2018年8月31日金曜日

【回転窓】チームワークの力

毎年8月、埼玉県で土木学会関東支部による「コンクリートカヌー大会」が開かれている▼今回は東北から九州まで39チームが結集。全国土木系学生が手作りのコンクリートカヌーに乗り込み、タイムや機能美を競った。決勝戦はゴール間際まで3チームが競り合う白熱の展開に。新潟工業高校が1秒差でゴールを駆け抜け、総合部門で初優勝を飾った▼新潟工高土木部で部長を務める鈴木貴稀さんは、レース後に「チームワークが総合優勝につながった」と笑顔で語った。鈴木部長は代表から漏れてしまい、裏方として出場選手を支えたそうだ。佐藤勇輝顧問は「裏方の子が船を持ち運ぶなど頑張ってくれ、大きな力になった」と話す▼同校はかつて、作ったカヌーが沈没するような弱小チームだった。強豪校からアドバイスをもらいながら改良を重ねてきた。参加校同士が互いに高め合う状況も生まれている▼同支部の利穂吉彦支部長は「技術や人、チームワークという要素はわれわれのものづくりと共通する」と指摘する。頼もしい若者たちが建設の世界に飛び込み、より良い社会基盤を造る仕事に挑戦してくれたらうれしい。

【20年春の暫定開業めざす】品川新駅建設(東京都港区)、躯体工事が完了

 JR東日本は、品川車両基地跡地(東京都港区、約13ヘクタール)での大規模開発の一環として、田町~品川駅間に山手、京浜東北両線の「品川新駅」を建設している。

 現場では躯体工事が完了し、外装工事などが進む。19年秋の線路切り替え工事を経て、20年春の暫定開業、24年の全面開業を目指す。総工費は192億円を見込む。

 設計はJR東日本、JR東日本コンサルタンツ・ジェイアール東日本建築設計事務所JVが担当。駅舎のデザインアーキテクトは隈研吾建築都市設計事務所が務めた。大林組・鉄建建設JVが施工を手掛けている。 

 新駅の建物規模はS一部RC造地下1階地上3階建て延べ約7600平方メートル。地下1階に搬入路を設け、地上1階は島式2面4線のホーム。同2階に改札とコンコースと店舗、同3階は駅施設と店舗を配置する。

 施工に当たっては、施工品質の確保などを目的に溶接ロボットを活用。JR東日本の東京工事事務所品川工事区藤井裕区長は「施工条件の厳しい場所でもロボットが鉄骨の溶接作業を行うことで、安定的に品質を確保できた」と効果を語る。

 デザインアーキテクトの隈研吾氏は「日本らしさをアピールできる駅舎にしたいと考え、膜屋根の採用や木材の多用に取り組んだ」とコンセプトを説明。白い膜などでできた大屋根(4000平方メートル)は折り紙をモチーフとし、「全体で見ると大きな屋根を折り紙のように小さく分割して、日本らしい細やかさや優しさを表現した」という。厚さ0・8ミリの薄い膜を通して自然光が差し込む。

 品川車両基地跡地の開発経緯について、JR東日本総合企画本部品川・大規模開発部の山田眞左和担当部長は「JR東日本の新たなチャレンジの目玉の一つとして、新駅と街を一体的につくることになった」と話す。

 全体計画では、約5000億円(土地区画整理事業費を含む)を投じ、総延べ約100万平方メートル規模の施設群を整備する方針。具体的な内容を現在検討している。

【対策未実施は1770棟】公立学校施設耐震改修、耐震化率98・9%に

文部科学省は、公立学校施設の耐震改修状況に関するフォローアップ調査の結果をまとめた。

 全国にある公立学校施設の18年度(4月1日現在)耐震化率は前年度に比べ0・4ポイント高い98・9%になった。15年度末までに全施設を耐震化する目標を掲げていたが、依然として1770棟(非木造、前年度2367棟)が対策を未実施で、倒壊の危険がある。

 少子化などを見据えて今後統廃合する学校の改修をためらう自治体もあるとされる。未実施の施設設置者には引き続き、早期の対策完了を求めていく。

 調査は福島県双葉、大熊2町を除く全国の公立学校施設の全設置者(幼稚園、小中学校、高校、特別支援学校)を対象に実施。校舎や屋内運動場(体育館、武道場)など15万5811棟の耐震化状況、つり天井の落下防止対策状況などを調べている。

 公立小中学校の対策実施状況を見ると、都道府県別では秋田をはじめ栃木、埼玉、神奈川、福井、山梨、岐阜、三重、京都、香川、熊本、大分の12府県で耐震化が完了した。

 耐震化していない学校がある172市区町村の回答結果から、スケジュール通りに進めば耐震化していない建物は、17年度末の978棟(前年度1399棟)が18年度末に733棟、19年度末は511棟、20年度末に360棟まで減ることが分かった。23道府県の61市町村は「未定」と回答した。

 全設置者で進める屋内運動場のつり天井落下防止対策は、実施率が前年度から1・1ポイント増の97・2%。未実施の残棟数は1179棟(前年度1646棟)。つり天井以外の非構造部材(天井材、窓ガラス、内外装材など)を対象にした耐震点検の実施率は84・4%と比較的高い水準にある。ただ耐震対策の実施率は39・4%にとどまる。

 老朽化した建物でガラスの破損や内外装材の落下など、非構造部材の被害が拡大する可能性が高くなることを踏まえ、文科省は同部材の落下防止を含めた老朽化対策を推進していく。

【回転窓】作詞家でもあったさくらももこさん

「ちびまる子ちゃん」が少女向け漫画雑誌に連載されて人気に火が付き、テレビアニメの放送が始まったのが1990年。いったんの休止を挟みながら、既にスタートから28年になる▼原作者の子ども時代を投影した永遠の小学3年生「まる子」を中心とする話の舞台は現在の静岡市清水区。家族3世代が一つ屋根の下で繰り広げるドラマは、来年で放映開始から半世紀を迎える「サザエさん」へと続く日曜日夕方の定番になっている▼53歳の若さで亡くなった原作者のさくらももこさんは、音楽好きでも有名。オープニング、エンディングを飾る楽曲の数々で自ら作詞も手掛けた▼スポットの当て方は秀逸。90年4月にリリースした「おどるポンポコリン」はアングラな活動をしていたブルース歌手に印象的な歌詞を歌わせて、紅白歌合戦に出場するほど大ヒットした▼人気アニメの原作者だけでなく、自らの感性を生かし作詞家としても足跡を残したさくらさん。先に亡くなった「走れ正直者」を歌った西城秀樹さんや「うれしい予感」を作曲した大滝詠一さんらと天国で、きっと音楽談議に花を咲かせていることだろう。

【洪水から街を守ろう!!】関東整備局とキッザニア、10月に職業体験イベント

 関東地方整備局は、「洪水から街を守る仕事体験in荒川」と題した職業体験プログラムを、10月28日に同局荒川下流河川事務所(東京都北区)で実施する。

 子ども向け職業・社会体験施設「キッザニア」を運営するKCJ GROUP(東京都中央区、住谷栄之資社長兼最高経営責任者〈CEO〉)と連携。大型台風が接近した場合の同局の新人職員という立場を想定して、仕事を体験してもらう。国土交通省とキッザニアの連携企画は全国で初めて。

 小学3年生~中学3年生が対象で、同日に3回開催する。各回とも定員は30人、先着順に受け付ける。参加は無料。

 災害時の行動計画である「マイ・タイムライン」の作り方も学んでもらう。国交省が行っている洪水対応などを知ってもらうとともに、身を守るために洪水リスクを考えてもらうことが狙いだ。詳細は、日本生態系協会ホームページへ。

【業績動向、生産性向上の動きがカギ】18年4~6月期の上場企業決算、土木と管工事業が好調

人材紹介業を手掛けるヒューマンタッチ(東京都新宿区、高本和幸社長)が運営するヒューマンタッチ総研が、建設関連上場企業の18年4~6月期連結決算を基に経営分析をまとめた。

 対象はゼネコン、土木工事業、電気設備工事業、管工事業の4業種(1業種当たり上位10社)。10社の合計売上高は各業種とも前年同期を上回った。経常利益は土木工事業と管工事業の伸びが顕著だった。

 ゼネコンは10社のうち、5社が減収減益。ただ、通期業績でも6社が減益を予想しており、4~6月期の減益は織り込み済みとみている。土木工事業は6社が増収増益で、堅調な公共投資を背景に好調な決算となった。

