2018年5月31日木曜日

【回転窓】効果的な禁煙方法と脱たばこの効用

2人の知人が相前後してたばこをやめた。一人は過去に何度か禁煙を宣言しつつも翌日には約束をほごにするタイプだったから我慢は長く続かないだろうと思っていたが今回は脱たばこに成功したようだ▼2人に共通するのは禁煙外来に行ったこと。処方通りに薬を服用するうちに、たばこへの依存が徐々に薄れ、気がついたら禁煙できていたという。「もっと早く病院に行けば良かった」と笑う知人が、脱たばこの効用として挙げるのは、味覚が戻ってきたことや小遣いが減らなくなったことに加え、喫煙行為、とりわけ歩きたばこが予想以上に迷惑であることに今更ながら気付いたことだという▼東京都は4月から「子どもを受動喫煙から守る条例」を施行し、公園周辺の路上などを禁煙としたが、東京五輪・パラリンピックを控え、条例の厳格化を求める声は根強い▼働き方改革が叫ばれる中、職場での喫煙者の行動がちょっとした議論になっている。それは勤務中のたばこ休憩。喫煙習慣のない人たちの目には仕事をサボっているように映るとか▼きょう5月31日は世界禁煙デー。たばこについて改めて考えてみてはどうか。

【五輪開催後の街づくり検討が始動】神宮外苑地区まちづくり検討会が初会合開く

東京都は30日、都庁で「東京2020大会後の神宮外苑地区のまちづくり検討会」の初会合を開いた。

 新宿、渋谷、港の3区にまたがる神宮外苑地区(面積64・3ヘクタール)のうち、地区整備計画が未策定の40・6ヘクタールを対象に、五輪後から着手する街づくりの方向性を定める。

 7月に関係権利者へのヒアリングを実施し、8月には街づくり指針の素案を整理。9~10月に指針案を取りまとめる方向だ。

 五輪後の街づくりは民間主体で進める。検討対象区域には明治神宮球場(1926年竣工)、秩父宮ラグビー場(47年竣工)、明治神宮第2球場(61年竣工)といった築年数が経過した大規模スポーツ施設が集積。こうした施設の連鎖的建て替えも視野に、緑豊かで風格のある都市景観の保存、スポーツ拠点や複合市街地の形成につながる街づくり指針を定める。

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【6月8日から一般公開】名古屋城本丸御殿復元工事が完成

上洛殿の内部。鮮やかな彫刻欄間が豪華さを引き立てる
名古屋市の名古屋城本丸御殿復元工事(1~3期)が完成し、いよいよ6月8日から全施設が一般公開される。残された実測図や古写真などの資料から当時の姿を忠実に再現。1615(慶長20)年に建てられ、1945(昭和20)年の空襲で焼失した「将軍のお宿」が、約400年前の姿のままでよみがえる。今回新たに公開される「上洛(じょうらく)殿」は御殿の中でも最も豪華で職人技が駆使された建物。特に彫刻欄間や飾(かざり)金具は豪華絢爛(けんらん)さだけでなく、精緻な細工が随所に見られ、当時の日本の芸術文化水準の高さがうかがえる。

 ◇施工は安藤ハザマ・松井建設・八神建築JV◇

 名古屋城本丸御殿は、徳川家康の九男で尾張藩主・義直の住居として1615年に完成し、その後3代将軍・家光の上洛に合わせ、上洛殿などが増築(1634年)された。復元事業はこの時期の本丸御殿をベースに行われた。施設規模は木造平屋こけらぶき(一部本瓦ぶき)で、広さ約3100平方メートル、部屋数は30を越える。

 復元工事は2009年に着手。1~3期に分けて実施され、1期分の「玄関」や藩主が来客と会った「表書院」「中之口部屋」などは13年5月に、2期分の「下御膳所」や藩主が内臣と対面した「対面所」などは16年6月に既に公開済み。残る3期分の「黒木書院」や「湯殿書院」、将軍の上洛時の居室となった「上洛殿」がこのほど完成した。

  ◇豪華絢爛な「将軍のお宿」◇

総事業費は約150億円。設計・監理は名古屋市住宅都市局営繕部営繕課(協力=文化財建造物保存技術協会)、施工は安藤ハザマ・松井建設・八神建築JVが担当。工事の様子は一般に公開され、工事現場を覆う素屋根内には地上約9メートルの高さに見学通路が設けられ、工事を行う職人たちの匠の技を身近に見ることができた。

将軍の居室。飾金具や蒔絵などがふんだんに使われている
今回完成した「上洛殿」で、最も目を引くのが「彫刻欄間」。金箔(きんぱく)がふんだんに使われ、鮮やかな色使いの文様と動物の凹凸が、華やかさを引き立たせる。サイズは横約2・6~3・1メートル、縦1・1~1・4メートルで、7枚の欄間が取り付けられている。


 施工を担当した安藤ハザマJVの吉原一彦所長は「古写真・図面などから原寸図をつくり、彫刻する板はひのき無節心去り赤身材で年輪幅が細かなものを選び、それをはぎ合わせて使用した。1体は裏表があるため、全部で14面の彫刻となる。富山の井波彫刻協同組合の組合員の方にお願いした」。彫刻は当初、試作や打ち合わせなどが繰り返し行われたため、1体の制作に1年以上かかったが、「何体も制作するうちに、半年程度で制作できるようになった」(吉原所長)。

 彫刻を終えた後は彩色に移る。彩色は彩色設計(京都府日向市)が担当し、木地整備、下塗り、箔(はく)下塗り、捨皮(膠〈にかわ〉液塗り)、箔押し、仕上げ中色、岩掛け(仕上げ顔料塗り)、線描きなどの10の工程を約6カ月かけて1体ずつ制作した。

 上洛殿では長押をはじめ、各所に精緻な細工が施された飾金具が取り付けられている。よく見ると、柄が浮き上がり、繊細な彫金により仕上げられていることが分かる。吉原所長は「飾金具は当時の技法も採用された。下地は鎖鍍金(ちょうときん)、水銀鍍金、漆箔押し、電気メッキなどで行われ、仕上げは煮黒味、墨差しが使われた」。引き手や帳台構の飾金具には、泥七宝が使われ、当時のぜいを尽くしたものになっている。

 ◇伝統の技法で当時の姿再現◇


 建具も手の込んだものが多い。建物外周には板戸、腰下障子、連子窓、さや欄間、花欄間が、内部には絵ぶすま、戸ぶすま、腰高障子、水腰障子、舞良戸、杉戸などが取り付けてある。蒔絵(まきえ)が施された建具もあり、上洛殿の絵舞・絵ぶすまには七宝つなぎと唐草文様、杉戸・障子には唐草の文様、天袋には七宝つなぎの文様、上段之間天井格縁には七宝つなぎの文様がある。建具は建具塗り2~2・5カ月、蒔絵で1~1・5カ月の計3~4カ月、天井格縁が漆塗りで3カ月、蒔絵で10カ月の計13カ月を要して手作業で仕上げられた。吉原所長は「建具の蒔絵は模様がどれも少しずつ異なっており、下絵は650枚にも達した」という。

 建物内部の壁・天井・ふすまには、名古屋市より支給された障壁画の復元模写が張られている。障壁画は狩野派の絵師たちが描いたもので、本丸御殿の焼失直前に疎開され、いまも大半は現存し、国の重要文化財に指定されている。復元には当時の鮮やかな色に再現するため、素材や技法を研究・分析し、ミクロ単位の緻密な作業によって再現されている。

