2018年2月21日水曜日

【回転窓】神秘の巨大地下空間

先週末に宇都宮市を訪れ、目当ての資料館をようやく見学できた。栃木県の名産「大谷石」の地下採掘場跡を公開している「大谷資料館」である。話題の資料館と知りつつなかなか行く機会がなかった▼地下30メートルに広がる神秘の巨大空間へ-。パンフレットには、興味をかき立てるそんな文言が。この言葉にふさわしい見応えのある資料館で、江戸時代に本格的に始まった採掘の歴史を教えられた▼建築材料としての大谷石は旧帝国ホテル本館(別称・ライト館、1923年竣工)に採用されて脚光を浴びる。米国人建築家のフランク・ロイド・ライトがなぜこの石を使ったのか。当初は別の石が候補だったらしく、建築史家の谷川正己氏がそうした経緯を『大谷石百選』(NPO法人大谷石研究会発行)に書いている▼映画やドラマの撮影、コンサート、結婚式などに幅広く利用され、現代アートとの組み合わせによる「ミュージアム」の顔も持つ。大谷資料館に多くの観光客が訪れるのもうなずける▼積極的な空間利用を進めて観光拠点としてよみがえらせる。これも貴重な産業遺産を後世に残すための大切な視点であろう。

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