 電気設備工事業は増収増益3社、増収減益4社、減収減益3社。経常利益は7社が前年同期を下回った。管工事業は5社が増収増益だった。

 同研究所は今後の業績動向について、「増加する工事量を確実に消化するための人材確保と、IoT(モノのインターネット)などの活用による生産性向上の実現が大きなポイントになる」と指摘。「今回の第1四半期決算で業績予想の修正を行った企業はなく、第2四半期の業績動向を注視したい」との見方を示している。

【建設業の役割や使命紹介】千葉建協、県内鉄道駅にPRポスター掲示

 千葉県建設業協会(千葉建協、畔蒜毅会長)は、建設業のイメージアップを目的とするポスターを県内鉄道路線の車内や駅構内に掲示する。期間は31日~9月30日(路線や駅によって異なる)を予定している。

 建設業は社会インフラの整備や維持管理以外に、災害対応などにも貢献している。こうした取り組みを一般に知ってもらう機会は限られている。千葉建協は広報活動を通じて建設業界の役割や魅力をアピールし、人材不足や後継者不足など業界が直面している課題の解消につなげたい考えだ。

 掲示するポスターは3種類を用意。千葉県内で営業運転する12路線と9駅で実施する。路線はJR線(一部を除く)や東武野田線、千葉都市モノレールなど。駅ポスターはJRの千葉駅や船橋駅、千葉都市モノレールの県庁前駅など。広報活動には建設共済保険を運営する建設業福祉共済団からの助成金を活用している。

【スタジアム・アリーナの最新技術やサービス紹介】スポーツビジネスジャパン、大阪市で開幕

 スポーツ施設とスポーツ産業全体が抱える課題解決を目指すイベント「スポーツビジネスジャパン2018 together with スタジアム&アリーナ2018」(主催=日本スポーツ産業学会など)が30日、大阪市北区のグランフロント大阪北館ナレッジキャピタル・コングレコンベンションセンターで開幕した。

 会場ではゼネコンや設計事務所など国内外50社・団体がスポーツ施設の最新技術や製品、サービスなどを展示。会期は31日まで。期間中、4000人の来場者を見込む。

 今回のイベントは、稼げるスタジアム・アリーナを目指した最新技術などを紹介するとともに、スポーツ施設を核にした地方の活性化策やICT(情報通信技術)を活用した新たなスポーツ産業を探るのが目的。

 開会スピーチを行った日本スポーツ産業学会会長の尾山基アシックス代表取締役会長兼s最高経営責任者(CEO)は「日本はゴールデン・スポーツイヤーズを迎える。19年のラグビーワールドカップと20年の東京オリンピック・パラリンピック、そして21年の関西ワールドマスターズゲームズだ。特にパラリンピックに注目しており、あらゆる人たちがフリーに動くことができる、優しいまちづくり・建物づくりのトリガーになる。さまざまなビジネスチャンスがあるので皆さんと討議したい。良い議論を期待する」とあいさつした。

 スポーツ庁の川合現民間スポーツ担当参事官は「スポーツ庁ではスポーツを成長産業にしようと取り組んでいる。25年までに20のスタジアム・アリーナを整備するため支援をさらに進める」と述べた。

 日本トップリーグ連携機構の川淵三郎代表理事会長は「Jリーグの鹿島アントラーズのホームスタジアム『茨城県立カシマサッカースタジアム』(茨城県鹿嶋市)は、創設期の関係者が厳しい条件をクリアし完成させたサッカー専用スタジアムだ。新しいものをつくることでサッカー界に大きな刺激を与えた。本格的なアリーナについては日本に文化がなかったが、皆さんとともに新しい文化をつくりたい」と語った。

 期間中、特別講演やパネルディスカッション、課題解決に向けた意見交換などが行われる。

 建設関連の主な出展者は次の通り。

 ▽梓設計▽イトーキ▽AGC▽遠藤照明▽オカムラ▽クモノスコーポレーション▽佐藤工業▽大成建設▽竹中工務店▽東畑建築事務所▽パナソニック▽安井建築設計事務所▽山下PMC。

2018年8月29日水曜日

【回転窓】泡盛と仕次(しつ)ぎの伝統

沖縄の特産「泡盛」の歴史は古く、約550年前の琉球王朝時代にはその原型が製造されていたといわれる。他の同じ蒸留酒と比べても先輩にあたると、沖縄の宿で主人に教えてもらったことがある▼この泡盛を積極的に輸出しようと、政府が今年3月に沖縄振興策の一環として行動計画を公表した。2017年の輸出量(推計33キロリットル)を20年に70キロリットルと2倍、22年に100キロリットルと3倍に引き上げるのが目標だ▼泡盛は国内消費量が減少傾向にあり、輸出量も日本酒と大きな開きが見られる。今後は官民が連携して輸出環境を整備するのと同時に、訪日外国人へのPRを進めることなどの方針が示された▼家庭で泡盛のまろやかな風味を長年堪能するため、「仕次(しつ)ぎ」と呼ばれる伝統的な熟成方法がある。年数を経て熟成された泡盛(古酒)の入ったかめに、減った分だけ若い泡盛を少しずつ注ぎ足す。こうやっておいしい泡盛を育て、伝えていくのだという▼輸出量拡大へ課題の一つは、海外での認知度をどう高めるか。泡盛の香りと味わいに加え、長い歴史の中で培われてきた「仕次ぎ」の伝統も広く知ってもらいたい。

【第4種公認競技場に再整備】富士森公園陸上競技場改修(東京都八王子市)、黒須建設JVで9月着工

 東京都八王子市は、富士森公園で計画している陸上競技場施設改修工事に9月下旬から着手する。施工は黒須建設・東邦建設工業JV。

 同工事は9月議会の承認案件となっており、13億7484万円(税込み)で契約予定だ。19年10月のリニューアルオープンを目指す。工事場所は台町2の2。富士森公園内に1926年開設した陸上競技場を、日本陸上競技連盟が認定する第4種公認陸上競技場に再整備する。

 観客収容人員は3000人。走路(400メートルトラック、8レーン)は土から全天候型ウレタン系舗装に変更し、インフィールド(105メートル×68メートル)は天然芝から人工芝に張り替える。改修前は雨や霜などの悪天候で年間100日ほど使用できなかったが、再整備後は天候に左右されずに使用可能。LEDナイター照明灯を8基設置し、夜間も利用できる。

 併せて管理棟の改築工(木造平屋360平方メートル)、本部棟の改築工(RC造平屋370平方メートル)、観客席設置工(RC造760平方メートル)なども行う。現在、既存施設の解体工事を進めている。改修工事の全体工期は20年2月末まで。

 石森孝志市長は「改修後は陸上競技をはじめ、サッカーなど多目的にジュニア世代の育成を図ることができる拠点施設、地域に根ざした幅広い世代の健康増進の場となる」と話している。

【延べ1・4万平米、設計・施工は大成建設】横浜アンパンマンミュージアム、来夏に移転オープン

横浜アンパンマンミュージアムの完成イメージ
(提供:ACM、ⓒやなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV)
全国5カ所のアンパンマンミュージアムを運営するACM(東京都港区、大澤雅彦社長)は27日、横浜市西区のみなとみらい21地区(MM21)で移転・新設工事中の「横浜アンパンマンこどもミュージアム&モール」を19年夏に開業すると発表した。現施設は19年5月末に営業終了する。

 移転場所はMM21地区61街区の一部(西区みなとみらい6の21ほか)。横浜市がMM21地区で新たにエンターテインメント街区と位置付けたエリア(60、61、62街区)の一画。敷地面積は5650平方メートル。定期借地で施設を整備する。

 新施設は建築面積4422平方メートル、S一部RC造地下1階地上3階建て延べ1万4053平方メートルの規模。建築主は日本テレビ音楽で、ACMが運営する。設計・施工は大成建設が担当している。地下1階に駐車場、地上1階はショップとレストラン、2階にチケットカウンター、3階がミュージアムという配置になる。

 現在の施設は同じくMM21地区の48街区(西区みなとみらい4の3の1)で2007年4月に開業した。当初は10年間の暫定施設として運営していた。その後、名古屋市、三重県桑名市、仙台市、福岡市と開業が続き好評だったことから、フラッグシップ施設として横浜市での継続を決めた。当初計画の営業期間満了に合わせ、61街区に恒常的施設として移転する。

【夏休みももうすぐおしまい】子どもたち招き、各地で見学会開く

 多くの学校で夏休みが終わろうとしているこの時期、全国で子どもたちを招いた職場や工事現場の見学会が開かれている。


 ◇上手に削れたかな?◇

 竹中工務店は27日、大阪本店御堂ビルで働く社員の子どもたちを対象に職場見学会を開いた。

 家族に仕事の内容を理解してもらうことで従業員のモチベーション向上につなげるとともに、社員が相互の家族状況を知り、各家庭への理解を深めてコミュニケーションの活発化や働きやすい職場の雰囲気形成を目的に実施。社員25人の3~12歳の子どもたち31人が参加した。