湯殿書院。下からの蒸気で体を温めるサウナ方式のお風呂
将軍のお風呂場を再現した「湯殿書院」は、下からの蒸気で体を温めるサウナ方式のお風呂が造られ、将軍の当時の生活様式を知ることができる。黒木書院には全国から取り寄せた松材が使用されている。大半がひのきや杉が使われているので、他の部屋との違いも楽しめる。

 10年の歳月をかけて、約400年前の御殿を忠実に復元した名古屋城本丸御殿。職人たちの匠の技が取り入れられた城郭御殿建築をはじめ、その内部の彫刻欄間、飾金具、蒔絵、障壁画など、見どころ満載で、名古屋の新たな名所になることは間違いない。

 □一見の価値あり/安藤ハザマJV・吉原一彦所長□

 1期から工事を進めてきて、3期の部分は最も豪華で手を掛けた部分となる。特に上洛殿は柱一つとっても、素材にこだわり、数年もかけて木材を調達した。厳選された木を見るだけでも楽しく、さらに職人さんたちが時間と手間を掛けて制作した彫刻欄間や飾金具、蒔絵などは一見の価値がある。ぜひいろいろな方に足を運んで見てもらいたい。

2018年5月30日水曜日

【回転窓】遺産の価値

出張でインドを訪れた際、仕事の合間にタージ・マハルを訪れた。総大理石造りの巨大建築は存在感があり、思わず息をのんだ▼当時の権力者が妃(きさき)の墓として17世紀半ばに造らせた建造物は、多くの人を引き付ける魅力がある。建造物のみごとさに加え、長い歴史が遺産の価値をさらに高める▼現地の人たちには観光客を呼び込む地域資源であり、遺産を次代に受け継ぐ保存・補修活動に官民で取り組む。世界遺産の価値を守ることと観光振興を両立させることは大きな課題だ▼首都デリー、タージ・マハルがある地方都市のアグラ、赤砂岩で彩られ「ピンクシティー」の呼び名で知られるジャイプールの3都市を結ぶ路線は、インド北部の「ゴールデン・トライアングル」として目玉の観光ルートになる。沿線では旅客移動の円滑化に向けた高規格幹線道路の整備・拡充が進む▼トライアングルの底辺に位置するルートの有料道路事業に東日本高速道路会社が参入する。日本で培った技術力や高品質のサービスなどを柱に支援を展開する。地域遺産として異国の交通インフラの価値を高める今後の取り組みに注目していきたい。

【最深70mまで対応可能、船内設備も一新】不動テトラ、国内最大級SCP船のリニューアル完了

 不動テトラがリニューアルを進めていた国内最大級のサンドコンパクション船「ぱいおにあ第30フドウ丸」の艤装(ぎそう)が完了し、29日に千葉県船橋市の千葉港で安全祈願式典が開かれた。

 奥田眞也社長、竹原有二代表取締役会長をはじめ同社幹部や関係会社などから約30人が出席し、航行と施工の安全を祈願した。

 ぱいおにあ第30フドウ丸は長さ70メートル、幅30メートル、深さ4・6メートルの規模で1993年に建造された。同社が保有する4隻のサンドコンパクション船のうち、大水深・大深度施工を得意とし、海外を含む総延長200万メートル超の砂杭を打設した実績がある。

 砂杭造成装置は3連装。径1000~2000ミリの砂杭を2・0~6・3メートルのピッチで打設できる。打設深度は70メートルまで対応可能。

 衛星利用測位システム(GPS)により作業船の位置をリアルタイムに計測し、打設位置に高精度に移動させることができるシステムや、作業船の位置や回航記録を地図上に表示できるシステムを新たに搭載した。居住環境設備も一新。作業員が寝泊まりする個室(12部屋)や風呂場、トイレを新しくし、女性トイレも新設した。

 奥田社長は「大水深での地盤改良の需要は増加しており、主力船として貢献できるはずだ」と期待を語った。大林淳常務執行役員地盤事業本部長は「どんどん活躍の場を広げ、この先30年、50年と使っていきたい」と話した。

【補正予算案に関連調査費計上】宮崎市、アリーナ建設で年度内に基本構想策定

宮崎市は、戸敷正市長が公約に掲げるアリーナ建設の具体化に向け18年度一般会計6月補正予算案に関連調査費1245万6000円を新規計上した。

 予算が可決されればコンサルタントに業務委託し建設地などの調査を進めるとともに、専門家を招いたセミナーの開催などを行う。本年度中に収容人員などを盛り込んだ基本構想を策定する意向だ。

 予算案にはアリーナ基本構想調査事業として615万6000円、新たなスポーツ産業創生事業として630万円をそれぞれ計上した。

 基本構想調査事業ではJR宮崎駅の東側エリアでの建設を想定し、交通量の調査や受け入れ環境の調査をコンサルタントに委託。これと並行してアリーナ分野に詳しい専門家を招きセミナーの開催などを行う。

 新たなスポーツ産業創生事業ではアリーナ建設に向けた機運を高めるため、地元の飲食店と連携したスポーツイベントやセミナーの開催などを予定している。これらの結果を踏まえ策定する基本構想の内容は現段階では未定としているが、収容人員や規模、機能、建設地などを盛り込むことになりそうだ。

 アリーナ建設は1982年に完成した市総合体育館(宮崎駅東)が老朽化し、観客席が1200席と少ないことなどから検討を進めているもので、2月の定例市議会では戸敷市長が2年以内の基本構想と基本設計の完了を目指す考えを表明していた。

 これまでの定例市議会の一般質問などでの市長の答弁によると建設候補地はJR宮崎駅周辺。スポーツ以外の会議やイベントなどにも利用できる多機能複合型施設で収容人員は5000~1万人程度、事業手法はPFIなど官民連携も検討するとしていた。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/法令制改定も工期延長根拠に

7月末の労働時間短縮施行を控え、現場支援対策の後続措置の加速が見込まれる。国土交通部は、民間工事標準請負契約書を改正し、工事期間延長を要求できる新たな根拠を示す方針だ。

 現行の「発注者に責任のある事由」「不可抗力の事態(台風、洪水、悪天候、戦争、事変、地震、感染症、暴動など)」に加え、「法令の制改定」を追加する。改正案に対するパブリックコメントを経て導入する予定だ。

 海外現場では、弾力的時間制をより柔軟に適用する措置が検討されている。柔軟措置として有力視されるのは、工期の最初3カ月間に与える休日を先に取り、次の3カ月間の休日を最後に取ることで、集中勤務時間を最大限増やす方式だ。

 労働時間短縮に伴う工期延長や追加費用発生などの問題を解消するため、「契約期間調整に関する指針」の策定も企画財政部で進められている。労働基準法改正に伴う現場の変化に関する指針として、6月中に作成する予定となっている。

CNEWS、5月21日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/石炭スラグリサイクル技術に期待

全国に26カ所ある石炭火力発電所は、国内の重要電源であり、4700万人を雇用する一大産業だが、毎年発生する4700万tの石炭スラグの処理が課題となっている。

 20年までにさらに15カ所が稼働する予定で、増え続けるスラグの環境への影響も懸念されている。

 日本の道路舗装材メーカー「くりんか」は石炭灰を道路舗装材にリサイクルする技術を開発し、ベトナムでも関心を集めている。

 斜面補強や地滑り防止などにも使えることから、豪雨による土砂災害が多発しているベトナムへの技術移転が待たれている。

セイ・ズン、5月27日)

