2019年1月23日水曜日

【回転窓】覆水を盆に返す

「覆水盆に返らず」。一度したことは取り返しがつかないという意味の、中国の故事からきたことわざだ▼似たような慣用句は各国にあり、米国は「こぼれたミルクのことを嘆いても無駄」、ロシアでは「抜けた頭髪は二度と元の頭に戻ってはくれない」というようだ。一度問題が起こると元に戻すのが難しいものは多い▼自然環境もそう。安易な開発行為で自然を壊してしまうと、再生が難しいこともある。愛知県の加藤建設(加藤徹社長)はこうした指摘を少しでも解消したいと、2009年から全社員で「エコミーティング」活動を展開する▼工事前に社員が現場に出掛け、生息している生き物や植物などを調査。外来種と在来種の整理や絶滅危惧種の有無などを確認し、社員で対策を話し合い可能なことから実行する。専門知識が必要なため、約半数の社員がビオトープ管理士の資格を持つ▼同社はこの活動を同業他社にも広げたいと、活動内容を盛り込んだ冊子を作成した。開発行為を通じた生活の豊かさと自然環境保護の両立。建設業が抱える永遠の課題の解決に向け、多くの建設会社が取り組むことを期待している。

【無事故無災害へ取り組み強化】年度末労災防止強調月間、ポスターに須田亜香里さんら起用

建設業労働災害防止協会(建災防、錢高一善会長)は、3月に迎える「建設業年度末労働災害防止強調月間」の普及啓発に向けたポスターの販売を始めた。

 工事が完成する繁忙期を迎え、労働災害の多発が懸念されるため、安全衛生意識をさらに喚起する。ポスターのモデルには、ファッション誌『CanCam』専属モデルの堀田茜さん(写真右)と、アイドルグループSKE48の須田亜香里さん(写真左)を起用した。

 価格は税込み200円。東京からの注文は建災防本部の教材管理課、東京以外は道府県支部で受け付ける。

【制限区域内での自動運転検証】NIPPO、羽田空港の自動運転バス実証実験に参画

 NIPPOが参画している羽田空港(東京都大田区)制限区域内での自動運転バスの実証実験が25日まで行われている。

 6社がグループとなり、航空機や専用車両が走行する特殊な環境下で自動運転に必要な環境整備などを検証。同社は車両が検知する磁気マーカーを舗装に埋設する作業を担当している。自動運転の実用化に向けたノウハウを蓄積することで、今後の展開に役立てたい考えだ。

 20年に公道や空港の制限区域内での自動運転の実用化を目指す。実証実験にはNIPPOや全日本空輸、NECなどが参画。国土交通省が仙台、成田、羽田、中部の4空港で取り組む実証実験の一つとして実施している。

 バスの走行ルートには周囲の建物に衛星利用測位システム(GPS)の電波受信を阻まれるエリアもあるため、走行ルートに沿ってRFID(電波個体識別)タグを付けた磁気マーカーを埋設。舗装に穴を開けて磁気マーカーを埋め込み、樹脂を充てんして固定する作業にNIPPOの独自技術を用いた。

 車両の底部に設置した高感度磁気(MI)センサーがマーカーを検知することで、ルートを外れず安定的に走行する仕組み。磁気マーカーは舗装に雪が積もっていても検知可能で、自動運転の実現に有効とされている。

 22日には実証実験の様子が報道陣に公開された。走行ルートは羽田空港第2ターミナル本館~別館間。旅客機の排ガス・ジェット噴射(ブラスト)対策として、機体の近くを走行する際に遠隔監視システムで一時停止し、安全を確認した上で発車するなど、安全に運行できることを確認した。

【新体育館は19年度設計着手】宮崎県、国体対応2施設の基本計画素案公表

宮崎県は、2026年に開催予定の国民スポーツ大会(現国体)に向け計画している新たな体育館とプールの整備基本計画素案を公表した。

 体育館はメインアリーナやサブアリーナなどで構成し解体工事費などを含む概算事業費は約85億円。19年度に設計着手し21年度に本体着工する。

 プールは地下1階地上3階建て延べ1万1880平方メートルの規模を想定し、外構整備を含む概算事業費は最大約98億円。事業手法はPFIを候補とし、PFIで行う場合は19年度に事業者選定手続きに入る。いずれも2024年度の完成を目指す。

