナー開く

 ベトナム都市農村計画研究所(VIAP)とベトナム都市計画開発協会(VUPDA)は、10月26日にハノイ市内でセミナーを開いた。テーマは「建設計画とコンサルティング業務:課題と好機」。セミナーはVUPDAの設立20周年を記念する事業の一環で行われた。

 開会のあいさつでファン・ティ・ミ・リン副大臣は、「ベトナムの都市計画は常に強化・発展を続けている。全国800の都市が社会経済発展の原動力だ。都市システムの強化は建設計画の進展にも貢献している」と述べた。

 VIAPは2012年に設立された建設省傘下の組織。VUPDAは都市・農村計画を担うコンサルタントなどの団体で、専門家間の知見の共有や中央・地方政府と企業の協力促進などを目的としている。

セイ・ズン、11月2日)

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/韓国の建築設計界、フリーランサー急増

労働時間の上限を週52時間とする改正勤労基準法が7月1日に施行となった韓国の建築設計界で、フリーランサーの雇用が急増している。

 正規職員の勤務時間が52時間に達した時点で、代わりに夜勤を通じて残った業務を行うケースが増えているという。韓国版「働き方改革」によって生じた労働力不足により、かつて月に400万~500万ウォンで雇用できていたフリーランサーの報酬が最近では700万~800万ウォンにまで跳ね上がっている。

 同国では、週52時間労働時間制が導入されて4カ月近くが経過した。日刊建設工業新聞が提携する同国の建設経済新聞が報じた1日付の紙面によると、常用労働者300人以上を抱える大手建築事務所が一斉に労働監督調査を受けており、このうち最大手10社の一部では現場調査も行われたようだ。法規定の順守を巡る労働監督調査を恐れる企業が、フリーランサーの雇用を急増させているとした。

 フリーランサーは、プロジェクトごとに会社を転々と渡り歩き、正規職員らと共に作る数人単位のチームに混じって、仕事の手伝いをする。これまでは納期を控えた時期に緊急雇用するケースが多かったが、現在はプロジェクト開始時点から構成員として使われることが多い。チーム単位で雇用するフリーランサーはこれまで1~2人だったというが、今は2~4人にまで増えている。

 52時間労働時間制の導入以降、需要が急拡大したフリーランスの報酬は天井知らずの状況という。ある建築設計事務所の役員は、「正規職員の月給よりフリーランサーの月給の方がはるかに多い」として、同じプロジェクトで仕事をする職員の士気低下を懸念する。1年単位で勤務時間を策定すれば、週52時間の規制に適合できるのに、「政府があえて3カ月単位としたことによる弊害が出ている」とも指摘した。

 現場調査を受けた大手事務所のうち、8月から調査が入っているとするA社の関係者は、「この3カ月間で業務がまひした状態であり、精神的にまいった」とする。労働監督官が誘導質問を続けたとするB社関係者は「非常に緊張した。職員休暇願などの書類もきちょうめんに調べていった」とした。

 政府が現在進める現場調査は、52時間労働時間制の確実な実施に向けた啓発と位置付けられているというが、C社役員は「後で要注意業者に分類されて強力な調査を受ける」のではないかと警戒感を示す。そのため同社は、問題の素地をなくすためにも、「正規職の採用を減らして、フリーランサーを最大限稼働させることにした」という。

CNEWS、11月1日)

2018年11月13日火曜日

【回転窓】入管法改正案審議の行方は

外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法(入管法)改正案がきょうの衆院本会議で審議入りする。与党は「移民」という言葉に敏感に反応し、政府も「移民政策ではない」とするが、日本の入国管理政策の大転換となるだけに審議の行方から目が離せない▼2日に閣議決定した入管法改正案は、新たな在留資格の創設を打ち出した。特定技能1号と同2号の二つ。在留期間が通算5年の特定技能1号は「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に与えられる▼この1号資格の対象として想定されているのは、人手不足が深刻で日本人の労働者が集まらない14の業種。ほかならない建設業もその一つ▼過去にも外国人労働者の受け入れ論は幾度となく浮上したものの、日本人労働者の処遇改善が先決として、第一歩は踏み出せないままだった▼特定技能1号の要件となる「相当程度」の知識・経験がどの程度のものなのかは、まだはっきりしていない。「単純労働は考えていない」というのが山下貴司法相の弁。しかし「単純」な労働など、14業種にはないだろう。大きな一歩への慎重な審議をお願いしたい。