【オープニングは8月19日、施工は大成建設JV】釜石鵜住居復興スタジアム、7月竣工へ

東日本大震災の復興の新しいシンボルが完成する。19年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場として岩手県釜石市が建設中の「釜石鵜住居復興スタジアム(仮称)」(鵜住居町)が7月に竣工し、8月19日にオープンすることが決まった。
建設中のスタジアム(18年4月時点)
スタジアムは19年ラグビーW杯日本大会で使用される会場のうち、唯一の新設となる。設計を梓設計が担当し、大成建設・新光建設JVで17年4月に着工した。客席として6000席を固定で設置し、ラグビーW杯開催時は仮設席も含め1.6万席を確保する。

 スタジアムが建設される鵜住居地区は東日本大震災で多数の犠牲者が出た。建設地は震災で被害を受けた旧鵜住小学校と旧釜石東中学校の跡地。スタジアムは釜石復興のシンボル、震災の記憶と防災の知恵を次世代に伝える施設という役割を果たすことになる。
7月の竣工に向け急ピッチで工事が進む
(18年5月初め時点のスタジアム)

2018年5月29日火曜日

【回転窓】情報発信の本義

「建設業界だけでなく、多くの一般市民にわれわれのことを知ってもらいたい」。最近、取材活動でそうした話を耳にする機会が増えた▼個人の設計事務所など小規模な企業ほど、自社の取り組みを世に伝えたいという思いが強いようだ。かつてのような右肩上がりの成長が期待できない市場環境にあって、彼らは建築界の将来に強い危機感を持ち自らの歩むべき方向を真剣に考えている▼取材を通じ、何としても会社を存続させるという気迫と事業活動を通じて世の中に貢献するという気概を持った何人かの経営者と会った。先日出会った横浜市の建築家もその一人だ▼彼は本業の建築設計に加え、保育支援機能を持つシェアハウスの運営や待機児童解消、土地不足で新設が困難な墓地の整備に関わるコンサルティングなども手掛けていた。地域の課題を的確に捉え、建築家としての知見と技術、経営センスを生かし、課題解消に尽くしている▼会社運営と地域貢献を両立させ、それらが結果的に建築家の評価や地位の向上につながっていく。こうした草の根的な取り組みにより目を向け、情報を発信するのが大切だと痛感した。

【生息地の環境再現、20年3月完成めざす】上野動物園に新パンダ舎整備へ

 東京都建設局は、台東区にある恩賜上野動物園に「パンダのふるさとゾーン」を整備する。

 園内で飼育しているジャイアントパンダ、レッサーパンダの生息地に近い環境を充実させるとともに、来園者にも配慮した施設を整える。総工費は約22億円を想定。20年3月ごろの完成を目標に、施工スケジュールなどの調整に入る。

 上野動物園東園にある現在のパンダ舎を、西園の旧こども動物園跡地に移転する形で整備する。約6800m2の敷地にRC造平屋のパンダ舎(建築面積1017m2)とレッサーパンダ舎(同26m2)、鉄製の鳥舎などを配置する計画だ。来園者のための園路や滞留スペース、トイレなども設ける。

【TDR最寄り駅で街づくり調査】千葉県浦安市、舞浜駅周辺の街づくりで調査実施

千葉県浦安市は28日、「舞浜駅周辺のあり方に関する調査検討業務」の委託先を決める公募型プロポーザルを公告した。京葉線が乗り入れるJR舞浜駅の北口と南口の役割を整理し、街づくりの方向性を検討する。参加は6月12日まで、提案書は同22日まで企画部企画政策課で受け付ける。

 選定結果の通知は7月上・中旬を予定する。履行期間は19年3月22日まで。予算額は496万8000円(税込み)。参加は同市の入札参加資格者名簿に登録されていることが条件。

 同駅は東京ディズニーリゾート(TDR)の最寄り駅で、混雑が続いている。将来的にTDRの拡張が予定され、乗降客のさらなる増加が見込まれている。業務では快適な利用ができるように開発イメージやスキーム、概算事業費を検討する。

 本年度内に結果を公表し、関係機関との調整に入る。市は本年度、JR東日本とオリエンタルランドと連携し、同駅のホーム延伸に向けた調査も予定している。

【6月1日終電後にも大規模作業計画】渋谷駅大規模改良、線路切替に3000人動員

 JR東日本は25日の終電後から27日夜にかけて、渋谷駅(東京都渋谷区)の線路切り替え工事を実施した。

 15年9月に着手した大規模改良工事の一環。埼京線ホームを山手線ホームの隣に移設するための準備工事として、およそ3000人の作業員が宮益架道橋の撤去・架け替え、線路切り替えに伴う埼京線ホームのかさ増しなどに当たった。

 26日に現地で取材に応じた同社の工事担当者は「渋谷駅付近で埼京線と並走する山手線は通常通り運行するため、線路防護網の設置や山手線の運転手への工事の周知を心掛けた」と安全対策について説明。「宮益架道橋が架かる旧大山街道の通行止めも伴う大規模な工事。工期を守って着実に進めたい」と語った。

 6月1日の終電後~3日にかけては、旧埼京線上り線路の撤去や宮益架道橋へのメンテナンス設備の配置、埼京線の既存ホームと新ホームをつなぐ通路の設置などを行う。埼京線のホーム移設工事は東京五輪開催前の2020年春の完了、全体完成は27年度を予定している。

 宮益架道橋の撤去・掛け替えなどを担う北工区は鹿島・清水建設JV、埼京線ホームのかさ増しなどを行う南工区は鉄建建設・東急建設・東鉄工業JV、ホームの通路設置などを行う中央工区は大成建設・東急建設JVが担当。軌道関連工事を交通建設が手掛ける。

【サッカースタジアム実現へ調査実施】鹿児島市、スタジアム立地調査業務を発注

鹿児島市は28日、「サッカー等スタジアム立地に係る調査業務委託」の制限付き一般競争入札を公告した。6月4日まで申請書を受け付け同13日午前10時に入札する。

 参加資格は市の入札参加資格があり、2008~17年度に地方自治体発注の収容人員1万人以上のスタジアムや同5000人以上のアリーナの整備に関する基本構想か基本計画の策定業務の元請完了実績があることなど。

 同業務では市が17年度に設置した有識者らのサッカー等スタジアム整備検討協議会の提言を踏まえ、都心部でスタジアムの整備が可能な候補地を複数選定し、候補地ごとの立地特性やアクセスなど必要な項目について評価・分析を行い、報告書としてまとめる。

 候補地選定に当たっての条件は公有地、民有地を問わず都心部にあり、観客を1万5000人以上収容できる規模のスタジアムを整備できること。調査項目は▽法令などの適合性▽立地の特性▽アクセスなど▽波及効果▽コスト▽複合的な用途との組み合わせ▽既存の土地利用計画など。業務の履行期限は11月30日。

 検討協議会の提言ではサッカーJリーグ3部(J3)に所属する鹿児島ユナイテッドFCのホームスタジアムとすることを想定し、都心部に新たなスタジアムの整備が必要と指摘。J1の施設基準を想定した場合、先行事例を参考にすると2・5ヘクタール以上の敷地面積が必要としていた。担当はスポーツ課。

