2018年12月13日木曜日

【世界最大級の客船も停泊可能に】東京国際クルーズターミナル整備(東京都江東区)、人工地盤構築の進む

 ◇東亜建設工業JVがジャケット設置作業◇

 東京都は12日、東京・青海近くの水域に新設する大型客船用埠頭(ふとう)「東京国際クルーズターミナル」の工事現場を報道陣に公開した。

 海底に打ち込んだ杭に人工地盤となるジャケットを載せ、桟橋式の岸壁を構築する作業の3回目を行った。2020年東京五輪・パラリンピック開幕までに、世界最大級の客船が停泊できる延長430メートル(水深11・5メートル)の岸壁とターミナルビルを整備する。

 建設地は江東区青海2丁目近くの東京湾の水域。岸壁は計7基のジャケットで構成し、4基分を東亜建設工業・本間組JV、3基分は東洋建設・不動テトラJVが担当する。2基分のジャケット設置は11月末までに完了し、当日は東亜建設工業JVの工区で3基目の設置が行われた。

 使用したジャケットの重量は854トン。1800トンまでつり上げられる起重機船で運搬し、鋼管杭に差し込んだ。今後はジャケット上にコンクリート床版を敷設する作業に移る。都港湾局東京港建設事務所の佐竹禎司港湾整備課長は「ジャケットは津市と、北九州市で製作している。今回は津市から送られたものを使った」と説明した。土木工事関係の進捗(しんちょく)率は約8割に達した。年内に4基目、19年2月に残りのジャケット設置を仕上げる。

 都は急成長するクルーズ船観光の需要と船舶の大型化に対応するため、ターミナル施設の新規整備を決めた。レインボーブリッジ(高さ52メートル)をくぐれない大型客船でも入港できるよう、高さを制限する構造物などがない沖合の水域を計画地に選定した。

 19年2~3月には、岸壁背後に建設するターミナルビルの躯体工事が始まる。施設規模は4階建て延べ1・9万平方メートル。エントランスホールや到着・出発ロビー、送迎デッキ、出国審査場・入国検疫検査場などの機能を導入する。基本・実施設計を安井建築設計事務所が担当し、五洋建設・東亜建設工業JVが施工する。

 ビルの屋根には、長方形の板が反ったような独特な形状を採用する。都港湾局港湾整備部の谷井隆建築調整担当課長は「神社・仏閣、波頭、帆立の三つのイメージを組み合わせてデザインした」と話す。

 2、3階のフロアは客船の利用者に合わせたレイアウト変更が可能な仕様にする。船の停泊がない時はイベントなどで活用する。客船とターミナルビルをつなぐ通路となるボーディングブリッジには、ビルの2階と3階に上下移動できる構造を取り入れる。

 来秋からビルの梁・柱の構築が進み、20年3月には外観が立ち上がってくる。全体の工事完了は20年6月末を見込む。五輪開幕前の同7月14日に最初の客船となる「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」(総重量16万8666トン)、同9月には「クイーン・エリザベス」(9万0900トン)も入港する予定だ。

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