【アンコール遺跡カレンダー、10名にプレゼント】遺跡国際調査団、19年版カレンダー作成

 アンコール遺跡国際調査団(団長・石澤良昭上智大学アジア人材養成研究センター所長)は、石澤氏が総合監修した19年版の「アンコール遺跡カレンダー」を作成した。B4判16ページのカレンダーは全面カラー刷り。カンボジアにある世界文化遺産のアンコール遺跡群を多面的にとらえている。調査団はこのカレンダーを10人にプレゼントする。

 同調査団は、カンボジアが世界に誇る同遺跡と関連した伝統文化の保存・修復活動を1991年から展開。その活動は同国政府に協力する形で調査、研究、修復、人材育成など多岐にわたる。石澤氏は調査団活動が評価されて昨年、アジアのノーベル賞ともいわれるラモン・マグサイサイ賞を受賞した。

 同遺跡群を代表するアンコール・ワットは12世紀初頭、スーリヤヴァルマン2世によって建造された「寺院のある都」を意味する遺跡の一つ。クメール人が造営した世界最大級の国家鎮護の寺院だ。

 クメール民族の象徴として、高さ65メートルの中央祠(し)堂がそびえ、紙1枚も通さないほどの精巧な石積み加工が施されている。約800年を経てもその荘厳な威容は多くの人を感嘆させ、海外旅行先としても絶大な人気を誇っている。

 プレゼント希望者は、はがきに住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記入し、〒151-0051 東京都渋谷区千駄ケ谷2の39の3の401ティル内アンコールカレンダーN係まで申し込む。当選者発表は来年1月以降となる発送をもって代える。

【河川工事の魅力、発信します】関東整備局、現場関係者限定の写真コンテスト開催

 関東地方整備局は、「河川工事“ナマ”現場写真コンテスト」と題した新しい取り組みを開始した。同局が発注した河川工事の受注者から募集し、優秀な作品を表彰する。施工に従事する人だけに限定して、現場の内側から見た写真を募集する。同局によると全国初の試みという。

 応募資格者は同局発注の河川・ダム・砂防工事に、元請企業や下請企業などで従事する人。応募数は各現場2点までとする。募集期間は19年2月22日まで。同3月以降に、同局内や同局ホームページなどで紹介する。

 テーマは自由だが、工夫を凝らした仮設物や珍しい建設機械・資材、生き生きと働く現場関係者、その時しか見ることができない工事現場の空間・景色などを想定している。

 現場や従事する人に光を当てることが狙いで、優秀な作品は河川工事の広報活動に活用する。その際には、撮影者の氏名や所属会社名なども合わせて紹介する。佐藤寿延河川部長は「砂防工事などはなかなか人目に付かないが、すごいことをやっており“見える化”していきたい。見せたいと思う写真を応募してほしい」と話している。

【社員や家族、550人参加】飛島建設、30年ぶりの社内運動会開く

 飛島建設は東京都練馬区のとしまえんで10日、1988年以来30年ぶりとなる社員運動会「TOBISHIMA Sports Fes!飛島ハンパないって」を開いた。

 大会は本社(赤組)、首都圏土木支店(青組)、首都圏建築支店(黄組)の3チーム対抗。社員とその家族約550人が参加し、大玉送りやリレーなどで熱戦を繰り広げた。

 開会に当たってあいさつした乘京正弘社長は「日ごろから社員には『コミュニケーションを大切にしよう』と話しており、今回の大会はコミュニケーションをはぐくむのに最高のイベント。これを機に職場や家族とのコミュニケーションを一層深め、壁を越えた幅広いコミュニケーションの場としてほしい」と話した。

 大会では準備運動の後、全員参加の大玉送り、借り人競争、親子競技の宝探し、綱引きなどが行われ、チームが一丸となって優勝を目指した。結果発表では本社の赤組が優勝に輝き、乘京社長からチームの代表者にトロフィーが手渡された。

【都市公園をスポーツ拠点に】アシックス、日比谷公園にスポーツテーマのカフェ開設

 アシックスジャパンは東京都公園協会(佐野克彦理事長)と連携し、日比谷公園(東京都千代田区)内に「スポーツステーション&カフェ」をオープンする。

 公園周辺や皇居外周などを走るランナー向けの「ランステーション機能」と、美や健康をサポートする「カフェ機能」を備える施設。スポーツギャラリーも常設し、スポーツイベントに合わせて展示内容を変えていく。

