2018年6月29日金曜日

【職場で野菜作り、いかが?】竹中工務店、オフィス向けの野菜栽培テーブル販売

 竹中工務店は7月2日から、グループ会社の朝日興産(大阪市中央区、岡田恒明社長)を通じて打ち合わせ用の業務テーブルと野菜栽培システムを一体化した「ベジテーブル」を販売する。

 植物工場で採用されている自動灌水(かんすい)や照明制御などの技術を活用し、執務空間などで野菜を自動栽培する。社員などに野菜を「育てる」「収穫する」「食べる」体験をしてもらうことで、感性や創造性の活性化や執務環境の改善を促す。

 ベジテーブルはA4資料やノートパソコンを置ける幅1545ミリ、奥行き1110ミリ、高さ1000ミリのスタンディング式テーブルの中央に無機培地式水耕栽培装置を配置した。テーブル下部に収納された養液タンクからの養液が給水管と排水管を通って循環するため、業務に影響を与えずに野菜が自動栽培できる。

 LED照明の光で野菜を成長させる。成長に効果的な「栽培モード」の光は人の目にまぶしすぎるため、時間を設定して人の目にやさしい「インテリアモード」に切り替えられる。栽培できる野菜の種類はリーフレタス、バジル、ミニトマトなど80種類以上。

 同社オフィスを含む3カ所での実証実験で性能を確認済み。実証実験後のアンケートでは、ベジテーブル導入前と比較して空間の快適性や満足度が向上し、知的生産性にもよい影響があったという。

 開発を手掛けた同社環境エンジニアリング本部担当者によると「作業の合間にリフレッシュが必要な業種などでのニーズを見込んでいる」という。価格は本体が86万8000円。運搬・設置費、月々のメンテナンス費などが別にかかる。同社は健康的なまちづくりや空間づくりを推進する「健築」をコンセプトの一つに掲げており、ベジテーブルの販売はその一環となる。

【手作業感覚で遠隔操作】大成建設、医薬・食品製造施設向けにロボットアーム開発

 大成建設は力触覚グローブによってロボットアームを遠隔操作するシステムを開発した。

 物体をつかむ際の微妙な力加減の情報が双方向に伝達され、手作業に近い感覚でアームが遠隔操作できる。作業手順や力加減などの動きを記憶させることも可能。間接接触での作業が必要な医薬品や食品の製造施設を導入ターゲットに、19年ごろの実用化を目指す。

 操作者がグリップ型力触覚グローブを装着して動かすと、遠隔地のロボットアームが同じ動きを再現する。アームには垂直多関節ロボットを採用し、操作者の繊細な動きもとらえる。情報をやりとりする通信には、高速度な国際規格の統合制御ソフトウエアを採用。生産現場での力加減などをリアルタイムに把握し、ほぼ同時に動きが再現できる。

 今回開発したシステムは以前開発した初期型のプロトタイプを、よりシンプルに使いやすく改良した。構成するシステムには超小型産業用パソコン、小型人協働ロボットなどの汎用(はんよう)品を多用。実際の生産現場に導入しやすくした。

 将来的にはIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)を活用し画像認識による自動操作、作業手順や力加減の学習・再生による最適な作業パターンの実現などを目指す。学習した作業を再生できるようになれば24時間連続で作業が可能。生産性の向上や、無人化による空調・照明などの運用コスト削減などが見込める。

【荒波乗り越え働きやすい東京を】小池都知事、建設業で活躍する女性と意見交換

 東京都の小池百合子知事は28日、建設業界で働く女性を集めた「女性が輝くTOKYO懇話会~建設業編」を都庁で開いた。女性の働き手が少ない産業にスポットを当てる取り組みの一環。建設業の魅力や女性活躍の現状などをテーマに、知事と6人の女性技術者が率直に意見交換した。

 日本建設業連合会(日建連)けんせつ小町部会、土木技術者女性の会、建築設備技術者協会設備女子会、日本造園建設業協会(日造協)女性活躍推進部会、日本建築仕上学会女性ネットワークの会、全国低層住宅労務安全協議会じゅうたく小町部会の計6団体から1人ずつの女性が参加した。

 知事は「国内の未利用エネルギーの最たるは、実は女性ではないか。産業構造が大きく変わろうしている荒波を一緒に乗り越え、働きやすい東京をつくりたい」と呼び掛けた。

 日建連の木村梨絵さん(三井住友建設)は「世界に二つとないものを、多くの職人と一緒に造り上げるのが喜び」と建設業の魅力を強調。日造協の桑園亜希子さん(東光園緑化)は、街路樹剪定(せんてい)士としての仕事や働きがいを紹介し、「造園業は災害発生時の復旧・復興でも重要な役割を担っている」と説明した。

 土木技術者女性の会の村上麻優子さん(鹿島)は、東京メトロ日比谷線の虎ノ門新駅の工事現場に配属されている。東京駅丸の内口の駅前広場の再整備にも関わった。「地元のみなとみらいの開発を見て、建設業に興味を抱いた。インターンシップ(就業体験)でゼネコンの現場を体験し、業界に入ろうと決めた」と話した。

 日本建築仕上学会の森嶋順子さん(トーヨー科建)は、「別の業界から建設業に移った。当時は今より女性の数は少なく、それがかえってやる気になった」と自身の経験を話した。全国低層住宅労務安全協議会の四十物谷綾花さん(大和ハウス工業)は「快適トイレの普及を進めている。災害時には、建設現場のトイレを被災者が使用できる」と社会貢献の取り組みを紹介した。

 建築設備技術者協会の佐藤佳那さん(関電工)は、「普段は見ることができない部分に触れられるのがこの仕事の魅力」と語った。懇話会では建設現場の働き方改革、キャリア形成の課題などについても意見を交わした。

2018年6月28日木曜日

【知的好奇心、スイッチオン!!】こども霞が関見学デー、8月1~2日に開催

 東京・霞が関の官庁街を舞台に行われている夏休み企画「こども霞が関見学デー」が今年も開かれる。8月1、2の2日間、各省庁が工夫を凝らしてさまざまな仕事を紹介。国土交通省は「知的好奇心、スイッチオン!!」をテーマに、過去最多となる42件のプログラムを用意する。

 子どもたちに建設業の魅力を知ってもらうため、大工や庭師といった職人の仕事体験を準備。同省の正面玄関ではショベルカーによる書道など、職人芸を間近で見られる。免震体験車に乗って地震対策の大切さを感じてもらう。

 バーチャルリアリティー(VR)グラスを装着し高所作業やドローン(小型無人機)の操縦が体験できる。ダムカードやダムペーパークラフトなどを使いダムの形状や役割を学んでもらう。「国土交通大臣とおはなししよう」などは事前予約が必要となる。

【施工は竹中工務店】7月に九産大創立60周年記念アリーナ新築(福岡市)着工

中村産業学園(福岡市東区)は、福岡市東区の九州産業大学キャンパス内に計画している「創立60周年記念アリーナ(仮称)」の新築工事の施工者を竹中工務店に決めた。

 規模はS一部RC造3階建て延べ約1万7500平方メートル。7月上旬に着工し20年2月の完成を目指す。

 20年に創立60周年を迎える同大学の記念事業の一環として建設する。施設のデザインコンセプトは「地域に根ざし、成長し続け、交流をはぐくむ学美(まなび)の丘の大樹アリーナ」。収容人員は約5000人でスポーツのほか、入学式や学位授与式を一堂に会して開催でき、災害時には地域住民の避難所としても活用する。

 1階にスポーツ健康科学に関する実験や実習を行える実験・実習室、授業やサークル活動などに幅広く利用できるスポーツ多目的室、卓球室、研究室、更衣室を配置。

 2階に公式バスケットボールコート4面規模のメインアリーナ、これとつながり多目的に利用できる交流スペースとなるコミュニケーション・ラウンジ、3階に約1000席の観客席や各種トレーニング機器を備えたトレーニングルーム、ランニングコースを設ける。建設地は福岡市東区松香台2の460の2ほか。設計担当は梓設計。

【プロジェクトアイ】栃木県総合スポーツゾーン新スタジアム整備(宇都宮市)

◇施工は鹿島JVら◇

 栃木県が、2020年東京五輪や22年国体などを見据えて整備する「総合スポーツゾーン」の工事が順調に進展している。

 新設施設の中で先んじて着工した新スタジアムでは、県や建築工事を手掛ける鹿島を代表企業とする建設共同企業体(JV)らが施工にまい進し、スタンドの姿が徐々に見え始めてきた。20年4月の供用開始へ向けて、最盛期に入った現場を取材した。

 新スタジアムの計画地は、宇都宮市西川田のかつて競馬場があった場所で、総合スポーツゾーンの北エリアに位置する。第一種公認の陸上競技場で、全天候型舗装の400メートルトラックが9レーン設けられる。Jリーグ設置基準に適合した天然芝のサッカー場としても利用される。観客席数は約2万5000席。丸みを帯びた「おわん型」のスタンドで、長辺250メートル、短辺200メートル、周長720メートルの大きさだ。うねりがあるS造の膜屋根が設けられる。

 ◇ダイナミックな現場で緻密な作業◇

 昨年4月に工事が始まり、同6月から杭工事に着手した。時計回りチームと反時計回りチームという2班体制で施工を進めており、これまでに下部スタンドがおおむね完成し、現在は、上部のスタンド工事などに取り組んでいる。同県県土整備部総合スポーツゾーン整備室の分田久貴室長は、「県民に愛され、県民が誇りに思う施設を目指して、県職員と施工者が一丸となって整備を進めている」と話す。
分田室長㊨と石井所長
鹿島JVの石井正樹所長は、「県民の期待が非常に大きい施設であり、設備関係のJVともしっかり連携しながら、無事故・無災害で完成させたい」と意欲を見せる。鹿島JVだけで1日300人程度の作業員が施工に従事している。県内の作業員も多く、「非常に士気が高い」と石井所長は信頼を寄せている。

 今回の工事の大きな特徴は、工期短縮を図るため、全体的にプレキャスト(PCa)構造を取り入れていることだ。上部スタンドに用いる階段状の梁の部分は、プレキャストプレストレストコンクリート(PCaPC)構造で、1個当たり10~30トンの部材を現場で地組みしてから、据え付けている。最も小さい組み合わせでも約70トン、最大では200トンという重さになるため、750トンの巨大クレーンを2台投入して、作業に当たっている。

