2018年8月1日水曜日

【回転窓】失敗を経験する大切さ

プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの工藤公康監督が、投手だった現役時代に後輩をどのように育てたのか。その独特の指導方法を、スポーツジャーナリスト・二宮清純氏の『プロ野球の一流たち』(講談社現代新書)で語っている▼1990年代のこと。福岡ダイエーホークス(当時)で王貞治監督から経験豊富な工藤投手が託されたのは、若手の捕手・城島健司選手を一人前に育てることだったという▼バッテリーを組む城島捕手がサインを出す。その通り投げれば打たれる、と工藤投手には分かる。それでもあえてサイン通りに投げてヒットを打たれる。配球の大切さを教え込むため、わざと失敗させようという意図だった▼どんな世界にも失敗を積み重ねることで身に付くものがある。城島選手も数々の失敗に鍛えられ、一流の捕手になった。昨今は失敗に対する世の中の許容度が下がっているように思うがどうだろう▼先日、ある企業の役員が「いかに小さな失敗にとどめるか。それが後輩たちに対する自分の役割」と語っていた。失敗を許さない社会は窮屈である。伸び盛りには時に盛大な失敗を。そんな余裕もほしい。

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