 最初に竹中大工道具館の活動に参加する大工職人がワークショップを開催。子どもたちは、かんな作業やかんなを使ったはしづくり、花づくり、木組みを体験した。職人に支えられながら真剣な表情でかんなを引く姿が見られた。

 杉浦慶太人事部長のあいさつに続き、子どもたちの氏名が印刷された名刺を使って「名刺交換」を行った。御堂ビル見学ツアーも実施。「御堂ビル探検隊」の隊長らの説明を聞きながら、ビルのワークプレイスを巡った。

 その後、子どもたちは自分のお父さんやお母さんに実際に働いている執務スペースに案内してもらい、デスクに座ってパソコンに触れてみたり、一緒に働いている同僚たちと話したりして、職場の雰囲気を体感した。

 ◇シールド工事に親子連れら100人参加◇

 愛知県西三河水道事務所と徳倉建設・クサカ・ナルセコーポレーションJVは25日、安城市里町のシールド工事現場で市民向け見学会を開いた。

 地元の親子連れなど約100人が参加し、初めて見る工事の様子に興味を示していた=写真。参加者は、泥水をきれいにする実験で水道の仕組みを学んだ後、現場内の立坑を見学した。

 深さ7メートルの立坑では、天井クレーンを使い長さ3メートルの鉄管を下ろす作業や、トンネル内へ資機材を運ぶバッテリー式小型車が出入りする様子を見た。

 同工事は、耐震性の低い送水管を更新する「知立線耐震化第3工区送水管敷設工事」(山本晋作所長)。トンネル延長は1686・9メートルで、16年12月に着工した。外径1940ミリの泥土圧式シールドで掘削し、今年3月に貫通。現在、径800ミリの水道管を中に入れる作業を行っている。19年3月15日に完成する予定だ。

【地元小学生らが〝夢〟描く】名神高速道路下にトンネルアート完成

 大阪府吹田市の名神高速道路下トンネル(江坂町3)の壁面に地元小学生らが7~8月にかけて製作したトンネルアートの完成式が26日、同所で開かれた。

 トンネルアートは市内の美術愛好家らでつくる「現代美術を楽しもう塾」(蓬田理恵子塾長)が2006年から毎年企画。トンネル壁面に明るい絵を描くことで、通行者に芸術を身近に感じて心を豊かにしてもらおうという意図の下、吹田市や日本ペイント(大阪市北区)などの後援で開催している。

 市内4カ所目となる同トンネルは、昨年に西側壁面のアート製作が完成。今年は昨年に続き「ぼくの夢、わたしの夢」などをテーマに地元小学生ら234人が、7月7~23日と同30日~8月13日の計12日間で東側壁面に絵画を製作した。

 プロのアーティストや大阪市立大学美術部の学生らのサポートを受けながら、延長約40メートル・高さ約3・6メートルのアートが完成。壁面には野原や海で戯れる人間と動物たちの姿など、子どもらしい自由な発想の絵画が並んだ。

 完成式には後藤圭二吹田市長や製作場所を提供した西日本高速道路会社など関係者が多数出席。後藤市長は「多く方々の協力の下、トンネルアートが完成し大変喜ばしい。通行者に良い気持ちになって頂くとともに、落書きの抑制などの効果も見込める」と話した。

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/タンソンニャット空港を拡張

グエン・ヴァン・テー交通運輸大臣は、ホーチミン市タンソンニャット空港の拡張計画で国防省と合意し、南北両側に敷地を拡大することを決めた。同空港は国内でも最も混雑した空港とされ、航空機の待機時間が長いことが問題になっていた。

 年間2500万人の設計旅客取り扱い人数に対し、17年は3600万人が利用した。政府は隣接するドンナイ省に年間6000万~7000万人を取り扱うロンタイン国際空港の建設を計画しているが、財源確保や土地収用の問題から早くても完成は2025年以降になるとみられる。

 テー大臣は、タンソンニャット空港の北側210haに空港補助施設、南側70~80haに新ターミナルを建設すると明らかにした。専門家は、南北両側に拡張すると処理能力は年間6000万人に増加するとしている。

セイ・ズン、8月16日)

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/建設自動化へロードマップ

早ければ来月に「建設自動化ロードマップ」の輪郭が示される。設計・施工過程で人工知能(AI)、ICT(情報通信技術)、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)などの未来型技術を組み合わせて生産性を高めるのがポイントだ。ロードマップは国土交通部が提示する。

 現在、韓国建設技術研究院、国土交通科学技術振興院と共同で素案の作成作業中。建設会社、エンジニアリング会社など業界の意見を反映した後、来月に最終確定する。

 同部は、海外建設のターニングポイントを構築するための戦略的な支援にも着手。6月に公式スタートした韓国海外インフラ都市開発支援工事(KIND)が率先してチーム・コリア(Team Korea)を導く。11月にスマートシティーや鉄道、高度道路交通システム(ITS)、スマート空港など国家需要別オーダーメード型進出方策を盛り込んだ「中長期インフラ進出戦略」を樹立し、年末までに第1号投資対象事業を選定する。

CNEWS、8月22日)

2018年8月28日火曜日

【回転窓】モーレツ社員も今は昔

忙しい、時間がない-。仕事に追われる日々の中で、ふとした拍子にこうした言葉をついこぼしてしまうことがある▼世の中に「モーレツ社員」と呼ばれた人たちがあふれていたのも今は昔。限られた時間でいかに効率良く成果を上げるか。働き方改革という目標に向かって多くの企業が知恵を絞る▼欧米に比べ労働時間が長く、過去には「ワーカホリック」と海外からやゆされたこともある日本。改革の行方がどうなるのか、気になる方も多いだろう▼行政でも残業時間の縮減などを目指す動きが出ている。奈良市が10月から都市整備部の建築指導課など4課で、事業者への窓口対応の時間を短縮し予約制も取り入れる。市長が発表した施策は「来庁者への対応時間とデスクワークの時間にメリハリを付け、生産性を高める」のが目的という▼総務省の労働力調査を見ると、非農林業従事者の就業時間は月平均で161・0時間(17年実績)。業種によっても就労時間や労働の密度に差があり、長短を一概に論じるのは難しいのだが、働き方改革によって目指すべき姿をしっかりと描いておかなければ、本末転倒になりかねない。

【総合優勝は新潟工高!!!】土木学会関東、埼玉県でコンクリカヌー大会開く

 土木学会関東支部(利穂吉彦支部長)は25日、第24回「コンクリートカヌー大会」を埼玉県戸田市の荒川調節池、彩湖で開いた。土木系学生が製作した2人乗りのコンクリート製カヌーでレースを行い、タイムや技術力、デザインなどを競った。レース順位と技術力の両面で最も優れたチームを選ぶ総合部門では、新潟工業高校の「ホエ丸」が1位に輝いた。

 今回の大会には大学・高専9校、高校25校から計34チームが参加した。コースは準決勝までが300メートル、決勝はターンを含む500メートルとなる。関東地方整備局や日刊建設工業新聞社などが協賛した。

 レースで1位となった新潟工業高校は、プレゼンテーション審査でも高得点を得て総合優勝を勝ち取った。

 チームを率いた同校土木部の鈴木貴稀部長は「去年は惜しい形で準優勝になったので、今年は絶対優勝するという気持ちで臨んだ。チームワークで戦ったことが総合優勝につながった」と喜びを語った。佐藤勇輝顧問は「お盆休みも返上して活動に費やした子もいて、みんなよく頑張った。裏方の子が頑張ってくれたのが、すごく大きな力になった」と生徒たちの活躍をたたえた。

 同支部の利穂支部長は大会を振り返り、「技術や人、チームワークで最後まで頑張るという要素は、われわれが物を造っていく上でもすごく共通する。われわれの世界にどんどん入って来て頑張ってほしい」と語った。

 各部門の入賞者は次の通り(カッコ内は艇の名前)。

 《総合部門》1位=新潟工業高校(ホエ丸)▽2位=大曲工業高校(大工ドラゴン、Majestic RK-iv)▽3位=石巻工業高校(Ishikou20)

 《競漕(スピード)の部》足利大学(Hello!AU)▽新潟工業高校(獅子丸)

 《技術賞》宇都宮大学(NOVA)▽祐誠高校(C-Hawks   xviii)

 《敢闘賞》熊谷工業高校(しろくまiv)

 《デザイン賞》大曲工業高校(大工ドラゴン、Majestic RK-iv)

 《セメント賞》祐誠高校(C-Hawks xviii)