 鹿島JVの藤森啓祐監理技術者(次長)は、「部材は大きいが、作業はデリケートでミリ単位で合わせている」と話す。寝かせて地組みした物を、スタンドの斜めの形状に適合する角度に調整してからつり上げて設置していくなど緻密な作業が続く。県の鈴木秀男室長補佐(総括)は、「一つのずれが全体に影響してしまうため、非常に高い施工精度が求められる。一流の技術がなければできない」と説明する。

階段状の梁を設置した後は、PCaPC構造の周方向梁を取り付け、PCa構造の下部床版や階段状の床、踏み石などを順次、設置していく。今秋に屋根の鉄骨工事が始まり、来年4月ころから屋根膜の工事に取りかかる予定だ。来夏にはスタジアムの全体像が現れてくることになる。

 県では、今月から一般市民向け現場見学会を行っている。第1回の見学会では、巨大クレーンなどのダイナミックな姿に、参加者からは「すごい!」と歓声も上がった。総合スポーツゾーンの整備工事を見てもらうことで、施設に愛着を持ってもらい、積極的な活用につなげる狙いだ。

 今後の見学会は、子どもの参加を見越して、夏休み期間に4回開催する予定にしている。県の分田室長は、「建設現場のすごさを伝えて、建設業の魅力向上に少しでも貢献したい。子どもたちに夢を与える機会にしていきたい」と話している。

 ◇県民に愛されるスポーツ拠点に◇

 栃木県は、国体などを契機に、県民向けの総スポーツ推進拠点となる「総合スポーツゾーン」の整備に取り組んでいる。全体の面積は71・1ヘクタールで、新スタジアムや新武道館、新体育館・屋内水泳場が新設されるほか、既存の硬式野球場や陸上競技場の改修なども一体的に進行中だ。
工事が進む新武道館
いずれの施設も、県産材や県産品を積極的に活用することで、同県の地域性を表現するほか、スポーツに関わる人を主役とした100年単位で愛される施設を目指している。新武道館には、県産杉材と鉄骨を組み合わせた小屋組みを大規模に採用した。設計や建設工事には多くの地元企業が参画しており、地域の総合力を結集した施設整備となっている。

 新武道館や新体育館・屋内水泳場も含めて、主要な工事は着工済み。新武道館は1期工事部分が来年秋に供用開始する予定だ。新体育館・屋内水泳場の整備・運営にはPFI手法が導入されており、21年の国体リハーサル大会に向けて、工事が進んでいる。

 《工事概要》

 【工事場所】宇都宮市西川田2

 【構造・規模】RC・SRC・S造4階建て延べ4万2168m2

 【発注者】栃木県

 【設計・監理】久米設計・AIS総合設計・本澤建築設計事務所JV

 【施工】建築=鹿島・増渕組・渡辺建設・那須土木・磯部建設・浜屋組JV△電気設備=ユアテック・三信電工・大進電気工事・テクノ産業・中央電機通信・前田電設JV△給排水衛生設備=日神工業・田中工業・横山工業JV△空調設備=藤井産業・小牧工業・金箱工設JV

2018年6月27日水曜日

【施工はフジタJV】横浜文体再整備サブアリーナ新築が起工

 フジタら10者が出資する特別目的会社・YOKOHAMA文体(横浜市中区、太田祐次代表)は26日、横浜市中区で「横浜文化体育館再整備事業(仮称)サブアリーナ新築工事」の建設工事に着手した。

 建設地は横浜文化体育館の敷地と隣接する旧横浜総合高校跡地。設計は梓設計・フジタJV。フジタ・馬淵建設JVの施工で20年9月末の完成を目指す。

 グループの代表企業はフジタ(統括管理、設計、建設)。構成員は電通(統括管理、運営)、梓設計(設計、工事監理)、大成建設(設計、建設)、馬淵建設(建設)、渡辺組(建設)、川本工業(建設)、横浜市体育協会(運営)、日本管財(維持管理、修繕)、スターツコーポレーション(運営、民間収益事業)。

 同日行われた地鎮祭では、梓設計の杉谷文彦社長が鎌、YOKOHAMA文体の太田祐次社長が鍬、フジタの奥村洋治社長が鋤を入れ工事の安全を祈願した。建設地は翁町2の9の10(敷地面積4795平方メートル)。規模はRC一部S・SRC造5階建て延べ1万4925平方メートル。

 再整備プロジェクトでは、横浜文化体育館の敷地と隣接する旧横浜総合高校跡地の2カ所の市有地を使い、BTO(建設・移管・運営)方式のPFIで二つのアリーナ(メインアリーナ、サブアリーナ)を備えた体育施設を整備・運営する。収益施設の整備・運営事業も民間の独立採算で実施する。サブアリーナは20年10月の供用開始予定。その後メインアリーナの建設工事に取り掛かり、24年4月の供用開始を目指す。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/週52時間勤務制で工事費増

週52時間勤務制の施行で建設工事費が平均4.3%増加するだろうという調査結果が出た。新規人材採用効果は少ない半面、既存労働者の給与は平均8~13%ほど減少するとも分析された。

 7月1日から300人以上の労働者を抱える大企業と公共機関は、最大法定労働時間が週68時間から週52時間に16時間短縮される。これを前に韓国建設産業研究院が37件の建設現場を対象に、労働時間短縮の影響が大きい直接労務費(全体原価の23.2%)と間接労務費(2.2%)を中心に工事費増加幅を計算した。

 これら工事で1週間当たりの平均労働時間は、管理職(元請業者・下請業者を含む)が59.8時間、技能労働者が56.8時間という調査結果であった。週52時間制が施行されれば、管理職と技能労働者の労働時間はそれぞれ13.0%、8.4%減る。これによる賃金減少率を推算してみると、管理職13.0%、技能労働者8.8%であった。

 労働時間短縮に伴い工期を間に合わせるために建設企業が人材を増員する場合、労務費が平均8.0%増えて、全体工事費も平均4.3%増加すると推計された。

CNEWS、6月19日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/スマートシティー事業で協力

 不動産開発ベカメックスの子会社で南部ビンズオン省に拠点を置くVNTTは、NTTベトナムとスマートシティー事業での協力契約を結んだ。19日に同省で契約締結式を行った。

 両社は、クラウドWi-Fiネットワークサービスの提供などを行っていく。ベカメックスとNTTが先に交わした覚書に基づく協力で、「ビンズオン新都市」のスマートシティー化などが狙い。将来的に、同省のスマート教育システムの構築などでも協力を模索していく。

セイ・ズン、6月21日)

【三大都市圏や太平洋沿岸で高確率】政府、今後30年以内の大地震予測図公表

今後30年以内の大地震(震度6弱以上)の発生確率
政府の地震調査委員会(委員長・平田直東大教授)は26日、今後30年以内に震度6弱以上の大地震が起きる確率を示した18年版「全国地震動予測地図」を公表した。17年版に続き、三大都市圏(東京、名古屋、大阪)や四国の太平洋側での高い発生確率を予測している。

 18年版の発生確率を算出した基準日は1月1日。発生確率を都道府県庁がある市の市役所(東京は都庁)や北海道振興局の所在地別に見ると、最も高いのが17年版と同様に千葉市で85%(17年版比増減なし)。次いで横浜市82%(1ポイント増)、水戸市81%(増減なし)、北海道根室市78%(15ポイント増)、高知市75%(1ポイント増)、徳島市73%(同)、静岡市70%(同)の順に高かった。

 三大都市圏では東京都が48%(同)、名古屋市が46%(増減なし)、大阪市が56%(同)となった。

 政府の地震調査委員会(委員長・平田直東大教授)が26日公表した18年版「全国地震動予測地図」の都道府県庁所在地別発生確率は次の通り。

 【北海道・東北】

 ▽札幌市1・6%(17年版比0・6ポイント増)▽北海道函館市1・5%(0・4ポイント増)▽北海道江差町1・1%(増減なし)▽北海道倶知安町5・1%(1・5ポイント増)▽北海道岩見沢市10%(3・8ポイント増)▽北海道旭川市0・55%(0・1ポイント増)▽北海道留萌市1・8%(同)▽北海道稚内市1・1%(増減なし)▽北海道網走市3・7%(2・4ポイント増)▽北海道室蘭市8・5%(3・5ポイント増)▽北海道浦河町70%(5・0ポイント増)▽北海道帯広市22%(9・0ポイント増)▽北海道釧路市69%(22・0ポイント増)▽北海道根室市78%(15・0ポイント増)▽青森市5・7%(0・5ポイント増)▽盛岡市4・6%(0・3ポイント増)▽仙台市6・1%(同)▽秋田市8・1%(0・1ポイント増)▽山形市3・8%(0・2ポイント増)▽福島市7・1%(0・4ポイント増)

 【関東・甲信・北陸】

 ▽水戸市81%(増減なし)▽宇都宮市14%(1・0ポイント増)▽前橋市7・2%(0・2ポイント増)▽さいたま市55%(増減なし)▽千葉市85%(同)▽東京都48%(1・0ポイント増)▽横浜市82%(同)▽甲府市50%(同)▽長野市5・7%(増減なし)▽新潟市13%(同)▽富山市5・2%(同)▽金沢市6・5%(同)

 【中部・近畿】

 ▽岐阜市27%(増減なし)▽静岡市70%(1・0ポイント増)▽名古屋市46%(増減なし)▽津市64%(1・0ポイント増)▽大津市11%(増減なし)▽京都市13%(同)▽大阪市56%(同)▽神戸市45%(同)▽奈良市61%(同)▽和歌山市(同)

 【中国・四国・九州】

 ▽鳥取市5・7%(0・1ポイント増)▽松江市3・8%(0・1ポイント増)▽岡山市43%(1・0ポイント増)▽広島市24%(同)▽山口市6・0%(0・1ポイント増)▽徳島市73%(1・0ポイント増)▽高松市63%(同)▽松山市46%(2・0ポイント増)▽高知市75%(1・0ポイント増)▽福岡市8・3%(0・1ポイント増)▽佐賀市8・3%(同)▽長崎市2・6%(増減なし)▽熊本市7・7%(0・1ポイント増)▽大分市55%(0・1ポイント減)▽宮崎市44%(増減なし)▽鹿児島市18%(同)▽那覇市20%(同)。

2018年6月26日火曜日

【9月5日午後1時から、イイノホールで】創刊90周年記念シンポジウムの参加者募集

 日刊建設工業新聞社は9月5日(水)午後1時から、創刊90周年記念シンポジウム「国のかたちを考える」を東京都千代田区内幸町のイイノホール&カンファレンスセンターで開催します。

 サブテーマは「これからの社会基盤づくり」。本格的な少子高齢化時代の到来や高い確率で発生が予想される巨大地震への対応など、さまざまな課題への対応に迫られている日本で、都市と地域が持続可能な発展を遂げていくには社会基盤整備でどのような戦略や仕組みが必要なのか。地域づくりや観光振興の在り方も含め、各界の識者が「これからの日本」を展望します。

