2018年2月6日火曜日

【回転窓】薄れる境界線と企業経営

米国のトランプ大統領が先月30日の一般教書演説で、今後10年間に1兆5000億ドル(約163兆円)を超す新たなインフラ資金の確保を目指す方針を打ち出した▼昨年2月に示した約1兆ドルという目標額を大きく上回る。老朽化した橋梁や道路などの再構築を急ぐといい、国内外から広く投資を呼び込む方針だ▼一国の資源や資本は限られる。長期的な繁栄を目指すなら、経済活動を自国内で完結させず、大胆に開放する発想と仕組みが必要になる。世界中の企業や投資家から資金を呼び集め、小国ながら経済的に成功したシンガポールはその好例だろう▼最近、取材で会った複数の企業の幹部が「業種間の境界がなくなりつつある」と異口同音に指摘するのを聞いた。昨年、日建設計とソフトバンクが人工知能やロボットなどの技術開発で協業したのはそれを象徴する▼特に設計事務所のトップには、ICT(情報通信技術)や法律・経済の専門家など従来とは異なる人材を求めたり、電力や金融業への進出を考えたりする人もいる。国や国籍、業界などの境界線が薄れる中、企業経営も戦略を大きく見直す時期に来ている。

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