 《カヌーガール賞》大曲工業高校(大工ドラゴン、Majestic RK-iv)。

【技・人づくり専門工事業ファイル】リアル建設(東京都世田谷区)

 ◇「人材」を強みとする事業展開◇

 1998年12月に発足したリアル建設(東京都世田谷区、前澤正利社長)は、土木系専門工事会社として元請、下請で数々の工事をこなし、年間40億円ほどを売り上げている。

 200人近い現場作業員を社員として抱えており、人手が不足する現場の要求に即応して、5~6人の班を送り込むことができるのも大きな強み。要求に応えるべく、自社の「リアル建設職業訓練校」での人材育成にも力を入れている。

 水道工事とガス工事をメインに事業を展開。水道工事は東京都水道局の発注を中心に老朽管の入れ替えや耐震管の敷設などを元請として施工する。ガス工事は東京ガスの案件で同様に老朽管の入れ替え工事などを担う。その他、無電柱に対応した電線共同溝やゼネコン、舗装会社の下請として一般土木工事まで幅広く手掛ける。

 現場の作業員は30人ほどいる職長ごとの班に配属させ、必要な班数を現場に向かわせて施工に当たる。警備員も抱え、ダンプをはじめ各種重機も多く保有しており、同社に仕事を依頼すれば細分化した下請に出すことなく、一元管理で施工できるのが大きな特色といえる。

 少子高齢化で労働力人口が減少する中、多くの人材を抱えていることを強みとして特定のゼネコンの協力会に属することなく事業を展開している同社。取引先の要求に応えられるよう、人材の育成には特に力を入れている。この春に始めた3カ月に及ぶ新人研修では、座学と実技をみっちり習得し、さらに現場作業に欠かせない複数の資格も取得してから現場に送り出すことにしている。

 ◇建築系に幅広げた職人集団に◇

 今は入社時期に応じて、4月、8月、12月の3回に分けて行う研修で座学の講師を務める教育本部の野家正行課長は、「当社は社長の方針もあって、1人のスーパーマンをつくるのではなく、チームワークで助け合って仕事をすることを徹底している」と話す。そのため、単に建設の技能だけでなく、現場で働くためのマナーやモラルといった社会人に必要な素養を備えられるような教育にも力を注ぐ。東京都から訓練校の認定を受ける準備も進めており、それによって「信頼性を高めていきたい」(野家課長)とする。

 3カ月の研修後は、適性を見極めた上で30人の職長が話し合ってどの班に属するかを決める。4年前からベトナム人の技能実習生も受け入れており、現在30人ほどが各班に分かれて現場施工を担っている。

 人材を売り物に事業展開する同社は、ジャスダック上場を手始めに最終的に1部上場する青写真も描く。事業規模を拡大するために建築部門への進出も考えており、M&A(合併・買収)で左官や板金といった職種の会社を傘下に収めようと現在交渉を進めている。実現すれば、訓練校でこうした職種のコースも追加し、幅広く施工に対応できる「職人集団となるのが目標」(野家課長)という。

 採用にも積極的に取り組んでおり、会社説明では、入社してから年齢、能力、資格に応じて得られる年収も分かるキャリアパスも提示。若者が夢や希望を持って同社の門をたたき、働ける環境づくりにも力を入れて取り組んでいる。

【記者手帖】インフラの重要性再確認

全国で猛暑日が続き、台風が立て続けに列島を直撃…。気象上、記録にも記憶にも残りそうな平成最後の夏がもうすぐ終わる。中でも2018年7月豪雨はとてつもないインパクトと教訓を残した。気候変動の影響とみられる異常気象は今後も続くと思って対策に努める必要がありそうだ◆今さらながらインフラの整備と維持管理の重要性を再認識した。河川やダム、砂防堰堤が防災・減災効果を発揮。道路や港湾なども救援物資の輸送に役立った。インフラがなければ現状より被害は大幅に拡大し、救援や応急復旧も遅れていただろう◆盆休みに帰省した山口県では豪雨の被害に加えインフラの老朽化も実感した。実家周辺の幹線道路は舗装がでこぼこで、中央分離帯や歩道で草が伸び放題。鉄道は車両に当たるほど草が伸びている区間があった◆くしくも帰省中の14日、イタリア北部のジェノバで高速道路高架橋の崩落事故が発生し、日本でも大きく報じられた。インフラを適切に維持しなければ大惨事になりかねない。そうした警告を世界中に発した事案と受け止めるべきであろう。(か)

【回転窓】小さくない書類削減の効果

複数の新聞社の記者が集う記者クラブ。お盆の前後に自席の回りを清掃するのが暗黙のルールとなっているところがある。中でも大仕事なのが数カ所に積み上がった書類の処分だ▼必要な資料を選別したり中身を見ずに梱包(こんぽう)したりと、掃除の仕方は人それぞれ。見かねた事務員さんが手伝ってくれることも。日々の選別や廃棄を徹底しようと誓っても半年後の年末、同じ行為を繰り返してしまう▼工事の受注者に提出を求める書類を減らす取り組みが活発化している。国土交通省だけでなく、一つの書類の内容でカバーできるなら別の書類の作成・提出を求めない自治体などが増えてきた▼現場関係者にとって施工管理とともに、工事書類作成は手抜きの許されない重要な業務。書類が削減できれば発注者の負担も軽くなり、働き方改革に役立つ。品質や安全の確保、きめ細かな発注業務などに費やす時間も増えるはずだ▼紙の消費の減少に頭を悩ます産業の方々には申し訳ないが、必要な書類の内容と量を追求する効果は大きいだろう。片付いた空間に身を置くといつも以上に仕事が進むと思えるのは気のせいか。

【スパルタンレース、9月8日に群馬県みなかみ町で開催】日本キャタピラー、世界最大規模の障害物レースに協力

 世界最大規模の障害物レースに協力-。日本キャタピラー(東京都中野区、本田博人社長兼最高経営責任者〈CEO〉)は、9月8日に群馬県みなかみ町の水上宝台樹スキー場で行われる「スパルタンレース」のオフィシャルサポーターとして、コース施工や障害物の設置に協力する。

 主力のICT(情報通信技術)建機のうち、正確で安全な作業が可能な新型油圧ショベル「Cat 320」と、細かい作業が得意なミニ油圧ショベル「Cat 303E CR」を投入。グループ会社が取り扱うフォークリフトのレンタルも行い、機械化による作業の効率化や安全性向上に貢献する。

 レース当日はコース内やブース横に油圧ショベルを展示。12歳以下を対象としたレースの上位3人に建機のミニチュアなど賞品の提供を予定している。

 スパルタンレースは、世界39カ国で年間165回以上開催され、100万人以上が参加する。同社は今年5月に東京ドイツ村(千葉県袖ケ浦市)で行われた前回の国内大会でもオフィシャルパートナーを務めた。

【概算工事費370億円超、19年度着工へ】佐賀県、SAGAサンライズパークの施設計画素案公表

 佐賀県は、23年開催の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会に対応するため総合運動場(佐賀市日の出)の既存施設の再整備、アリーナの建設などを行う「SAGAサンライズパーク(仮称)整備事業」の施設計画素案をまとめた。

 延べ約2万9000平方メートルのアリーナを新設し、プールは全面的に建て替え、陸上競技場は第1種公認陸上競技場に改修する。概算工事費は370億円超を見込む。10月末をめどに基本設計を完了し引き続き主要施設の実施設計に着手。19年度に主要施設に着工、22年度の工事完了を目指す。

 既存の陸上競技場の南側に新設するSAGAアリーナ(仮称)のメインアリーナは4階建て、面積は66メートル×46メートル、座席数約8000席(固定約6000席、可動約2000席)。イベント開催時に大型トラックなどが直接乗り入れできるポータブルフロア仕様とする。2階建てで面積45メートル×40メートル、座席数約500席のサブアリーナを併設する。

 陸上競技場は走路の全天候舗装を全面改修し、現在は8レーンのトラックを9レーン化。雨天練習場の新設、諸室の増設、照明設備の改修を行う。

 現在は屋外となっている水泳場は全面的に建て替える。屋内50メートルプールは10レーン、座席数約1700席(うち仮設約500席)で壁面大型ビジョンなどを設置。飛び込みプールは仮設席で約300席とし、練習環境を整えるためトランポリンなどの屋内トレーニング施設を設ける。

 このほかテニスコートの全面改修、総合体育館の空調やフローリングの改修、ボクシング・フェンシング場とエアーライフル射撃場の移転建て替えなども行う。

 概算工事費は完了済みの補助競技場や総合体育館の改修などを含む既存施設の再整備に約160億円、全体の付帯整備に約60億円を見込む。アリーナは本体工事費に約150億円を見込み、これに加え軟弱地盤対策の工事費が必要となる。基本設計は梓設計・石橋建築事務所・三原建築設計事務所JVが担当。