 新進気鋭のロボットクリエーターに発展めまぐるしいロボット技術が暮らしや産業活動をどう変えていく可能性があるのか、ベストセラー作品を生み出した人気の漫画家に社会基盤を形づくる仕事への思いも語ってもらいます。

 定員は500名、入場無料(事前申し込み必要)。申し込み方法ははがき・FAX・WEBのいずれかで、以下の必要事項を記入の上、ご応募ください。

①郵便番号・住所

②氏名(ふりがな)

③年齢

④職業(企業・団体名)

⑤電話番号(携帯可)

⑥参加人数(5名まで)

⑦メールアドレス(任意)

はがきの宛先

〒102-0074

東京都千代田区九段南1-6-17千代田会館5F

毎日企画サービス「社会基盤づくりシンポジウム」係

※当日消印有効

FAX

03-6265-6837「社会基盤づくりシンポジウム」係

応募締切:8月10日(金)23:59まで

WEB 







応募締切:8月10日(金)23:59まで


※注意事項

応募者多数の場合は抽選。当選者の発表は招待はがきの発表をもって代えさせていただきます。

個人情報は適切に管理し、本シンポジウムの連絡のみに使用します。

出演者などは、予告なく変更する場合があります。
  

お問い合わせは

「社会基盤づくりシンポジウム」事務局(株式会社毎日企画サービス)TEL03-6265-6813(平日午前10時~午後5時)まで。

【〝おかしい?〟と思ったら、ためらわず医療機関へ】夏本番へ工事現場の熱中症対策本格化

気象庁が発表した7~9月の平均気温予報
建設現場で熱中症の発生リスクが高まる夏本番を間もなく迎える。厚生労働省は昨年度に続いて官民合同の予防推進キャンペーンを9月まで展開。7月を重点月間と位置付け、適切な作業・体調管理と積極的な医療機関の利用を強く呼び掛けていく。全国安全週間を目前に控え、建設各社もさまざまな取り組みを推進。2年前まで減っていた熱中症死傷者数が再び増えている中、官民を挙げて対策に万全を期す。

続きはHP

【遠隔地から振動常時監視】三井住友建設、軍艦島(長崎市)のRC建物に振動計測システム設置

 三井住友建設は25日、長崎市の端島(通称軍艦島)にある国内最古の高層RC造建築物「30号棟」に、振動を常時計測する「ヘルスモニタリングシステム」を設置し、実証運用を開始したと発表した。老朽化が著しい建物を遠隔から常時監視し、倒壊の危険性を示すデータを得ることで、システムの精度を向上させる狙いだ。

 システムは東京大学発のベンチャー企業ソナス(東京都渋谷区、大原壮太郎代表取締役)が保有する計測システムを構造物用として活用するため、三井住友建設とソナスが共同開発した。実証運用は長崎市と共同で行い、東大地震研究所の楠浩一教授の助言を受けた。

 システムは微細な揺れを常時監視し、建物の異常検出時にはアラートで建物所有者に危険を警告する。一般的なセンサーよりも高精度なため、これまで計測ノイズに埋もれていたわずかな変化も検知する。三井住友建設の独自技術により完全ワイヤレス化を実現しており、通信・電力ケーブルを設置せずに常時モニタリングできる。

 地震後の建物の使用可否も瞬時に判断できるため、人海戦術で行っていた従来の保守点検の在り方の抜本的な改善や、技術者不足の解消に期待がかかっている。劣化が進む30号棟にセンサーを設置することで、一般的な建物からは得られない貴重な劣化データを蓄積する。今後はデータを分析して損傷判定(倒壊判定)を行うなど、状態を把握・判定するための方法論確立に取り組む方針だ。

【これは!!!!】ソフトバンクら、都内2現場で建設ロボット活用の実証実験

 ソフトバンクとサービスロボットの開発・販売を手掛けるソフトバンクロボティクス(東京都港区、冨澤文秀社長兼最高経営責任者〈CEO〉)は25日、建設ロボットを使った建設現場での実証実験を行ったと発表した。

 実験は竹中工務店とフジタが施工を担当する都内の2現場で実施。カメラやセンサーを搭載した四足歩行型ロボットに現場を自立走行させたり、現場内の様子を撮影させたりして動作確認などを行った。

 実証実験の全体調整をソフトバンク、技術サポートはソフトバンクロボティクスが担当した。実験には米国のロボットメーカー・ボストンダイナミクスの「SpotMini(スポットミニ)」を使用。建設作業員の大幅な省人化や高効率化を目指し、スポットミニの建設現場での動作を確認。スポットミニを使った進捗(しんちょく)管理なども実施した。

 今後はスポットミニの本格運用に向けた課題検証やデータ収集、スポットミニに搭載可能なカメラ・センサーユニットの開発などを行いながら、19年夏以降の本格運用を目指す。

 建設業界の人手不足対策では、担い手の確保・育成と生産性の向上が課題となっている。竹中工務店はロボットを含むさまざまな最先端技術について、若手作業所長を中心としたタスクフォースを通じて実現場への試験導入や展開を積極的に進める方針だ。フジタではロボット技術やAR(拡張現実)を積極的に施工管理に適用し、生産プロセス改革に取り組んでいる。

【開発コンセプトは〝伝統と革新〟】ホテルオークラ東京本館建替(東京都港区)、19年9月開業めざす

米国大使館側から見た完成イメージ
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ホテルオークラは25日、建て替え中の「ホテルオークラ東京本館」(東京都港区)の施設計画を発表した。新本館は「伝統と革新」を開発コンセプトとし、和の要素を取り込んだ現代的な高層棟、日本の美の粋を集めた中層棟で構成。総延べ18万平方メートル規模のラグジュアリーホテルとする。19年6月の竣工、同9月上旬の開業を目指す。総事業費は1100億円を見込む。

 設計を大成建設・谷口建築設計研究所・観光企画設計社・日本設計・森村設計・NTTファシリティーズJVが担当。工事監理とコンストラクションマネジメント(CM)は三菱地所設計、施工は大成建設がそれぞれ手掛けている。

 建設地は虎ノ門2の10(敷地面積約2・6ヘクタール)。建て替えに当たり、ホテル名称を「The Okura Tokyo」(オークラ東京)に変更する。高層棟には海外を中心に展開する「オークラプレステージ」ブランド、中層棟には今回新設するブランド「オークラヘリテージ」を導入し、2ブランドを一体的に運営する。

 敷地南側の高層棟「オークラプレステージタワー」の建物規模は地下1階地上41階建て延べ15・3万平方メートル。客室数は368(うちスイートルーム10室)。低層部は宴会場やレストランなど主に共用施設を配置。5階メインロビーは旧本館ロビーを復元する。8~25階はオフィス、26階と27階はフィットネスクラブとスパ。28~40階に客室、41階にはレストランやチャペルなどを設ける。

 敷地中央に中層棟「オークラヘリテージウイング」を配置する。建物規模は地下1階地上17階延べ2・7万平方メートル。低層部は共用施設を入れ、6~17階に客室(140室、うちスイートルーム7室)を備える。約1・3ヘクタールを緑地・庭園に充て、自然環境や周辺環境との調和・共生を図る。高層棟と中層棟、改修している大倉集古館に囲まれた空間には広場も設ける。

 ホテルオークラは25日、東京都内で記者会見し、荻田敏宏社長(写真中央)が「海外の要人を含めさまざまな賓客をお迎えする、世界でもトップクラスのホテルになるようグループを挙げて準備をしていく」と意気込みを示した。

 ホテルオークラ東京の池田正己社長(写真左、ホテルオークラ代表取締役専務執行役員)は「新本館の開業はまさに第二の創業と言える。今までつくり上げてきた歴史の上に新たな歴史を築き上げていくのは、身の引き締まる思いだ」と語った。

 建設地に隣接するホテルオークラ東京別館(東京都港区)については、従来通り営業を継続するが、荻田社長は「新本館の完成後しばらくしたら、別館の中長期的な方向性について検討する必要がある」と説明した。

【スタンド棟を新設】名古屋競馬場移転整備PFI、実施方針を公表

愛知県競馬組合は25日、基本設計先行型PFI方式を導入する「名古屋競馬場移転整備等事業」の実施方針と要求水準書案を公表した。

 名古屋市港区から弥富市の弥富トレーニングセンターに同競馬場を移転させる事業。8月末に総合評価一般競争入札を公告、11月に個別対話を実施、12月末まで事業提案書と入札書を受け付ける。19年1月末のヒアリングを経て、同2月初旬に落札者を決める。7月4日に説明会を開く。

 既存施設も活用しながら新競馬場を整備する。S造3階建て延べ5450平方メートルのスタンド棟、S造8階建て延べ4000平方メートルの調教関係者住宅(1K、2DK、3DK合計92戸)、ナイター照明、大型映像装置を新設し、選手会館、装鞍(そうあん)所、厩舎(きゅうしゃ)、コースを改修する。スタンドには地方競馬で初となる「ホースビューコリドー」を設置、パドックからコースに移動する競走馬を間近で見られるようにする。

 コースは、1100メートルから1180メートルへ延伸、最終コーナーからゴールまでの直線を240メートル確保して、レースの盛り上がりを促す。新たなファン獲得に向け、「公園のような競馬場」を目指し、イベント広場や乗馬体験ゾーンを設け、幅広い年代の来場を狙う。

 事業者は、スタンド棟2階のレストラン運営や集客イベントなどを通じたにぎわいづくりといった付帯事業を提案することができる。事業方式はBTO(建設・移管・運営)。

 参加できるのは設計、建設、維持管理を担当する企業によるグループ。設計企業は同種業務実績のある1級建築士事務所。建設企業は、経営事項評価点数が建築工事1200点以上、電気工事870点以上、管工事860点以上のすべてを満たす者。維持監理企業は、県入札参加資格者名簿に「役務の提供」「建物等各種施設管理」で登録されている者。設計監修と工事監理は別発注。

 事業期間は37年3月までの18年間。19年度内に実施設計に着手、22年度の供用開始を目指す。概算事業費は98億円。基本設計は山下設計が担当した。

 説明会を7月4日午前10時から同組合の競馬場会館(名古屋市港区)で開く。問い合わせ先は総務部総務広報課(電話052・661・9792)。移転後の現競馬場跡地は、2026年に開催されるアジア競技大会の選手村として利用される見込み。

【学生主体に新たな価値観創造】九州発、「ツナガルドボク」始動!!

