2019年12月27日金曜日

【冬景色のインフラツアーも魅力的】国交省、ポータルサイトで最新インフラツアーを公開

 国土交通省は、インフラツーリズムポータルサイトに、全国で行われる最新のインフラツアーの情報328件を公表した。

 ダム、橋、港、灯台など全国で管理中、工事中のインフラ施設が対象。純白の雪景色やイルミネーションの幻想的な光など、冬ならではの輝きに包まれたインフラ施設の魅力を味わえる現場を紹介する。

 公開しているインフラツアーは、管理者が主体的に実施する現場見学だけでなく、民間の旅行会社が企画・立案して有料で開催するツアーも含む。

 国交省はツアーに参加する人たちにインターネット交流サイト(SNS)のフェイスブックで、「#インフラツーリズム」のハッシュタグを付けて旅の様子を投稿してもらえるよう呼び掛けている。詳細はポータルサイトへ。

【測量とスポーツ、関係は?】アジア航測ら、選手の生体・位置情報分析システム開発

アジア航測ら3者が、サッカーやアメリカンフットボールの試合で選手の生体・位置情報を収集し、データを分析してパフォーマンスを可視化するシステムを開発した。試合中に動き回る選手の心拍数や守備位置を専用デバイスで計測し、戦術の立案を支援する。

 アジア航測は、2020年1月7~10日の4日間、米ラスベガスで行われる個人向け電気機器展示会「CES2020」に開発したシステムを出展。スポーツビジネス市場への参入に弾みをつけたい考え。

 出展するのは、チームスポーツ用マネジメントシステム「SENQ」(センク)。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援で、アジア航測とミズノ、関西大学の3者が共同開発した。サッカーなどチームプレーが要求されるスポーツでの使用を想定する。

 選手には、生体や位置情報を感知する専用の計測機器を身に付けてもらう。デバイスに搭載した心拍センサーに加え、前後・左右・上下の3方向を計測する9軸センサーなどでプレーヤーの情報を取得。得た情報をコーチや監督に提供し、高レベルな戦術の立案や選手交代の可否などの意思決定に役立ててもらう。

 衛星測位システム(GNSS)を活用した「Real Time Kinematic」(RTK)処理を行えば、1メートル未満の誤差でポジションを感知。関係者の意思疎通を支援する。

 CES2020でアジア航測はSENQのデモンストレーションを実施する予定。高精度に生体や位置情報を取得できるシステムをアピールし、システムの普及拡大に努める。

【新分野に挑戦、年明けに営業開始】鉄建建設ら、埼玉県松伏町にいちご農園が完成

 鉄建建設らが埼玉県松伏町に整備していたイチゴ農園「コロコロいちごファーム」が完成し、26日に現地でオープニングセレモニーが開かれた。2020年1月2日に営業を開始する。

 運営は、同社と農産物の生産・販売を手掛けるしゅん・あぐり(埼玉県八潮市、臼倉正浩社長)が共同で設立したファーム ティー・エス(埼玉県八潮市、臼倉正浩社長)が担う。農園では、厳寒期でも暖房によってハウス内を春先の暖かさにし、冬でもイチゴ狩りが楽しめる。イチゴを腰の位置で作り、栽培管理や収穫をしやすくした高設栽培を採用した。「章姫(あきひめ)」など2品種を栽培。5棟のビニールハウスに約1万株が植えられている。

 セレモニーには、鉄建建設の伊藤泰司社長らが出席。冒頭、臼倉社長は「イチゴ農園をしたいと思っていたがハードルがあった。鉄建建設という素晴らしいパートナーに出会えた」とあいさつ。伊藤社長は「新しい分野へ挑戦する中で1次産業の農業に取り組みたいと思った。今回の経験を次の事業展開に生かし挑戦していきたい」と述べた。ファーム ティー・エスの代表取締役会長を務める鉄建建設の荒明浩登経営企画本部新事業推進室長は「いかに認知されるかがポイントだ」と語った。

【アマモの種、大事に育ててね】小学生が関東整備局訪問、思い届ける

 東京湾をきれいな海に-。サンタ帽をかぶった小学生たちが25日、東京湾の環境再生のメッセージを伝える「アマモメッセンジャー」として関東地方整備局を訪問し、横浜市の海で採取したアマモの種を届けた。

 参加したのは市立金沢小学校の4年生を中心とした15人と、市立みなとみらい本町小学校の5年生5人。「金沢八景-東京湾アマモ場再生会議」、海辺つくり研究会、横浜市漁業協同組合柴支所の斉田芳之さんらと協力し、金沢区の野島海岸や中区の高島水際線公園などでアマモ場の再生活動に取り組んでいる。今年からみなとみらい本町小学校も参加し、活動は12年目に入っている。

 アマモは日本の浅瀬に自生する種子植物の一種。多様な生物の生息場となるアマモ場は「海のゆりかご」とも呼ばれる。子どもたちは総合学習で海の水質調査や生き物観察、アマモを育てる活動について発表を行った後、採取したアマモの種をリレーで加藤雅啓副局長に手渡した。

 加藤副局長は「皆さんの東京湾をきれいにしたいとの思いが詰まった種。整備局もしっかりと海をきれいにする活動に、皆さんと一緒に取り組む」と子どもたちに話した。同支所の斉田さんが小学生や市民のアマモ移植活動を3月の「第24回全国青年・女性漁業者交流大会」で発表、農林水産大臣賞を受賞している。

2019年12月26日木曜日

【回転窓】地道な努力が大台達成

サッカーJリーグの今季の総入場者数が初めて1100万人を超えた。最上位のJ1は平均入場者が初めて2万人台になった▼Jリーグが1100万人を目標に掲げたのは2007年のこと。「イレブンミリオンプレジェクト」と銘打って10年の達成を目指したが、人気、天候、試合数の影響などから当時は目標に届かなかった▼今季は攻撃的なサッカーを旗印とするチームの活躍が目立ち、J1の優勝争いは最終節までもつれた。参戦中の世界屈指のスター選手はワールドクラスのプレーで観客を幾度となく魅了。満員はJ1が昨季よりも19試合多い103試合、J2は8増の15試合となった▼記録更新を伝えるニュース映像に、大勢の大人と共に子供たちも登場しているのが印象に残る。選手が地域の小学校を訪問し、新1年生に定規を配っていたり、スーパースターと間近に触れ合う機会を提供したりと、それぞれのチームが地域と子供たちに愛される取り組みに力を入れ続けてきた結果であろう▼今年の出生数が90万人を割り込むという。担い手とファンを増やすため、建設業も地道な努力に一段と力を入れねばならない。

【創業130周年、情報を積極発信】若築建設、ホームページをリニューアル

 若築建設は、ホームページをリニューアルした。2020年5月の創業130周年を見据えた取り組みの一環。スマートフォンでの閲覧に全面的に対応したほか、投資家向け情報提供を充実した。

 トップページには、創業地である北九州市若松区で若戸大橋を背景に「W」のロゴマークが浮かび上がる動画を配置。「130周年、新たに。」というキャッチフレーズとともに、節目の到来をPRしている。

 動画では創業からの歴史を振り返るとともに、那覇空港滑走路増設工事などの土木工事や、各地での建築プロジェクト、陸上風力発電所建設工事なども紹介している。施工実績や技術、CSR活動なども引き続き掲載している。

【全国7カ所、豪雨対応を強化】国交省、新幹線車両基地などの浸水対策で検討指示

国土交通省は、大雨で浸水する懸念のある新幹線の車両基地や重要施設の7カ所について、具体的な対策を検討するよう鉄道関係の事業者に指示した。

 水防法の計画規模降雨を踏まえ、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の長野新幹線車両センター(長野市)と、JR東海の鳥飼車両基地(大阪府摂津市)は高所への移設など運行への影響をわずかな範囲とする対策の検討を要請。JR東日本の新庄運転区(山形県新庄市)など5カ所に車両被害の最小化などを求めた。

 長野新幹線車両センターに留置された10編成が浸水するなどした10月の台風19号の被害を受けた措置。国交省は在来線を含めて運行への影響が大きい施設の浸水対策の点検を全国の鉄道事業者に指示している。新幹線は車両センター・車両所、車両基地、留置線など28カ所を調査し、7カ所に浸水被害が出ると想定した。水防法を踏まえ、数十年から200年に1度発生する計画規模降雨と、1000年に1度の想定最大規模降雨ごとに重要施設と車両の対策の考え方を整理しており、対策は関係者が必要に応じて協議し、結果を来春に報告してもらう。