【凜】東急建設建築事業本部・増渕真衣さん


 ◇目の前の仕事を懸命に◇

 小さいころに見たテレビ番組の影響で漠然とではあるが建築に関心を持つようになった。建築科のある工業高校に進み、大学でも建築系の学部に所属して勉強に励んだ。

 就職活動の時期に差し掛かったころ、設計事務所で働くことにも興味がわいた。それでも「ゼネコンに入れば設計を含め、さまざまな仕事に携われる」。そう考えて東急建設への就職を決めた。

 入社後、現場で施工管理業務に従事。その後配属された見積部で5年目を迎えた。積算情報を基に、協力会社との交渉を経て最終的に発注者へ提示する見積もり作成に日々奮闘している。担当するのは外壁パネル、耐火被覆、防水など主に仕上げ工事用の見積もりだ。

 見積もりは、現場経験者でも一人前になるのに10年かかるといわれる。実際、現場経験が少なく、工事の手順もなかなかイメージできない。見積もりの作成に苦戦を強いられ、自分の非力さを感じることも少なくない。

 それでも、自ら見積もりを手掛けた物件が受注に至ったときは、大きなやりがいを感じ、「さらに頑張ろう」と意欲がわき上がる。

 仕事での具体的な将来像はまだ描けていないが、「会社に必要とされる人を目指している」。目の前にある仕事を懸命に行いながら、「一日も早く仕上げ担当として一人前になりたい」と情熱を燃やす。

 (原価企画統括部見積部、ますぶち・まい)

【建設業の心温まる物語】明電工(埼玉県)・篠田悠さん

 ◇巡視員さんが気付かせてくれたこと◇

 私が電気工事を始めて約1年が過ぎた夏のことです。その日は新築の配線工事で、私はいつも通り配線の準備をしているとハウスメーカーの巡視員さんがいらっしゃって、安全確認としてKYシートをチェックしていました。

 巡視員さんは「今日は暑いですから熱中症には気を付けて、こまめに水分補給をしてくださいね」とおっしゃったので、「はい」と返事をしましたが、私はこの時、配線工事の段取りのことばかり考えていました。

 午前11時半を過ぎた時、私が脚立から降りると急に足元がふらつき立ち上がっていられず、その場でしゃがみ込んでしまいました。気付けば1時間以上飲み物を口にしていなかったのです。すると先ほどの巡視員さんが来て「これは熱中症だよ」と言ってすぐに風の当たる涼しいところに私を連れて行き、飲み物や冷やすものをくださいました。

 この時の症状は自分では軽いものだと考えていたので巡視員さんの処置は少し大げさに感じられて、思わず「もう大丈夫です」と言いました。しかし巡視員さんは「しばらくは作業しないで」と言って自分が過去に熱中症になって倒れた話や、熱中症で亡くなった人の話を真剣にしてくれました。

 その話を聞いて、私は自分の命が多くの人に関わっていることや、巡視員さんが私を本当に心配してくれていたのだと自覚しました。それ以来、私は巡視員さんや監督さんが安全確認をする時、返事をするとともに「ありがとうございます」と言っています。

【建設業の心温まる物語】日さく静岡支店(静岡県)・倉田茂さん

 ◇相手の立場に立って考え、行動すれば必ずいつかは報われる◇

 現在、建設業は機械化やICT(情報通信技術)化がもてはやされています。これらを活用すると仕事を効率化することができます。しかし、私は日ごろからそれらを運用する人間の意識がなにより大切だと思っています。なぜなら、人付き合いの大切さを実感する出来事が私の身の回りに多々起きたからです。

 私は約30年間勤務していた会社を退職し、現在の会社で約14年間働いています。リストラにより無職となりましたが、以前勤務していた会社の上司が、今働いている会社を紹介してくれました。転職後、これまでの顧客を訪ねて行ったところ、新規の仕事を発注していただきました。それも多くの会社からでした。

 私は今、静岡市内で温泉を受注し掘削しています。工事金額は1億円を超えます。その工事は、以前勤務していた会社を退職した人から紹介していただきました。その方に「この人に任せれば大丈夫」と口添えしていただいたおかげで、すんなり受注が決まったのです。その方の顔を汚さないよう、一生懸命に温泉が出るよう工事を進めています。

 仕事は人間関係が一番大切だということを痛感しています。自分がいいかげんな仕事をしていると、会社を紹介してくれたり、仕事を紹介してくれたりしないからです。そして相手の立場に立って考え、行動すれば必ずいつかは報われます。

【建設業の心温まる物語】金子工業(岐阜県)・宮崎清さん

 ◇息子に見せた現場監督の姿◇

 数年前、中学校の改修工事を担当していたときのことです。その学校には息子が通っていました。

 現場監督としての打ち合わせを行いながら、PTA執行部として行事や工事との関連の処理など、昼夜ずっと学校に関係した仕事をしていました。内装も外装も修繕する工事のなかで、学校の子どもたちといつも顔を合わせ、あいさつを交わしながら、時には親として学校行事を見学したり参加したりしていました。

 運動会の時期のことです。私は運動場側の外部足場に応援用の横断幕をかけることを学校に提案しました。学校は快く了承してくれました。

 運動会の前日に横断幕を掲示していたときのことです。翌日の運動会のために生徒全員で練習をしていたうちの1人が工事区画外の運動場から私を呼びました。生徒会長の女の子でした。私はこの子に連れられ、みんなが練習している運動場に行きました。

 すると全生徒が私の前に整列し、生徒会長さんを筆頭に大きな声で「運動会のためにありがとうございます!」と工事と横断幕のお礼をしてくれたのです。突然のことで私はとても驚きました。私は「素晴らしい運動会になることを期待しています!」と翌日の運動会の成功を願いエールを送りました。

 翌日は保護者として息子が参加する運動会を見ていました。子どもたち、先生方の多くが、私にお礼の言葉をかけてくれました。子どもたちは私を見つけると手を振ってくれたり、あいさつをしてくれたりしました。

 息子に、現場監督として働く姿を見せることができました。現場監督の仕事は地味で周囲からは分かりにくい仕事ですが、実際に見てどんな仕事をしているのかを感じてくれたようです。とても意義ある工事を経験できたと感謝しています。

【サークル】日建設計ボランティア部


 ◇専門知識生かし被災地支援◇

 2011年3月の東日本大震災の発生直後に発足した。

 その春の開校が遅れた被災地域の大学生を東京オフィス(東京都千代田区)に招き、一緒に被災地の調査に取り組んだのが始まりという。学生たちのひた向きな姿勢に刺激を受け、有志でボランティア活動チームを結成。その後、会社公認の部として活動を続ける。

 18年時点で設計部門やエンジニアリング部門、プロジェクト開発部門のほか、グループ会社の社員を含めて約70人が参加する。

 専門知識を生かし、顔の見える具体的な支援をできる範囲で、長く続けられる活動をモットーに掲げる。現在は「逃げ地図(避難地図)」や「防災ヒントブック」の作成、仮設住宅の居住環境の改善支援などを展開している。

 部員として活動する設計部門3Dセンター室兼IoT推進室の西勇さんは「災害に対して建築や都市の専門家として何ができるのかを考え、災害復興や今後の災害対策につなげていけるように活動を続けていきたい」との方針を示す。

 今後は、防災ヒントブックを使った学生へのキャリア教育や防災教育用の教科書作成にも挑戦しながら、被災地復興に力を入れる。

【駆け出しのころ】長大取締役上席執行役員社会事業本部長・行田茂氏

 ◇向上心と人とのつながりを大切に◇

 もともとは都市計画に興味があり、大学の土木工学科に入りました。長大に入社したのは、建設コンサルタント会社の中でも先進的なコンピューター導入を推進していたからです。会社では交通計画に携わりたいと考えていました。

 当時、新入社員はコンピューターの研修を兼ねて開発部に1年間配属されました。ここで新人たちに任されたのは、プレートガーダー橋の自動設計図面プログラムの作成です。私たちはまずプレートガーダー橋とはどのような構造であるかを理解しようと、紙で模型を作ることから始めました。

 開発部が大型電算機を使えるのは定時以降であり、夜10時後はビルの出入りができなかったため、時には月曜から金曜まで会社に泊まって対応しました。皆で夜9時すぎに銭湯へ行き、夜食を買って会社に戻る。こんな合宿のような生活が続いたことがありました。大変な日々でしたが、上司や先輩も一緒でしたので社員間の連携が密となり、今では楽しい思い出となっています。