 九州地区で土木を専攻する大学生がSNS(インターネット交流サイト)を通じて知り合い、「ツナガルドボク」と呼ぶ活動を始めた。

 自らを「Civil Engineering Eggs」と名付けて業界最前線で活躍する技術者などと交流しながら、土木の新しい考え方や価値観を学生主体で見いだしていく。「土木×○○」の相乗効果の活動を志向する学生たちを取材した。

 ツナガルドボクの発足は今年1月。「学生も土木の魅力を伝える役割を担えないか」と考えていた福岡大学4年の鳥越瑠奈さんが、SNSで知り合った大塚柚人さん(福岡大学大学院修士1年)、佐々木隆成さん(九州産業大学4年)に呼び掛け、土木を学ぶ学生とつながっていこうと立ち上げた。

 大塚さん、佐々木さんは、土木技術の意義や魅力を広く伝える活動を一般社団法人として展開するツタワルドボク(福岡市博多区、片山英資会長)にも参加している。その活動に倣い、学生主体で土木を社会にアピールしていく活動を進めていくことにした。

 ツナガルドボクは発足後、4月にホームページ()を開設し、会の目的や具体的な活動内容を発信。5月3日には、福岡市中央区のラマイプラウリゾート今泉店で発足会を兼ねた交流イベントを開いた。

 イベントには学生と社会人を合わせた総勢33人が参加し、土木を巡る悩み、疑問、夢などを自由に語り合った。

 会の代表に就任した鳥越さんは、「土木を学ぶ学生とつながりたいという思いを佐々木さん、大塚さんが受け止めてくれた」とし、「学生の行動力を持ってすれば、活動の輪はさらに広がると思う」と自信を見せる。

 ツナガルドボクを通して世代や地域を越えた人たちとつながり、授業だけでは学ぶことができない、今まで知らなかったような土木の世界を知るきっかけにもしていきたいとする。

 大塚さんは、九州だけでなく、全国の学生、社会人ともつながることを目標に「『土木を知る機会』を学生側から作って業界を引っ張る存在になりたい」と意欲を示す。

 佐々木さんは国民の財産でもあるインフラを整備する建設業界は「米国などで医者より社会的地位がある」と指摘。学生が誇りを持って就職できるようにするためにも「伝える」ことの重要性を訴え、土木にまつわるマイナス面のイメージを払拭(ふっしょく)しながら、土木離れを改善できるような活動に力を入れていきたいと意気込む。

 3人の設立メンバーと共に運営に携わる土井朋実さん(福岡大学3年)は「土木の魅力をもっと知りたいし、知ってもらいたい」とし各種活動を通じて土木の新しい価値観を見つけたいとする。川添光貴さん(宮崎大学4年)は「多くの学生が土木を好きになり、夢や目標が見つかる活動に取り組みたい」と話す。

 今後本格化する活動の中で志向するのは「土木×○○」。大手建設コンサルタントとコラボレーションした座談会を8月にも開催しようと企画を進める。学生と社会人が小人数、もしくは一対一で討論するような機会にしたいという。「伝える」活動を推し進めるため、「ドボクと広告関係に関する内容」を討論する方向で詰めている。

 ツナガルドボクに参加する学生をネパールに派遣し、現地の技術者や現地で活躍する日系企業の技術者と交流するほか、現地のインフラを巡るツアーも計画中。これらプロジェクトに掛かる費用をクラウドファンディングで調達する方向で8月末にも具体的な内容を公開する予定だ。こうした活動を展開しながら、学生、社会人、学校、会社といった枠にとらわれずに授業で学べないこと、会社で取り組めないことを目指す。
ツナガルドボクは各種主体と連携して活動する
今後は3年後をめどに九州全県に各支部を設置した上で、全国、さらに世界にも活動の場を広げていきたい考えだ。ツナガルトボク活動そのものや土木構造物を収めた写真、映像を活用したプロモーション活動を展開するほか、女性技術者にスポットを当てた交流の場を設置することも計画していきたいとしている。

 九州地区の学生の発案で始まったこの取り組み。将来を担う若者たちが夢と希望を持ち、自らの手で未来を切り開いていこうとする活動が、これからの土木業界の新たな潮流となっていくことが期待される。

2018年6月25日月曜日

【ごあんない】創刊90周年記念特集号・第1集、発刊しました

日刊建設工業新聞社は25日付で「創刊90周年記念特集号・第1集」(別刷り)を発行しました。テーマは「国のかたちを考える-これからの社会基盤づくり」。人口減少時代を迎えた日本での持続可能な社会基盤づくりに向けた広範な課題を取り上げ、これからの「国のかたち」を提示します。

 18日に発生した大阪北部地震では、鉄道網が途絶し、道路網も混乱を来しました。水道管が破裂し、ガスの供給を絶たれた地域もありました。災害時にも強靱(きょうじん)で必要な機能を維持できる社会基盤の必要性が改めてクローズアップされたと言えるでしょう。

 ただ公共財政が逼迫(ひっぱく)し、安全で快適な暮らしに欠かせない社会基盤を取り巻く環境は変化しつつあります。そうした中でも地方創生や都市再生、観光振興、国際貢献、生産性向上に果たす社会基盤と建設産業の役割は決して小さくありません。本特集では国を持続的な成長に導く視点から、今、「国のかたち」を考えます。

 日本の都市が抱える問題の一つに「スポンジ化(空洞化)」があります。人口減少と少子高齢化の進展に伴って虫食い状態のように空き地や空き家が増える問題で、有効な施策を講じていかなければ都市機能の衰退が懸念されます。

 新たな成長とビジネスの起爆剤、観光・地域振興、雇用創出といった幅広い経済効果の発現につながると期待されるのが、カジノを含む統合型リゾート(IR)施設の整備法案です。今国会での成立を見越し、自治体の施設誘致活動も熱を帯びています。国土交通省は高規格幹線道路、大型港湾、国際空港の整備・拡充で後押しする方針です。

 地球温暖化による影響が深刻化する中、気候変動対策と防災分野の取り組みには重なる部分も多くあります。これからは事前防災・減災の取り組みを「コストではなく投資」という視点に切り替え、両対策の一元化を図っていくことがより重要となります。 

 社会基盤づくりを担う建設産業も今、変革を迫られています。建設生産のすべての過程にICT(情報通信技術)、IoT(モノのインターネット)などの導入を目指す石井啓一国交相。成長戦略の柱の一つであるインフラ輸出でも国交省は日本独自のICTの活用を柱とする現場の生産性向上策「i-Construction」の海外展開を見据えています。

 生産工程に3次元データを活用するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)/BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の普及によって、新3K(給与・休暇・希望)を実現し、魅力のある現場への変革によって多様な人材を呼び込む未来を描きます。

 企業の投資判断に使われる指標として「ESG(環境・社会・企業統治)」が大きく注目されるようになっています。本特集では建設企業の推進体制などについてアンケートも実施しました。各指標への適切な対応を通じ、未来に「選ばれる企業」となるための取り組みが始まっています。

【建設現場にカラクリ装置!?】東急建設、若手社員のプロジェクト特設サイト開設

 東急建設が、若手社員によるプロジェクト企画の一環として東京・渋谷の建設現場に設置したカラクリ装置を紹介する特設サイトを開設した。

 カラクリ装置を設置したのは「渋谷区役所合同庁舎建て替えプロジェクト」(東京都渋谷区)の現場仮囲い。8日から一般公開している。

 特設サイトでは、カラクリ装置プロジェクトのコンセプトから企画、設計、製作・設置までの流れを、若手社員の思いを交えながら紹介している。

 同社は15年、部署や職種を問わない20~30代の社員による「部門交流若手社員特命プロジェクト」をスタートした。若手社員の柔軟な発想と行動力を生かし、社内外のコミュニケーションの活性化を目的に、毎年複数のチームが活動している。

 これまでにも、若手プロジェクト企画の一環として建設業の社会的な役割や使命などを紹介する動画を制作してきた。これらの取り組みも特設サイトで公開している。

【五輪レガシーエリアを再編整備】東京都、有明北地区街づくりで事業提案募集

東京都は、2020年東京五輪の競技会場が集積する江東区の有明北地区の街づくりで、事業提案を募集する。五輪後の「有明レガシー(遺産)エリア」への再編整備をテーマに、地区内で造成した未利用都有地の開発方法などを民間事業者からヒアリングする。意見を踏まえて年度内に整備の方向性を決め、19年度以降に開発事業者の公募手続きを開始する。五輪後の事業着手を目指す。

 25日~7月20日にヒアリングへの申し込みを受け付ける。同30日~8月8日に都庁で意見を聴く。今秋をめどに結果をまとめ、概要を公表する。

 有明北地区では、五輪のバレーボール会場などとして使用する有明アリーナをはじめ、有明テニスの森や有明体操競技場の整備が進んでいる。五輪後は他の競技会場の仮設施設も地区内に移設し、有明レガシーエリアとしてPRする方針だ。

 有明親水海浜公園の整備区域に隣接する一部区画は、「アーバンスポーツ(スケートボード、スポーツクライミングなど)ゾーン」に位置付ける。同ゾーンと有明アリーナ、新交通ゆりかもめ有明テニスの森駅の3カ所は、レガシーエリアのにぎわいの軸とする。

 同駅周辺には集客施設を誘致し、1~2階に飲食・休憩店舗を配置するイメージを持っている。近隣にオープンスペースゾーンを設け、駐車場やイベントスペースなどとして活用したい考え。回遊性を高める歩行者デッキ、シェアサイクル、巡回バスなどの整備・運営も想定している。

 対象都有地はアーバンスポーツゾーンで2カ所(2・6ヘクタール、1・6ヘクタール)、テニスの森駅周辺が2カ所(2・5ヘクタール、1・1ヘクタール)、オープンスペースで1カ所(2・6ヘクタール)。ヒアリングでは都が提示した開発イメージにとらわれず、自由な発想を求める。具体的な事業計画やアイデアのほか、事業進出の条件面(運営手法、採算性など)での意見・要望も集める。

【凜】東京・葛飾区都市整備部・時野谷彩夏さん

 ◇自然豊かな街づくりに貢献したい◇

 大学時代に森林の生態系を学び、「自然を守る仕事がしたい」と考えるようになった。出身地は埼玉県。首都圏で働きたいという思いも重なり、「都市と自然との在り方を考えた時に公園や街路樹が思い浮かんだ」。志望した造園職として葛飾区役所で働くこととなった。