 現在のかさ上げ対策や設置高さを考慮し、計画規模降雨では、長野新幹線車両センターと鳥飼車両基地で浸水被害が出ると想定した。想定最大規模降雨で被害を想定したのは▽新庄運転区(所有者=JR東日本、所在地=山形県新庄市)▽浜松工場(JR東海、浜松市中区)▽博多総合車両所岡山支所(JR西日本、岡山市北区)▽同広島支所(同、広島市東区)▽熊本総合車両所(鉄道運輸機構、熊本市南区)。

 浜松工場には留置機能はなく、鳥飼車両基地は安威川ダム(大阪府茨木市)が完成する23年度に計画規模降雨の浸水被害が発生しなくなると見込まれている。長野新幹線車両センターはJR東日本と鉄道運輸機構、熊本総合車両所はJR九州と同機構が協議することになる。

 国交省は、計画規模降雨で浸水被害が懸念される重要施設は、信号通信機器室など浸水時に影響が大きくなる施設の移設、防水扉の設置に加えて、代替品、電力供給への配慮を要請した。想定最大規模降雨に備え、施設の相互補完の検討も指示。車両は運行再開の手順などを含めた避難計画の検討を要請した。

 国交省は気象庁や河川管理者と連携し、車両避難を判断する際の防災情報の提供を巡る検討を進める。車両を避難させた場合、運転ダイヤに影響が出ることへの理解醸成に努める。

2019年12月25日水曜日

【アニメに登場の技術、あったらいいのは…】日大、映画「前田建設ファンタジー営業部」とコラボでトークセッション開く

 日本大学は23日、東京都千代田区の駿河台キャンパス1号館で2020年1月公開の映画「前田建設ファンタジー営業部」とコラボレーションしたトークセッション「ユメをカタチに」と試写会を開いた。

 日大の学生や関係者らに加え、前田建設の社員や映画プロデューサー、日大理工学部の教授も参加。アニメの世界に登場する技術を使い実現したい未来などをテーマに意見を交わした。

 前田建設ファンタジー営業部は「アニメの世界に登場する構造物を現実に建設しようとしたらどうなるか」を真剣に検討するサラリーマンの奮闘を描いた作品。20年1月31日から全国ロードショーされる。

 トークセッションには映画に登場する上司・アサガワのモデルとなった同社ICI総合センターインキュベーションセンターの岩坂照之センター長が登壇。「アニメを入り口に建設業へ興味を持ってもらえないかと考えた」とファンタジー営業部発足のきっかけを説明した。

 プロデューサーのうち佐治幸宏氏は「警察や医療の世界を描いた映画はたくさんあるが、建設業界にスポットを当てた作品は少ない。映画化したら面白いと思った」と映画化に至った経緯を明かした。森重宏美氏は「若く才能のある日本大学の皆さんに作品を見てもらえる機会をもらえた。楽しんでもらいたい」とコメントした。

 続く日大理工学部教授陣のトークセッションでは「マジンガーZの世界の技術を使って実現したい未来」をテーマに各教授がアイデアを展開。航空宇宙工学科の高橋賢一准教授はマジンガーZが飛行時に装着する飛行ユニット「ジェットスクランダー」は災害時の救援活動に応用できると提案。建築学科の宮里直也教授はマジンガーZが口から発射する突風攻撃「ルストハリケーン」は「構造物の解体工事に有効ではないか」と持論を展開した。

 試写会では本編に先立ち出演者の高杉真宙さん(ドイ役)と岸井ゆきのさん(エモト役)から日大生へのメッセージが上映された。

【回転窓】改めて手を合わす

30年前の話。先輩記者に誘われ東京ドームで都市対抗野球を観戦した。当時野球部があった熊谷組からチケットを頂き、応援に出掛けた▼対戦相手も勝敗も覚えていないが、今も二つだけ記憶に残っていることがある。一つは熊谷組の社員の人たち。熱気のこもった一体感のある応援で、ついつい一緒に声を張り上げた▼もう一つは一塁側スタンドの応援席から少し離れた場所で当時社長だった熊谷太一郎さんと奥さまが一緒に観戦していたこと。奥さまと会話されながら和やかに応援されていた姿を見て「野球好き」の印象を受けた▼太一郎さんが社長に就任したのは1978年。その後19年の長きにわたり社業や業界の発展に尽くされた。ただ、その間はバブル経済崩壊を境に建設産業の発展と、その後の低迷という激動の時代でもあった。会社の興隆と苦境を一身に背負い、多くの苦労をされたことだろう▼その太一郎さんが今年6月に他界された。9月の「お別れ会」には多く関係者が駆け付け別れを惜しんだ。今年も社業の発展に尽力された多くの方が逝かれた。年の瀬にその方たちをゆかしく思い改めて手を合わせたい。

【関係者が尽力、通行止め解除へ】台風9号で被災の神奈川県内道路、相次ぎ復旧へ

 □五輪自転車競技コース、復旧工事完了の見通し□

 10月の台風9号による大雨で大きな被害を受けた神奈川県内の道路で復旧工事が進み、通行止めが相次ぎ解除される。関東地方整備局は、台風19号の記録的な豪雨で不通になっている国道413号の相模原市緑区青野原~青根区間(延長約5・9キロ)について、26日午前10時に通行止めを解除する。国や市で構成する「国道413号災害復旧連絡調整会議」の第2回会合を24日、東京都八王子市の同局相武国道事務所で開催。災害復旧工事が進展し通行の安全が確認できたことから、通行止めの解除を決めた。

 同区間は2020年東京五輪で自転車ロードレース競技のコースになっている。担当者は「来年3月下旬までの集中工事を予定しており、その完了をもって全面開通となる予定だ。ロードレースには間に合う」と話している。20年1月16日から3月下旬ごろまで、平丸バス停付近~青根交差点を再度通行止めし、のり面などの集中工事を実施する。工事情報は随時発信する。

 同区間は境沢橋手前や横山トンネル手前など8カ所で土砂崩れによる道路崩壊などの被害が発生した。関東整備局は同区間のうち境沢橋手前から湯口沢橋手前までの約1・3キロで、市に代わって道路を復旧する直轄権限代行を担っている。

 □国道138号、27日に通行止め解除□


10月13日の豪雨で被害を受けた国道138号
(提供:神奈川県)
 神奈川県は23日、台風19号の影響で大規模な土砂崩れが発生し不通となっていた国道138号(箱根町)の通行止めを27日午前11時に解除すると発表した。被災箇所の谷側に仮設橋梁を設置し、車両の安全通行確保にめどが立った。

 通行止め解除区間は国道138号の宮城野(碓氷洞門)~箱根仙石原(小塚入り口バス停)。通行方法は仮設橋梁による迂回(うかい)路通行(上下2車線通行可能)。現道部の本復旧方法は現在検討中。確定次第、県小田原土木センターのホームページで公表する予定だ。
仮設道路の設置状況(12月20日撮影、提供:神奈川県)

【収容2万人、球技専用スタジアムの整備目指す】沖縄県、サッカースタジアム整備で対話型調査実施へ

沖縄県は、民間資金によるサッカースタジアムの整備に関するサウンディング(対話)型市場調査を実施する。

 18年度に行った調査では立地に関する評価やにぎわいづくりにつながる施設整備などについて意見を求めたが、今回は主に財源やそれを踏まえた事業方式・業務範囲について事業に関心がある民間事業者から意見を募る。

 参加申し込み期限は2020年1月10日。同1月24日までに県内や東京都で調査を行い、同4月以降に調査報告書を公表する。

 調査は財源や事業手法、発注業務範囲の設定などの参考にするとともに、市場性の把握や実現可能な事業計画の策定、より多くの民間事業者が応募しやすい公募条件の検討につなげるため実施する。

 対象施設の計画地は、那覇市奥武山町45の奥武山公園内の敷地約6・2ヘクタール。基本計画案によるとスタジアムは収容人数2万人、規模はRC一部S造6階建て延べ4万7500平方メートル。天然芝フィールドや大型映像装置、夜間照明、立体駐車場、フットサルコートなどを備える。財政負担軽減などを目的に計画している複合機能(付帯事業)の施設規模は最大で延べ4万平方メートル。「沖縄21世紀ビジョン実施計画」では21年度の供用を目標としている。

 調査項目は▽スタジアム整備への民間資金の活用可能性(整備費負担意向の有無)とそれが可能となる条件▽整備費の一部を民間が負担できる事業手法▽特に関心がある業務内容。

 民間資金の活用可能性では、スタジアム本体の収支改善に向けた稼働率向上や使用料金、スタジアム本体のネーミングライツや飲食物販業などのスタジアム内展開による副収入拡大、付帯事業の実施による副収入拡大などに関する意見や提案を求める。