 入社2年目に大阪事務所へ転勤となり、交通環境計画部で大規模な道路事業などの環境アセスメントを担当しました。実は大阪に5年ほどいた間で一度大きなミスをしてしまったことがあります。ある業務で公表資料に明記する区間延長の計測ミスをしました。発注者からの指摘で公表前に分かり、大事には至らなかったのですが、会社の信用を落としてしまいかねないことであり、ミスによる影響と責任の大きさを痛感した仕事となりました。

 その後、東京へ戻ってからはハイウエーラジオといった路側通信設備の調査・研究をはじめ、路車間情報システム(VICS)の運用検討や標準化、設計要領の作成などに関わる業務を担当してきました。

 国家プロジェクトであるVICSの運用に関する検討では、新しい試みでもあるため何をどのように情報提供するかという答えがありません。皆でアイデアを出し合い、多くの方々とワーキンググループなどで議論して方針を決めていきました。その時々によいと思える案を、根拠も示して関係者に説明し、理解を得ていくことの重要性を学べたと思っています。

 これまでの経験から言えるのは、自分たちが納得するまで何度も話し合いながら追求し、熱意としっかりとした考えを持って提案していくことが大切です。また、難易度の高い業務などにも積極的に挑戦し、さまざまな立場、業種の人との出会いやつながりを大切にして、自分の知識と視野や考え方の幅を広げていってください。若い人たちには客先が困っていることを引き出し、解決に向けてリードしていけるような技術力と提案力を併せ持った技術者になってほしいと期待します。

 (ぎょうだ・しげる)1984年東京都立大工学部土木工学科卒、長大入社。社会計画事業本部東日本社会計画事業部ITS計画部長、執行役員西日本スマートコミュニティ事業部担当、社会事業本部社会システム事業部長、同副本部長などを経て、2018年6月現職。長野県出身、58歳。
長大20周年の記念社員旅行で乗船した瀬戸内海クルーズ船の船上で。
当時は大阪勤務だった(中央が本人)

2018年8月24日金曜日

【回転窓】現場で見られる名人技

百貨店で人気の催事の一つに、熟練職人の手による一品を販売する物販展がある。その魅力は販売する商品だけでなく、職人技が間近で見られる実演にもある▼都内の百貨店で行われたある物販展。老齢の銀細工職人の仕事を見ていた客の一人が「簡単に彫るのに(値段が)高いんですね」と話した場面に遭遇した時、陶芸界の巨匠の逸話を思い出した▼民芸陶器の人間国宝、故濱田庄司は晩年、ひしゃくですくった上薬を一瞬で垂らし大皿に文様を描いた。その様子を見ていた客が「これだけの大皿にたった15秒ほどの模様付けではあまりに速すぎて物足りないのではないか」と話す。すると濱田は「60年と15秒と考えたらどうか」と返した▼技の習得には長い年月がかかる。簡単そうに見える仕事の裏にどれだけの修練があったのか。建設の世界も同様で、現場でこてを使って壁にしっくいを塗る左官職人や、鉄筋を結束する鉄筋工などによるよどみのない手技には、修練のたまものと呼ぶにふさわしい匠(たくみ)の技能が込められている▼夏休みもあとわずか。各地で行われる現場見学会に足を運んで名人技をぜひ見てほしい。

【まだまだ暑いので、ブ~ンっと涼しく】ミドリ安全、ベルト装着型送風機を発売

 作業着に電動ファンを後付け-。ミドリ安全が腰ベルトに装着するだけで一般的な作業着を電動ファン付きウエアとして利用できる「後付けファン装置」を販売している。衣服が送風口をふさがない網状のカバーを付け、どんな姿勢でもしっかりと作業着内に外気を送り込む。残暑が続く中、建設現場の手軽な熱中症対策として注目されそうだ。

 商品名は「ファンベルデ」。高耐性クリップでしっかりと作業着を固定するため、姿勢が乱れても風漏れを防ぐ。背面だけでなく、側面にも取り付けられる。

 本体やバッテリー、スペーサー、充電用電源コードなどをセットで販売。価格は1万0800円。風量は4段階で調整でき、最長10時間作動する。

 建設現場を中心に、熱中症対策として電動ファン付きウエアの普及が進んでいる。ただ、導入するには専用の作業服を新たにそろえたり、電動ファンやバッテリーなどを用意したりする必要がある。ファンベルデは、既存の作業服に空調機能がリーズナブルに装備できる。

【連鎖的にスポーツ施設建替へ】東京都、神宮外苑地区街づくり指針の素案策定

東京都は23日、「東京2020大会後の神宮外苑地区のまちづくり検討会」(座長・下村彰男東京大教授)の3回目の会合を都庁で開き、街づくり指針の素案を公表した。

 既存スポーツ施設の連鎖的建て替えで新宿、渋谷、港の3区にまたがる神宮外苑地区の中核を担う新たなスポーツ施設を整備する。地域の歴史を生かした緑と交流の拠点、高度な業務・商業機能の導入などを一体で進める。

 街づくり指針の対象は、神宮外苑地区(面積64・3ヘクタール)で地区整備計画が未策定の40・6ヘクタール。10月の4回目の会合で指針をまとめ2020年東京五輪後、街づくりに着手する。

 聖徳記念絵画館や軟式野球場がある敷地東側を「豊かな緑と歴史の継承エリア」に位置付けた。絵画館前の開放的な中央広場を中心とした土地利用を図る。絵画館に向かうイチョウ並木の景観を保全した憩いの空間も創出する。明治神宮球場や秩父宮ラグビー場が立つ敷地中央は「スポーツ文化発信エリア」とし、広場空間の創出と大規模スポーツ施設の再編・更新を一体で行う。

 敷地西側のスタジアム通り沿道と、南側の青山通り沿道には「機能複合・高度化エリア」を設定した。青山通り沿道は業務・商業・交流機能の高度化、通りの特徴に適した複合市街地の形成を目指す。神宮球場沿いのスタジアム通り沿道はスポーツ文化発信エリアとも重なるゾーンとして、人を引き込む多様な機能の導入を図る。

敷地中央と西・南側の両エリアは、地権者との協議で市街地再開発事業の活用が決まったb区域(17ヘクタール)に含まれる。一定規模の緑地確保などを条件とし、民間に開発計画を提案してもらう公園まちづくり制度を併用して開発する。

 素案では、b区域の計画提案時の条件の一つに「形状が整った1・5ヘクタール以上のまとまりのある開かれた広場の整備」を明記した。周辺の地下鉄駅とつながる円滑な動線整備の提案も求める。

 対象地区全体ではバリアフリー対応の歩行者ネットワークを形成する。地区内の駐車場は開発施設と一体となる形でなるべく立体化し、歩行者通路、広場、緑のための空間確保を優先させる。地区内の施設やオープンスペースは近隣の都立明治公園とともに災害発生時の防災拠点とする。

【9月に一般競争入札公告へ】県立体育館整備(大津市)、PFI特定事業に選定

滋賀県は、「滋賀県立体育館整備事業」について、PFI法に基づく特定事業に選定したと公表した。

 施設の設計・施工と約14年の維持管理・運営をBTO(設計・移管・運営)方式で実施した場合、約6%の財政負担額軽減が見込まれるほか、効率的・安定的な事業実施や財政支出の平準化、サービス・利便性の向上が期待できると評価した。

 順調にいけば、今後は9月に総合評価一般競争入札を公告、19年6月に落札者を決定する予定だ。基本計画等策定業務とPFIアドバイザリー業務はみずほ総合研究所が担当した。

 24年に開催される第79回国体・第24回全国障害者スポーツ大会を見据え、施設の老朽化が進む県立体育館(大津市におの浜4の2の12)を移転建て替えし、県民のスポーツ・健康づくりと文化活動の新たな中核施設として整備する。建設予定地はびわこ文化公園都市内にある滋賀医科大学・付属病院の南側敷地(大津市上田上中野町)の約11ヘクタール。
基本計画(17年3月)で示した施設の配置イメージ
計画によると、施設規模は延べ1万3500平方メートル程度で、アリーナはメインが面積2760平方メートル以上、高さ14メートル以上で観客席5000席以上、サブが面積1161平方メートル以上、高さ12メートル以上で観客席200席以上を想定。施設内には多目的室やトレーニング室、キッズルーム、飲食施設などを設ける。敷地内に多目的広場や駐車場(常設・臨時で900台以上)などを整備する。

 事業方式はBTO。選定されたPFI事業者はSPC(特別目的会社)を設立した上で、▽施設整備▽開業準備▽維持管理▽運営(自由提案事業を含む)-の各業務を担当。事業期間は設計・建設期間が19年10月~22年9月末の3年間、開業準備期間が同10月1日~11月末(供用開始日は同12月1日)。維持管理・運営期間は同12月~37年3月末の14年4カ月。

 9月に入札を公告し、入札説明書などに関する説明会を開催。12月に参加表明書や資格確認申請書を受け付け、19年2月に競争的対話を実施する予定。同4月に提案書などの入札提出書類を受け付けた後、同6月に落札者を決定し、基本協定を結ぶ見通し。同7月に仮契約、議会承認後の同10月に本契約を締結するとしている。

2018年8月23日木曜日

【回転窓】都市鉱山を掘り起こせ!