 体育館は延岡市大貫町の現市民体育館敷地に計画。メインアリーナの規模は約3040平方メートル(バスケットボールコート3面、バレーボールコート4面)で観客席は固定式2000~3000席、可動式1000~2000席を確保する。サブアリーナは約1700平方メートル(バスケットボールコート2面、バレーボールコート3面)、観客席は最大800席程度を検討する。

 武道や健康教室などに利用できる多目的室、会議室なども設ける。パラスポーツの実施に配慮しユニバーサルデザインを導入。災害発生時の広域的な避難・防災拠点として活用することを視野に大規模地震にも耐えられる構造で浸水対策を講じ、備蓄倉庫など防災関連設備の設置を検討する。

 概算事業費は体育館本体に約70億円、既存施設解体や用地造成・外構に約15億円を見込む。既存の体育館を利用しつつ整備するため通常より工事期間が長くなり、PFIで行う場合は国民スポーツ大会開催に間に合わなくなる可能性があるため、従来型手法で整備する。

 19、20年度に基本・実施設計と並行して造成工事や市民体育館別館の解体工事を進め、21年度にサブアリーナ、23年度にメインアリーナにそれぞれ着工する。

 プールは宮崎市錦本町の県有グラウンドに整備する。10レーンで可動床の50メートルプール、6レーンの25メートルプール、仮設を含め2500席程度の観客席、大規模災害対応の備蓄倉庫などを設け、幼児プールやジャグジープール、トレーニング室などの設置も検討する。

 概算事業費は全屋内の場合が約70億~90億円、50メートルプールを屋外、25メートルプールを屋内とする場合が約30億~50億円と試算し、これに加えて外構整備に約8億円を見込む。

 光熱水費が多大にかかり維持管理費の低減や料金収入の増加の面で民間のノウハウを生かすことが期待できるため、事業手法はPFIを候補とする。本年度中にPFI導入可能性調査に着手し、PFIで行う場合は20年度中に事業者選定を終え21年度から2カ年で設計、23年度から2カ年で工事をそれぞれ行う。

 国民スポーツ大会関連では新陸上競技場の整備も計画し、先行して設計者選定の公募型プロポーザルを実施している。3施設の基本計画策定業務はパシフィックコンサルタンツが担当。

【こちら人事部】三機工業「実技研修で技術力底上げ」

 三井物産の機械部から独立し、1925年に創業した三機工業。設立当初は空調設備が中心だったが、社会のニーズに応じて電気設備をはじめ、水処理やごみ処理といったプラント設備、情報通信設備まで業容を拡大。2025年に迎える創業100周年に向け、成長を加速させている。

 「設備工事業はゼネコンに比べて認知度が低く、採用活動に苦戦を強いられるケースも少なくない」と話すのは最前線で採用活動に当たる石綿央総務人事本部人事部人材開発課長。「学生は設備業にあまりなじみがない。まずは業界を知ってもらうところから始めている」と強調する。

 設備業を知ってもらう取り組みとして、同社は通常の1Dayインターンシップ(就業体験)に加え、大学からの要請を受け個別のインターンシップも積極的に受け入れている。今までインターンシップは、空調がメインだったが、機械部門も開始し、三機工業を知ってもらうきっかけづくりに力を入れている。さらに就職活動支援サイトが主催する合同企業説明会へ積極的に出展。大学に出向いて設備業の仕事内容を理解してもらうなど、採用活動の充実を図っている。

 石綿氏は求める社員像について「まずはものづくりが好きという学生に来てもらいたい。現場では心身両面で重圧が掛かることも少なくないため、タフさも重要になる」と説明。その上で「現場は多種多様な業種の人が携わって進んでいくので、コミュニケーション能力も非常に大切だ。自ら周りの人に働き掛けられる積極性が不可欠で、面接でもその点を重視している」と話す。

 貴重な戦力として獲得した人材に最大限活躍してもらうため、研修にも力を入れている。入社後すぐに、全員を対象とした2週間の集合研修を実施。その後、空調設備の技術系社員を対象とした研修を半年間ほど行う。

 これまで技術研修は座学を中心に行ってきたが、今後は昨秋から稼働している「三機テクノセンター」(神奈川県大和市)を有効活用して実技研修も充実する考え。同センターは研修施設やR&Dセンター、ショールーム、宿泊施設などを備えており、新入社員の技術力底上げに役立てていく。