 事業手法では▽スタジアム保有・運営会社の設立▽民間が整備した後に公共団体に寄付し運営権を得る負担付き寄付▽PFI▽Park-PFI-など。業務内容では、スタジアム本体の設計・施工・維持管理や運営、複合機能の設計・施工・維持管理・運営などに関する意見や提案を求める。

 民間活力導入可能性等調査業務は野村総合研究所・国建JVに委託している。担当はスポーツ振興課。

2019年12月24日火曜日

【マウナケア山頂、シャッター開閉スムーズに】横河システム建築、ハワイ天文台設備の改修施工

 横河システム建築(千葉県船橋市、大島輝彦社長)が培ってきた可動建築技術が、天文台設備の長寿命化に貢献した。舞台は東京から約6200キロ離れたハワイ。同社が手掛けた国立天文台ハワイ観測所のメインシャッター改修工事が9月完成した。望遠鏡を格納する重要な設備。長年メンテナンスをしていなかったこともあり、スムーズな開閉ができなかった。部材を改良するなどして竣工時の動きを取り戻した。

 観測所は、マウナケア山頂(標高4200メートル)に構える。高さ43メートル、回転レールの直径43メートルの円筒型。左右に開閉する大型シャッターの内部に大型光学赤外線望遠鏡「すばる」を納めている。1999年に竣工した。今年に入り、老朽化が原因で大型シャッターを動かすガイドローラーの動作に不具合が生じていた。

 海外事業者が施工した特注部材の多い施設で、図面もほとんど残っていなかった。現地で3D測量を実施し、測量結果から図面を作成。ガイドローラーの老朽化に加え、軌道への納まり具合にも不備があることや、ガイドローラー以外にも複数の部位で修理が必要なことが判明した。横河システム建築の高柳隆常務によると「限られた期間内でまずは確実にメインシャッターが動くための技術的判断が求められた」という。今回はガイドローラーの形状と数量を見直すとともに、メンテナンスの際に使う足場を増設した。

 横河システム建築がハワイ観測所を改修するきっかけになったのが観測所からの問い合わせだった。観測所の職員が修理できる会社を世界中で探していたところ、横河システム建築のホームページを発見したという。

 工期は6月3日~9月3日で、総工費は1億0610万円。総勢31人が関わった。2033年に次世代望遠鏡が導入されるまでは現在の施設を利用するため、今後も定期的なメンテナンスを行う。

【ジンベエザメを飼育展示、事業費130億円】大洗水族館別館(大洗町)に国内最大規模の水槽設置へ

茨城県は大洗町にある「アクアワールド茨城県大洗水族館」に国内最大規模の室内水槽を備える新施設を整備する。大井川和彦知事が23日の定例会見で明らかにした。水槽は約8000トンの水量で、ジンベエザメの飼育展示が可能な大きさという。

 新施設は水族館の別館という位置付け。建物規模などは基本・実施設計で決める。全体事業費は約130億円を計画。設計・建設費は2020年度当初予算案に盛り込む方針だ。

 水族館の所在地は大洗町磯浜町8252の3で、施設全体の敷地面積は5万9246平方メートル。本館南側にある駐車場を活用して別館を建設する。20年度に基本・実施設計を行う。21、22年度に地盤改良や建築工事を実施し、22年度末の完成を目指す。

 会見で大井川知事は「海外の観光客に茨城県を訪問していただく一助となる施設にしたい」と狙いを説明。「地域間競争を勝ち抜くためにも誘客の促進は不可欠だ」と強調し、現在年間約100万人の来館者数については「200万人を目指すくらいでないと意味がない」とした。

 県は大洗水族館でジンベエザメの飼育展示を計画しているが、飼育に適した規模の水槽がないため、別館を建設する。展示が実現すれば、東日本で唯一ジンベエザメが観賞できる水族館となる。

 県は、県内随一の集客力を持つひたちなか・大洗地域の観光資源を生かし、より魅力的な観光地を形成する「ひたちなか大洗リゾート構想」を推進している。同構想で中核施設に位置付けるアクアワールド茨城県大洗水族館に新施設を整備し、ジンベエザメを展示することで、集客力のアップと地域経済の活性化につなげる。

【記者手帖】ラグビー場見学ツアーをぜひ

 1961年の開場以来、多くの高校野球ファンに親しまれてきた神宮第2球場。高校野球での使用は11月3日に行われた秋季都大会の準々決勝が最後。58年にわたる歴史に幕を閉じた。ゴルフ練習場としての営業も12月31日で終了。東京五輪後に解体され、跡地には秩父宮ラグビー場が建設される◆隣にある神宮球場のお下がりの人工芝を敷いたグラウンド。外野の所々で芝が剥げ、下にある黒いゴム層がむき出しというオンボロ感漂う球場だった。だが11月3日は別れを惜しむ高校野球ファンが大勢詰めかけた◆新国立競技場と同様、建設中のラグビー場の姿を見たいと思う人は多いのではないか。はとバスは2018年に神宮球場の西側にある日本青年館ホテルの高層部から建設中の国立競技場を眺めるプランを組み込んだツアーを企画した◆一般公開していない新国立競技場を望むことができツアーは人気に。平日でも予約が難しかったと聞く。神宮第2球場はホテルのすぐ近く。建設中の姿はより見やすいはず。日々姿を変えるラグビー場の建設現場を眺めるツアー、ぜひ企画してほしい。(石)

【嵐や三浦知良選手が登場】国立競技場、オープニングイベントに5・9万人来場

 2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる「国立競技場」(東京都新宿区、渋谷区)で21日、オープニングイベントが開かれた。主催は日本スポーツ振興センター(JSC)。5万9500人が詰め掛け、新スタジアムの開業を祝った。

 イベントは「文化」「スポーツ」「音楽」「エンディング」の4パートで構成。「東北絆まつり」と題して東北6県が各地域を代表する祭りなどを披露。人気バンドのDREAMS COME TRUE、アイドルグループの嵐も出演しライブで会場を沸かせた。

 スポーツパートではサッカーJリーグの三浦知良選手や、陸上男子100メートル、200メートルの世界記録を持つウサイン・ボルトさんが登場。三浦選手はスタンドにサイン入りのボールを蹴り込み、「選手と皆さんの力を合わせ、勇気ある場所になることを願っている。新しい歴史をつくっていきましょう」と語った。トラックを走ったボルトさんは「素晴らしいスタジアム。良い記録が出ると思う」とコメントした。

2019年12月23日月曜日

【回転窓】日本の環境技術に誇りを

スペインで開かれた国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)。2~15日の会期中、日本は非政府組織(NGO)から地球温暖化対策に後ろ向きな国に贈られる「化石賞」を2回も授与された▼1回目は梶山弘志経済産業相が「石炭火力発電など化石燃料の発電所は選択肢として残していきたい」と発言したため。2回目は小泉進次郎環境相が「石炭政策について新たな展開を生むには至らなかった」と具体的な削減策に踏み込まなかったからだ▼2017年度の電源構成をみると、日本は液化天然ガス(LNG)火力39・8%、石炭火力32・3%。東日本大震災以降、原子力発電所がほぼ稼働していない状態で、化石燃料発電への依存が高まっているのは事実だ▼日本だけが石炭依存度の高い、環境分野の発展途上国なのだろうか。石炭依存からの脱却を主張する環境先進国と呼ばれる国でも現時点で日本以上に石炭依存している国は多い▼日本への批判は明確に目標を設定しないからで日本の環境技術が劣っているわけではない。自然と人間の共生といった日本の文化や思想に基づくものづくりには誇りを持ちたい。

【1日から業務開始、期間は2022年3月まで】大成有楽不ら3者JV、新国立競技場の施設管理業務を担当

 大成有楽不動産・シミズオクト・セコムJVは、2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる「国立競技場」(東京都新宿区、渋谷区)の施設管理業務を日本スポーツ振興センター(JSC)から受注し、1日から業務を開始した。設備の運転や監視、日常の保守点検などを担当している。契約期間は22年3月まで。

 国立競技場の施設管理は大成有楽不動産が総合責任者となり、施設管理を包括する。シミズオクトは施設の運営や清掃、施設環境整備、園地管理など担い、セコムが警備業務を担当している。

 大成有楽不動産は、旧国立競技場の施設管理と運営業務をシミズオクトとのJVで担当していた。これまでの経験と実績を生かし、今後開催されるさまざまなイベントを支えていく。

 JSCは2月に「新国立競技場管理・運営業務委託」の一般競争入札(WTO対象、総合評価方式、総価・単価契約)を公告。5月30日に同JVを落札者に決定した。落札額(税込み、消費税率8%)は15億8356万8511円。