【記者手帖】浦島太郎にならぬよう

東京での単身赴任を終え、2月から自宅のある札幌での勤務になった。約3年という短い期間。変わらず残っている景色もあるが、変わったものも意外と多い◆中心部ではまだ計画段階だった再開発ビルやホテルが立ち並んで街並みはやや変わっている。取材先では顔見知りが残ってはいるが、多くはオフィスの奥に席を移し、窓口対応の若者には「どちら様でしょうか」といったけげんな表情で応対され、ちょっとした「浦島太郎」状態だ◆自分自身にも思わぬ変化があった。雪が溶け4月下旬に、自宅から10km超の通勤で久々に自転車を利用すると、以前は「ママチャリ」でも急げば30分かからずに行けたものが、時計を見ると50分オーバー。しかもまだ気温が10度に満たない朝の札幌で汗をかき、ゼーゼー言いながら◆それからは可能な限り自転車を利用し、3週間ほどがたった今では通勤時間が40分を切るところまで回復。今は取材先へも自転車で移動し行動範囲を広げている。今は早く変化に対応するための頑張り時。玉手箱を開けて年老いた浦島太郎にならないように。(ほ)

【男女50ペアが熱戦、本紙後援】18年度春季建設業テニス大会開かれる

 建設業硬式庭球連盟主催の2018年度「春季建設業硬式庭球大会」(後援・日刊建設工業新聞社、協賛・ブリヂストンスポーツセールスジャパン)が19日、東京都昭島市の昭和の森テニスセンターで開かれた。

 個人戦ダブルスで競った大会には男女合わせて50ペアが参加。男子総合は川畑洋輔・永井太陽組(前田道路)、女子は五味雅子・田中千恵子組(大林組)が優勝した。

 今大会では男子44ペア、女子6ペアが熱戦を繰り広げた。男子ダブルスは予選リーグを行い、その後に1~3位の順位別決勝トーナメントを実施。女子ダブルスは6ペアによるトーナメント方式で争われた。
男子ダブルス総合優勝の川畑・永井組(前田道路)
男子ダブルスで1位トーナメントを勝ち抜いた川畑・永井組はうれしい初の総合優勝。前回大会まで5連覇を果たしていたのも前田道路のペアで、同社としては個人戦6連覇の輝かしい結果となった。女子ダブルス優勝の五味・田中組は2連覇という強さを見せた。
女子ダブル優勝の五味・田中組(大林組)
大会幹事を務めた前田建設の岩岡信一氏(建築事業本部建築技術部技術開発グループチーム長)は「天候にも恵まれ、無事に大会を行うことができた。今後も各社の交流の場としてより多くの方に参加していただき、大会がますます盛り上がっていくことを期待している」と話した。建設業硬式庭球連盟では現在、加盟会社を募集している。

 各種目の入賞者は次の通り。

 【男子ダブルス】 

 ▽総合優勝=川畑洋輔・永井太陽組(前田道路)

 ▽総合準優勝=伊藤峻・大矢崇雅組(安藤ハザマ) ▽2位トーナメント優勝=吉田悠人・坪井晃一組(竹中工務店)

 ▽3位トーナメント優勝=淀川夏樹・鈴木尉浩組(大林組)

 【女子ダブルス】

 ▽優勝=五味雅子・田中千恵子組(大林組)

 ▽準優勝=加藤玲子・加藤恵組(大成建設)

 ▽第3位=秋葉さおり・野村明美組(フジタ)

2018年5月28日月曜日

【回転窓】景観を引き立てる建築へ

2020年東京五輪のメイン会場として建設が進む新国立競技場(東京都新宿区)。最難関とされる観客席を覆う屋根工事が本格化し、スタジアムの全貌が徐々に視覚で捉えられるようになってきた▼5月時点で全体工期の約5割という進捗(しんちょく)。工程計画通りの施工に力を合わせるプロジェクト関係者には申し訳ないが、形が現れてくると早くその全体像を見てみたいと気がはやるのは小欄の筆者だけではないだろう▼建築評論家の馬場璋造氏は自著『日本建築界の明日へ』(鹿島出版会)で「景観はその時代、その社会を反映した公のものであるから景観を論じる場合は常に第三者的立場であることを認識していなければならない」と説く。「所有者の思惑とは別に社会的な存在、公の存在となり景観になっていく」とも▼異なる目的で造られた建築や構造物、残された自然や人工的な自然が時間的・空間的に重層して〈景観〉を生み出す。社会を豊かにするとの明確な目的意識があれば、一つの建築が景観を引き立てることもあろう▼誕生する競技場がそんな建築としてスポーツのシンボル、レガシーになるよう願う。

【凜】国土交通省総合政策局情報政策課・飯見有花さん

 ◇正しい情報をきちんと伝える◇

 「建築着工統計」や「建設工事受注動態統計」などさまざまな統計を通じ、建設産業の今を読み解く。政府の基幹統計に位置付けられているものも多く、「重要度の高い大事な統計。正しい情報をきちんと伝えていきたい」と話す。

 集計結果を見ると、予算執行の状況や社会の実情がダイレクトに表れている。何を読み解き、どう伝えるかが難しい統計もあり、「注釈をきちんと付け、読み解き方を正しく伝えて、ミスリードしないように気を付けたい」。

 同一の統計手法で継続的にデータを収集・分析することの重要性も十分に理解しているが、「見直していくことも大切」という。いろいろな統計手法が構築されており、集計の処理能力も高まっている。今ある環境の中で可能な統計手法を見いだし、「より実態や事実に近い統計ができるようにしていきたい」と話す。

 「環境保全」に関わる仕事がしたいと国土交通省に入省した。運輸や海事での業務経験が長いが、「国土や建設、運輸など省全体として環境への寄与度が高い」と実感。「どんな部署でも環境に何かしら関わることができるし、そうできればと思っている」。

 9歳と5歳の子育てに奮闘する日々の中、趣味のミュージカル鑑賞でリフレッシュ。「気分がリセットされて、とてもよいですよ」と笑みがこぼれる。

 (建設経済統計調査室企画専門官、いいみ・ゆか)

【建設業の心温まる物語】吉川建設(長野県)・佐々木勝敏さん

 ◇あの時の金髪青年との再会◇

 私が20代のころのことです。小規模で短期間で終わる工事に従事しました。工事の内容は単純だったのですが、工事経験が少ない作業員が従事していたため、自ら泥やコンクリートにまみれて作業を行いながら現場管理をしていました。

 そんな中、髪の毛が金髪で、いつもバイクで現場に通ってくる16歳の作業員が2人いました。協力会社の社長は時々フラッと現場に現れると彼らを何かにつけて怒鳴ります。その都度私は必死に間に入り、「これは私が指示してやらせたから」などと言って、かばっていました。また作業中は彼らを励ましながらくぎの打ち方など作業の基本を教えました。

 それから20年ほどたったときのことです。私の子供が保育園に入園し、保護者会の役員を務めることになりました。はじめの役員会のあいさつの時、あるお父さんと話をしました。とても元気で気さくな人で、今はレストランで働いているとのことでした。「がっちりとした体格だな」と思っていると、そのお父さんが「私は昔、土木工事現場で働いていました。佐々木さんのことを知っています」と言うのです。私はその言葉であの時の様子がフラッシュバックしました。

 「あの時の金髪?」

 「そうです。あの時佐々木さんがいなかったら俺、道を踏み外していました。もう一人の仲間もそうです。だから彼と会うといつも、佐々木さんが僕たちをかばってくれたり、仕事を教えてくれたりした時の話をしています」

 彼が立派な父親となって、しかも同じ保育園に子供がいることに胸が詰まり、言葉にできない感動を覚えました。そして、私たちは建設物を造っているだけではなく、同時に人間を成長させ、自分もこうして救われているということに気が付きました。そんな経験を励みにして、今も笑顔で仕事に向き合っています。

