2018年4月19日木曜日

【9棟総延べ7.6万㎡、立飛HDが事業推進】東京・立川で「みどり地区プロジェクト」が進行

「(仮称)GREEN SPRING」と名付けた街区の施設配置図
 ◇「地元立川」の発展に貢献、20年春から順次開業◇

 立飛ホールディングス(HD、東京都立川市)がJR立川駅北側で手掛ける複合開発施設「(仮称)立飛みどり地区プロジェクト」が2月、着工した。ホールやホテル、商業施設、オフィスなど9棟で構成する開発の総延べ床面積は7・6万平方メートルに達する。村山正道社長は3月に開かれたプロジェクト説明会で、「地元立川の街づくりには貢献する責任がある」と話し、地域住民が集い、新たなライフスタイルを提供する場を設けたいと強調した。

 20年春から順次開業予定の複合施設を建設するのは、立川駅から徒歩8分に位置する立川市緑町3の1ほか(事業区域面積3・9ヘクタール)。立川基地跡地の一部で、同社は15年2月に国から「都市軸沿道地区」のA-2地区(2・9ヘクタール)とA-3地区(1ヘクタール)を一括で取得した。
 市内に工場を有する飛行機製造会社が前身の同社は、戦前から戦中にかけて陸軍用飛行機を造っていた。不動産開発事業にシフトした現在は、市内で倉庫やオフィス、工場の賃貸事業を手掛ける。所有物件数は約160棟。保有地約98ヘクタールは、市面積の約25分の1に当たる。
多摩地区で最大規模となるホール棟
「(仮称)TACHIKAWA STAGE GARDEN」
「立川の将来を考えた時、このエリアをどう開発するかはとても重要」。そう話す村山社長は、地域に根差した事業を展開する立場から、「どうしても落札したかった」と念願の土地取得に取り組んできた経緯を振り返る。
 立飛HDのグループ会社で、複合施設の開発を担う立飛ストラテジーラボの横山友之執行役員は「立川を拠点にビジネスを展開して約100年たった。今後も地域の人とつながりながら、この開発で立川がどう発展していくのかを伝えたい」と決意を語った。

 プロジェクトには6人のデザイナーが結集。マスターデザイナーを務めるスタジオタクシミズ(東京都中央区)の清水卓氏は「自分たちの領分を超え、フラットな意見交換ができた」、ネーミング開発やPRなどのブランディングを担当するPOOL(東京都渋谷区)の小西利行氏は「ハコモノを造る都市開発ではなく、街を一から造る感覚だった」とそれぞれの立場で臨んだプロジェクトへの思いを語る。

 建設する施設はA-2地区が▽A棟(オフィス)=9階建て▽B棟(オフィス・商業)=地下1階地上7階建て▽C棟(ホテル)=地下1階地上11階建て▽C2棟(商業)=2階建て▽D棟(オフィス・商業)=3階建て▽E棟(オフィス・商業)=3階建て▽F棟(商業)=3階建て▽G棟(商業)=3階建て-の8棟。このうちA棟の敷地(2448平方メートル)は定期借地権(50年間未満)を設定して多摩信用金庫に貸し出し、同信金の新本店・本部棟が建てられる。A-3地区にはホールを整備。建物は計9棟で、総延べ床面積は7万6216平方メートルの規模となる。
全室50㎡以上を確保するホテル棟
「(仮称)SORANO HOTEL」
多摩信金が建築主となるA棟を除く設計者はA-2地区が山下設計・大林組JV、A-3地区が山下設計。施工はいずれも大林組が手掛ける。A棟は清水建設が設計し、施工を清水建設・中島建設・中村建設JVが行う。

 多摩地区最大規模となるホールは約2500席を備え、ステージと屋外の客席がつながる屋内外一体型。ホテルは81室の客室が全て50平方メートル以上の広さを確保し、最上階には同地区内で掘削した天然温泉を使ったスパを設ける。約40の店舗、テナントごとに大型テラスを備えたオフィスビルも配置する。中央の広場は約1万平方メートルの規模。市民やオフィス利用者、来街者の憩いの場となる。

 横山執行役員は、街区開発について「自然環境が豊かな周辺を考慮した」と話す。容積率の上限500%に対して実際の計画容積率が158%と余裕を持たせた。ホールやホテルからは隣接する国営昭和記念公園から富士山までが一望できるようにも配慮した。

 ここ数年で立飛HDは、多摩都市モノレール線立飛駅周辺で三井不動産と共同の大型商業施設「ららぽーと立川立飛」(15年12月開業)、スポーツ施設「アリーナ立川立飛」(17年10月開設)の開発も手掛けた。両施設から整備中のエリアまでは約1・8キロ。歩いて移動できる距離にある今回の複合施設が完成すれば、立川駅のにぎわいを立飛駅まで延ばし、各施設や昭和記念公園も回遊できる街が生まれる。

 「われわれの責任はこの開発で終わるとは思ってはいない」。そう話す村山社長は、保有する多くの土地を含めて今後も開発を着実に進め、不動産開発事業を通した立川の街の発展に貢献していく考えだ。

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