2018年3月20日火曜日

【記者手帖】VRで訓練に臨場感

7年前に発生した東日本大震災の教訓を風化させないようにするため、今年も11日の前後に多くのデベロッパーが震災訓練を実施した。昨年目立ったのはインバウンド(訪日外国人旅行者)の増加を受けて、多言語による帰宅困難者の受け入れ訓練。今年はVR(仮想現実)など最新技術を活用した体験型の訓練が多かった◆時流に合わせて各社は訓練内容に工夫を凝らしている。取材に訪れたある企業で、VRで火災を再現したビルから制限時間内に避難する訓練を体験させてもらった◆事前に係員から「映像内の誘導灯を頼りに避難してください」と指示を受けたのだが、ヘッドマウントディスプレーに火災の映像が映し出された途端、「ああ、早く逃げなければ」と頭が真っ白に。誘導灯を早々に見失い、避難どころか火が燃え盛っている場所まで突き進み、逃げ場を失うという失態を演じてしまった◆疑似体験でも冷静さを欠いてしまうのだから、本当の災害ではどうなってしまうのかと不安が募った。技術の進歩に驚きながら、災害に対する心の準備が不十分だと痛感した。(沖)

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