【建設業の心温まる物語】正栄組(岡山県)・楢村伴睦さん

 ◇「もうダメだ」と思ったとき、助けてくれる人がいる◇

 私は、建物をお客さまが使いながら改修工事が行われる際の、解体工事やコンクリートのはつり工事を行っています。

 建物の中にお客さまが住んでいたり、仕事をしていたりするので、作業の条件、時間の制限、音やホコリの対策、夜間作業等、厳しい環境で仕事をすることがほとんどです。

 もしも病院で医療ガス管をミスで切断したら、患者さんの命にかかわってしまいます。もしも工場で活電線を切ってしまったらラインが止まり、数億円の損失が発生してしまいます。風で紙1枚でも線路に飛ばしてしまったら、列車がストップしてしまいます。もしもコンクリートのはつり殻を下に落としてしまったら、人の命を奪ってしまいます。

 常に緊張感の中で仕事をしているので、数えきれないほどの「もうやめてしまいたい」と思うことがありました。ミスしないよう、過去の案件を思い出しながらさまざまな対策を立てて仕事をしているのですが、それでも思いもよらないような失敗をしてしまうときがあるのです。

 「もうダメだ…」。天を仰いだとき、隣にいた他の職種の職人さん、元請さん、そしてお客さままでもが私を助けてくれました。手をさしのべてくれたのです。そんな皆さんの応援のおかげで、今でも私はこの仕事をやり続けることができています。建設業にはそんな感動体験がたくさんあるのです。

【建設業の心温まる物語】沢木組(秋田県)・佐藤英樹さん

 ◇船の安心と安全に役立つ「やりがい」ある仕事◇

 私は、港湾土木工事を主に行っています。入社以来、数多くの漁港新設工事に携わってきました。

 ある漁港で、港を造り直す工事でのことです。そこでは、地元の漁師さんが古い港で漁船を係留していました。工事を始める前に漁師さんは「しけのたびロープを多くしないといけない」とか、「夜中の見回りなど漁船の管理が大変で心配だ」と言われていました。そして、工事を進めていると設計図をのぞき込みながら、「この箇所を変えてほしい」とか、「防船材を増やしてほしい」などとたくさんの要望がありました。私はあまりに多い要望に困ってしまいました。

 しかし、なんとかしてあげたいと思い、その都度発注者と打ち合わせをし、漁師さんの要望を伝えました。できるだけ漁師さんの意見が生かせるよう設計の工夫もしました。夜遅くまで打ち合わせがかかることもたびたびありました。

 徐々に漁師さんや発注者の方々とのコミュニケーションがうまくとれるようになり、順調に工事が進むようになりました。そして竣工の日を迎えることができました。漁師さんから「港が使いやすくなったなあ」とうれしい声を聞くことができました。

 この会社に入り30年あまりになります。自分で手掛けた構造物が残り、港で働く人々の安心と安全に役立っていると思うと本当にやりがいがある仕事だと思います。これからも今まで以上に習得した技術と知識を活用し、人々から喜ばれるものづくりに携わっていきます。

【サークル】君塚鉄筋(千葉市若葉区)軟式野球部


 ◇仕事も野球もナンバーワンめざす◇

 野球を通じて仕事での仲間意識も高めていきたい-。そうした考えで新卒者の求人を目的として15年に発足した会社公認の部活動だ。現場や鉄筋加工工場の作業員、運転手として配属される約10人のメンバーで活動を展開している。

 仲間意識を育みながらも互いに競い合う。そんな気持ちで参加するメンバーたちは、「仕事も野球もナンバーワンを目指そうと活動している」。そう話すのは、普段は現場業務に従事しながら野球部の監督を務める青木祥幸さん。

 新卒者が思ったように集まらず、部員が増えないのが目下の悩みだが、会社は若手が多く、野球部の活動も楽しみながらチーム一丸となって取り組んでいる。

 年2回公式戦に出場。今年は6月17日に東日本軟式野球大会C級初戦、8月19日は高松宮賜杯軟式野球大会C級初戦が控え、「一つでも多く試合に勝ち、結果を残していきたい」と今から気合が入る。野球部があるほかの鉄筋工事会社と練習試合を行うこともある。

【駆け出しのころ】熊谷組執行役員土木事業本部副本部長・柏原貴彦氏


 ◇厳しく鍛えられたからこそ◇

 小学生のころ、両親に連れられてよくキャンプに行きました。そこで見たのがダムです。これを人が造ったのかとスケールの大きさに感動したのを覚えています。ボーイスカウトに入っていたのですが、テントの設営時にリーダーから言われて周りに側溝を掘ったことがありました。その晩に大雨が降り、昼間に一生懸命掘った側溝のおかげでテントが浸水せずに済んだのです。これが治山治水と教えてもらい、土木を意識し始める一つのきっかけになりました。

 入社して最初に配属されたのは東京都内の地下鉄工事です。シールドトンネル工事と、立て坑・駅部を開削工事で造る大規模な現場でした。技術者として地下鉄工事からスタートできると期待に胸を膨らませながら着任したものの、ここには大変に厳しい先輩方がおられ、新人の私は怒られてばかりの日々でした。

 現場ではとにかく先のことを考えて動くよう指導され、「工事のやり方は自分で考えること」「工程ぐらいは自分で書くこと」などと何度も言われたものです。朝のラジオ体操で手がしっかり伸びていないことでも怒られました。

 後日、他現場の同期たちに聞いてもそんなに怖い先輩はどこにもいなく、会社の中でもどうやら私が配属されたのは鬼軍曹がそろう珍しい現場だったようです。

 でも当時は不思議と仕事を辞めたいとは考えもしませんでした。「後で仕返しを…」などと思いながら頑張っていたのかもしれません。厳しく怖い先輩方でしたが、ここで鍛えられた経験が後に大きく役立ったと思っています。

 10年目くらいに携わった高速道路の建設工事で、開通に関わる残工事を一手に引き受けて完成させたことがありました。このため発注者が開かれた開通式後の祝賀会にゼネコンの社員で私一人だけ参加させていただいたこともよい思い出になっています。

 新人時代の経験もあり、かつて自分が嫌だと感じたのと同じことは、後輩や部下にはしないという思いでやってきました。しかし現場の所長となり、わずか数日で設計変更への資料を作成しなければならなくなった時は、とにかく間に合わせたいと鬼のようになっていたかもしれません。皆で何とかやり遂げ、一緒に喜び合ったことは今も忘れられません。

 現場に勤務する若い人たちには、所長になることをぜひ目指してほしいと思います。中には若くして所長になる人もいるでしょう。大変かもしれませんが、やりがいを感じられる仕事であり、その面白さを教えていきたいです。そして働き方改革を実現していくためにも、仕事のポイントをしっかり見られるようになってほしいと期待します。

 (かしはら・たかひこ)1984年東海大学工学部土木工学科卒、熊谷組入社。首都圏支店土木事業部土木部担当部長、同支店次長兼土木事業部長兼土木部長などを経て、17年4月から現職。東京都出身、57歳。
最初に配属された現場の事務所で。
入社から27年間、最前線でものづくりに携わった(右側中央が本人)

2018年5月25日金曜日

【回転窓】100年企業の原点

直面する課題に対峙(たいじ)しながら会社を経営する時、創業時にどんな思いで会社を立ち上げたかを考えることも重要ではないか▼「ようやく100年企業の仲間入りを果たすことができました」。先日、ある専門工事会社の記念式典に出席した。顧客などの来賓を招くことなく、役職員とそこで働く職人だけのささやかではあるが、心温まる会だった▼100年前に1人の職人が立ち上げた会社が、いまでは日々数百人が働く規模にまで成長した。式典で会社の足跡をたどる記念誌が配布された。年表形式でこれまでに手掛けた物件がつづられたシンプルな仕立て。巻頭には創業者が立てた「社是」「社訓」「教訓」が示されていた▼「お客さまは技術・技能を買ってくださる」「お金を自分からもうけようとするな」「金もうけに走り技術を落とすな」「日頃より、研さん努力を怠るなかれ」。言葉の数々に、今も創業者のDNAが脈々と引き継がれていると感じた▼今年が創刊90周年の本紙も10年後、100年企業に仲間入りする。これからも時々刻々と変化する情勢に対応し正確な報道に努める原点を忘れずにいたい。