開催が約2年後に迫った2020年東京五輪・パラリンピック。競技会場の整備など、世界から来日するアスリートや観客の受け入れ準備も最盛期を迎えている▼大会で各種目のトップスリーに贈られるメダルは重要なアイテムの一つ。「都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクト」では不要になった携帯電話などから金属を集め、金・銀・銅合わせて約5000個のメダルを製作する▼メダルに生まれ変わる小型家電の回収が始まったのは昨年4月。過去にもメダルの原材料の一部にリサイクル金属を用いた例はあったが、国民参加でリサイクル率100%を目指すのは初めての試みという▼国内に眠る都市鉱山の埋蔵量は、世界有数の天然鉱山をしのぐ規模ともいわれる。天然資源に乏しいわが国にとって、こうしたリサイクル活動は持続可能な社会の実現に欠かせない▼全世界が注目するスポーツの祭典は開催国が抱える問題や課題を解決する好機。世界に技術力の高さを発信する機会にもなる。大会をサポートする企業や団体、市民の自発的な行動の積み重ねが、社会の発展や変革につながることを期待したい。

【指定管理者に3グループ】五輪競技会場3施設の指定管理者候補決まる

 東京都は22日、2020年東京五輪の競技会場となる▽海の森水上競技場(東京臨海部)▽カヌー・スラロームセンター(江戸川区臨海町6)▽オリンピックアクアティクスセンター(江東区辰巳2)-の3施設を対象に公募していた指定管理者の候補企業・グループを公表した。9月19日に開会する定例都議会の議決を経て、指定管理者に決定する。
海の森水上競技場の完成イメージ
(2016年5月時点、提供:東京都)
海の森水上競技場の指定管理者の候補には公園財団を代表とする「海の森水上競技場マネジメント共同企業体」(構成員=協栄、日建総業、野村不動産ライフ&スポーツ)、カヌー・スラロームセンターでは協栄をそれぞれ選定した。アクアティクスセンターは東京都スポーツ文化事業団が代表の「事業団・オーエンス・セントラルスポーツ・都水協グループ」(同=オーエンス、セントラルスポーツ、東京都水泳協会)を選んだ。
オリンピックアクアティクスセンターの完成イメージ
(2015年10月時点、提供:東京都)
指定管理者は対象施設の管理・運営に加え、魅力を高めるスポーツ事業の企画・立案や
集客イベント、レクリエーション活動などを行う。指定管理の開始時期は、海の森水上競技場とカヌー・スラロームセンターが19年6月1日、アクアティクスセンターは20年3月10日。期限は3施設とも23年3月31日。
カヌー・スラロームセンターの完成イメージ
(2016年5月時点、提供:東京都)
東京五輪の競技会場のうち夢の島公園アーチェリー場(江東区夢の島2)と、大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場(品川区八潮4、大田区東海1)については公募ではなく、各会場が立つ公園の現在の指定管理者に特命で業務を担ってもらう。

 アーチェリー場は日比谷アメニスが代表となる「アメニス夢の島グループ」(同=日建総業、アズビル、日比谷花壇、グリーバル、エコルシステム)が担当する。ホッケー競技場も同社が代表の「アメニス海上南部地区グループ」(同=日建総業、太陽スポーツ施設、エコルシステム)が管理者となる。

【国際観光都市の実現めざす】愛知県、空港島周辺整備案を民間から募集

愛知県は、「MICE(国際的なイベント)を核とした国際観光都市」実現に向け、国内外の民間企業などからアイデアを募る。中部国際空港がある常滑市の空港島周辺に配置すべき機能・施設、MICE機能の強化、地域との連携策などを提案してもらう。これらを今後の具体的な計画づくりに生かす。

 応募受け付けは9月14日まで。必要に応じ、10~11月に個別ヒアリングを実施する。参加できるのは、事業の開発・投資に意欲がある法人・団体。

 県は、17年度に学識者らで構成する研究会を立ち上げ、検討を進めてきた。今年3月に同研究会がまとめた報告書によると、国際会議場、ハイクラスホテル、アフターコンベンション施設を整備。カジノを含めた日本型IR(統合型リゾート)も活用すべきだとしていた。

 企業ヒアリングやインフラ調査などの調査業務は新日本有限責任監査法人・三菱UFJリサーチ&コンサルティングJVが担当している。

 対象となる空港島と対岸部では、県国際展示場や複合商業施設「FLIGHT OF DREAMS」、高級ホテルなどの建設が進んでいる。これらに合わせ、整備すべき施設として県はMICE施設、宿泊施設、エンターテインメント施設、レストラン、ショッピングモール、観光客の送客機能などを想定しており、これらの必要性や取り組みアイデアを募る。

【沖縄市にスポーツコンプレックス整備へ】東部海浜開発地区企業誘致推進検討業務、シービーアールイーに委託

沖縄県沖縄市は、中城湾港泡瀬地区埋め立て地の土地処分方法の検討などを行う「東部海浜開発地区企業誘致推進検討業務」の公募型プロポーザルで2者を審査し、シービーアールイーを選定した。近く随意契約を結び業務委託する。

 業務内容は国と沖縄県の施策や市が行った調査の整理・分析、効果的な企業誘致戦略に関する提案、国内外の企業へのアンケート・ヒアリング、土地処分基本方針案の策定、事業者選定基準案の策定など。履行期限は19年3月中旬。

 東部海浜開発地区は泡瀬地区の埋め立て地約95ヘクタール。国が新港地区で行っている多目的国際ターミナル整備事業の航路・泊地の浚渫土砂を有効活用し、県が21年度をめどに埋め立て事業を行っており、埋め立て後の土地利用は市が行う。健康・医療施設用地など約19ヘクタールは埋め立てが完了し、このほど行政区域への編入手続きを終えている。

 スポーツコンベンション拠点の形成を目指し、土地利用としてはスポーツ施設や多目的ドーム、健康・医療施設、ホテル、商業施設、マリーナなどの立地を想定している。

【失敗してもやり通す!!】三井住友建設、土木系新入社員が研修でコンクリ桁づくりに挑戦

 新入社員だけでコンクリート桁の製作にゼロから挑戦する-。三井住友建設が土木系新入社員の実技研修でそんなユニークな取り組みを行っている。研修内容は2主版桁を6週間かけて新入社員だけで完成させるというもの。完成後にPC(プレストレストコンクリート)の緊張力検査まで行う本格的な工事で、新入社員にとって難易度は高い。失敗を重ねても最後までやり通すチャレンジ精神を身に付けてもらうことがこの研修の狙いだ。

 □6週間かけてコンクリート桁を製作□

 研修は7月上旬から8月中旬にかけて愛媛県新居浜市にある同社四国支店敷地内で行われた。土木系新入社員36人が8チームに分かれ、図面の作成、資材の発注、足場の組み立てなど、桁製作の一連の作業に挑戦した。

 土木系新入社員を対象としたものづくりの実技研修は昨年度から実施しており、今年で2回目。研修を統括する土木本部の堀内剛本部次長は、「ゼロからものをつくることは簡単ではないが、失敗を繰り返して得た知識は忘れない」と研修の意義を強調する。

 7月下旬にはコンクリートの打設に着手した。コンクリートを流し込み、バイブレーターやこてを使っての作業も行った。堀内本部次長も各作業現場をまわりながらアドバイスを出すが、作業はあくまでも新入社員のみで行う。慣れない作業に戸惑いつつも、互いに声を掛け合い、時には他チームの様子をのぞきこみながら、各チームが課題の達成を目指して取り組んだ。

 各チームではリーダーを選び、全体の指揮や完成に向けた工程管理などを担う。技術本部の中村隆史さんもその1人。

 チーム内の情報共有がうまくいかないと作業に時間がかかってしまう。工期内に確実に完成させるためには密接なコミュニケーションが不可欠だ。そのため、「さまざまな意見が出る中で、一つ一つ何がベストなのかを話し合うようにしている」(中村さん)という。

 ものづくりが好きで建設業に入ったという中村さん。「ゼロから考えて組み立てているので、ものづくりをしているという実感がある。苦労もあるが、それを含めて楽しい」と笑顔で話す。