 最初に配属された都市整備部道路補修課では街路樹の維持管理に携わった。4年目から現在の部署に移り、公園や児童遊園の新設・改修工事の設計・監理を担当している。

 関わった公園ができあがることに「仕事が形に残っていく」と感慨深げ。「多くの住民に使ってほしい」とも願い、整備に携わった者として「ずっと見守っていきたい」と未来の姿に思いをはせる。

 監理の仕事では施工業者を指導する立場となるが、現場で働く職人は経験が豊富な人ばかり。「分からないことを素直に聞き勉強させてもらっている」という。職人とコミュニケーションを深めることにも余念がない。

 用地選定など上流段階の仕事にも興味が湧いてきた。事業全体を通して「業務の流れを理解し、自然豊かな街づくりに貢献したい」。

 休日に公園へ訪れることも多い。設置を検討している遊具があるなど、気になる公園があれば多少遠方でも足を伸ばす。訪れた公園で「ベンチに座って友達とおしゃべりする」ことも楽しみの一つだ。

 (公園課建設係、ときのや・あやか)

【駆け出しのころ】大林組執行役員建築本部副本部長兼技術本部副本部長・後藤和幸氏

 ◇いつも学ぶ姿勢を忘れずに◇

 大学で衛生工学を専攻し、修士論文では地中熱について研究しました。入社して最初に配属されたのは、東京本社建築本部設備部計画第二課です。現場に根差した技術開発を行う部署で、ビルのエネルギー消費や温度分布の実測とともに、それらを論文にまとめることなどが主な仕事でした。

 2年後、建築本部設備設計部に配属となりましたが、私は学生時代も含め建築製図の経験がなかったため、いろいろと苦労しました。配属直後に図面のトレースを命ぜられ、どうにか完成させて上司に提出すると、既に図面が出来上がっていたこともありました。上司は私のトレースでは使いものにならないと見越し、外注していたのです。恥ずかしさと大変申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、一方で長い目で見てもらえれば、必ず会社に貢献できる時が来るという思いも強く持っていました。

 その後、設備計画部技術課での設備劣化診断業務などを経て、32歳の時に初めて現場勤務となります。建築主任や協力会社の皆さんにいろいろと教えてもらいながらの日々でした。ある日、私は所長から質問されたことを協力会社の方に聞いてそのまま報告し、この所長に「明日から来なくていい」と厳しく叱られたことがあります。確かにこれでは私が現場にいる意味はないと、叱られた理由がすぐに分かりました。

 それまでは自分なりに真面目にやっていると思っていましたが、情報を集めて伝えることで仕事をしたつもりになっていたのです。大林組と協力会社のコミュニケーションを大切にし、お互いの知恵を出し合わないと現場の全体最適とはならない。このことを学べたことは大きく、自分を成長させてくれた現場でした。

 この現場の竣工後、現地赴任も含め海外部門に8年間勤務しました。35歳の時に米国で担当した工場の現場では、お客さまや設計事務所のエンジニアとじかに折衝する立場になりました。技術者としての未熟さを痛感しましたが、得意なことを少しでも生かしていこうと努力しました。

 これまでの経験を踏まえ、会社では新入社員の研修などでこんなことを話しています。若いうちは、例えミスをしても会社や上司が必ずフォローするので大きな失敗にはなりません。でも、それを当たり前と考えてはいけません。

 「教えてもらっていないからできない」ではなく、「まだまだ自分は知らないことばかり。だからこそ学んで行こう」と考えてほしいのです。常にいろいろなことに目を向け、勉強して吸収していくことが成長であり、自分のキャリアは自ら形成していくという強い気持ちが大切なのだと思います。これから会社を支えていく若い人たちには、いつも学ぶ姿勢を忘れず、周囲から、会社ではなく個人の名前で信頼を得られるようになってほしいと思います。

 (ごとう・かずゆき)1984年北海道大学大学院工学研究科衛生工学専攻修了、大林組入社。東京本社建築事業本部設備部設備課長、本社技術本部企画推進室部長、海外支店設備部長、本社建築本部本部長室部長などを経て、18年3月から現職。秋田県出身、58歳。
米国に赴任してきた時に撮った一枚(1997年)

【創刊90周年特集企画】三代目桂歌之助師匠に聞く「落語に学ぶ建築・まちづくりとは」

 ◇庶民の心で街の色が定まる◇

 江戸の人々の暮らしを描く落語。現代のように電気や水道、ガスはなく、簡素な住まいの時代にあっても、庶民は助け合い、知恵と工夫を出し合って力強く生きてきた。そこには現代の暮らしに通じる古くて新しい示唆が潜んでいる。千葉大学で建築を学び、今は上方落語の本格派として活躍する三代目桂歌之助師匠に落語から学ぶ建物づくり、街づくりのヒントを聞いた。

 □広く学ぶ視点□

 落語で描かれる上方の建物は入り口の横にかまど、前には四畳半の部屋があって奥に坪庭がある。今に残る京町家も原型は同じだ。ウナギの寝床とよくいわれるが、あの造りは良くできている。両側が他の家の壁で窓をとれないため、玄関と坪庭から風と光を採り入れている。限られた空間で快適にすごそうとする工夫がある。坪庭に緑もある。現代でも狭小住宅に使われるテクニックだろう。

 地域の個性は豊かな方がいい。大阪は古くから「水の都」と呼ばれ、川を含めた景観が素晴らしい。訪日外国人が増えているのも、そういう日本を見に来ている。最近は「日本らしさ」を求めて、外国人の間で昔ながらの食堂が人気を集めているそうだ。外国人の方が日本の良いところを知っている。日本人が日本人らしくないことに気付いていないのは悲しい。

 □人々をつなぐ□

 電車の中を見ると「閉じている」人が多い。スマートフォンを見ながらイヤホンをし、マスクをして隣の人にはまったく無関心。ところが電車で誰かを助けたというニュースがあると、ネットで拡散して「いいね」という共感が集まる。いわゆる「開いた」状態となる。最近の建築物も同じようなところがあって、非常にプライベート空間を大切にする。しかし昔ながらの居酒屋が良いとされるところもある。今は閉じているけども、開いているのも良いという二つの価値観が混在している。

 その点で落語は完全に開いている。遊んでる人間に「仕事を世話しよう」と始まる噺(はなし)が山ほどある。今の若者は開いているところにも共感するわけだから、落語的な人間の触れ合いは現代でも成立するということだろう。

 □暮らしの知恵□

 落語に扱われるドラマが起こるのは、当時のやむを得ない事情だ。例えば隣の夫婦げんかを聞いて仲裁に入る噺がある。これは壁の薄い長屋が並んでいたというやむを得ない事情が根底にある。現代の遮音された建築では起こりえない。

 現代の集合住宅で住民から「人との触れ合いや横のつながりがほしい」という要望があると聞く。仕掛けとしてやむを得ない状況をつくり出せばいい。落語に「崇徳院」という噺がある。商家の若旦那が恋煩いとなり、出入りの職人が若旦那のほれた娘を捜すために足を運んだのが、人の集まる風呂屋さんと床屋さん。現代の「人寄り場所」はバスの停留所やごみ捨て場かもしれない。落語を演じる立場からは、そういう生活の必然と絡めたところに、人のつながる場を作るのもいいと思う。

 理想とするのは、閉じているところと開いているところが、うまくつながっている建築物だ。プライベートがまったくないのは嫌なのだが、ずっと閉じているままでは人とのつながりがない。これから高齢者が増えることも考えれば、人々が横につながり、一緒に助け合うことも必要になる。プライベートな空間と公的な空間、閉じている空間と開いている空間がうまく両立しているのが良い建築で、それがつながって良い街が生まれる。

 □日本人のDNA□

 建築家の安藤忠雄さんの出世作となった「住吉の長屋」(大阪市住吉区)は、雨が降るとトイレに傘をささないと行けない。不便に感じるが、それを許す施主がいる。建築文化を創造するのは庶民ということだ。あべのハルカス(大阪市阿倍野区)は雑多な街の向こうに、一本だけ立っている混沌(こんとん)とした景色がおもしろいという見方もある。いろんな人がいろんなことを考えながら全体としての都市、街の色が定まるのだろう。

 大阪の空堀商店街や中崎町辺りにはレトロな街並みが残る。そういうものを好むのは「ここが心地よい」と感じる日本人のDNAだろう。一度もそんな家に住んだことはない若者が「いいな」と思う何かがある。芸もそうだが、一遍途絶えると復活はなかなかできない。建物も無くなると再現することは難しい。古い建物を身近な生活遺産として意識し、つないでいくことは大切だ。

 上方唯一の定席として六十数年ぶりに復活した天満天神繁昌亭は地元商店街が街の活性化のために誘致した。商店街もにぎやかになり、大変に成功した。それを見て、神戸にも寄席ができることになった。寄席の誘致によって街を活性化しようとする試みが広がってほしい。

 □想像力を養う□

 落語が成立するのは観客の想像力だ。これが今の日本人に最も大事なものだと思う。技術開発はよりリアルに、いかに現実に見せようかという方向に向かっている。それとは全く逆のことだが、落語は無いものを頭の中で想像して楽しむ。コミュニケーションは相手のことを想像するところから始まる。どうしたら伝わるのかと相手のことを想像し、この人は何が言いたいのかを想像する。「分からない。終わり」でなく、もう一歩我慢して思いを巡らすことが、これからの国際社会に向かう若者には必要だ。想像する楽しみをいま一度見直してもらいたい。

かつら・うたのすけ)1971年大阪府高槻市生まれ。千葉大学工学部建築学科卒。97年に故二代目桂歌之助に入門し、桂歌々志(かかし)を名乗る。

 以後、大阪、京都、東京の各地で自らの落語会を開催。2007年1月にワッハホールで三代目桂歌之助を襲名。06年「なにわ芸術祭新人賞」、07年「文化庁芸術祭新人賞」「第一回繁昌亭輝き賞」「咲くやこの花賞」を受賞。09年に天満天神繁昌亭で12カ月連続「桂歌之助独演会」、17年に芸歴20周年を記念した20日間連続落語会「歌之助やけくそ二十日間」を開催。現在は2カ月に一度天満天神繁昌亭で「長寿の会」を開催中。

 古典から新作までを手掛け、イタリア、台湾の落語会でイタリア語、中国語による落語を披露するなど意欲的な高座で注目を集めている。

2018年6月22日金曜日

【設計3団体に協力要請】国交省、全国でブロック塀の緊急安全点検実施

ブロック塀が倒れて女児が死亡した現場を視察する安倍首相(中央)
21日午後、大阪府高槻市で
国土交通省は21日、大阪府北部を震源とする地震でブロック塀の倒壊が相次いだのを受け、全国で緊急安全点検に着手した。大阪府高槻市で倒壊被害が発生した学校に限らず、建築物全般に設置されたブロック塀や組積造塀の所有者に要請。性能が建築基準法令に適合しているかをできるだけ早く確認してもらう。建築主事を置く特定行政庁には補修や撤去など必要な措置を呼び掛けてもらう。