【凜】国土交通省都市局・今佐和子さん

◇子どもが伸び伸び歩く街目指して◇

 車社会の地方都市で暮らしているため、街中を散歩していても2歳になる子どもの手を離すことができない。「子どもが伸び伸びと街中を歩けるようにしたい」と思う日々。都市計画が専門ということもあり、車を乗り付けるだけの駅前広場を「もったいない」とも感じている。

 世界中の都市に目を向けると、街中を「車中心」から「人中心」に転換する取り組みが進んでいる。人々が集い憩い多様な活動が繰り広げられる場へと変わり、都市に活力とイノベーションをもたらしている。そんな街を日本でも実現しようと、街路空間の再構築・利活用に向けた取り組みを全国に広めるのが今の仕事。居心地が良く歩きたくなる(ウォーカブル)街路づくりに挑んでいる。

 入省2年目、北陸地方整備局新潟国道事務所に配属。道路空間が街に与える影響の大きさや、新潟にとって川の大切さを実感した。「国道事務所で働いていたけど、道路に関連する河川の付け替え工事に携わることができた。現場はすごい楽しい」と笑顔で語る。

 産休・育休から復職し、新幹線通勤、時短勤務、子育てを両立。そのためにも▽仕事3▽家庭3▽地域(活動)3▽余暇1-のバランスを意識している。年度内にウォーカブルな街路の実現に向けたガイドラインをまとめる。20年3月に2人目の出産を控え、「産休前にガイドラインを仕上げたい」と目を輝かせる。

 (街路交通施設課主査〈街路空間再構築・利活用担当〉、こん・さわこ)

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】中電工「立体ウエア設計で電柱の登り下りが楽に」

 2017年に労働環境の改善と安全の確保を目的に作業着を25年ぶりにリニューアルした。ジャケットは青を基調にオレンジ、緑とコーポレートカラーを配色することで爽やかでスタイリッシュな印象に。生地にはストレッチ性、軽量性などに優れた素材を採用して動きやすさや快適性を追求した。

 作業時の皮膚の伸縮を解析するスポーツメーカー・ミズノの「ミズノ ダイナモーションフィット」設計で動きやすさを実現。立体ウエア設計、ストレッチ素材を組み合わせることで作業時のストレスを軽減する。紫外線カット、通気性などの機能で着心地の良さにこだわりつつ、反射テープを付けて暗所や夜間の作業時の安全性も確保した。

 リニューアルに携わった木村聡宏人事労務部給与厚生担当専任副長によると「社外の方から『明るいイメージに変わった』『かっこよくて作業服に見えない』などの声を多くいただいている」という。社員からは「電柱の登り下りの時に膝や肩や肘など、関節部分が動きやすくなった。作業効率が向上し、疲労感や作業性のストレスが軽減できている」と好評の声が寄せられている。

【駆け出しのころ】三菱地所設計常務執行役員・河合康之氏

 ◇愛と笑いと涙の会社に◇

 学生から社会人になるまでの進路選択では、周りに流されていた面は否めません。大学2年の時、当初は建築を専攻しようと考えていましたが、仲のいい友人が土木を選ぶと聞き、土木に変えてしまいました。

 就職の際も特段の志望先があった訳ではありません。東京・霞が関や青山、虎ノ門など、同級生たちの職場先と張り合えるエリアを考えた時、丸の内に関心を持ち三菱地所も知りました。調べてみると、大学のOBが在籍し、土木職の採用枠もあったことから、自分もこの会社で何かできるだろうと思ったのです。余談ですが、大学OBが何十年前も先輩の官庁出身者だったのは後から知りました。

 入社後に配属された土木部門では地下通路やニュータウンの造成関連の業務を担いました。最初のころは仕事がそれほど忙しくなかったこともあり、定時の終業後には他部門の分室に出入りし、都市開発の計画づくりなどを手伝わせてもらいました。

 入社1年目で社内報に掲載された自作の文章にはリニアが東京駅に乗り入れ、地下から駅側を見上げると超高層のツインビルが立ち並んでいます。東京に関わることにこだわりがあって、これから東京はもっとすごくなるだろうから、自分もその中で何かをしたいなと漠然と考えていました。

 4年目の夏、神戸のニュータウン開発でゼネコンと共同で進めていた開発事業の許可が下り、現場へ異動になりました。地元説明で発言した際、長く事業に関わるゼネコンの方に「過去の経緯も知らない人間が生意気なことを言うな」と叱られたことを、今でも覚えています。厳しいこともありましたが、みんなでつくり上げる楽しさを共有できたことに感謝しています。

 30代半ばで東京に戻ってからは地下利用ガイドプラン策定や都心部の地下通路・地下駐車場の整備に携わりました。丸ビル建て替えにも計画段階で関わり、入社当時に描いた街がいよいよできるのだと、これまでにない高揚感がありました。

 どうしても超高層のビル群に目を奪われがちですが、街は人が楽しく歩けるヒューマンスケールの目線が欠かせません。地下利用や人流・物流を含めた交通ネットワークなど、街の発展性を見据えて将来を思い描くのは楽しい仕事です。

 若い人たちは殻にこもらず、何でも吸収しながら世の中のことに敏感になってほしい。周りには「愛と笑いと涙のある会社になろう」と言っています。愛がないとチームが作れず、笑いがないと良案が出てこない。涙を流すぐらい力を注がないと人も会社も成長しません。一人では限界があり、ワンチームで楽しく、頑張り続けることが大切です。
入社4年間ごろ。神戸ニュータウン開発事業の
関係者らとの花見会で(左端が本人)
(かわい・やすゆき)1983年東京大学大学院工学系研究科土木工学専攻修了、三菱地所入社。2001年6月に分社化した三菱地所設計に出向。執行役員都市環境計画部長や常務執行役員都市開発マネジメント部・都市環境計画部担当などを経て、18年4月から現職(常務執行役員コンサルティンググループ副グループ長)。愛知県出身、62歳。

2019年12月20日金曜日

【回転窓】未来につなぐ再開発

都市部で大規模な建築プロジェクトが旺盛だ。首都圏はもちろんのこと、地方でも鉄道駅周辺などで再開発事業が進む▼2020年以降も三大都市圏や地方核都市を中心に旺盛と見る向きが強い。こうした開発を後押ししてきたのが50年前に制定された都市再開発法だ▼当時、人口集中による過密化などが問題となり、都市機能や環境が悪化していた。建築物と道路や公園などの公共施設を一体的に整備することで、合理的な利用を誘導する狙いだった。市街地再開発事業の実施地区は全国で1000を超えるという▼そのありようも広がりを見せ、歴史的建物の一部保存やエリアマネジメントとの融合などは珍しくなくなった。スマートシティーへの動きや働き方の多様化、少子高齢化などを背景に、今後も都市に求められる要素は変化するだろう▼そうした中で変わらないのは人の大切さだ。「地権者や行政、事業者に皆を引っ張るキーマンがいなければ再開発は進まない」。長年再開発に従事する実務者から聞いた。次世代にどのような都市を引き継いでいくのか。半世紀が過ぎた今だからこそ、より先を見据えて考えたい。

【30階建て延べ5万㎡想定】飯田橋駅東地区再開発(東京都千代田区)、20年度に都市計画決定へ

 東京都千代田区の飯田橋駅東地区市街地再開発準備組合が計画する再開発事業の想定スケジュールが明らかになった。2020年度の都市計画決定・告示、21年度の本組合設立認可を見込む。

 23年度の着工、26年度の竣工を目指す。再開発ビルはおおむね30階建てで、延べ5万平方メートル程度の規模になる見通しだ。

 事業の計画地は飯田橋3の6、7(区域面積約0・7ヘクタール)。JRなどが乗り入れる飯田橋駅の東側に隣接する。関係権利者数は約30者で、うち約8割が準備組合に加入している。

 現状の整備方針によると、再開発ビルの高さは約130メートル。事務所機能を中心に低層へ商業と公益施設、最上部に住宅を配置する。東京メトロ東西線にアクセスできる動線を確保する。区域西側の地下と地上に滞留空間を設け、地域の回遊性を高める。無電柱化などにも取り組み防災性を向上させる。

 準備組合には事業協力者として清水建設が参画。事業計画の深度化を図るため、今後デベロッパーの事業協力者の選定も検討するという。コンサルタントはタカハ都市科学研究所が務める。

 飯田橋駅の東側では同地区に加え▽富士見二丁目3番街区(富士見2の3)▽飯田橋駅中央地区(飯田橋4の8ほか)▽飯田橋3-9周辺地区(同3の9ほか)-の3地区で、権利者らが再開発事業を計画している。

 区は各地区での開発機運の高まりなどを背景に、地域住民らと「飯田橋駅東口整備計画」の策定作業に入る。歩行者空間などの整備の方向性を盛り込んだ「飯田橋駅及び駅周辺整備構想」(07年12月策定)を基に、現状の再開発事業の動向やJR東日本が進める駅改良工事の進捗(しんちょく)に合わせた基盤整備の方向性をまとめる。

