2018年11月20日火曜日

【記者手帳】絶景を眺めて思うこと

中央径間長390m、幅1.5m、地上からの高さ173m-。大分県九重町にある「九重“夢”大吊橋」は国内最大規模の歩行者専用つり橋として、2006年10月に完成した。日本の滝百選に選ばれた雄滝と雌滝からなる「震動の滝」の勇壮な姿が目の前に広がり、足元には鳴子川渓谷の豊かな原生林が生い茂る◆開業以来、順調に入場者数を増やし16日に1100万人を突破した。開業後1年間の経済波及効果は町から100km圏内で356億円との試算もある。町の財政に貢献し、「夢」ブランドの地元特産品も開発されている。この季節は紅葉を目当てに訪れた観光客でにぎわった◆町は自力で橋を架け、「鳥しか見ることがかなわない」と言われた絶景を眺めるという夢を実現した。約20億円の事業費を投じたが国や県の補助はゼロ。公共事業への逆風が強まる中、よほどの覚悟と思いを持って挑んだ事業だったに違いない◆地元の良いところを見直し、夢を語る。錦繍(きんしゅう)に彩られた九重連山を日本一のつり橋から眺めながら、地域の活性化に大切なことを改めて教えられた気がした。(松)

0 コメント :

コメントを投稿