続きはHP

【3Dプリンターで模型製作も可能】安藤ハザマら、古写真から彫刻欄間の3Dモデル作製

 安藤ハザマはソフトウエア開発のアールテック(浜松市中区、小杉隆司社長)と共同で、城郭や社寺仏閣などで現物が消失し写真だけが残っている彫刻欄間の復元制作技術を開発した。

 古写真から3次元(3D)モデルを作製して復元の検討に役立てる。形状変更などにも容易に対応でき、精度の高い復元と効率的な作業を実現する。

 今月8日から一般公開された名古屋城本丸御殿(名古屋市中区)の復元工事で導入を検討した。現存する彫刻欄間を撮影し3Dモデル化した例はあるが、現物が存在しない彫刻欄間の古写真から、3Dモデルを製作したのは国内初という。

 彫刻欄間を復元制作する場合、専門の彫刻職人が写真のゆがみなどを補正した原寸大の下絵を作製して木板に描き写し、有識者の指導を受けながら手作業で彫刻。関係者が打ち合わせを重ね試作品を作る。有識者による検討会も開かなければならない。

 開発した技術を使えば試作品を何度も作り直す必要がなくなる。3Dモデルを共有することで検討スピードも上がる。3Dプリンターを使えば模型製作も可能だ。開発に当たっては、井波彫刻協同組合(富山県南砺市、藤崎秀平理事長)に協力を仰いだ。

【19年度着工めざす】新宿中央公園再整備、民間からのアイデア公表

 東京・新宿区は、公園の整備・運営に民間活力を導入する「Park-PFI制度」の採用を検討している新宿中央公園について、民間事業者からアイデアや意見を募るサウンディング(対話)調査の結果をまとめた。

 JR新宿駅周辺の都市再生事業の一環として、老朽化している新宿中央公園(西新宿2の11、8・8ヘクタール)を、駅周辺との一体性を高めながら憩いと交流ができる公園に再整備する。

 不動産開発や建築、飲食店などを手掛ける17の民間事業者から、公園全体の空間づくりと、民間事業者が芝生広場(8000平方メートル)に整備する交流拠点施設の事業展開などを聞いた。

 導入する施設は▽カフェ▽レストラン▽宿泊施設▽コンビニエンスストアなどの店舗▽室内・屋外運動施設▽バーベキュー場などのアウトドア施設▽エンターテインメント施設▽ウエディング場-など多くの提案が出された。定期的に音楽やアート、スポーツなどのイベントを開催することで、多くの公園利用者を誘致したいとの意見もあった。

 施設区域は芝生広場の前を活用するものから、公園全体を使用した大規模な施設導入を計画したものもあり、事業期間は法律上の20年よりも長い設定期間を望む声もあった。区は、今夏から秋にも交流拠点施設整備の民間事業者を募集。年度内の設計、19年度の着工、2020年東京五輪開催前の供用開始を目指す。

【施工は鹿島JVら】栃木県、新スタジアム建設現場(宇都宮市)で市民見学会開く

 栃木県は21日、宇都宮市の総合スポーツゾーンに建設中の新スタジアム工事現場で、市民向け見学会を開いた。

 午前と午後の2回で計約90人が参加し、工事の様子や750トンのつり上げ能力を持つ巨大クレーンなどを見て回った。20年度の供用開始を予定しており、2020年東京五輪のキャンプ地や22年栃木国体のメイン会場などとして利用される。

 建設地は西川田2。規模は4階建て延べ4万2168平方メートル。躯体がRC・SRC造、屋根がS造となっている。陸上競技場兼サッカー場で、観客席数は約2万5000席。現在は基礎部分や1~2階の躯体部分の工事がほぼ完了し、上部のスタンド工事を進めている。

設計・監理は久米設計・AIS総合設計・本澤建築設計事務所JVが担当。施工は建築を鹿島・増渕組・渡辺建設・那須土木・磯部建設・浜屋組JVが手掛ける。設備工事は電気をユアテック・三信電工・大進電気工事・テクノ産業・中央電機通信・前田電設JV、給排水衛生を日神工業・田中工業・横山工業JV、空調を藤井産業・小牧工業・金箱工設JVが担当。

 県の分田久貴県土整備部総合スポーツゾーン整備室長は「県職員と施工業者が一丸となって、県民に愛され県民が誇れる施設整備に努めたい」と語った。鹿島JVの石井正樹所長は「非常に期待が大きい施設であり、無事故・無災害で工事を完成させたい」と述べた。総合スポーツゾーンには新武道館や新体育館・屋内水泳場なども整備される。

【シンプルで使いやすい平面計画を評価】新香川県立体育館設計プロポ(高松市)、最優秀者にSANAA事務所

SANAA事務所が提案した新香川県立体育館のイメージ
香川県は、「新香川県立体育館基本・実施設計業務」の委託先を決める公募型プロポーザルで最優秀者にSANAA事務所を選定した。デザインが瀬戸内海の島々や讃岐平野にある山々の風景への連続性を感じさせることやシンプルで使いやすい平面計画が評価された。

 同事務所の提案は「海と山と空に呼応する公園のような体育館」をコンセプトに、高さを低く抑えた一枚の大きな屋根が三つのドームを覆う施設。構造は単層鉄骨グリッドドームとつり屋根。スタンドはRC架構で構成し、客席は工場生産のPC段床を使用する。

 面積はメインアリーナ、サブアリーナ、武道場、会議室、レストランなど合計2万9698平方メートル。概算工事費は地業工事約12億35百万円、躯体工事約47億50百万円、内外装工事約20億90百万円、機械設備工事約18億76百万円、電気設備工事約12億51百万円、地盤改良工事約10億円、共通費約35億44百万円など合計約172億72百万円。

 今後のスケジュールは18~20年度に基本・実施設計、20年度に工事発注手続き、21~23年度に建設工事、23年度のオープンとしている。

2018年6月20日水曜日

【回転窓】魅力を伝える空間づくり

明治元年から150年を記念し、佐賀県で「肥前さが幕末維新博覧会」が開催されている。先日、そのメインパビリオンである「幕末維新記念館」(佐賀市)を訪れた▼記念館内に設けた展示場の壁一面に映し出される迫力のある映像には、第10代佐賀藩主・鍋島直正や元内閣総理大臣・大隈重信など佐賀が生んだ7人の偉人たちが登場する。近代日本の礎がどのように築かれたのかを「佐賀の七(しち)賢人」の功績からたどることができる▼展示アドバイザーは多くのプランニングやプロデュースを手掛けてきた洪恒夫東京大学総合研究博物館特任教授。佐賀とのゆかりも深い洪氏がどのような展示空間を演出しているのか。こうした見方で記念館の中を巡るのも面白い▼歴史をたどりながら郷土の魅力に改めて触れ、未来を考える機会とする。そして現代の最新テクノロジーも駆使して過去と未来の融合を図る。明治150年のイベントにはそんな目的もあろう▼佐賀県では今夏、佐賀県立博物館で「すごいぞ!ボクの土木展」も企画されている。建築家の西村浩氏がディレクターを務めるこの「体験型の展覧会」も見逃せない。

【小池都知事が方針表明】日比谷公会堂・野音再整備に民活導入

東京都議会の18年第2回定例会の代表質問が19日に行われ、小池百合子知事は千代田区の日比谷公園にある日比谷公会堂と大音楽堂(野音)について、民間活力を生かして再整備する方針を表明した。

 荒木千陽都議(都民ファーストの会)の質問に対する答弁。都は、更新時期を迎えた主要施設の改修や園内のバリアフリー化、サインの多言語化などに向けた日比谷公園のグランドデザインを検討している。日比谷公会堂と野音の一帯は、街に開かれたにぎわいを創出するゾーンに造り替える見通し。

 公会堂は耐震強度の不足で閉館が続いている。知事は「次世代に継承すべき財産。耐震化では意匠の保全を基本に力を尽くす」と強調した。野音については「2020年東京五輪の機運の活性化のため、積極的に活用する」と述べた。五輪後に文化発信拠点としての魅力を高めた公会堂、野音へ再整備する。

 検討中のグランドデザインには、公園の周辺施設・団体などでつくる「日比谷公園エリマネ協議会」の設立も盛り込む方向だ。想定している構成員は都、千代田区、地元自治会、エリアマネジメント組織、店舗事業者、ボランティア、指定管理者など。官民連携の公園づくりのための事業者は公募で別途選定する見通し。

【こちら人事部】東亜建設工業/海外志望者向けにセミナー企画


 ◇風通しのよい社風が特徴、上司と部下に対話の仕組み導入◇

 東亜建設工業は1908年に、浅野財閥の総帥・浅野総一郎が鶴見川の河口に広がる海面約495万平方メートルの埋め立て事業計画を神奈川県庁に提出したことが第一歩とされる。以来、港湾工事に強みを持ち、建築、海外事業でも一段と存在感を高めている。

 人材採用に当たっては、▽チャレンジする自立人間▽社外に通用するプロ▽コミュニケーションが取れる協働の推進者-の三つの観点を重視する。採用を担当する管理本部人事部人事課の服部剛至氏は「面接では学生時代にどんなことをやってきたのか、なぜそれをやろうとしたのか、目的意識や課題を解決してきたプロセスに焦点を当てて聞くようにしている」と話す。

 学生にとって有利な売り手市場が続く中、応募人数を確保するため、採用側にも工夫が求められる。インターンシップ(就業体験)など、学生との「生の接点」を増やすようにしている。

 インターンシップは、従来の2週間で実施するものに加え、17年度から1日で実施するものも導入。学生が職人や社員にインタビューする時間を設けるなど、建設業の一端に触れる独自の方法も取り入れている。「土木や建築、機械などを勉強してきても、実際に現場で行われていることは知らない人がほとんど。ゼネコンの仕事を知る機会にしてほしい」(服部氏)という。

 同社の海外売上高比率は2割、進出国は50カ国に上る。17年度から海外勤務を志して同社への入社を希望する学生向けのセミナーを始めた。海外で勤務した経験のある社員らが講師を務め、海外での仕事や生活の細部を直接伝える。課題を設けてのグループワークにも取り組む。海外に特化したセミナーはゼネコンでは珍しく、参加した学生からの評判も上々だ。