【冬季の交通確保対策で安全守る】東日本高速、布製タイプの大型車用タイヤチェーン導入

 東日本高速道路会社は今冬の道路交通確保の取り組みを18日に発表した。積雪寒冷地の管理事務用パトロールカーに布製の新しいタイヤチェーンを搭載する。急勾配の続く区間にけん引車を配置するといった従来の取り組みも継続し、車両の立ち往生や事故による通行止めを減らす。

 布製のタイヤチェーンはタイヤにかぶせるタイプで簡単に取り付けられる。立ち往生した車両はけん引車が到着するまで移動できないことが多く、交通の支障になっていた。上越、新潟、湯沢、高崎の各管理事務所のパトロールカーに積載し交通への影響を減らす。効果が確認できれば、全事務所への展開を検討する。

 同社のネット通販サイトでは乗用車、軽自動車用の脱出・応急用チェーンを販売している。立ち往生が発生しやすい区間は監視体制を強化する。上信越自動車道の新井PA・スマートIC~信濃町ICは、特別警報を伴う大雪などで走行をチェーン装着車に限定する措置を続ける。

 同社の管理路線は約6割が積雪寒冷地にある。保有する除雪関係の車両約1000台を生かし、除雪・雪氷対策に24時間体制で取り組む。凍結防止剤の散布、機械除雪、人力で行うトンネル坑口の着雪除去など安全対策も徹底する。

【1号棟は改修、残る2棟はVRでデジタル保存】広島県、旧陸軍被服支廠(広島市南区)の活用方針決定

 第2次大戦中に軍服などを製造していた「旧広島陸軍被服支廠(ししょう)」(広島市南区)を管理する広島県が、建物の活用方針をまとめた。

 震度6強以上の地震で倒壊や崩壊する危険性が高いことを踏まえ、県は現存する3棟のうち1号棟だけを保存。残る2棟は解体した上、VR(仮想現実)を使ってデジタル保存する考え。2020、21年度に保存へ向けた改修工事などに着手する予定だ。

 県がまとめた活用方針には▽爆心地に最も近い1号棟を保存する▽3棟並んだ景観をVR技術で精密にデジタル保存する▽保存する1号棟と解体する2、3号棟の跡地は安全対策とともに国や市と連携し活用を検討する-の3点を明示した。

 20、21年度に1号棟の屋根と壁面補強を行う改修工事に着手。22年度までに残る2棟の解体撤去に入る予定だ。デジタル保存を除き事業費約8億円と試算している。

 旧被服支廠は原爆の爆心地から2・7キロの地点にあり、1913年に完成。戦時中は軍服や軍靴の製造所として稼働し45年8月の原爆投下で被害を受けた。戦後は運送会社が倉庫として利用していたが、老朽化が懸念されるため解体も視野に県が施設の在り方を検討。地元の市民団体が「物言わぬ被爆者」として保存を要望していた。

2019年12月19日木曜日

【回転窓】東洋のラスベガス

 20日で中国への返還から20周年を迎えるマカオ。10年ほど前に取材で香港を訪れた際、高速フェリーで1時間ほどかけてマカオまで足を伸ばした。「東洋のラスベガス」といわれる市街に入ると、華やかなネオンに目を奪われた▼カジノなどギャンブル以外の観光資源にも事欠かない。旧ポルトガル領だった時代の遺構が数多く残り、歴史的建造物が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されている。公道を使用したマカオグランプリは世界的にも有名だ▼昨年10月には香港とマカオ、広東省珠海を結ぶ世界最長の海上橋「港珠澳大橋」(全長55キロ)が開通。交通インフラの拡充で旅客流動の円滑化を促し、地域経済の柱である観光分野の産業振興を後押しする▼米中貿易摩擦や中国経済の減速、香港デモの長期化などの影響を受け、最近はマカオのカジノ収入が減少傾向にあるようだ。中国本土からの来訪者が大半を占める客層の多様化も今後の課題に挙がる▼わが国でもカジノを含むIR(統合型リゾート)整備の動きが本格化。先行モデルを参考にしつつ、市民が納得した形で事業化の道筋を付けてもらいたい。

【学術研究や産業技術開発の新たな拠点に】次世代放射光施設建設(仙台市青葉区)、近く基本建屋建築入札公告

次世代放射光施設の完成イメージ
(光科学イノベーションセンター提供)
 仙台市青葉区の東北大学青葉山新キャンパスに計画している「次世代放射光施設」の建設に向け、産学官連携組織「光科学イノベーションセンター」(仙台市青葉区)は18日、今月下旬に「基本建屋建築工事」の入札手続きを始めると発表した。

 総合評価による一般競争入札を適用する。2020年3月下旬までに施工者を選定し、同月内の着工を目指す。竣工は22年度末を予定。設計は日建設計が担当し、実施設計がほぼ完了している。

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【山梨県、リニア高架下にバス専用道検討】リニア山梨県内駅、甲府市大津町地区に

 山梨県の長崎幸太郎知事は18日に県庁で会見し、リニア中央新幹線山梨県駅の設置場所について当初想定していた甲府市南部の「大津町地内」が優位とする再検証結果を公表した。

 比較検討の対象となったJR身延線・小井川駅付近(中央市)と大津町地内を結ぶシャトルバスの運行に向け、リニア高架下での専用道整備を検討する。県は2020年3月下旬に「リニアやまなしビジョン(仮称)」を策定する方針だ。

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【全長640m、スポーツやイベントに華添える】NEC、国立競技場に国内最大級のリボンボード納入

 21日にオープニングイベントが開かれる国立競技場(東京都新宿区、渋谷区)に国内最大級となる全長640mのリボンボードが導入された。NEC製のLEDディスプレーはスタンド2層部分の先端に取り付けられた。

 縦約1mのリボンボードが競技場内を囲むように360度設置され、情報発信や演出などの映像を表示する。1㎡当たり最高5000カンデラの輝度を備え、日中でもはっきり視認できる。スポーツやイベントに華を添えることになる。

2019年12月18日水曜日

【誘致実現へFIFAに計画提案書提出】JFA、23年女子W杯会場候補に8カ所選定

日本サッカー協会(JFA、田嶋幸三会長)は、招致を目指している2023年女子ワールドカップ(W杯)の計画概要をまとめた提案書を、国際サッカー連盟(FIFA)に提出した。

 20年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる国立競技場(東京都新宿区、渋谷区)や、来年1月に完成する京都府立京都スタジアム(京都府亀岡市)など8会場を候補に挙げた。千葉市美浜区に建設中の「JFA夢フィールド」など、北海道から沖縄まで42のキャンプ候補地も盛り込んである。

 JFAは、07年に制定した「なでしこビジョン」でW杯の日本開催を目標に掲げてきた。現状は提案段階の位置付けで、開催が決定した場合は会場が変更する可能性があるという。施設所有者の判断によっては、設備投資が実行される。

 JFAは競技時の気温を考慮し、FIFAの要求より1カ月早い6月の開幕を提案した。田嶋会長は招致に関し「ストロングポイントは運営能力の高さ、安全、スタジアム」とコメントした。8会場については新幹線などからのアクセスをメリットに挙げた。新設された国立競技場は、大きなアピールポイントになる。

 FIFAによると、W杯招致にはブラジル、コロンビア、共催を目指すオーストラリアとニュージーランドから申請があった。現地視察を踏まえた評価報告書を作成し、20年6月にエチオピアで開かれる理事会で開催地を決める。日本を含め招致に名乗り出た国はいずれも初開催となる。

 候補会場は次の通り。

 ▽札幌ドーム(札幌市豊平区)▽ユアテックスタジアム仙台(仙台市泉区)▽国立競技場▽埼玉スタジアム(さいたま市緑区)▽豊田スタジアム(愛知県豊田市)▽京都スタジアム▽パナソニックスタジアム吹田(大阪府吹田市)▽ノエビアスタジアム神戸(神戸市兵庫区)。

【長年の功績に感謝と敬意】国交省、19年秋の褒章伝達式開く

 国土交通省関係の2019年秋の褒章伝達式が17日、東京・霞が関の同省内で行われた。

 受章者は68人・8団体。国交省所管の各分野を代表し、藍綬褒章を受章した不動産協会理事の辻慎吾(森ビル社長)、黄綬褒章を受章した全国中小建設業協会会長の土志田領司(土志田建設社長)、日本エクステリア建設業協会会長の別府壽信(別府梢風園社長)の各氏らが、赤羽一嘉国交相から褒章の伝達を受けた。

