2018年1月4日木曜日

【2018年、競技施設建設が本格化】東京オリンピック・パラリンピック、会場整備待ったなし

2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催まで2年半後に迫り、東京の内外で進む競技会場整備が本体工事の段階に入ってきた。東京都の担当者は「18年度は、インドアスポーツの会場で建屋の形が見えてくるものもある。市民にも、工事の進ちょくを実感してもらえるのではないか」と話す。建設計画などを巡り、時に世間の好奇の目にさらされつつ、ここまで来た道のりには、関係者のさまざまな思いや努力が積み重なっている。

 □見える化を模索□


 競技会場の工事はテロ対策などの一環で、現場のセキュリティーが通常の公共工事より厳格に管理され、発注者でも簡単には現場見学会を行えない。大会を安全に開催する上で必要な措置ではあるものの、順調に工事が進んでいても、その状況を思うように公開できない関係者の姿には、歯がゆさも見え隠れする。
新国立競技場の建設現場
こうした状況を少しでも改善しようと、ボート・カヌー会場の「海の森水上競技場」の整備を担当する都港湾局が動きだした。現場に直接入れなくても、仮想現実(VR)などの最新技術を活用することで、工事の進ちょくを体感してもらおうというのだ。
アーチェリー会場の完成イメージ(ⓒ東京都)
「施設が完成していく過程などを視覚的に再現できれば、誰にでも分かりやすく工事の状況を伝えられる」と担当者。具体的な方法は検討中だが、今年中の実現を目指している。

 海の森水上競技場の近くでは、国と共同で整備する臨港道路南北線の工事も進行中で、この橋梁を台船で架設する際に現場を公開することも検討中という。ほかにもあらゆる機会を生かし、五輪工事を「見える化」したい考えだ。

 □スポーツとの共通点□

オリンピックアクアティクスセンターの完成イメージ(ⓒ東京都)
競技会場の工事受注者の中には、スポーツのマネジメントの考え方を現場の安全管理に生かすユニークな企業もある。昨年12月、東京・晴海に整備される選手村の建設現場で行われた官民合同の現場パトロールで、あるゼネコンの担当者が、無事故無災害に向けた自社のアプローチを紹介した。
海の森水上競技場の完成イメージ(ⓒ東京都)
その担当者は、15年ラグビーワールドカップ(W杯)で日本代表を率い、対南アフリカ戦での歴史的勝利に導いたエディー・ジョーンズ元ヘッドコーチの指導方法などを参考に、社内教育を実践しているという。「集団意識が強い日本人は、全体で悪い流れに乗ってしまう『集団欠落』に陥る傾向が強い。ラグビー日本代表はそれを逆手に、良い方向へ集団意識が向かうよう仕掛けた」と語る。
選手村の建設現場
工事現場をスポーツに例えれば、「プロ野球に近い」とも表現。「野球はシーズン中、ほぼ毎日のように試合が続く。工事も同じで、常に集中力を最大に高めておくのは難しい、必ず疲れてしまう」と説明し、現場の安全管理が個人の努力だけでは達成できないことを元請の責任として指摘した。
有明体操競技場の完成イメージ(ⓒtokyo2020)

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