 服部氏も海外勤務経験者。「海外要員の早期育成が必要。海外では若くしてマネジメントを学べる」として、海外勤務を経験する「トレーニー制度」の拡充を提案した。赴任期間を従来の半年から3カ月に短縮し、対象を入社4年次以降から3年次以降に広げた。人数も年間10人に増やした。

 風通しのよい社風が売りの同社だが、さらなる改善へ4月から「TOAダイアログ」と呼ぶ制度を導入した。年4回上司と部下が業務面接ではなく、対話を行う。「何を考えているか、どんなことに興味があるのかなどを共有し、共に成長できる環境をつくるのが狙い。ゼネコンでは新しい試みではないか」(服部氏)。

 入社7年目の服部氏は、この制度の導入にも関わった。上司から「会社を担っていくのは若い人材だ。加わってほしい」と直接言われたという。人事制度という根幹の部分に若手から中堅が携われることも、同社の魅力の一つといえる。

 年々、学生の就職活動期間が短期化している。服部氏は「将来を考えたり、自分と向き合ったりする時間が減っている。そうなると外面などで会社を選びがちだが、会社の善しあしは中身だ」とし、学生たちには、中身をしっかり見定めて就職活動に取り組んでほしいとアドバイスを送る。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】男性41人、女性6人(17年度実績)

 【平均勤続年数】男性20・5年、女性17・0年(18年3月末時点)

 【平均年齢】  45・7歳(18年3月末時点)

2018年6月19日火曜日

【内閣府イノベ会議がフィールド評価会】福島県南相馬市で災害対応ロボなど公開

 さまざまな災害現場で人命救助や復旧作業ができるロボットの技術開発を目指す「タフ・ロボティクス・チャレンジ」の公開フィールド評価会が、福島県南相馬市の「福島ロボットテストフィールド」整備予定地で14日に行われた。

 空飛ぶ消火ロボットや災害対応ロボットなど8種類のロボットが登場し、災害現場に近い状況を再現した会場で実演した。国内外からロボットの研究者ら約500人が集まった。

 評価会は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」(田所諭プログラム・マネージャー)の取り組みの一つで、主催者は内閣府、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、東北大学、国際レスキューシステム研究機構(IRS)。今回が6回目の開催。

 実演会場では、東北大学が水噴射の反力によって火元までホースを移動できる消火ロボットを披露。大阪大学などは遠隔操作でさまざまな災害現場に対応する建設ロボットを公開した。

 有線ドローン(小型無人機)を搭載し、3次元映像や赤外線映像で自機や人を確認できる。この日は霧を発生させた屋内で人の存在を確かめたほか、2本のアームで倒壊家屋の屋根を持ち上げ、救助活動に入れるようにした。

 このほか、刃物などとがったものでもつかめる柔軟ロボットハンドや屋内探索用のヘビ型ロボット、カメラやGPS(衛星利用測位システム)を備えたスーツを救助犬に着せた「サイバー救助犬」の実証なども行われた。次回は11月に開催する予定。

【現場人】ミツワ興業・土屋歩さん「基礎工事の現場で日々奮闘」

 ◇見えない部分からインフラ支える◇

 専門学校を出て、東京でボーリング調査、郷里・新潟で井戸の掘削にそれぞれ3年従事した。2年半ほど前に橋梁や道路など土木構造物を中心とする杭打ち基礎工事を手掛けるミツワ興業(新潟県長岡市、吉原博社長)に入社。県内を中心とする工事現場で作業に当たる忙しい毎日を送る。

 そんな土屋歩さん(32)が卒業した専門学校は、同じ新潟県出身の田中角栄元首相も学び、後に校長も務める中央工学校(東京都北区)。そこで土木を専攻して主に地面のことを学んだ。その中で基礎工事が「見えない部分でインフラを支える大事な仕事」であることを知り、興味を抱いた。前職、前々職も地面を扱う仕事ではあったが、基礎工事の魅力にじかに触れてみたいという思いを持ち続けていた。

 郷里での井戸掘りの仕事を辞し、ハローワークで「建設労働者緊急育成支援事業」のことを教えてもらった。未就業者に職業訓練や資格取得、就職支援をパッケージで提供するこの事業で、1カ月のカリキュラムで基礎工事を学べるコースがあることを知った。自分の希望をかなえる同事業への参加には、高校の同級生で26歳の時に結婚した妻も「参加してみれば」と背中を押してくれた。

 地面のことはこれまでの仕事である程度分かっていたが、基礎工事に関する座学や実技を通して「工程を学ぶことができた」。何も知らないまま職に就くより、ある程度の知識を事前に習得できるこの事業はありがたいと思ったし、現場作業で必須の「玉掛け技能講習」資格も無料で取得できた。

 今、現場では場所打ち杭工法に用いる全周回転式のオールケーシング掘削機を扱うオペレーターの作業を地上側で支える「下回り」作業に従事。基礎工事は、オペレーターと下回りが息を合わせて初めて適切な施工を進めることができる。現場で奮闘する土屋さんのことを吉原社長は「仕事の飲み込みが早く、フットワークも良い」と働きぶりを評価。将来、重要な役割を託したいと大きな期待を掛ける。

 会社の期待にも応えようと、就職後も移動式クレーン、大型自動車免許、基礎工事用の運転技能講習など各種資格を取得。7月には基礎施工士の取得を目指した講習にも参加し、自らの能力向上を図る予定だ。

 まだ駆け出しの身で指示された仕事をこなす日々だが、「先輩たちを目標に追いついていけるようにしたい」と意気込みを語る。

 (つちや・あゆむ)

2018年6月18日月曜日

【全国19カ所、先着順】日建連、けんせつ小町活躍現場見学会の参加者募集

日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)は18日午前10時から、女子小中学生と保護者が対象の18年度「けんせつ小町活躍現場見学会」の参加者受け付けを開始する。7月24日~8月24日に会員企業19社の19現場で行う。

 ホームページの専用コンテンツから申し込む。先着順。国土交通省が後援する。

 見学会は4年連続4回目。女性も活躍できる建設業の仕事や魅力を理解してもらうのが狙い。女性の職員や作業員が主体となって現場を案内する。静岡、滋賀、福井、徳島、高知の5県で初開催。17年度は早々に定員に達した現場があり、キャンセル待ちが出た。

 日本建設業連合会(日建連)の18年度「けんせつ小町活躍現場見学会」の開催日時、現場の概要は次の通り。

 ▽開催日(時間)=〈1〉工事名など〈2〉施工会社〈3〉工事場所または現場事務所〈4〉分類〈5〉受け入れ人数

▽7月24日(午前10~12時)=〈1〉読売テレビ新社屋建設計画〈2〉竹中工務店〈3〉大阪市中央区城見1の3の2〈4〉テレビスタジオ・事務所〈5〉20人

 ▽7月25日(同)=〈1〉(仮称)摂津市千里丘新町A敷地計画建設工事(II・III工区)〈2〉長谷工コーポレーション〈3〉大阪府摂津市千里丘新町701ほか〈4〉マンション〈5〉同

 ▽7月26日(同)=〈1〉東京湾クルーズ(大型客船ターミナル・東京臨港道路南北線建設工事)〈2〉五洋建設〈3〉東京都江東区新木場2の3の1〈4〉港・海底トンネル〈5〉30人

 ▽7月27日(同)=〈1〉東京外環中央JCT北側ランプ工事〈2〉鹿島〈3〉東京都三鷹市北野3丁目地先〈4〉高速道路〈5〉20人

 ▽7月28日(同)=〈1〉北中西・栄町地区第一種市街地再開発事業に伴う施設建築物新築工事〈2〉西松建設〈3〉滋賀県草津市大路1丁目北ノ町407の1〈4〉共同住宅・店舗〈5〉同

 ▽7月31日(同)=〈1〉17-18年度沖洲高架橋下部(P17、P18)工事〈2〉戸田建設〈3〉徳島市南沖洲4の379の6〈4〉橋脚〈5〉15人

 ▽8月1日(午後2~4時)=〈1〉阪急淡路高架工事〈2〉鴻池組〈3〉大阪市東淀川区柴島3の9の16〈4〉鉄道〈5〉40人

 ▽8月3日(午前10~12時)=〈1〉都営住宅建替工事〈2〉株木建設〈3〉東京都江東区南砂3の11先〈4〉共同住宅〈5〉20人

 ▽8月3日(午後2~4時)=〈1〉吾嬬ポンプ所施設工事〈2〉飛島建設〈3〉東京都墨田区立花5の6の2〈4〉下水道施設〈5〉同

 ▽8月5日(午前10~12時)=〈1〉新東名高速道路柳島高架橋工事〈2〉オリエンタル白石〈3〉静岡県小山町柳島~湯船〈4〉橋〈5〉30人

 ▽8月7日(同)=〈1〉臨海副都心出口基礎・擁壁その他工事〈2〉奥村組〈3〉東京都江東区青海2の7の4〈4〉高速道路〈5〉20人

 ▽8月7日(午後2~4時)=〈1〉入江崎水処理センター改築土木その10工事〈2〉前田建設〈3〉川崎市川崎区小島町10の1大師河原ポンプ場内〈4〉下水処理施設〈5〉18人

 ▽8月9日(午後1時30分~3時30分)=〈1〉新東名高速道路谷ケ山トンネル西工事〈2〉三井住友建設〈3〉静岡県小山町菅沼1839の1〈4〉トンネル〈5〉30人

 ▽8月10日(午前10~12時)=〈1〉北陸新幹線、福井橋りょう工事〈2〉東急建設〈3〉福井市下莇生田町33の1〈4〉橋〈5〉40人

 ▽8月18日(同)=〈1〉旭労災病院新棟整備工事〈2〉佐藤工業〈3〉愛知県尾張旭市平子町北61〈4〉病院〈5〉20人

 ▽8月21日(午後3~5時)=〈1〉広島高速5号線シールドトンネル工事〈2〉大林組〈3〉広島市東区二葉の里2の1の33〈4〉トンネル〈5〉30人

 ▽8月22日(午後2~4時)=〈1〉相鉄・JR直通線、羽沢駅新築他工事〈2〉鉄建建設〈3〉横浜市神奈川区羽沢南2丁目〈4〉鉄道・駅舎〈5〉16人

 ▽8月23日(同)=〈1〉高知市新庁舎建設工事〈2〉大成建設〈3〉高知市本町5の28の1ほか〈4〉市役所〈5〉20人

 ▽8月24日(午前10~12時)=〈1〉江戸川区立葛西小学校・葛西中学校改築工事〈2〉フジタ〈3〉東京都江戸川区中葛西2の4の34〈4〉学校〈5〉同。

【回転窓】今夜の夕食は…

連日熱戦が続いているサッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会。サムライブルーの愛称で親しまれる日本代表の青いユニホームや、応援メッセージを街の至る所で目にするようになった。盛り上がりは上々のようだ▼W杯はサッカーの潮流が示される。前々回の南アフリカ大会でスペインが優勝した後は、パスをつなぐポゼッションサッカーが主流に。前回ブラジル大会の栄冠を手にしたドイツは、局面で個が相手を上回る「デュエル」の重要性を示した▼決戦に臨む日本代表は、大勢の裏方がサポートしている。その一人が帯同シェフの西芳照さん。東日本大震災が起きた2011年3月11日、西さんは後に福島第1原子力発電所の事故対応拠点となる「Jヴィレッジ」にいた。地震後に見た復旧作業に奮闘する建設業関係者の姿に触発され、地震から半年後に施設内の食堂を再開した▼西さんの帯同は4大会連続。決戦前夜はうな丼が定番という記事を読んだ。今夜の夕飯は決まったのだろうか。精を付け代表選手に日本のサッカーを世界に知らしめてほしい▼初出場から20年。サポーターの期待を背に受け、行け日本代表。