 赤羽国交相は、多岐にわたる国土交通行政の各分野で長年活躍してきた受章者の功績に感謝と敬意を示した。その上で「本格的な人口減少や高齢化など構造的変化への対応が重要課題になっている。中でも防災・減災対策やインフラ老朽化対策など諸課題への取り組みを着実に進めていく必要がある。引き続き皆さまにはご支援とご協力をお願いしたい」と呼び掛けた。

 同日夕には建設業関係11団体主催の褒章祝賀会が東京都千代田区のグランドアーク半蔵門で開かれた。

【こちら人事部】NIPPO「入社後3年間は育成期間、研修カリキュラムを充実」

 1934年の設立以来、道路舗装業界のリーディングカンパニーとして高速道路だけでなくサーキットや自動車テストコース、スポーツ関連施設などの建設や、アスファルト混合物の製造・販売を手掛けてきた。

 中核事業である舗装土木では自動車テストコース事業と合材事業で海外に進出。マンション建築や不動産開発、土壌浄化など多角的に事業展開している。

 管理本部人事部人事第一グループの菅野貴光課長は採用に当たって「常に挑戦する心や問題意識を持ち、感謝の心を忘れない人に来てほしい」と求める人物像を語る。加えて「ものづくりの最前線である現場ではコミュニケーション能力も重要」とも指摘。「会話のキャッチボールができることは仕事を円滑に進めるためにも、仲間の安全を守るためにも欠かせない要素だ」と強調する。

 舗装工学の分野を扱う学校が減少していることを背景に、近年はこうした人材を呼び込むため、インターンシップ(就業体験)、出張授業などを積極的に開催してPR活動を展開している。

 菅野課長は「土木系の学生の中には、『建設業イコールゼネコン』と考える学生も少なくない」と舗装業界の認知度の現状を示す。その上で、「黒いアスファルトの下にはさまざまな工夫が詰まっている。インターンシップなどを通じて舗装業界に興味を持つ学生を一人でも増やしていきたい」と力を込める。

 インターンシップは17年から公募で幅広くアピール。「当社というよりも、道路舗装の仕事を学んでもらうため」(菅野課長)に年々開催回数を増やし、内容の改良を重ねている。来春入社予定の内定者に占める同社インターンシップ参加経験者の割合は前年比で増加しており、菅野課長と共に社員の採用・育成に携わる中川裕子係長は「道路舗装の仕事を理解してもらうための取り組みが花開いてきているのでは」と成果を実感している。

 入社後は充実した研修カリキュラムで新入社員をプロフェッショナルに育成する。その一つである新人研修は今年から期間を延長し、1カ月半から2カ月以上に伸ばしている。専門教育にかける期間を長めに確保することで、基礎的な知識を十分身に付けてから現場に臨めるようにするという。

 同社の職種の中で最も多い割合を占める土木系総合職は、入社後の3年間は「育成期間」としてさまざまな現場に配属される。幅広い現場で経験を積ませることで本人の適性を見極めることなどが狙いで、4年目から本配属となる。本配属によって業務の責任は重くなるが、残業時間の削減、休日確保などの働き方改革を展開し、社員をフォローする体制を整えている。

 就職活動中の学生に向けて、菅野課長は「入社に当たっては不安もあるだろうが、『まずはやってみよう』と物事を前向きにとらえられる人に来てもらいたい。入ってからどれだけ活躍できるかは自分次第だ」とエールを送る。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用数】  男性50人(うち技術系38人)、女性7人(同3人)(2019年度実績)

 【3年以内離職率】7・6%(16~18年度新卒)

 【平均勤続年数】 男性18・0年、女性16・5年(19年3月末時点)

 【平均年齢】   42・3歳(19年3月末時点)

2019年12月17日火曜日

【回転窓】心が震える経験を刻む

 2016年12月の着工から3年余り。来夏の五輪とパラリンピックでメイン会場になる国立競技場が完成し、一昨日に竣工式が開かれた▼真新しい巨大なスタジアムは木がふんだんに使われ、自然との調和を意識したデザイン。竣工式という節目を迎え設計や施工を担当した企業、そして現場の最前線で苦労を重ねた人たちは晴れやかな気持ちとともに、無事完成したことにホッと胸をなで下ろしただろう▼1964年東京五輪の舞台となった旧国立競技場。惜しまれつつ長い歴史の幕を閉じたのはおよそ5年前になる▼さまざまなドラマが生まれ「スポーツの聖地」と呼ばれたスタジアム。奇跡の勝利、息をのむほどの熱戦、そして涙に暮れる敗北。さまざまな場面の舞台として国立競技場はスポーツの歴史に名を刻んできた。ピッチに足を踏み入れ周囲のスタンドを見上げた時に「心のどこかが震えるような経験をした」。あるサッカー選手に以前、聞いた話だ▼最新の設備を導入し世界最高水準のユニバーサルデザインも採用した国立競技場。真っ白なページにどのようなドラマが描かれるのか。魂を込めるのはこれからだ。

【経営改革に力尽くす】五十嵐久也氏(芝浦工大理事長、三井住友建設元社長)が死去

 芝浦工業大学理事長で三井住友建設の社長を務めた五十嵐久也(いがらし・ひさや)氏が10日に死去した。79歳だった。葬儀は近親者で済ませた。後日「芝浦工業大学葬」を開く予定。

 北海道出身。1964年に芝浦工大建築学科を卒業した後、鹿島へ入社。現場施工部門に26年、管理部門は8年、営業・支店経営部門に8年在籍し、建築施工や営業のエキスパートとして活躍した。2002年常務横浜支店長、05年顧問を最後に退職。大和証券エスエムビーシープリンシパル・インベストメンツ顧問を経て06年6月、三井住友建設の社長に就任した。

 旧三井建設と旧住友建設の合併から3年が経過した時点での社長就任に当たり、「顧客や社会から信頼を得る会社になる」との方針を掲げ、同時に「社員の気持ちを一方向に結集したい」との考えから社内融和にも力を注いだ。

 経営改革にも辣腕(らつわん)をふるった。営業部門を独立させ顧客に対しより細やかな営業を展開。建築、土木の両営業本部に事業戦略部門を設け、新たなビジネスモデルを模索した。自社の強みである超高層マンションやプレストレストコンクリート(PC)橋梁の技術にも磨きをかけた。

 社員には「もう1%の努力」を求めつつ、収益が上がれば処遇を改善し見える形で還元した。10年4月に則久芳行社長へバトンタッチする際、「困難を乗り越える体制はできた」と笑顔で語ったのが印象に残る。

 五十嵐氏は教育者としても功績を残した。社長退任後の同6月に母校の芝浦工大の理事長に就任。17年4月には悲願だった建築学部の新設を実現した。社会ニーズが多様化する中で専門特化するだけでなく、広範囲の知識を備えた世界に通用する人材の育成を掲げ、工学部建築工学科など既存の建築やデザイン関連2学科1領域を、1学部1学科3コースに再編・統合した。五十嵐氏は大学創立100周年を迎える27年に「理工系私学のトップになる」と意気込んでいた。

 毎年、年末に記者懇親会を開くなど広報活動にも熱心だった。「大学も企業も広報の力がないとこれからは生きていけない」という持論から、情報発信に力を注いだ。取材に訪れた記者にねぎらいの言葉を掛け、分け隔てなく対応する思いやりのある人だった。

【住宅やサ高住、クリニックモールなど整備】第一生命ら、第一生命グラウンド(東京都世田谷区)活用の街づくり構想発表

 ◇総延べ2・2万㎡、22年度の街開きめざす◇

 第一生命保険ら5社は、東京都世田谷区にある第一生命グラウンドを活用した街づくりに向けた構想をまとめたと16日発表した。健康増進などの取り組みを通じて、地域住民のクオリティー・オブ・ライフ(QOL、生活の質)を高める。クリニックモールやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など総延べ約2・2万平方メートルの施設群を整備。2022年度の街開きを目指す。

 街づくりに取り組むのは第一生命に加え▽丸紅都市開発▽相互住宅▽NTT都市開発▽野村不動産-の4社。敷地南側に各社が施設を整備する。

 丸紅都市開発と相互住宅は、ファミリー向け分譲マンション(約70戸)や地域総合病院と連携し運営するクリニックモールなどが入る延べ約6200平方メートルの施設を開発する。

 NTT都市開発が建設するのは延べ約4200平方メートルの学生向け住宅。戸数は約170戸を想定する。野村不は延べ約1万1500平方メートルのサ高住(約190戸)を整備する。

 QOLを高める取り組みとして、世田谷区にキャンパスがある日本女子体育大学と連携した健康増進策の展開、緑地を活用した交流イベントの開催などを予定する。計画地と京王線仙川、千歳烏山両駅周辺とをつなぐ移動手段も検討する。同グラウンドの所在地は給田1の1の1(約9ヘクタール)。1954年に開設し、緑豊かな環境が広がる。

