2018年8月28日火曜日

【建設業の心温まる物語】明電工(埼玉県)・篠田悠さん

 ◇巡視員さんが気付かせてくれたこと◇

 私が電気工事を始めて約1年が過ぎた夏のことです。その日は新築の配線工事で、私はいつも通り配線の準備をしているとハウスメーカーの巡視員さんがいらっしゃって、安全確認としてKYシートをチェックしていました。

 巡視員さんは「今日は暑いですから熱中症には気を付けて、こまめに水分補給をしてくださいね」とおっしゃったので、「はい」と返事をしましたが、私はこの時、配線工事の段取りのことばかり考えていました。

 午前11時半を過ぎた時、私が脚立から降りると急に足元がふらつき立ち上がっていられず、その場でしゃがみ込んでしまいました。気付けば1時間以上飲み物を口にしていなかったのです。すると先ほどの巡視員さんが来て「これは熱中症だよ」と言ってすぐに風の当たる涼しいところに私を連れて行き、飲み物や冷やすものをくださいました。

 この時の症状は自分では軽いものだと考えていたので巡視員さんの処置は少し大げさに感じられて、思わず「もう大丈夫です」と言いました。しかし巡視員さんは「しばらくは作業しないで」と言って自分が過去に熱中症になって倒れた話や、熱中症で亡くなった人の話を真剣にしてくれました。

 その話を聞いて、私は自分の命が多くの人に関わっていることや、巡視員さんが私を本当に心配してくれていたのだと自覚しました。それ以来、私は巡視員さんや監督さんが安全確認をする時、返事をするとともに「ありがとうございます」と言っています。

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