2018年9月13日木曜日

【関空、全面復旧へ作業進む】損傷橋桁の撤去スタート、浸水被害の地下電源施設も

約1040tの橋桁をクレーン船で引き上げた
(12日、大阪府泉佐野市の関空連絡橋で)

 □総重量2160t、14日作業完了めざす□


 西日本高速道路会社は12日、台風21号の影響でタンカー船が衝突した関西国際空港連絡橋(大阪府泉佐野市)で、損傷した橋桁(A1~P2間188メートル)の撤去工事に着手した。国内最大級のクレーン船を用いて12日にA1~P1間90メートル、14日にP1~P2間98メートルの撤去を行う。施工をIHIインフラシステムが担当。撤去した橋桁は再利用も含めて検討する。

 連絡橋は泉佐野市のりんくうタウンと空港島を結ぶ橋長3750メートルで、唯一の陸上アクセスを担う。海上中央部付近は上部の左右に高速道路上下線、下部の中央を鉄道が通る2層構造。長さ89メートルのタンカー船が衝突した高速道路下り線の桁は中央方向に約4メートル移動し、P2橋脚上は鉄道側に張り出し部がせり出している状況にある。二つの橋脚への影響はなかった。

 西日本高速会社では5日から損傷状況調査を開始し、8~10日に橋桁の損傷拡大を避けるための仮受けベントを設置。門型標識柱など橋梁上の障害物を撤去した後、11日につり上げに必要な金具の設置を終えた。

 12日に撤去作業が行われたのは空港島側のA1~P1間の橋桁90メートル(約1040トン)。午後12時半ごろにクレーン船が所定の位置に到着し、橋桁に設置された16カ所の金具にワイヤをつなぎ、午後1時過ぎからつり上げ作業が始まった。橋桁はゆっくりと上昇し、高さ約15メートルまでつり上げた後、平行移動して台船に仮置きされた。14日にはP1~P2間98メートル(約1120トン)の撤去作業を行う。

 佐溝純一調査役橋梁担当部長は「具体的な復旧スケジュールは決まっていない。撤去した橋桁の調査を行い、再利用も含めて検討していく」としている。

 □関空、地下電源復旧急ピッチ□


 関西エアポートは11日、台風21号に伴う高潮で浸水被害を受けた関西国際空港の地下電源施設などを報道陣に公開した。懸命の排水活動によってA滑走路・誘導路など広範囲に及んだ浸水は解消されたが、早期の運航再開に向け、中枢機能を担う電源設備などの復旧作業が急ピッチで進む。

 第1旅客ターミナルビルの地下1階には六つの高圧電気室があり、これまで雨水対策として土のうや止水板、電気室・電気盤かさ上げ、排水ポンプなどの対策を講じてきた。

 今回の高潮では、土のうを乗り越えた大量の海水が地下に流れ込み、電気室に設置された止水板(高さ約40センチ)でも室内への流入を防げなかった。六つある高圧電気室のうち三つが被災。現在、機能回復に向けた作業を進めており、必要に応じて部品交換を行う。

 広範囲に及ぶ浸水によってハイドラント設備も被害を受けた。地下埋設ポンプでタンクから駐機場まで燃料を送る設備で、緊急停止装置が倒壊し、航空機に燃料を送る給油ピット(計137カ所)も一部浸水した。ピット内が浸水しても内部に浸入しない構造だが、排水・清掃作業とともに、全ピットを対象に品質確認を行っている。倒壊した緊急停止装置は復旧した。

 国際貨物地区でも60センチ程度の浸水があり、冷蔵施設などが甚大な被害を受けた。地区内道路や倉庫内の清掃作業はかなり進んでいたが、至る所に浸水の爪痕が残されていた。

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