【記者手帳】長く愛されるシンボルに

福岡県大川市の筑後川河口付近に淡いピンク色のアーチ橋が架かっている。2020年度開通予定の有明海沿岸道路大川東IC~大野島IC間の主要構造物「(仮称)筑後川橋」だ。桁架設が先日完了し一つの橋としてつながった◆筑後川橋のアプローチ部を含む総延長は1008m、このうちメインの渡河部は延長450mの鋼4径間連続単弦中路アーチ橋。河川のほぼ中央にある土木学会の選奨土木遺産「デ・レイケ導流堤」の上に橋脚を設置し、この橋脚を境に二つのアーチが連続する◆土木遺産に橋脚を設置することには反対の声もあった。導流堤の橋脚を設置する箇所を解体して調査し、近隣の公園に移設展示することで落ち着いた。導流堤の解体調査を取材した際、橋脚の施工者が石組みを一つ一つ取り外し、丁寧に運び出していた様子を思い出す◆アーチ橋の構造形式は導流堤の存在が前提となっている。明治時代に築造され、地域を支えてきた土木遺産に新たな役割が加わったともいえよう。時代を超えた土木技術の融合で誕生した橋は地域の新たなランドマークとして、長く愛されるに違いない。(松)

【延べ150万人が作業に従事】国立競技場が竣工、設計・施工は大成建設JV

 日本スポーツ振興センター(JSC)は、完成した国立競技場(東京都新宿区、渋谷区)を報道陣に15日公開した。陸上トラックや芝生は既に張られた状態で、ランダムに5色を配置した約6万席の観客席も設置を終えている。

 今後は東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会発注の仮設オーバーレイ工事を予定。引き続き大成建設の施工で五輪本番に向け準備が進められる。

 同日の竣工式には安倍晋三首相をはじめ、萩生田光一文部科学相、橋本聖子東京五輪・パラリンピック担当相、赤羽一嘉国土交通相らが出席。あいさつした閣僚はいずれも五輪後のレガシー(遺産)としての発展に力を込めた。東京都の小池百合子知事は「緑がふんだんにあり、いざという時の避難の拠点として防災関係の備蓄スペースも確保してもらった」と防災機能にも期待した。

 組織委の遠藤利明会長代行は、36カ月の短い工期に挑んだ設計・施工関係者の努力をたたえ、「暑い夏も雪の降る中も建設現場で働いた皆さんとその家族の苦労を思うと改めて感謝の気持ちしかない」とねぎらった。

 設計・施工は大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV。短工期の実現に向け、工区を4分割し順番に同じ工程を繰り返すなど施工の効率化に工夫を凝らした。工事関係者によると、工程遅延が許されない状況下で「前工程に感謝、後工程に思いやり」を合言葉に一致団結して施工に当たった。

 携わった作業員は累計約150万人、ピーク時で1日当たり約2800人に達した。完成後には作業員や家族を招いた見学会も行われたという。

  □オールジャパンの努力実る□


 2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる「国立競技場」(東京都新宿区、渋谷区)の竣工式が15日に開かれた。真新しいフィールドに安倍晋三首相や関係省庁のトップ、小池百合子都知事など大会関係者が一堂に会した。

 設計・施工者として整備事業に関わった山内隆司大成建設代表取締役会長、杉谷文彦梓設計社長、建築家の隈研吾氏も出席。新たなスポーツの殿堂の無事完成を祝った。

 安倍首相は自身が決断した整備計画の白紙撤回・再検討を振り返ながら「竣工までにさまざまな苦労があったことと思う。皆さまがオールジャパンで努力した結果、竣工の日を迎えた。改めて関係者すべての皆さまに敬意を表したい」と謝意を述べた。

 設計・施工者を代表し山内会長は「無事に約束の完成期日まで施設を引き渡しできたことは(事業主体の)日本スポーツ振興センター(JSC)をはじめ皆さまのご指導、ご鞭撻(べんたつ)のたまものであると深く感謝する」とあいさつ。大東和美JSC理事長は「生まれ変わった国立競技場を最大限活用し、わが国のスポーツ界のさらなる発展に貢献し、国民に開かれた親しみやすいスタジアムになるよう努める」と決意表明した。

2019年12月16日月曜日

【回転窓】国連防災世界会議から5年

Do not remain here(ここにいてはダメです)-。東京・江戸川区が作成した強いメッセージが特徴の英語版水害ハザードマップを手に、先週アジアなどの国の政府・自治体関係者が同区の治水施設などを見て回った▼国際協力機構(JICA)による研修の一環で、スーパー堤防やゼロメートル地帯の家屋などを視察。パキスタンの地方州から訪れた防災担当者は「防災計画の立案に役立てたい」と感想を語ったという▼2015年3月に仙台市で開かれた「第3回国連防災世界会議」から来年で5年になる。採択された「仙台防災枠組2015-2030」には、30年までに災害死者を地球規模で実質的に減らすことなどがうたわれている▼大規模な自然災害が世界各地で発生する中、アジアの途上国には復旧が主体の防災計画が多いと聞いた。JICAは警鐘を鳴らし、事前防災や災害のリスクを減らす投資の実行を支援している▼19年は台風の被害が相次ぎ風水害への備えが今まで以上に問われた。被害を減らし仙台防災枠組の目標を達成するためにも、国内外で取り組むべきことがまだまだあるはずだ。

【来春開通へ整備終盤に】臨港道路南北線沈埋トンネル、愛称は「海の森トンネル」

建設中の沈埋トンネル(7月11日撮影)
 国土交通省は、中央防波堤地区と臨海部の有明地区を結ぶ「東京港臨港道路南北線」(東京都江東区)のうち、海底を通る沈埋トンネルの名称を「東京港海の森トンネル」に決めたと13日発表した。愛称は「海の森トンネル」。現在は舗装工事や設備工事を進めている。赤羽一嘉国交相は13日の閣議後の会見で「来年春ごろの完成に向け、しっかり整備を進めていく」と語った。

 臨港道路南北線(延長5.7km)の整備事業では、有明側の10号地その2地区と中央防波堤内側地区を海底トンネル(延長約931m)でつなげる。完成した道路は2020年東京五輪・パラリンピックで大会関係者の輸送ルートとして活用する。

 施工には沈埋トンネル工法を採用した。中央防波堤地区側の1~5号函を順次設置。有明側の接続部と連結する7号函を先行設置した後、6号函の沈設作業を7月6日に終えた。1函当たりの長さは134m。これまで製作された沈埋函で最長となる。

【49年ぶり山手線に新駅】JR高輪ゲートウェイ駅、2020年3月14日開業

仕上げ工事などが進む新駅の構内(提供:JR東日本)
JR東日本は、JR山手線、京浜東北線の新駅「高輪ゲートウェイ」(東京都港区)を2020年3月14日に開業させると13日発表した。田町~品川駅間に位置し、京浜東北線の快速を含むすべての列車が停車する。山手線の新駅開業は49年ぶりで、西日暮里以来となる。

 新駅は仕上げ工事が本格化している。障子のような大屋根、吹き抜け、大型のガラス面が特徴。デザインアーキテクトを建築家の隈研吾氏が務めた。ホームドア、24人乗りエレベーターなどを備える。環境保全技術を駆使する駅「エコステ」として運用。構内は案内ロボットや、自律移動型の警備・清掃ロボットが稼働する。

【凜】森ビル設計部建築設計1部・田尾若菜さん

◇広い視野で捉えた街づくりに共感◇

 入社のきっかけは「大きい建物を造るだけでなく、都市全体を広い視野で捉えている森ビルの独特な社風に共感した」こと。大学で学んだ建築デザインと都市計画の両方が生かせると考えた。

 最初の配属先は開発用地の仕入れを担当する用地企画部だった。聞いたことがない専門用語が飛び交う職場。戸惑うことも多く「本当に大変だった」と当時を振り返る。慣れない環境に苦労しながらも「価値ある不動産とは何か」といったデベロッパーとしての不動産を見る目を養った。設計を手掛けるようになった今でも、街の価値を高める建物を造る上で当時の経験は生きている。

 用地企画部に7年勤務した後、現在の部署に異動した。森ビルが参画する再開発事業で11月に建設工事が始まった「(仮称)虎ノ門ヒルズステーションタワー」(東京都港区)の設計業務を異動直後から担当している。

