2018年3月7日水曜日

【技能教育リポート】富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)


 ◇座学と実地でICT土工の流れを習得◇

 富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)が実施する「ICT(情報通信技術)土工研修」は、ドローン(小型無人機)やICT対応建設機械を用いた一連の施工方法が学べる。自社施工にICT土工を取り入れようと、地域建設会社の若手~中堅技術者が積極参加。同様の研修に地域単位で取り組む動きもでている。

 昨年2~3月の標準カリキュラム試行講習を経て、同11月27日~12月2日に初の本格研修を実施。今年に入り2月26日~3月3日には2回目の研修が行われた。

 6日間にわたった研修では、初日に建設工事の生産性向上策であるi-Constructionの概要と、労働安全衛生に関する講義が行われ、2日目以降、実際の現場を想定したICT土工の流れを講義と実習で学んだ。

 ドローンを用いた起工測量と撮影した写真データから3次元(3D)点群データを作成する実習や、各自パソコンを用いて2次元データから3D施工図を作成する実習も行われた。ICT建機として、マシンコントロール(MC)対応のバックホウとブルドーザーが現地に持ち込まれ、操作実習も行った。

 工事の出来形管理ではドローンに加え、地上型レーザースキャナー(TLS)の使用方法を学びながら、書面や実地での検査と納品までのやり方も習得。最終日には総括として、i-Constructionに関する各種基準類について、「発注者がどこに目を配っているかを教えてもらう」(センター)という機会も提供した。

 試行講習から始まった毎回の研修で改善を図りながら、現在のカリキュラムを構築。研修は18年度も継続する予定だ。

 今回研修に参加した17人は、いずれも現場代理人などを務める技術者。会社として2回目の参加となる東星渡部建設(北海道弟子屈町)の佐藤一輝さん(22)は「スキルアップと各地からの参加者と交流の機会を得られると、会社から送り出された」と話し、大島組(新潟県上越市)の大嶋麻央さん(22)は「人手不足への対応でICT化に取り組もうという話があり、参加した。教えていただく内容を全部持ち帰って活用したい」と意欲を示した。

 センターの取り組みは、群馬県建設業協会(青柳剛会長)のように自ら研修を主催する動きに広がっており、各地から多くの問い合わせも寄せられているという。

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