 新しい施設は、都心部にある日比谷公園の機能を高める取り組みの一環として開設する。同社は15年8月に都公園協会とスポーツ・レクリエーション事業の実施で基本協定を結んでいる。都立公園を活用し、スポーツをより身近に感じ楽しんでもらう目的がある。

 日比谷公園はオフィス街や官庁街に近く、仕事の合間や終業後にランニングを楽しむ人が多く訪れている。施設は23日にオープン。ガラスを多く使って自然光を取り入れ、ウッドテラスで公園と一体化を図るなど、自然との調和を目指したデザインになっている。

【回転窓】衛生問題を考える空間

10年以上使っていた自宅の温水洗浄便座を買い替えようと先日、家電量販店を訪ねた▼店内に並ぶ製品は多彩な機能を搭載し、デザインも洗練されていてどれを選んでよいのか迷ってしまうほど。懐具合と相談しながら機能も吟味し、新しい製品を購入した。業界団体の日本レストルーム工業会によると、水回りという過酷な環境で使う家電製品なのである程度の使用年数に達したら点検や交換を、と推奨している▼今や旅客機のトイレにも搭載されるようになった温水洗浄便座。高機能をうたう日本のトイレの特徴といえるが、清潔さも世界に誇れる部分ではないか。国連児童基金(ユニセフ)の調査によると、世界ではいまだ3人に1人が衛生的なトイレを使えないという。15年時点で23億人がトイレのない生活を送っている▼屋外排せつなどが原因で感染症にかかり、病気になったり命を落としたりすることも少なくない。国連は毎年11月19日を「世界トイレの日」と定め、世界中でトイレの衛生問題に関する啓発活動を展開している▼世界に胸を張れる日本のトイレ文化。貢献できることはまだまだあるのではないか。

【国交省、有識者懇で方策検討】インフラツーリズム、20年度に集客100万人へ

 国土交通省は、観光施策として注力する「インフラツーリズム」のさらなる拡大を図る。20年度までにダムや橋、港といったインフラや工事現場見学などの年間集客数を17年度の約50万人から約100万人に引き上げる。

 地域にある他の観光施設との連携も模索。来年3月までに目標達成の方策で方向性を詰める。

 国交省は9日、旅行会社など外部有識者で組織する「インフラツーリズム有識者懇談会」を立ち上げた。来年3月まで集客数の増加策を話し合う。同日に東京都内で開いた初会合で同省の栗田卓也総合政策局長は、「地域や民間事業者と連携し、インフラを観光資源として磨き上げる必要がある」と述べた。

 インフラツーリズムは、政府が13年に策定した「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」で掲げた観光施策の一環。国交省によると、民間主催のツアー件数は16年度32件、17年度80件と着実に増えている。

【凜】東京・中野区都市政策推進室・藤村玲子さん


 ◇いいインパクトを残す事業に◇

 街づくりを専攻した大学時代、行政と協力したイベントに参加した体験を通じて、「行政職員として働くことへのイメージが湧いた」。東京・中野区への入庁を志したのは、住宅が多い地域で街づくりに携わりたいと思ったのがきっかけとなった。

 最初の4年は区施設の営繕部署で、耐震改修工事などの設計や発注手続きを担当。当時は女性の建築職も少なく、現場について分からないことばかりで戸惑っていたが、「施工業者の職人の皆さんが丁寧に教えてくれた」ことに救われた。

 最初に手掛けたのは保育所のトイレ改修工事。完成後の検査現場で、保育士たちが「きれいになった」と喜んでくれた。調査から完成までの短期間に現れた「目に見える成果」に、営繕の面白さを感じた。

 その後、建築基準法に基づく許可手続きの担当を経て、現在の部署に配属となって5年目となる。

 JR中野駅北側の再整備など、担当する事業は長期間に及ぶだけに、滞りなく進めるのが自分の役割と認識。区役所に近接する大規模跡地で行われた「中野四季の都市(まち)」のように「いいインパクトを残す事業にしたい」。住宅とサブカルチャーが混在する独特な雰囲気を持つ街並みも大切にしたいという。

 休日は2人の子どもと時間を過ごす。無邪気な姿に元気をもらい、仕事への英気を養う。

 (ふじむら・れいこ)

【中堅世代】それぞれの建設業・214

大工仕事は楽しい。子どもたちの笑顔を見ると分かる
 ◇カリスマ職人育てたい◇

 大工職人の内森公太さん(仮名)は、実力と誇りを持った大工を一人でも多く育てたいと、若手の育成に力を入れている。こだわっているのは木材を自ら加工する手刻みの技術。新築だけではなく、現場合わせの修繕などもしっかりとこなせる人材が地元に根付いている。それが目指す姿だ。