 「プロジェクトの関係者が円滑に意思疎通できるようにすること」が自分の役割。関係者で決めたことをしっかりと設計に反映し、意図を説明することに力を注ぐ。

 ステーションタワーを無事に完成させることが一番の目標だ。ビルの基本設計から携わった思い入れのあるプロジェクトが実を結び「虎ノ門ヒルズエリアに新しい人を呼び込む」将来に胸を膨らませる。

 (建築設計3グループリーダー、たお・わかな)

【中堅世代】それぞれの建設業・243

作業にかかる時間を客先には事前に伝えるようにしている。
時間を守りながらも工事品質に妥協は許されない
◇このまま続けていくよ◇

 配線工事会社で一戸建て住宅のアンテナ設置をメインに担当している秋葉雅司(仮称)さん。大手家電量販店の協力会社に所属し、注文を受けて現場の住宅に向かう毎日だ。

 「こういう時代だから」と前置きした上で、「分かりやすい説明と丁寧な作業を心掛けている」とモットーを語る。作業の前にはアンテナの最適な設置場所や向きを確認し、地上波の増幅装置など必要な機器をそろえ、作業の内容を注文主に説明する必要がある。ポイントは電波を受信し、テレビがしっかり映るかどうか。結果が分かりやすく、短時間の作業であっても手厚い謝意を示してくれることが多い。

 だが最近は「トラブルが多くて」とこぼしてしまう事態が相次いでいる。築30年以上の家が多い住宅地で広い敷地にある老朽化した家屋を解体し、2区画で分譲された新築住宅で作業に臨んだ同僚は、アンテナの最適な位置を決めるのに時間がかかってしまった。「出掛けるので早くしてほしい」。訪問前、作業に必要な時間は伝えていたが、屋根の上で危険を伴うにもかかわらず、同僚は慌ただしく作業をせざるを得なかった。

 屋根の形状が特殊だったりデザインにこだわって設計されたりと、住宅のタイプはさまざま。屋根ではなく壁に設置するアンテナもある。大規模な造成工事が行われた新興住宅地からは、アンテナ設置の注文が相次ぎ、1日で数軒の作業をする日も少なくない。地域には複数の協力会社がある。墜落・転落対策は欠かせないが、家電量販店の担当者によっては工事の品質以上に作業量を評価する担当者がいる。

 電線からの引き込み線を雨どいの中に隠せるにもかかわらず、作業を早く終わらせようと、あえて屋根の上をはわせたであろう業者に当たった家屋を見ると、他社の施工ながら「申し訳ない」と、向かいの屋根の上で思うことがある。

 苦労は多いものの、やりがいもある。「目の前のお客さんに感謝してもらえる」のが一つ。二つ目は「自分が暮らす街で、人の温かさを感じられる」こと。コンビニエンスストアで休憩していると、「あ、アンテナのおじちゃん」と言って、作業で訪れていた家の幼児が手を振っていた。すれ違った時に会釈してくれた人の車を見て、数日前に工事した家の車だったことを思い出した。焼き芋に高価な煎茶を添えて、娘夫婦や孫の話を楽しそうに語ってくれた老夫婦もいた。

 作業用の車には長いはしごを積んでいる。新築した家のベランダから屋根にはしごを掛けて作業していた際、はしごが倒れ、壁を傷付けてしまった。叱られると思ったが、「けががなくて良かった」と心配してくれた。聞くと職種は違うが同じ建設関係の仕事に就いている仲間だった。9月の台風15号の後は、近所の家の屋根に上ってブルーシートを敷いたり、ベランダに引っかかった飛来物を撤去したりするのを手伝った。大げさすぎるくらいに喜んでくれた人がいて、かえって恐縮してしまった。

 「自分が暮らす町の仕事だから頑張れる」と思っている。「たぶんこのまま続けていくよ」。

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】高砂熱学工業「ワークスタイル変革に合わせて刷新」

 高砂熱学工業が27年ぶりに現場ユニホームを刷新する。シャツやパンツ、ジャケット、防寒ジャケット、帽子という従来アイテムに加えて、防寒ベストを新たに用意した。2020年1月から配布して、順次移行する。

 新ユニホームには、スリムなシルエットとともに、清潔感やプロフェッショナルなイメージを与えるデザインを採用。各アイテムに合わせて素材や裁縫を考えたり男女の特徴に合わせた仕様にしたりと工夫を凝らした。機能面では、スマートフォンなどが収納できるポケットを導入した。カラーは「若手社員の要望を採用し、ネイビーをベースとした落ち着いた配色にした」(同社)という。

 刷新に当たっては、全社員向けにアンケートを実施したほか、入社10年以内の若手社員による刷新ワーキングも実施。約1年間の検討期間を経て決定に至った。同社は、より働きやすい職場や魅力ある会社にしていこうとワークスタイル変革を推進中。そのコンセプトの一つに「仕事を加速させる服を着る」を掲げており、その一環となる。

 現在使用しているユニホームは約1万着に上るという。移行に伴いすべて回収し、リサイクルする。ポリエステル製品やバイオ燃料として活用するという。

【駆け出しのころ】佐藤渡辺取締役常務執行役員営業本部長・原淳一氏

 ◇一日一日を愚直に取り組む◇

 中学生のころに映画「黒部の太陽」を見て、土木系のゼネコンで働きたいと思いました。大学に入る時には田中角栄の「日本列島改造論」がブームで、土木工学科の人気は高かったです。けれども就職活動はオイルショックの影響を受け、前年まで名だたるゼネコンから引く手あまただった状況が一変し、意中の会社に入るのが難しくなりました。

 縁あって渡辺組(現佐藤渡辺)に採用されました。当時は会社名からゼネコンだと思い込んでおり、入社後の社員研修の時に道路舗装の会社だということを知りました。

 研修後の初任地は関東圏を希望していましたが、福島のテレビも映らないような山奥の現場でした。所長からはとにかく3年、合材プラントの品質管理をやるように言われました。現場の施工管理をやりたかったこともあり、最初のころは仕事を続けていけるか迷いもありました。ある晩、舗装現場に行った時、まだ車が通っていないアスファルト舗装とラインの美しさに感動し、今の仕事を頑張ろうと思いました。

 3年目で福島の国道拡幅工事に配属されました。突貫作業で本当に厳しい現場で、理髪店に行く暇もないぐらいでした。髪やひげも伸ばしっぱなしの姿になり、周囲からは山にこもっていたのかと冗談交じりで言われたこともありました。最初にこれほどつらい現場を経験し、乗り越えたことは技術者として大きな自信となり、どんな工事でも一日一日を愚直に取り組めば必ず終わることを学びました。

 その後は40代半ばまで高速道路の現場を中心に回りました。いくつかの現場では施工を担当したJVの関係者や発注者の方々といまでも集まり、交流が続いています。

 現場技術者として駆け出しのころ、所長に「お客さんの注文に合わせて、より良いものを造るのは当たり前。その中でもうけを出すのがわれわれの使命だ」と諭されました。工事の進め方も固定観念にとらわれず、常に最善の方法を考えることが重要です。いろいろなところにヒントは隠れています。

 最後に所長を務めた九州の現場では、自分が学んできたことの集大成にしようと気合が入りました。演劇に例えれば、監督や俳優だけで作り上げるのではなく、観客も巻き込むような現場にしようと思いました。

 発注者や現場に関わるすべての人たちが同じ思い、立場で一緒になって考え、喜び合える現場となりました。そうした現場の雰囲気を作り上げるには、やはり誠意が大切です。誠心誠意を持ってコミュニケーションをとることにより、相手から信用・信頼が得られます。
入社2年目ごろ、職場で行った慰安旅行での一枚
(前列右から4人目が本人)
(はら・じゅんいち)1977年芝浦工業大学工学部土木工学科卒、渡辺組入社。執行役員工事本部工務部長、同施設工事支店長、常務執行役員営業本部長(現任)を経て2017年6月から現職。静岡県出身、65歳。

2019年12月13日金曜日

【抽選で10人にプレゼント!!】調査団、アンコール遺跡の2020年カレンダー作製

 カンボジアにあり、世界遺産に登録されている「アンコールワット」。遺跡群の保存修復活動を展開するアンコール遺跡国際調査団(石澤良昭団長)が、2020年版のカレンダーを製作した。

 同調査団は1991年から同国政府と協力し、貴重な歴史的建造物の調査や研究、修復、人材育成といった活動を展開している。

 カレンダーはB4判16ページでオールカラー。遺跡群をさまざまな角度から捉えた写真を採用している。同調査団は製作したカレンダーを10人にプレゼントする。希望者ははがきに住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記の上、「株式会社ティル内アンコール遺跡カレンダーN係」(〒151-0051 東京都渋谷区千駄ケ谷2の39の3の401)へ送付すること(20日消印有効)。応募者多数の場合は抽選になる。発送は20年1月以降を予定している。