【スポーツ庁、官民連携の取り組みバックアップ】スタジアム・アリーナ整備・運営計画、策定支援先に岡山大ら5者

スポーツ庁は、官民連携によるスタジアムやアリーナの整備・運営計画策定経費を補助する18年度の支援先を決めた。

 対象は▽大津商工会議所▽岡山大学▽浦建築研究所▽デロイトトーマツコンサルティング▽PwCアドバイザリー-の5者。いずれもスタジアムやアリーナの整備・運営を計画している官民協議会の取りまとめ役を務めている。

 5者のうち岡山大学とデロイトトーマツコンサルティングは、スポーツ庁の支援事業を活用するのが初めて。

 岡山大学は岡山市内でバレーボール・VチャレンジリーグI岡山シーガルズのホーム会場として使うアリーナの新設、デロイトトーマツコンサルティングは愛媛県今治市でサッカー・日本フットボールリーグ(JFL)FC今治がホームゲームで使う複合型スマートスタジアムの新設で、それぞれ計画する官民協議会の検討に参画する。

 大津商工会議所と浦建築研究所、PwCアドバイザリーの3者は、17年度に続き同庁の支援事業を利用。17年度に作成した整備・運営計画をブラッシュアップする。

【都、工事内容の一部削減検討】東京体育館改修(渋谷区)、入札再公告へ

東京都は、参加者が集まらず入札手続きを取りやめた「東京体育館(30)改修工事」の再発注に向け、工事内容などの再検証に入った。

 当初の工事内容の一部を削減し施工の難易度を下げ、参加者の間口を広げる方向。2020年東京五輪の卓球競技の会場として19年内に改修を終える。

 工事場所は渋谷区千駄ケ谷1の17の1。SRC一部RC・S造地下2階地上3階建て延べ4万5303平方メートルの既存施設改修などを行う。

 東京体育館の新築工事は清水建設を代表企業とするJVが施工した。改修工事は元施工者以外の施工が技術的に困難で、入札参加が敬遠されるケースがある。5月に公告した1回目の入札は、参加申請がなかった。再発注では工期を厳守しつつ参加を促すため、五輪に影響がない範囲で工事内容を縮小する。

【検証委設置、18年度内に方向性】酒井直人東京・中野区長、新北口駅前エリア再整備の見直し表明

 今月の区長選で初当選した東京・中野区の酒井直人区長は15日、区庁舎で就任会見を行った。

 酒井区長はJR中野駅北側で計画する「新北口駅前エリア」(中野4、区域面積4・85ヘクタール)の再整備事業を見直す考えを表明。1万人収容のアリーナを中心とする多機能型複合施設を整備する計画を一時凍結し、区域内にある中野サンプラザ取り壊しの可否も含め、事業内容を検討し直すとした。

 今秋にも事業検証委員会を立ち上げ「区民と対話しながら、事業の方向性を本年度中に出したい」と述べた。

 酒井区長は「中野駅周辺ではさまざまな再開発計画が進んでいる。区全体としてどのような街づくりをしていくか、区民参加でもう一度検討したい」と一時凍結の意図を説明。見直しにより、区の基本構想の改定が必要なため「セットで再検討する」方針を明らかにした。

 検証委は区の付属機関(審議会)として設立する。構成員は学識経験者、経済団体や地元団体、地域住民ら15~20人規模を想定している。

 酒井区長は「これまで中野サンプラザの解体ありきで事業が進んでおり、残すか否かの議論がされなかった」と指摘。「残したいと思っている人にもデータは必要だ」との考えから、再整備する場合と保存する場合のランニングコストなどを基に議論していく。中野サンプラザは区民らにとって愛着が強い施設。検証の結果、解体が決定しても「新たな建物の名称や施設デザインなどは既存施設をほうふつとさせるようにしたい」と注文を付けた。

 新北口駅前エリアには中野サンプラザのほか移転する区庁舎がある。従来計画によると、再整備は土地区画整理事業で大街区化を進めながら、市街地再開発事業で土地の高度利用を図るのが目的だ。

 再開発事業ではアリーナを組み込んだ1万人収容の集客交流施設やMICE(国際的なイベント)を想定したホテル、業務・商業施設、住宅などが入る多機能複合施設、新北口駅前広場を整備する予定だった。2023年度の新区庁舎完成後、24年度に既存建物の解体と本体工事に着手し、27年度の多機能複合施設の竣工を目指していた。

 事業には再整備事業計画を検討する事業協力者として野村不動産グループ(構成企業=清水建設、住友商事、東急不動産、ヒューリック)が参画している。酒井区長は同グループについて「既存で進んでいた計画はいったん立ち止まるが、今後の議論には必要に応じてデベロッパーにも参加してもらいたい」と話した。

【凜】日本港湾コンサルタント・福地好江さん

 ◇ベトナムに貢献、思い貫く◇

 予定日より3カ月も早く生まれ、人工呼吸器に命を助けられた。高校2年生の時、日本の病院で使われている未熟児向けの人工呼吸器は、日本に住むベトナム人技術者が開発したと聞いた。それをきっかけに「ベトナムに貢献したい」という思いが芽生え、大学でベトナム語を学ぶため進路を理系から文系に変えた。

 念願がかなって外国語大学に入学。卒業後はベトナムで日本語教師になりたいと思っていた。就職活動の時期を迎えた時、視野を広げる必要があると思い立ち、まずは教師以外の仕事に就こうと一念発起。業界研究を進める中で建設業に興味を持ち「インフラを整え、社会貢献につながる」と考えて、日本港湾コンサルタントの試験を受けた。

 この4月に入社し、管理本部事業管理部に配属された。面接で伝えた「ベトナムで働きたい」という思いもあってか、海外事業業本部での研修も。働き始めたばかりだが、事務職を極めたい思いと、資格を取って技術者の道に踏み込みたい気持ちが「半分半分ある」。

 技術者になればベトナムの事務所で働く道が開けるかもしれない。「他社に専門外から技術士の資格を取った女性がいる」と聞き、自分にも可能性があると感じている。

 4歳から極真空手を始め、心身ともに強くなった。まずは社内で経験を積み、日本語教師の夢は「退職した老後にでも」と胸の奥にしまっている。

 (管理本部事業管理部、ふくち・よしえ)

【中堅世代】それぞれの建設業・203

休みなしで働いていた頃は趣味のスキューバダイビングからも遠ざかっていた

 ◇働き方改革に複雑な思い◇

 建築の技術者としてゼネコンの地方支店に勤める原田恒夫さん(仮名)は、入社以来現場一筋で全国の現場を渡り歩いてきた。現場では上司に怒鳴られるのは当たり前で、徹夜や休日出勤もしばしばだった。しんどい思い出も多いが、つらい経験があったからこそ今の自分があると思っていた。そんな自分にとっての当たり前がここに来て、大きく変わろうとしている-。

 今から30年ほど前、20代のころは怒られっぱなしの日々だった。特に印象的なのが、20代半ばで途中から入った首都圏の大型再開発の現場。自分なりに精いっぱい働いていたつもりだがある日、上司から「おまえは全然仕事をしていないんだからな、もっと仕事しろ」とほかの職員や作業員の前で怒鳴られた。

 現場はまさに最盛期で、工事に途中から加わった自分が当初からの職員と同じモチベーションで働けるよう、あえて厳しい言葉で叱咤(しった)激励してくれたのだ。怒鳴られたことで「みんなに追いつかなくては」と心に火が付き、結果的に現場で苦労を共にする工事関係者の気持ちが一つになったと思う。

 怒られてばかりの20代を経て30代になると、現場での経験を重ねることで自信がつき始めた。30代後半、当時タワーマンションのはしりだった物件を手掛けていた。当時の自分は、手を動かすのは自分ではなく職人なのだからある程度まで計画を立てたら、そこから先は職人にまかせてしまおうというやり方だった。大きな失敗もなくなんとかなってしまっていたので、それでいいと思い込んでしまっていた。

 だがその現場で出会った上司はそのやり方を許さなかった。「本当にお前のやり方できちんと工事が進むのか説明してみろ」と理詰めで迫られ、一言も返せなかった。ある程度経験を積んだことで調子に乗りてんぐになっていた自分の鼻を、上司は見事にへし折った。

 その上司の下で先の先まで読んで計画することを徹底的に学んだ。最後まで道筋を付け、時には夜を徹し、休日にも出勤して段取りがうまくいくのか何度も考えた。気持ちが折れそうになった時もあったが、最終的には赤字覚悟と言われた現場で利益を出すことができた。

 その後もいくつかの現場を経て50代半ばにさしかかった今は現場を離れて地方の支店で管理業務に当たっている。働き方改革、週休2日、残業時間の削減…。自分が若いときには聞いたことのないような言葉が職場で飛び交っている。「徹夜や休日出勤なんて当たり前にしていたのに」という思いはぬぐえない。

 がむしゃらに頑張った自分や、自分を厳しく導いてくれた上司を否定されたような気持ちにもなる。ただ過去にこだわってばかりでは、前に進むことはできない。時代、時代で仕事の在り方や人の考え方は変わっていく。複雑な気持ちがあることは否定できないが、それでも今の流れをしっかりと受け止めて、後輩や部下と一緒に歩もうと決心している。

 働き方改革のおかげか、このところ少しずつ時間に余裕ができはじめている。学生時代から趣味でスキューバダイビングをしていたが、転勤先は雪国でしばらく海に行っていない。休みをとったら、久しぶりに沖縄の海に行こう。