【積女ASSALだより】久米設計・山之口知江さん


 ◇柔軟な働き方が可能◇

 現在は、コストマネジメントを担当しています。積女ASSALに参加させていただいて、積算に関わる女性がこんなにたくさんいるのかと驚きました。積算は女性に向いている仕事だといわれることが多いですが、仕事を続けられていることを私自身が考えてみますと、月並みですが、やはり周りの方々の協力が一番大きいからだと思います。

 あえていうならばコストという仕事は、発注者や設計者の意図を受け止める共感力が求められます。技術を身に付ければ出産や育児によるブランクも埋められますし、打ち合わせなどの回数が少なく、スケジュール管理がしやすいので、柔軟な働き方が可能などメリットは数知れずあります。

 子育て中でも一担当者としてたくさんの物件に携われるのはとても楽しいです。もっと女性が増えて働きやすい環境が整えば、なお良いと思います。積女ASSALの今後の活動に期待しています

 (やまのくち・ちえ)

【夜間来園の可能性探る】旧芝離宮恩賜庭園、5月25~26日にライトアップ

 東急不動産と鹿島の社員らで組織する竹芝エリアマネジメントは25、26の両日、東京都港区の旧芝離宮恩賜庭園でイベントを開く。

 両社が設立した事業会社のアルベログランデによる総延べ約20万平方メートル規模の「(仮称)竹芝地区開発計画」に関連するエリアマネジメントの一環。プロジェクションマッピングなどで庭園を彩る。インバウンド(訪日外国人旅行者)の夜間来園を呼び込む「ナイトライフエコノミー」としての可能性を探る。

 「Night Garden in旧芝離宮恩賜庭園」では、旧芝離宮恩賜庭園(海岸1)で先進技術によるライティングを実施する。複数の高輝度レーザープロジェクターやLED照明、穴が空いた竹を照らす「竹あかり」などで庭園内をライトアップする。時間は午後6~9時。

 竹芝エリアマネジメントは、イベントと同様にエリアマネジメントの一環として、竹芝客船ターミナルで夏祭りイベント「竹芝夏ふぇす」も展開。15年からこれまで3回実施している。

【渋谷に新名所誕生へ】大規模複合施設「渋谷ストリーム」、9月13日に開業

 東京急行電鉄は、東京・渋谷にある旧東横線渋谷駅のホームや線路跡地などで開発中の大規模複合施設「渋谷ストリーム」を9月13日に開業する。東横線渋谷~代官山駅間の地下化によって創出した線路跡地で建設している複合施設「渋谷代官山Rプロジェクト」の名称は「渋谷ブリッジ」にする。

 いずれの施設も完成後は渋谷駅南側から代官山駅や中目黒駅方面へと続く新しい人の流れを創出する効果が期待されている。

 渋谷ストリームの建設地は東京都渋谷区渋谷3の21の3。線路跡地のほか旧渋谷駅ホーム、その周辺地区を対象区域としている。建物は地下4階地上35階建て延べ11・6万平方メートルの規模。事務所のほか店舗、渋谷ストリームエクセルホテル東急(177室)、スタンディングで700人収用のホール、駐車場などを入れる。

 渋谷ストリームの開発の一環で、東急電鉄と区が連携し、渋谷川の再生にも取り組んでいる。渋谷川沿いに遊歩道と、川の上部2カ所に広場を整備する。渋谷駅側には駅南側エリアの玄関口となる「(仮称)稲荷橋広場」(約350平方メートル)、代官山駅側には地域のシンボルとなる「(仮称)金王橋広場」(約250平方メートル)をそれぞれ配置する。

 設計は東急設計コンサルタント、デザインアーキテクツは小嶋一浩+赤松佳珠子/シーラカンスアンドアソシエイツが担当。施工は施工は東急建設・大林組JVが手掛けている。

 渋谷ブリッジの建設地は渋谷区東1の29の1、3。建物は保育所が入るA棟、ホテルと事務所、店舗が入るB棟で構成する。建物の規模はA棟が3階建て延べ1282平方メートル、B棟が7階建て延べ4370平方メートル。設計は東急設計コンサルタント、施工は東急建設・大林組JVが担当している。18年秋の開業を目指す。

【支援対象は桜スタジアムなど7事業】スポーツ庁が17年度の検討成果公表

桜スタジアムの完成イメージ
(ⓒ2016桜スタジアム建設募金団体)
スポーツ庁は24日、官民連携によるスタジアムやアリーナの整備計画策定を財政支援した17年度事業の成果を公表した。対象は計7件(スタジアム3件、アリーナ4件)。いずれも「稼げる」視点を重視し、数千~数万人の観客が収容できるようにする。さらに収益施設を併設したり、スポーツ以外のイベントも常時開催できるようにする複合型・多機能型施設として整備する。

 17年度に整備計画作りを支援した計7件(いずれも仮称)のうち、スタジアムが▽桜スタジアム(提案者・大阪市)▽スポーツモールAKITA(ブラウブリッツ秋田)▽京都スタジアム(PwCアドバイザリー合同会社)-の3件。アリーナは▽びわ湖アリーナ(大津商工会議所)▽つくば研究学園都市アリーナ(筑波大学)▽金沢アリーナ(浦建築研究所)▽中野駅新北口駅前エリアアリーナ(東京都中野区)-の4件となっている。

 このうち、桜スタジアムの計画は既設のキンチョウスタジアム(大阪市東住吉区)を活用する改修事業になる。

 主な使途として、桜スタジアムはJリーグセレッソ大阪、スポーツモールAKITAはJリーグブラウリッツ秋田、京都スタジアムはJリーグ京都サンガFCのホーム会場として活用する。
京都スタジアムの完成イメージ
(ⓒ京都府)
びわ湖アリーナはプロバスケットボールリーグ(Bリーグ)の滋賀レイクスターズやバレーボール・Vプレミアリーグ東レアローズのホーム会場として活用する。つくば研究学園都市アリーナは大学スポーツの振興、金沢アリーナはスポーツ興行、中野駅新北口駅前エリアアリーナはプロスポーツでの活用を打ち出した。

 政府は2025年までに「稼げる」視点を重視した多機能型・複合型のスタジアムやアリーナを全国に計20カ所整備する目標を掲げている。スポーツ庁の支援を受けて計画作りを進めている今回の7件は政府目標の有力候補になる。

 報告された整備計画の概要は次の通り。(【施設・計画名】〈1〉整備主体〈2〉計画地〈3〉施設規模〈4〉事業スケジュール)

 【桜スタジアム】〈1〉桜スタジアム建設募金団体〈2〉大阪市東住吉区長居公園1の1〈3〉約3万人収容の複合型・多機能型施設として検討〈4〉19年着工、21年供用開始

 【スポーツモールAKITA】〈1〉民間(未定)〈2〉未定、秋田市内の3カ所を候補地として検討〈3〉約1万人収容〈4〉20年設計着手、21年着工、22年供用開始

 【京都スタジアム】〈1〉京都府〈2〉京都府亀岡市追分町地内〈3〉2万1600人収容、4階建て延べ3・3万平方メートル〈4〉18年1月着工済み、20年2月ごろ運営開始