 そう思うようになったきっかけは、自分たちの地域を襲った自然災害だった。「困っているんです」「いつになったら修繕に来てもらえますか?」。災害後、内森さんの会社は家が壊れてしまった人からの依頼電話が鳴り響くようになった。一日も早く快適な住まいに戻してあげたいと思いながらも仕事が追いつかず、被災者に工事を待ってもらう日々が続いた。「自分の技術を求めているお客さんがいるのに応えられない」と無力感に包まれた。

 自分だけが頑張ろうとしてもたかが知れている。仲間を増やすしかない。そうした答えに行き着き、仕事の合間を使って大工講座や学生向けの授業などを始めた。災害を通じて自分の考えが変わったことが原動力になった。

 若者も災害を経て、人のためになる仕事を求めるようになったと感じている。「来てくれる若者は、『いくら稼ぐか』よりも『何で稼ぐか』を考えている。効率よく稼ぐことが格好いいとは思っていない」。そうした若者は軸足がしっかりしているからこそ、腕を上げるための努力を惜しまない。それは大工として筋が良いことを意味する。

 内森さんは、使命感ややりがいを持った若者を頼もしい存在だと思っている。だが、そうした若者が大工として人生を全うするには、「いくら稼ぐか」も非常に重要だ。そのためのキーワードは「ブランド化」だという。

 「一生で一番高い買い物のはずなのに、造っているのが名も無き大工さんというのは、おかしいと思う」。人の住まいやなりわいの拠点は何年も使い続けられ、時には世代を超えて利用される大事な物だ。伝統工芸品や料理、美容などの世界にはカリスマと呼ばれる人が存在する。一流のプロが手掛ける物やサービスを求める顧客は、何年でも待つはずだ。

 「あの大工さんは5年待ちだよ」。そう言われるような大工がどんどん出てくるべきではないのか。当然責任は増すが、そうした評判が定着すれば、仕事に対する誇りも収入も必ず付いてくる。一心に腕を磨くことはもちろん、成果物について分かりやすく説明し、時には楽しく顧客と話すことができるコミュニケーション能力が必須になるだろう。

 地域に住んでいる人が、地元のカリスマ大工に仕事を頼み、その大工が地元の材料を使って住宅などを造る。人材までも含めた地産地消が理想の形だ。一つ一つは小さい仕事であってもお金が循環することで、地域の持続可能性も高まっていくはずだ。大きなことをやるつもりはない。手の届く範囲で地域に貢献していきたいと思っている。地道な取り組みが地方創生につながると思っている。

【駆け出しのころ】日特建設取締役常務執行役員事業本部長・中牟田憲吾氏

 ◇先輩の声を励みに乗り越える◇

 入社して最初に配属されたのは新潟支店で、刈谷田川ダム(長岡市)の建設現場に赴任しました。私たちの会社が担当していたのはダムの基礎工事だったのですが、ダム本体がどう造られていくのかに興味があり、仕事の合間を縫って堤体コンクリートの打設やトンネルの測量作業などを見に行っていました。

 ここでは現場の宿舎で寝泊まりし、週末には市内の寮に帰るという生活でした。一日の仕事が終わると、宿舎で皆が輪になって話しながら酒をよく飲んだものです。つまみの定番は、私たち若手が車で山を下りて買ってくる栃尾の油揚げで、今でもあのうまさは忘れられません。施工班には狩猟の免許を持った職人さんもいて、その方が射止めた熊の肉で鍋をつくって食べたこともありました。

 休日は寮にいる同僚たちとテニスをして過ごしたのもいい思い出になっています。豪雪地帯にあるダムのため、11月ごろから翌年4月ごろまでの現場が閉鎖される冬の間は、他現場の応援に行っていました。

 3年目に九州支店へ異動となります。ここでもダムの基礎工事を担当するよう言われたのですが、自分から上司に「構造物を造らせてほしい」とお願いし、下水道工事を担当させていただきました。

 初めて責任者として現場を任せられたのは20代後半です。部下と2人で運営しなければならない現場で、施工中に不具合が続いてかなり悩んでいた時期がありました。この頃、現場の近くにちょうど出張で来た父親と食事し、「サラリーマンなのに何でこんなに悩まなくてはいけないのか」と愚痴をこぼしてしまったことがあります。

