2018年9月19日水曜日

【回転窓】災害時に怖いバイアス

気象キャスターの吉村真希さん(気象予報士・防災士)が、全国建設研修センター発行の『国づくりと研修』(2018年9月号)に〈正常性バイアス〉の怖さを書いている▼防災心理学の用語で「物事を正常の範囲内だと認識しストレスを回避する自然な脳の働き」の意味。つまり「自分だけは大丈夫」と認識してしまうことで、これが災害時に避難行動を遅らせる要因にもなるのだという▼過去に同じような経験があればバイアス(偏見)を持たず、これから起こり得る事態も想像できる。ところが各地で近年起きている豪雨災害は、これまでに経験したことのない雨の降り方が原因で発生した洪水や土砂崩壊も少なくなく、住民がバイアスにとらわれる可能性は高い▼先日の総務省の発表によると、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は28・1%と過去最高を更新した。従来の常識で計れない災害が頻発する中、高齢者も過去の経験に頼れない時代を迎えたと言えよう▼バイアスを取り除き、最善の行動を起こすのに重要なのは日ごろの準備と訓練、そしていち早く正確な情報を入手すること。吉村さんはそう指摘する。

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