2018年4月9日月曜日

【駆け出しのころ】ナカノフドー建設執行役員東京本店長・飯塚隆氏

 ◇「逃げず隠さずぶち当たれ」◇

 入社して2週間の研修が終わると、配属される現場の所長が車で迎えに来て下さいました。車中では緊張もあってどんな話をしたかはよく覚えていません。でも、配属先が都内の現場と聞いていたものの、車でだいぶ長い距離を走ってもなかなか着かなかったため、「どこまで行くのだろうか」と少し不安な気持ちでいたのを思い出します。

 最初の現場は東京・青梅にある高校の改築工事です。会社の寮に入りましたが、現場の宿舎に寝泊まりしながら働く日々でした。最初の頃は仕事といっても作業の補助や雑用ばかり。1カ月もすると「今やっていることは自分がやりたかったことではない」と思うようになり、そんな気持ちを所長と2人だけの時に話したことがありました。

 所長は「仕事というのはなぜやるかを考えてやると積極的になれる」と話されました。これを聞き、それまでの迷いが晴れたのを覚えています。それから少したち、タイルとブロックの施工管理を担当させてもらえることになりました。初めての担当であり、この時は本当にうれしかったものです。不思議なことに担当を持ち、先輩に教えてもらいながら図面を描いたり、墨出しを行ったりするようになると、同じ雑用も苦にならなくなっていきました。あの時にくじけなかったから今の自分があり、一つの大きな転機だったと思います。

 30代半ばの頃、共同企業体の構成会社として大規模劇場の建築工事に4年以上携わります。会社からは、この現場が終わったら次は所長になれると聞いていました。ところが、会社に呼ばれて言われたのは営業部への異動でした。当時は営業のことがほとんど分からず、38歳にしてまた1年生となったわけです。

 初めの頃は先輩社員に付いてお客さまの所に伺い、その時の話をメモしてまとめるのが主な仕事でしたので、今でも字を早く書けるのは自慢です。異動する時は現場を離れたくないという思いが強かったのですが、営業でも現場の経験は役に立ち、何よりも仕事を受注させていただく大きな喜びを知ることができました。

 これまでの経験から言えるのは、仕事に対する熱い思いを持つことの大切さです。この思いを職場の皆やお客さまに伝えることができればきっと分かってもらえ、信頼も得られます。そのためには日頃のコミュニケーションが大事です。職場で「あいさつをしよう」とよく言っているのは最も基本的なことだからです。それに何事も後回しにしていいことはありません。「問題には逃げず、隠さずぶち当たれ」の精神で、今後もすぐに対応することの必要性を伝えていきたいと思います。

 (いいづか・たかし)1982年宇都宮大学工学部建築学科卒(1期生)、中野組(現ナカノフドー建設)入社。東京支社営業第五部長、東京本店建築統轄部副部長、同営業統轄部長、同副本店長兼営業統轄部長などを経て、15年4月から現職。群馬県出身、59歳。

入社4年目、竣工した建物の前で(手前左が本人)

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