2018年7月4日水曜日

【技能教育リポート】千葉県鉄筋業協同組合/出前授業10年、入職者獲得に効果も

 千葉県鉄筋業協同組合(池田愼二理事長)が県内の工業高校を対象に出前授業を始めて10年が経過した。

 現場の第一線で活躍する職人の手ほどきで実際の鉄筋組み立てを行いながら、鉄筋工事の魅力を感じてもらうのが狙い。これまでの出前授業を通じて組合傘下の企業に就職した若者も多く、取り組みは一定の成果を上げている。

 今年の出前授業は、企業による求人申し込みや学校訪問が解禁される7月1日を目前に控えた6月20日に県立東総工業高校(旭市)、同22日に県立京葉工業高校(千葉市稲毛区)で行った。両校の建設科で学ぶ3年生に鉄筋工事の概略を説明した上で、技能検定2級の課題となる鉄筋組み立てを数人ずつの班に分けて実践。慣れない手つきでハッカーを回しながら、鉄筋の結束作業を体験した。

 東総工高では今回、過去の出前授業で鉄筋の仕事に興味を抱き、組合傘下の企業に就職した5人の同校OB、OGが参加した。先輩職人の補助員に付いたダイニッセイ(千葉県市原市、池原洋一社長)の宮内樹希弥さん(20)は「きょうは鉄筋工事の楽しさを知ってもらえれば」と、懐かしい校舎内で後輩たちの指導に当たった。「もしうちの会社に入ってきてくれたら仕事を教えてあげたい」とも話した。

 将来の担い手確保が業界各社の課題になっている中、10年前に出前授業を始めた千葉県鉄筋協組。池田理事長は「業界のアピールもしないまま、人が来ないと悩んでいても課題は解決しないのではないか」との思いを持ち、組合青年部を中心とする活動として出前授業を推し進めてきた。当初は職人たちも教えることに苦戦していたそうだが、次第に慣れていったという。

 高校生たちにとっても第一線で働く先輩たちとじかに接する絶好の機会だ。「継続することが大切だと思っている」と池田理事長。組合傘下企業に人材を呼び込む貴重な取り組みとして、今後も出前授業に取り組む考えだ。

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