 現場配属後もOJTで手厚いフォローを続ける。同時にサポート役として入社5~6年目の社員をメンターとして付け、新入社員を支える体制も整えている。「特徴的な取り組みは、新入社員と異なる部署の社員をメンターにすることだ。近くの社員には言いにくい悩みを相談できるようにしている」(石綿氏)という。

 就職活動をする学生に向け石綿氏は「最初から枠を決めつけず、まずはさまざまな業界、業種を見てほしい。その中で、自分の思っていない所に適性があるかもしれない。視野を広く持ち、自分の可能性を探ってほしい」とアドバイスする。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】 男性71人(うち技術系62人)、女性9人(うち技術系3人)(18年度実績)

 【3年以内離職率】9・6%(15年度新卒)

 【平均勤続年数】 男性18・8年、女性13・2年(18年3月末時点)

 【平均年齢】   42・8歳(18年3月末時点)

2019年1月22日火曜日

【回転窓】受験シーズン真っ盛り

先週末に大学入試センター試験が全国で行われた。志願者数は57・6万人で、全体の80・6%が今春に高校などを卒業予定の現役生だったそう▼19日に行われた英語の試験。リスニングでユニークな問題が出題されたとニュースで話題になっていた。問題に添えられたイラストはニンジンとリンゴ、キュウリ、ブドウ。姿や表情がシュールだったようで、問題の公表後には早速、キャラクターを使った動画などがインターネットに登場したとか▼受験生は合格まで気が抜けない日々を過ごすだろうが、吉報が届くことを願っている。この春大学に入る人が卒業し、就職するのは早ければ2023年の春。東京五輪・パラリンピックは過去の話となり、新しい元号に違和感を持たなくなっているはず▼景気がどうなっているのか予測するのは難しく、今は超売り手市場の採用戦線も様変わりしているかもしれない。ただ国内の労働人口が減り続ける流れに大きな変化はないだろう▼企業にとって会社の将来を担う優秀な人材を確保し、育てていくのは経営における最重要課題の一つ。事業環境がより良い方向になっていくことを願う。

【多目的アリーナや鉄道新駅を整備】青森市、青森操車場跡地利用計画案策定

青森市は、旧国鉄青森操車場跡地(浦町橋本、約21・2ヘクタール)の利用計画案をまとめ、17日に開いたアリーナプロジェクト有識者会議に示した。
 多目的に利用できるアリーナを新設するほか、北側に青い森鉄道の新駅を設置。東側と西側に災害時の一時避難場所となる緑地を整備する。

 アリーナの規模は有識者会議での意見を踏まえ、約1万3800平方メートルとし、19年度に事業者の募集を始める。事業手法はPark-PFIを活用する方向で引き続き検討する。

 アリーナは跡地中心部の市有地(約5・2ヘクタール)に建設し、メインアリーナは最大5000人を収容。プロバスケットボールのBリーグやバレーボールのVリーグの公式試合のほか、コンサートなどに対応する。サブアリーナや多目的ルーム、トレーニングルームなども備える。駐車場は300台程度分を確保する。

 19年度に要求水準書案を作成し、事業者公募を開始。20年度内に選定し、22年度の着工、24年度の完成を目指す。

 新駅は跡地の北側に設置し、線路を挟んだ北側に駅前広場や駐車場、アクセス道路を新設。駅前広場と跡地を結ぶ自由通路も関係機関と協議して整備する。

 市土地開発公社が所有する東側用地(約3・6ヘクタール)と西側用地(約2ヘクタール)には臨時駐車場や災害時の一時的な避難場所など多目的に利用できる緑地を整備し、それぞれの用地に接続する道路を設置する。

【より高精度で迅速な航空測量や空撮可能に】アジア航測、最新式双発航空機を導入

 アジア航測は、最新式の双発航空機「ビーチクラフトキングエア」を導入した。航空測量を行う際にセスナのような小型単発機よりも早く災害現場などに向かうことができる。

 測量時には低速飛行が可能となるため、効率良くデータを取得できる。測量に必要な器材設置などを経て、5月から運行する予定だ。

 導入機種は、米航空機メーカー・ビーチクラフトが1983年から製造しているキングエアシリーズの最新機種「C90GTx」。安全面や性能の改良を重ねた結果、巡航速度を高めるとともに、低速での巡航が可能。機体姿勢が安定している点も大きな特徴だ。

