2018年7月31日火曜日

【施工は清水建設JVら】屋内スケート場建設(青森県八戸市)、立体トラス屋根のジャッキダウン完了

 青森県八戸市が建設を進める(仮称)八戸市屋内スケート場の工事のヤマ場となる立体トラス屋根の最終ジャッキダウンが27日に完了した。

 大屋根はS造で水平投影面積約1万6000平方メートル、総重量2300トンの構造物。3月末に架設作業が開始され、6月5日から段階的に仮設支柱(ベント)からの切り離しが行われてきた。

 同施設は16年9月に着工し、RC・S造地下1階地上3階建て延べ約2万6000平方メートルのスケートリンク、ミニリンクなどを持つアリーナとして、市内中心部の長根公園内で工事が行われている。

 設計監理は山下設計、建築工事を清水建設・穂積建設工業・石上建設JVが担当。設備工事は強電を関電工・京谷電気・久保田電気工業社JV、弱電を開発電業・東洋電設・和井田電業JV、空気調和をテクノ菱和・サカモトアクエア・北奥設備JV、給排水製氷を大成温調・テクノワーク・三久工業JVがそれぞれ担当する。

建設中の「(仮称)八戸市屋内ケート場」の全景
(提供:清水建設JV)
工事を指揮する清水JVの石川俊英作業所長(清水建設)は、「大屋根の架設は、延べ119基のベントを外周部から中心部に向かって転用しながら支柱とし、鉄骨組み立てを進めた。ベントの設置前に地盤改良が必要な軟弱地盤で、架設中は常に鉄骨の変異量と支柱の沈下量を計測しながらバランスを維持してきた」と語る。

 ベントは実質、毎日わずかに沈下したという。これを調整するため工区ごとにジャッキダウン時のレベル合わせが慎重に行われた。鉄骨の荷重と応力が許容量を超えないよう施工管理することに「緊張感が続いたが、ここまで順調に進められた」と振り返る。

 最終日に残されたベントは44基。約15メートルの高さで油圧ジャッキと積層された鋼板が大屋根を支えている。油圧を上げ屋根の荷重を鋼板からジャッキに移行させた後、鋼板を抜き取り、減圧して残った鋼板に荷重を戻す作業が繰り返された。午前9時過ぎに始まった工事は熟練作業員のスムーズな連携のもと、午前中にすべてのジャッキダウンが整い、大屋根は自立した。

 「これで内装、外装工事を本格的に進められる。スケートリンク底部の製氷コンクリート工事などは、許容誤差がプラスマイナス2ミリという高難度。来年6月の竣工を目指して、さらに安全管理に注意を払って取り組みたい」。まだ屋根材のデッキプレートが取り付けられていないトラスからは夏らしい青空が抜けて見える。複雑だが美しいコントラストを描くトラスを見上げると、厳しかった石川作業所長の顔がほころんだ。

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