 でも、どんなに厳しくても「終わらない仕事はない」という先輩から聞いた言葉を励みに何とか乗り越えることができました。こうしたことは私だけの話ではなく、誰もが悩み苦労しながら一人前になっていくのだと思います。

 これまでに広島、大阪の支店長を計11年ほど務めてきました。若いころのことはもちろんですが、そうした50歳を過ぎてからの支店長時代に経験できたことは貴重な財産となっています。心掛けてきたのは自分から声を掛け、相手が何を考えているのかを聞くことです。部署間で意見が違ったとしても積極的に話し合い、最終的には同じベクトルを持って進むことも大切です。

 若い人たちには仕事が好きになってほしいと思います。仕事が好きでなかったり、仕事に何らかの不満があったりすると、当然に面白くもなく、持っている力のすべてを発揮することはできません。皆が力を出せるようにしていくのが私たちの役割であります。

 (なかむた・けんご)1978年法政大工学部土木工学科卒、日特建設入社。九州支店工事部長、同営業部長、広島支店副支店長、執行役員広島支店長、常務執行役員大阪支店長、同事業本部長などを経て、17年6月から現職。佐賀県出身、64歳。
入社3年目。休憩中の現場事務所での1枚

2018年11月8日木曜日

【回転窓】技術革新と規制のバランス

技術革新を進めようとする場合、規制の在り方が常に問われる。規制が強すぎるあまり、産業の発展を遅らせる原因になることもある▼興味深い一例に、19世紀後半に英国で施行された「赤旗法」がある。同法では、歩行者や馬車の安全を確保するため、赤旗を持った者が自動車の前方で先導し、危険物の接近を知らせなければならないとされた。これがスピードを要求される自動車産業の発展を遅らせたともいわれる▼現在の自動車産業が目指している自動運転で常につきまとうのが安全性との両立だ。道路脇から急に子どもが飛び出してきた時などの事故リスクをどう防ぐかが問われている▼リスクを回避しようと規制を厳しくしすぎれば、技術の発展も望めない。一方で規制を打破してこそ、未来につながる技術が革新していくのだとすれば、英国の赤旗法も過去の過ちと笑えなくなる▼「もっと自由な発想で考えるべきではないか」。規制を作る側の行政関係者がそう話していたのを聞いた。「賢く使う」ことが求められるインフラ分野。大胆な発想を阻むことがないよう、未来を形作る上で規制とのバランスが問われる。

【2022年度の開園めざす】ジブリパーク構想(愛知県長久手市)、基本設計はスタジオジブリ・日本設計に

「ジブリパーク」の施設配置イメージ(愛知県発表資料より)
愛知県は6日、長久手市の愛・地球博記念公園に計画している「ジブリパーク構想」で、スタジオジブリ・日本設計の企業グループと基本設計業務契約を結んだと発表した。契約方式は随意契約で、契約額2億8443万9600円(税込み)。スタジオジブリがデザイン監修し、日本設計が基本設計を行う。契約を10月15日に交わした。

 同構想は17年5月、大村秀章知事と鈴木寿敏夫スタジオジブリプロデューサーが基本合意し、具体化した。今年3月には役割分担などを定めた確認書を交わし、4月に基本デザインとイメージ図を公表していた。
「もののけの里エリア」のイメージ(ⓒスタジオジブリ)
基本デザインによると、全体は5エリアで構成。映画「耳をすませば」の世界観や19世紀末の空想科学的要素を盛り込んだ「青春の丘エリア」(約7500平方メートル)、温水プール跡地を利用し、シアターや子供の遊び場、巡回展などの展示物を収納する倉庫を設ける「ジブリの大倉庫エリア」(約4200平方メートル)、映画「もののけ姫」に登場する「タタラ場」などの建物を再現する「もののけの里エリア」(約5400平方メートル)、映画「ハウルの動く城」「魔女の宅急便」に登場する原寸大建物や遊戯施設を整備、ミニ遊園地的なエリアとする「魔女の谷エリア」(約2万7000平方メートル)、「となりのトトロ」に登場する「サツキとメイの家」周辺の「どんどこ森エリア」(約2万平方メートル)が計画されている。
「青春の丘エリア」のイメージ(ⓒスタジオジブリ)
基本設計は、県がパシフィックコンサルタンツに委託している運営手法などの検討と合わせ、本年度中にまとまる。これにより、22年度内の開園を目指す同構想が、本格的に動きだす。