 同社は54年12月の創業時から航空機を保有し、56年には自社運航も行っている。大規模地震や水害といった自然災害が頻発する中、同社は最新機の導入によって効率的な測量データの取得に結びつける。

【記者手帖】退職の作法とは

社員がある日突然会社に来なくなり、代理人の弁護士から退職する旨の連絡が入る-。そんなケースが若手を中心に相次いでいると取材先で聞いた。事情を聞こうにも社員本人とは連絡が取れず、弁護士は一方的に退職手続きを進めるよう求めるという。「こういう事態にはどう対策すればいいのか」と、経営者の男性は頭を抱えていた◆一刻も早く退職したい社員からすると、弁護士による代行は便利なサービスかもしれない。しかし後任への引き継ぎなど、退職に伴う最低限の仕事や責任を放棄してしまうのは、社会人として問題があるようにも見える◆退職時にトラブルが生じるケースがあるのも事実だ。知人の女性は月200時間を優に超えるサービス残業を強いられ、追い詰められた末に新卒で就職した会社を研修後数カ月で退職した。退職したいと上司に訴えても、能力不足について責められるだけでらちが明かず、逃げ出すように退職したという◆冒頭の若手社員の退職理由は不明。だが、会社と一切連絡を絶ってでも辞めようとするには相応の理由があるようにも思える。(ゆ)

2019年1月21日月曜日

【回転窓】時代の流れを読む建築家

〈優良な社会資産を「美しい」というもので包みたい〉。昨年12月25日に亡くなった建築家の中園正樹氏(松田平田設計最高顧問・前社長)が生前、話していた言葉だ▼若いころに手掛けた玉川高島屋をはじめ、横浜国際総合競技場や羽田空港第2旅客ターミナルなど多くの秀作を設計。建築に対する理念と情熱、独特の語り口は多くの人を魅了した▼建築家としての業績に目がいきがちだが、中園氏は堅実なかじ取りをする経営者でもあった。社長就任はバブル崩壊後の1995年9月。先の見えない景気後退の中で身の丈に合った経営に徹し、昨年12月6日付で最高顧問に就くまでの約四半世紀、組織設計事務所の安定経営に心を砕き続けた▼環境が変化する中、現状を維持することは極めて難しい。毎年お願いしていたインタビューの際、「松田平田設計はいつもと変わらない1年だったよ」と笑顔で語る姿がまぶたの裏に焼き付いている▼優れた提案力や設計力だけでなく、時代の流れを読む力に秀でた建築家であり経営者だった。「明日からさらにいい建築をつくろう」と、空から後進に温かいまなざしを向けているはずだ。

【国交省ら、3月中対面通行規制解除めざす】関空連絡橋、2月12~13日に修復桁架設へ

損傷部に取り付ける橋桁の製作状況
(IHIインフラシステム堺工場㊧と高田機工和歌山工場)
国土交通省と西日本高速道路会社は18日、台風21号の影響でタンカーが衝突、損傷した関西国際空港連絡橋(大阪府泉佐野市)について、2月12~13日の夜間に修復した橋桁を架設し、3月中に対面通行規制の解除を目指す方針を発表した。ゴールデンウイークまでの完全復旧を目標に作業を進めている。

 タンカーが衝突した連絡橋の空港島付近は上部の左右に高速道路上下線、下部の中央を鉄道が通る2層構造。タンカーが直接衝突した高速道路下り線の橋桁2本は、鉄道方向に最大4メートル程度ずれるなど大きな被害を受けた。

 西日本高速道路会社では、昨年9月12~14日に損傷した橋桁(A1~P2間188メートル)の撤去工事を実施。空港側のA1~P1間90メートルは既存桁の一部(55メートル)を再利用して製作し、損傷が大きかったP1~P2間98メートルはすべて造り直すことになった。

 橋桁の製作・架設工事は撤去工事に続きIHIインフラシステムが担当。A1~P1間の製作は下請として高田機工が担当している。

 新しい橋桁は、海上からフローティングクレーンを使用して2月12日夜間にA1~P1間、13日夜間にP1~P2間を架設する。その後、舗装や照明設置などの工事が順調に進めば、3月中に対面通行規制を解除し、上下線各2車線の4車線を確保する予定だ。

