2018年8月28日火曜日

【駆け出しのころ】長大取締役上席執行役員社会事業本部長・行田茂氏

 ◇向上心と人とのつながりを大切に◇

 もともとは都市計画に興味があり、大学の土木工学科に入りました。長大に入社したのは、建設コンサルタント会社の中でも先進的なコンピューター導入を推進していたからです。会社では交通計画に携わりたいと考えていました。

 当時、新入社員はコンピューターの研修を兼ねて開発部に1年間配属されました。ここで新人たちに任されたのは、プレートガーダー橋の自動設計図面プログラムの作成です。私たちはまずプレートガーダー橋とはどのような構造であるかを理解しようと、紙で模型を作ることから始めました。

 開発部が大型電算機を使えるのは定時以降であり、夜10時後はビルの出入りができなかったため、時には月曜から金曜まで会社に泊まって対応しました。皆で夜9時すぎに銭湯へ行き、夜食を買って会社に戻る。こんな合宿のような生活が続いたことがありました。大変な日々でしたが、上司や先輩も一緒でしたので社員間の連携が密となり、今では楽しい思い出となっています。

 入社2年目に大阪事務所へ転勤となり、交通環境計画部で大規模な道路事業などの環境アセスメントを担当しました。実は大阪に5年ほどいた間で一度大きなミスをしてしまったことがあります。ある業務で公表資料に明記する区間延長の計測ミスをしました。発注者からの指摘で公表前に分かり、大事には至らなかったのですが、会社の信用を落としてしまいかねないことであり、ミスによる影響と責任の大きさを痛感した仕事となりました。

 その後、東京へ戻ってからはハイウエーラジオといった路側通信設備の調査・研究をはじめ、路車間情報システム(VICS)の運用検討や標準化、設計要領の作成などに関わる業務を担当してきました。

 国家プロジェクトであるVICSの運用に関する検討では、新しい試みでもあるため何をどのように情報提供するかという答えがありません。皆でアイデアを出し合い、多くの方々とワーキンググループなどで議論して方針を決めていきました。その時々によいと思える案を、根拠も示して関係者に説明し、理解を得ていくことの重要性を学べたと思っています。

 これまでの経験から言えるのは、自分たちが納得するまで何度も話し合いながら追求し、熱意としっかりとした考えを持って提案していくことが大切です。また、難易度の高い業務などにも積極的に挑戦し、さまざまな立場、業種の人との出会いやつながりを大切にして、自分の知識と視野や考え方の幅を広げていってください。若い人たちには客先が困っていることを引き出し、解決に向けてリードしていけるような技術力と提案力を併せ持った技術者になってほしいと期待します。

 (ぎょうだ・しげる)1984年東京都立大工学部土木工学科卒、長大入社。社会計画事業本部東日本社会計画事業部ITS計画部長、執行役員西日本スマートコミュニティ事業部担当、社会事業本部社会システム事業部長、同副本部長などを経て、2018年6月現職。長野県出身、58歳。

長大20周年の記念社員旅行で乗船した瀬戸内海クルーズ船の船上で。
当時は大阪勤務だった(中央が本人)

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