 【びわ湖アリーナ】〈1〉びわ湖アリーナ〈2〉大津市浜町3〈3〉5000人収容、延べ約1・6万平方メートル〈4〉18年度設計着手、21年度供用開始

 【つくば研究学園都市アリーナ】〈1〉民間事業者単独または特別目的会社(SPC)〈2〉茨城県つくば市吾妻2の10〈3〉メインアリーナは7000~8000人収容〈4〉19年事業化

 【金沢アリーナ】〈1〉特別目的会社(SPC)〈2〉未定、金沢駅から西側徒歩圏内の場所を検討〈3〉1万人収容〈4〉20年設計着手、21年着工
 ▽中野駅新北口駅前エリアアリーナ=〈1〉未定〈2〉東京都中野区中野4〈3〉1万人収容〈4〉27年竣工。

2018年5月24日木曜日

【回転窓】浸水から親水へ

川の近くに住んでいると、天気が良い休日などにふらりと河川敷に出掛けたくなる。広々とした空の下、ビールを片手に読書をしたり、家族や気心が知れた仲間とたわいのない世間話で盛り上がったりするのは、何ともぜいたくなひとときだ▼憩いの空間も悪天候になるとその様相は一変する。荒れ狂う濁流を目にすると身の毛がよだち、実際に多摩川も暴れ川として度々、猛威をふるってきた。変化の契機になったのは1914年のアミガサ事件だ▼堤防決壊などで苦しんできた地域住民らが編みかさをかぶって神奈川県に押し寄せ、築堤工事の実施を直訴。この出来事を契機に改修工事が決まった。着工は18年。同じ年には荒川上流部でも近代改修が始まった▼地道に治水対策を進めたからこそ、豊かな水辺が楽しめる。改修から100年を迎えた多摩川と荒川上流部では、国土交通省や関係自治体らがイベントを計画しているそうだ▼水害対策の重要性を認識してもらいながら次の100年を見据えて議論を深める。浸水への恐れではなく、親水による豊かさが前面に出てくることが大事。川を考えるよい機会になってほしい。

【オープン予定は20年夏】北九州・門司の臨海部ににぎわい施設整備へ

 北九州市は、門司区の新浜11、12号上屋跡地を対象に臨海部のにぎわい創出につながる施設開発を行う民間事業者を公募した「新浜11、12号上屋跡地にぎわい創出事業」のプロポーザルで事業予定者にエストラスト(山口県下関市)を選定した。

 同社は温浴施設と商業テナントで構成する2階建て延べ5635平方メートルの施設を提案した。事業費は約11億円。8月ごろまでに事業用定期借地権設定契約を結び19年夏ごろの着工、20年夏ごろの完成・オープンを目指す。

 対象地は門司区東港町90の4の一部ほか、敷地面積4446平方メートル。提案によると「癒やし・健康・交流」をテーマに温浴、グルメ、ショッピング、健康、観光、憩いの6機能の事業を展開する。

 店舗エリアにはレストランや地元の食文化などを提供する店舗、温浴エリアには大浴場や露天風呂、家族湯などを設け、157台の駐車場を併設する。賃借希望価格は年額400万円。

 市では選定理由として財政基盤が安定し、魅力ある海辺空間の創出により来訪者の増加が期待できることや、門司港レトロ地区の新たなランドマーク的な存在としてイメージアップや周辺施設などへの波及効果が期待できることなどを挙げた。

【五輪後見据え事業手法など協議】神宮外苑地区街づくり、検討会が初会合へ

東京都は30日、「東京2020大会後の神宮外苑地区のまちづくり検討会」の初会合を都庁で開く。

 新宿、渋谷、港の3区にまたがる神宮外苑地区のうち、秩父宮ラグビー場と明治神宮球場周辺の現状・課題を整理。2020年東京五輪後の事業着手を想定している街づくりで、民間活力の導入の在り方などを議論する。

 検討会は学識経験者と新宿区ら3区、都都市整備局、建設局の担当部長で構成。都市開発と連携する形で民間が緑地などを創出する「公園まちづくり制度」を神宮外苑地区で活用する場合の要件などを取りまとめる見通しだ。

 神宮外苑地区では国立競技場の建て替えを契機に、歴史的景観の保全や大規模スポーツ施設の更新などを促進する地区計画を決定。15年には都と関係権利者が「神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書」、3月には覚書に基づく協議内容を整理した確認書を交わしている。

 関係権利者は宗教法人明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、高度技術社会推進協会、伊藤忠商事、日本オラクル、三井不動産。確認書では、公園まちづくり制度の活用要件に関する検討状況を踏まえ、関係権利者が同地区での施設計画、事業計画、スケジュールなどを別途検討するとしている。

【若手技能者が仕事のやりがいや魅力を紹介】大林組、協力会社向けリクルート用動画制作


 大林組と協力会社組織の大林組林友会連合会(山本正憲会長)は、連合会会員企業の求人活動を支援する動画を制作した。トンネルやダムなど土木現場で働く若手建設技能者らが登場し、入社動機や仕事のやりがいを語っている。各社のリクルート活動に役立ててもらう。

 次世代の育成に向けた取り組みの一環で、動画タイトルは「BIG PROJECT~誇りと達成感~」。

 土木業界への就職を希望する高専生や高校生などにリアルな現場の姿を伝えるため、シールドトンネル、山岳トンネル、ダム、高架橋の4現場と大阪機械工場、大林組林友会教育訓練校を紹介している。

 実際に現場で働く人が多数出演。若手建設技能者のメッセージに加え、上司である所長や職長などは現場の安全管理や仕事の魅力についてアドバイスしている。さまざまな年代が登場することで、入社から年代を重ねるごとに、どんな仕事に携われるかが分かりやすい内容となっている。

 動画再生時間は14分55秒。動画投稿サイトYouTubeで視聴できるほか、希望者にはDVDを送付する。

2018年5月23日水曜日

【回転窓】素敵な街の顔

夕暮れの東京・丸の内。タキシードとウエディングドレスを着た若い男女が手を取り見つめ合う。街でこんなシーンを見かけたら、多くの方がテレビか雑誌の撮影現場ではないかと思われるに違いない▼実はこれ、ロケーションフォトと呼ばれる撮影サービス。主役の2人をコーディネートするスタッフやカメラマンが付き、街の中で場所やポーズを変えて思い出の写真を撮影していく。東京駅と丸の内周辺は人気の撮影スポットのようだ▼昨年に改修工事を終えた東京駅丸の内駅前広場につながる行幸通りに立ち、ライトアップされた東京駅舎をバックに撮る一枚。そして美しくおしゃれな丸の内仲通りでの写真もきっとかけがえのないものになろう▼丸の内で再構築事業が本格化したのは現在の丸ビルが開業した2002年から。以前は「月曜から金曜までのオフィス街」であったが、今では週末にも多くのショッピングを楽しむ人や観光客らでにぎわう街に変わっている。16年に休日の来街者が02年の約2・5倍に増えたというから、変貌ぶりがよく分かる▼大切な思い出づくりの舞台に選ばれるのもすてきな街の顔である。

【野村不ら、19年夏開業めざす】日の出ふ頭(東京都港区)に小型船ターミナル

 野村不動産とNREG東芝不動産(東京都港区、吉田祐康社長)は22日、東京港の日の出ふ頭に小型船ターミナルを整備すると発表した。

 埠頭(ふとう)を中心とする日の出エリアのにぎわい創出と舟運の活性化が目的。船客の待合所などを備える建物やイベント利用が可能な芝生広場を整備・運営する。イチケンの施工で既存建物の解体工事に着手した。設計は野村不動産が担当。本体工事の施工者は決まっていない。今秋の本体着工を経て、19年夏の開業を目指す。

