2018年9月12日水曜日

【回転窓】コウノトリと地域づくり

国の特別天然記念物コウノトリは古くから縁起の良い鳥とされ、江戸時代には火事から家を守ってくれると信じられていたようだ▼江戸の町で寺の屋根に巣を作っていたコウノトリが突然に姿を見せなくなると、近くで火事が起こりその寺も焼けてしまった。以来、コウノトリがいる家は火事にならないと、屋根に巣をかけることが歓迎されるようなったという▼ところが日本では乱獲や環境悪化で生息数が減り、1970年代初めに絶滅。そして89年に兵庫県豊岡市で飼育下の繁殖に成功し、2005年からは野生に戻すための放鳥も始まった。他の地域にも取り組みが広がり、昨年までに野生の生息数は100羽に達している▼再野生化には生息できる湿地の整備・再生とネットワーク化が必要となる。関東では関係自治体や関東地方整備局らで構成する協議会が一昨年、コウノトリとトキを指標とした生態系ネットワーク形成基本計画を策定した▼7月下旬、千葉県野田市で一昨年と昨年に放鳥した2羽が続けて戻り、地元の人たちを大いに喜ばせた。各地のコウノトリと共に暮らす街づくりを通じた地域振興に期待が膨らむ。

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