2018年9月21日金曜日

【金子貫介氏らの「7つの塔がつむぐ都市の風景」】大井町駅前公共空間設計コンペ、実施設計候補者決まる

 東京・品川区は、「大井町駅前パブリックスペース設計コンペティション」の公開(2次)審査を15日に明治大学アカデミーホール(東京都千代田区)で行った。

 1次審査を通過した5作品の提案者がそれぞれプレゼンテーションし、審査員からのヒアリングを受けた。実施設計候補者は、七つの塔で構成する公衆トイレをデザインした金子貫介氏(あかるい建築計画)、斎藤信吾氏(同)、根本友樹氏(無所属)が選ばれた。

 コンペは日本建築家協会(JIA、六鹿正治会長)が協力し、「JIA建築家大会2018東京」(9月13~15日)のプログラムの一環で公開審査を実施した。審査員は建築家の千葉学(委員長)、武井誠、原田麻魚の3氏のほか、品川区の中村敏明都市環境部長、藤田修一防災まちづくり部長が務めた。

 コンペには377者が参加し、うち227者が提案書を提出。次点には膜屋根とれんが造りの建物が印象的な「都市の円弧」という作品をデザインした虎尾亮太氏(一級建築士事務所虎尾+謝建築設計)が選ばれた。

 実施設計候補者に輝いた金子氏らの作品「7つの塔がつむぐ都市の風景」について千葉委員長は「今まで汚いなどネガティブなイメージしかなかった公衆トイレが、金子氏らの作品のようなアーティスティックなデザインになれば、相当画期的だ」と評価。審査員のうち品川区職員の票が入らなかったことに触れ、「その事実を真摯(しんし)に受け止め、さまざまな課題を克服し、みんなに愛されるトイレの見本になってほしい」とエールを送った。

 今回のコンペでは、JIAが募集要項の作成から審査を支援。今後も設計、監理、レビューの各段階で協力していく。コンペ後、六鹿会長は「JIAとしても並走しながら、これからもしっかりやらせていただきたい」と締めくくった。

 JIAは現在の公共建築の設計に、既に実績がある人材・企業しか参加できない実情を指摘。今回のコンペへの協力は、次代の建築家に公共建築への入り口という希望、JIAは発注者支援を行える職能集団として存在感を示すことなどを目的としている。

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