2018年7月17日火曜日

内閣府/官民研究開発拡大プログラム配分先決定/国交省に29億円

 内閣府は18年度に創設した「官民研究開発投資拡大プログラム」(PRISM)の推進費100億円の配分を決めた。国土交通省には約29億円を充て、「インフラデータ・プラットフォーム」の構築と「防災情報共有システム」(SIP4D)の充実に関する研究開発を推進。平常時、災害時を問わず、プラットフォームとシステムのデータ連携を図り、災害被害の軽減や生産性向上の実現を目指す。
 政府が6月に閣議決定した「統合イノベーション戦略」には、政府が提唱する「Society5・0」の実現に向けた社会インフラとしてデータ連携基盤の整備が掲げられた。インフラや防災といった分野ごとに蓄積されたデータを連携して活用するための基盤を3年以内に整備し、5年以内の本格稼働を目指す。
 PRISMの枠組みで、18年度は「建設・インフラ維持管理技術/防災・減災技術」に約34億円を配分し、国交省には約29億円を充てる。建設現場の生産性を2025年度までに2割向上を目指すi-Construction(建設現場の生産性向上策)を推進。公共土木工事を対象に、革新的技術で施工データや検査データをリアルタイムに取得・解析し、建設現場の飛躍的な生産性向上を目指すプロジェクトに着手する。
 測量・調査データの3次元(3D)化や、施工段階で活用できる設計データの3D技術の開発を推進。インフラメンテナンスの管理者負担の低減が見込まれる点検・診断への人工知能(AI)など先端技術の導入加速を図るとともに、これまで現場試行してきた革新的技術の社会実装を支援する。調査、測量、設計、施工、品質管理、検査、維持管理の各段階でのデータを、インフラデータ・プラットフォームに集積。さらにオープンデータ化による民間の研究開発投資の拡大につなげる。
 各府省の情報共有に活用されているSIP4Dを中心に、必要な情報を災害時に提供するシステムの開発・実証により、民間を含めた災害時の応急対応の質を高める。国交省関係では、AIを用いた竜巻や局地豪雨の発見・追跡システムや、中小河川の水位情報提供システム、3Dレーザースキャナーによる地震被災建造物の使用性を迅速に判定できるシステムなどの研究開発に当たる。
 官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の国土交通省のテーマと配分額は次の通り。
 ▽レーザー測量の高度化、施工維持管理まで使用可能な3次元(3D)設計システム開発=3億60百万円▽無人工事現場実現に向けた建機の自動制御・群制御、施工データの3D化および同データに基づく検査技術開発=14億20百万円▽インフラデータの人工知能(AI)解析による要補修箇所の早期検知・原因分析・補修に係る研究開発=3億22百万円▽「インフラデータ・プラットフォーム」構築=1億10百万円▽竜巻等の自動検知・進路予測システム開発=1億93百万円▽気象観測高度化=2億43百万円▽3Dレーザースキャナーによる住宅被害(使用可否)判定システム開発=2億53百万円。

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