 リーダーを支えるのもメンバーの重要な役割だ。カンボジア出身で東京土木支店のテプ・メターさん(写真右)がいるチームでは女性がリーダーを務めている。そのため「重いものを持ったりする力仕事を彼女がしなくてもいいように気を配り、リーダーとして全体の指揮に集中できるようにしている」とリーダーを気遣う。

 メンバーの体調管理にも気を配っており、「暑い日が続いている。本人が大丈夫と言っても、客観的に見て体調が悪そうな人がいたら強制的に休んでもらうように声掛けしている」(メターさん)という。

 参加者36人のうち5人が女性社員。女性社員も自分にできることを探してチーム運営に貢献している。別のチームで作業に臨んだ東京土木支店の長谷川真悠さんは「自分はほかの男性メンバーのようには力仕事をこなすことはできない。その代わりに図面を描いたり、指示を出したりする側にまわっている」と自身の役割を果たそうと懸命に取り組む。

 長谷川さんはコンクリート打設の経験が唯一ある。高等専門学校時代に授業の一環でコンクリートを打設した。「自分も当時は職人から教えてもらった。メンバーの中に鉄筋の結束などが苦手そうな人がいればアドバイスするようにしている」という。

 □ゼロからものづくり、チャレンジ精神養う□

 時には意見のぶつかり合いもある。「チーム作業は難しい。図面作成の段階からチーム内で意見がぶつかった」と話すのは九州支店の井上佳純さん(写真左)。「実際に足場を組む段階になって初めて、計画通りに足場が収まらなかったりするなど、想像していた通りにならないことだらけ」と戸惑いを見せる。

 就職活動では公務員になるか、ゼネコンに入るかで迷った。最終的には「現場に出たい」という気持ちからゼネコンを選んだ。汗をかきながら構造物をつくりあげていく実技研修は「うまくいかないことも多いが、現場での作業は楽しい」と話す。

 実際の現場では社員は協力会社に指示を出す立場。自ら手を動かして作業することはない。しかし堀内本部次長は「協力会社がする作業を自ら経験することで、その苦労や着目すべき点を知ることができる。実際の現場では資材も機械を使って運ぶが、あえて自分で運ばせることでその重さや苦労を理解してもらう」と研修の狙いを説明する。

 失敗を重ねながら完成を目指す新入社員に対しては「最後まで諦めずに取り組むことで、ものづくりの達成感や、満足感を味わってもらいたい」と期待を寄せる。新入社員は半年間に及ぶ研修期間を経て、それぞれの配属先で10月1日から本格的な仕事に臨むことになる。

2018年8月22日水曜日

【回転窓】どんぐりの恵み

 フランスの昆虫学者ジャン・アンリ・ファーブルの『昆虫記』(全10巻)の初巻が出版されてから、今年は140年となる▼あらためて読んでも昆虫の不思議な生態に驚かされるが、『昆虫記』が書き続けられていたころの売れ行きはよくなかったようだ。子供だましの内容と非難されることもあったというから、人の評価は分からない▼この季節にコナラやクヌギの木の下を見ると、緑色の葉と若いドングリの付いた枝先が落ちていることに気付かれるのでは。ゾウムシの仲間ハイイロチョッキリがドングリに穴を開けて産卵した後、枝ごと切り落としているのだという▼ふ化した幼虫は実を食べて成長し、ドングリの外へ出て土の中でさなぎになる。ファーブルが生態を記したカシシギゾウムシも同じように産卵するが、こちらは枝を切り落とすことはしない▼ドングリには難敵の昆虫だが、地面に落ちたドングリすべてが芽を出したら森は枯れてしまう。そしてゾウムシにも人間と同じくドングリを平等に分けてもらう権利がある、とファーブルは書いている。『昆虫記』が名作として長年読み続けられる理由の一端であろう。

【審査委員長は隈研吾氏】東京建築士会、首都高の高架下利用でデザインコンペ

 東京建築士会(近角真一会長)は、東京都豊島区のサンシャイン・シティ周辺を通る「首都高速道路の高架下利用」をテーマに、デザインコンペを開く。

 登録期間は9月18日まで。作品の提出は10月9~26日に同会事務局で受け付ける。12月中旬の公開審査で最優秀賞や優秀賞、佳作を決定する。

 デザインコンペは、2020年東京五輪の開催を控え、都市景観の改善と魅力的な都市空間を創出する目的で企画した。日本建築士会連合会(三井所清典会長)との共催。首都高の高架下を利用した建造物や空間活用でアイデアを求める。夜間に人通りが少ないエリアでにぎわいを生み出すと同時に、建築士の職能と技術を国内外に周知する狙いがある。

 対象は池袋駅とサンシャイン・シティを結ぶ「サンシャイン60通り」沿道の3カ所。このうち1カ所または複数箇所の選択が可能だ。用途は限定しておらず、イベント会場といった仮設建築物も募る。

 応募に当たっては、名称や提案趣旨(600字以内)、提案意図を伝えるために必要な図や写真をまとめたA3用紙1枚を提出。作品データを収録したCD-Rも提出する。参加資格は建築士や建築士を含むグループ。

 審査委員会は、委員長を隈研吾氏(隈研吾建築都市設計事務所主宰、東大教授)が務め、塚本由晴(アトリエ・ワン代表、東京工大大学院教授)、平賀達也(ランドスケープ・プラス代表取締役)の両氏と近角会長が委員を務める。

 11月上旬に1次審査通過作品を発表する。12月上旬に最終審査用の作品を受け付ける。最終審査では応募者による10分程度のプレゼンテーションを予定している。入賞作品は、豊島区役所が入居する「としまエコミューゼタウン」で展示する。詳細は同会事務局(電話03・3527・3100)へ。

【工期は19年12月まで】代々木競技場第二体育館耐震改修、大林組に

日本スポーツ振興センター(JSC)は、「国立代々木競技場耐震改修工事(第二体育館)」の施工者を19億7900万円で大林組に決め、7月31日に契約を結んだと公表した。

 同工事は4月11日の入札が不調となり、不調随契方式に移行。見積もり合わせを同競技場第一、第二体育館耐震改修の入札に参加意志があった3社に要請し、このうち大林組と清水建設(見積もり価格21億0800万円)が応じた。予定価格は25億7720万円、落札率は76・8%だった。

 工事場所は東京都渋谷区神南2の1の1(敷地約9・1ヘクタール)。2020年東京五輪で競技会場以外の用途として活用する計画が見込まれる第二体育館(RC一部S造地下1階地上1階建て延べ5644平方メートル)を耐震改修する。工事で使用する主な資機材は、コンクリート410立方メートル、鉄骨7トン、鉄筋47トン、板ガラス4平方メートル。工期は19年12月27日まで。

 耐震改修の基本計画は川口衞構造設計事務所、基本・実施設計は丹下都市建築設計・久米設計JVが担当した。工事監理は久米設計が担当する。第一体育館は東京五輪でハンドボールなどの競技会場として使用する。耐震改修工事は、昨年12月の入札で清水建設が68億5000万円で落札している。

【トンネルのお医者さんってなに??】デミー&マツ、延岡市で土木体験イベント開く

日本の土木の大切さや魅力を広く伝えるために土木技術者2人で結成したボランティア団体「噂の土木応援チームデミーとマツ」は10日、国道10号熊田トンネル(宮崎県延岡市)で道の日を記念して土木体験イベント「トンネルのお医者さんになろう!」を開いた。

 小学生から高校生までの子どもたちと保護者約40人が参加し、実際に行われているメンテナンス作業を実体験して建設業をより身近に感じていた。

 今回のテーマは「トンネルを守るお仕事」。旭建設(宮崎県日向市)の協力の下、トンネルがどのように守られているかを講義で学んだ。

 続いて熊田トンネルに設置した「診察所」「検査所」「治療所」を順に回りながら、高所作業車による打音検査・コンクリートの硬さの診察、ひび割れなどの検査、左官体験による治療を行った。

 参加者からは「大学で土木・建築を学びたいと思っている。将来建設関係に進み社会に必要とされる人間になりたいと改めて思った」「子どもたちにいい経験をさせることができた。今日のイベントで土木に興味を持ってほしい」「道路の維持管理がたくさんの技術者の方の地道な積み重ねで行われていることが分かった」といった声が聞かれた。

 噂の土木応援チームデミーとマツは長崎大学大学院工学研究科の出水享工学博士と共同技術コンサルタントの松永昭吾福岡支店長で結成。学校では学べない土木体験イベントを通して多くの子どもたちに土木の役割、土木の大切さや魅力を伝える活動を行っている。次回は9月1日に熊本県大津町のコマツIoTセンタ九州を会場に「親子で世界最先端の建機を体験せよ!」と題し、最新の建機の試乗体験を行う。