2018年8月20日月曜日

【回転窓】体感・体験通じ建築を考える

建築の展覧会には著名建築家の活動を振り返る回顧的な個展や、歴史的な時間軸を設定し系統立てて総括する歴史展が多い。実物の建築物を展示することはできず、展示品も図面や模型、写真などの資料が大半であろう▼これまでの概念を取り払った建築展が東京都港区の六本木ヒルズ・森美術館で開かれている。「建築の日本展」と銘打ち、「建築」を介して「日本」を語ろうという企画展だ▼展示しているものも従来の資料にとどまらない。話題を呼んでいるのが、千利休の作と伝えられる茶室建築の国宝「待庵」(京都府大山崎町)の原寸再現。国宝の待庵は内部に立ち入れないが、展示品はにじり口(出入り口)をくぐり、二畳の茶席空間を体感できる▼現代美術の表現形式となるインスタレーション作品も展示。レーザーファイバーと映像を駆使して古建築から近現代建築までを3次元で原寸表現し、空間全体を作品として体験できる▼来場者には建築関係者だけでなく一般の方や外国人も少なくない。体感、体験を通じて多くの人たちが建築を考える。今回の企画展はそのきっかけになるだろう。会期は9月17日まで。

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