2018年11月15日木曜日

【回転窓】労働の本質とは…

その集団の秩序を守り、その中に自分の幸福を見いだすこと、これが一番大事です-。ホンダの創業者である本田宗一郎が1970年の入社式で社員に贈った言葉は、半世紀近くたつ現代の働き方にも通じる▼戦後の復興期から高度成長期に入り、ワーカホリック(仕事中毒)とまで言われるほど、がむしゃらに働くことが当たり前だった時代。経済や社会が急速に成長・発展する中、一定のルールの下で個人の幸せを追求することに労働の本質を見いだしたトップのメッセージは重みがある▼幸せの感じ方は人それぞれ。体や心を害するような過酷な労働環境は是正されるべきだろう。だが一律的に労働時間に規制をかけて休日を増やすことを、すべての人たちが望み幸せだと考えるのは一方的な見方でもある▼働き方改革に取り組む建設業界。現場の休日を増やすことは、日給月給制の職人にとって収入減につながる。労働集約型の産業は働き方もさまざまで、多様な価値観が存在する▼組織の秩序を保ちながら自分の幸せのために働く。世界に冠たるものづくり企業の礎を築いた先人が残した言葉の意味を、いま一度考えたい。

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