 事業名称は「(仮称)日の出ふ頭小型船ターミナル整備計画」。NREG東芝不が事業主体となり、日の出ふ頭(東京都港区海岸2の1の1、2)を所有する東京都港湾局から土地の使用許可を受け、事業を推進する。

 整備する建物の規模は延べ1100平方メートル。船客の待合所、飲食機能を導入し、海辺にはテラス席も設ける。併せて、現在閉鎖されている竹芝・日の出間の管理用橋梁を美装改修してライトアップするほか、一部の信号・横断歩道を小型船ターミナルの入り口付近に移設することで、アクセス性と回遊性を強化する。

 今回の事業は、野村不とNREG東芝不、JR東日本が東京・芝浦にある5ヘクタール弱の敷地に総延べ55万平方メートルの大規模複合施設2棟を建設する「芝浦一丁目計画」の関連事業。ターミナルの芝生広場で周辺地域や企業と連携したイベントを展開することで、ターミナルを含む海辺空間を集客拠点の一つとして確立し、エリア全体の価値と回遊性を向上させたい考えた。

【施工は鹿島JV、総事業費180億円】メットライフドーム大規模改修(埼玉県所沢市)が起工

 西武ホールディングス(HD)は、プロ野球西武ライオンズの創設40周年記念事業として、西武鉄道が保有するメットライフドーム(埼玉県所沢市)で計画していた大規模改修工事に着手した。

 22日に現地で起工式を開いた。設計は鹿島、施工は鹿島・西武建設JVが担当する。21年春の完成を目指す。

 メットライフドームの所在地は上山口2135。現在の延べ床面積は4万2542平方メートル。改修工事ではドームエリアと、チームの育成施設を改修する。ドームエリアではバックネット裏に12球団最大級となる約430人収容のVIPラウンジを新設する。育成施設は、大型室内練習場やトレーニングルームを設けた選手寮を整備。第二球場でも観客席をバックネット裏に設置する。総事業費は約180億円を見込む。

 式典では西武HDの後藤高志社長が鍬、鹿島の中村満義会長が鋤を入れ、工事の無事完了を祈願した。後藤社長は「改修によるお客さま満足度の向上と選手育成を最大の目標にしている」と語った。中村会長は「大変重要な記念すべき事業に携わることができ光栄だ」と述べた。

【施工は東鉄工業】Jヴィレッジ駅(福島県楢葉町・広野町)が着工

Jヴィレッジ駅周辺の整備イメージ
(提供:JR東日本水戸支社)
JR東日本は22日、サッカー練習場などが集積する「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町、広野町)の隣接地に計画しているJR常磐線新駅「Jヴィレッジ駅(仮称)」の建設工事に着手した。設計は土木部分がJR東日本コンサルタンツ、建築部分は未定。施工は東鉄工業が担当する。19年4月の供用開始を目指す。

 新駅は常磐線広野駅と木戸駅の間(木戸駅から東京方向に約1.9km地点)に整備する計画で、イベント開催時に停車する臨時駅になる。2面2線の乗降場、バリアフリー設備としてエレベーターも設ける。ホームは特急も停車可能な10両分の長さがあり、車いすでもスロープとエレベーターで円滑に乗降できる。

 整備事業費は約15億円。福島県沿岸部の8町村と県、JR東日本が3分の1ずつ負担する。

 同日に現地で行われた起工式には輿石逸樹執行役員水戸支社長、東鉄工業の柳下尚道社長、地元関係者らが参加し、工事の安全を祈願した。

【神田橋~江戸橋JCT間の1・8km】国交省ら、東京・日本橋の首都高地下ルート案決定

首都高地下化ルート案の対象区間
東京都中央区の日本橋上空を通る首都高速道路の地下ルート案が決まった。国土交通省、東京都、中央区、首都高速道路会社らで組織する地下化検討会の2回目の会合が22日に開かれ、地下化の対象区間約1・8キロ(うち地下部分約1・2キロ)のルート案を了承。都心環状線の交通状況を踏まえ、江戸橋ジャンクション(JCT)の一部ランプを撤去し、八重洲線の既存の地下トンネルを最大限活用する。周辺再開発事業と連携しながら事業の具体化を進める。

続きはHP

2018年5月22日火曜日

【回転窓】就活戦線もそろそろ終盤?

来春に卒業する大学生らの採用活動がスタートしてから約3カ月、会社説明会などを経て選考活動も終盤戦に入りつつあるのではないか▼先週、文部科学省らが発表した3月に大学などを卒業した人の就職率は98・0%に達し、1997年の調査開始以降で過去最高を記録した。同省が公表したこの春高校を卒業した就職希望者の就職率も98・1%に。この数字からも採用戦線が超売り手市場といわれる理由も分かる気がする▼採用動向はその時どきの景気に左右され、例えば1990年代前半のバブル末期は前年が超売り手市場だったのに、翌年は180度状況が変わり超氷河期に転じた。もちろん学生は苦労したのだが、企業も採用を絞りすぎ今なおその後遺症を引きずっているケースがある▼人事担当者にとって予定している採用数をどうクリアするかこれからが正念場を迎える。学生も連日の採用試験や面接できっと、心身ともに疲れはピークだろう▼その一方で、この春入社した新入社員の中には会社を離れるという決断をする人も出始めていると聞く。正解が一つではないだけに、いつの時代も就職を巡る問題は難しい。

【段階開発で価値の最大化を】都有識者会議、築地市場跡地再開発で提言

豊洲移転後の築地市場跡地(東京都中央区)の再開発について検討する都の有識者会議は21日、街づくりの提言をまとめた。築地市場周辺のインフラの検討・整備状況などに応じた段階的な開発で価値の最大化を図る方針を明記。一貫したコンセプトで開発を進めるため、ガバナンス(統治)組織の設置検討も求めた。

 築地市場の面積は約23ヘクタール。再開発では長期的な時間軸を踏まえつつ、周辺地域との有機的な連携を図る。歩行者ネットワークの形成で広域的な回遊性を高め、近接する浜離宮恩賜庭園との連続性も確保する。10月11日に開業する豊洲新市場(江東区)の隣接地で整備を計画している商業施設「千客万来施設」との両立も図る。

 築地跡地が備えるべき空間のイメージも固まった。敷地西側は「A」空間とし、浜離宮との一体性を考慮した緑豊かな環境を創出する。都道環状2号の本線トンネルの開通から早期の整備着手を検討する。隅田川沿いの敷地南東は「B」に位置付け、水辺に開かれた空間を確保する。敷地中央の「C」には、広域的観点から東京の将来を担う機能を導入する。敷地北東の「D」では築地本願寺、場外市場、隅田川との連続性などに配慮する。

 こうしたコンセプトの実現に当たっては、開発当初からすべての内容を詳細に定めるのではなく、民間の提案を受けながら段階的に事業化していく方針を確認。既にあるさまざま築地ブランドを生かしながら、新たなブランドを生み出す。経済合理性に偏らず、文化的・歴史的価値が十分に生かされた開発を目指す。

 築地再開発検討会議の座長を務めた近藤誠一元文化庁長官は、「築地再開発は将来の東京にとって重要。世界も注目している」と強調。街づくりの大枠をしっかりと守るため、ガイドラインの作成とガバナンス組織の設置なども提言した。都は年度内をめどに、今回の視点に基づく街づくり方針を定める。