【第二湾岸道路具体化へ前進】石井啓一国交相、検討組織の設置表明

国土交通省は、東京湾沿いに計画されている第二東京湾岸道路(第二湾岸)の具体化に向けた検討を始める。現在は政府が指定する地域高規格道路の候補路線という位置付けだ。森田健作千葉県知事が石井啓一国土交通相に対して17日、

 千葉県湾岸エリアで第二湾岸を軸にした高規格道路の整備を求めた。これに応じた石井国交相は検討組織を設け、計画を前進させる議論を行う考えを表明した。

続きはHP

【現場で働く職人を応援!!】ドリカム・中村正人さん、作業服ブランド立ち上げ

 人気バンドのDREAMS COME TRUEのメンバーである中村正人さんが、建設現場の作業員などを対象とした作業服ブランド「MST(マサト)オーダーユニフォームカンパニー」を立ち上げた。

 現場で働く職人のモチベーションを上げる後押しをしたいと始めた取り組み。オリジナル作業服の販売を手掛ける原田(山口県防府市、原田栄造代表取締役)と連携し、2月末にも初弾の作業服を発売する。

 中村さんはこれまで携わってきたプロジェクトを通して、現場職人の重要性を認識。日本のインフラを支えるため現場で奮闘する職人を支援したいと考え、新ブランドを立ち上げた。

 あこがれるようなデザインや、機能性と安全性を担保した作業服を開発し、モチベーションを高める一助になりたいとしている。

 ユニホームはDREAMS COME TRUEが手掛けているショッピングサイ(DCTgarden SHOPPING MALL)で販売する。

凜/国土交通省総合政策局海外プロジェクト推進課・杉田牧子さん

 ◇官民連携で都市課題に対応◇

 デベロッパーから国土交通省に転職したという、生え抜きの職員が多い中央官庁では珍しい経歴の持ち主だ。

 1990年代初頭に大学で建築工学を専攻。卒業後は技術的な専門知識を生かそうとデベロッパーに就職した。マンションの建設現場で施工管理を担当し検査などに立ち会った。販売営業にも携わるなどさまざまな経験を積んだ。

 建築技官として国交省に入ったのは2011年。約15年勤めたデベロッパーでの経験が転身のきっかけだった。

 「国交省などの住宅省エネ誘導施策を自社分譲マンションの商品企画にいち早く取り入れた。お客さまの評価が高くよしよしと思っていたら、実は自分たちが施策普及の担い手になっていたと後から気付いた。国の直轄事業がない民間住宅の世界では、政策を立案する国交省とそれを市場に反映する事業者が表裏一体の関係にある。それまでと『逆側』の世界に興味を持った」

 入省後に担当したのは住環境整備や都市再開発などに関する施策の執行。官民が対等の立場で戦略的な連携体制を構築し、さまざまな都市課題に対応していく必要性を感じた。

 現在は日本企業のインフラシステム海外展開支援を担当。後輩に伝えたいメッセージは「1回は国際業務を担当してほしい。外側から日本を見ることで必ず世界観が広がる」。

 (国際協力官、すぎた・まきこ)

【中堅世代】それぞれの建設業・219

再開発は町の姿を一変させる可能性を秘めている。
だが、その実現には根気と誠意が不可欠だ
 ◇丁寧に地権者と向き合う◇

 細かいステップを着実に積み重ねていく根気が必要な仕事-。岸井亜弓さん(仮称)は勤めているデベロッパーで再開発事業の関連部門に在籍する。今の仕事を担当する前は、再開発事業を街の姿を一変させるダイナミックプロジェクトと考えていた。だが、実際に携わってみると地権者一人一人に寄り添い、さまざまな声に耳を傾ける必要があると痛感。こまやかな心遣いが事業成功の鍵を握っていると思うようになった。

 幼少期からブロック遊びが大好きで、ものづくりに興味があったという。大学で建築学を専攻し、都市開発という規模の大きな仕事に携われるデベロッパーを就職先に選んだ。入社から2年間は、分譲住宅の開発を担当する部署で経験を積んだ。再開発事業を担う部署に異動したのは4年前。念願の都市開発に関われるという喜びもつかの間、「分からないことばかりで、配属当初は寝る間を惜しんで再開発の仕組みを勉強した」という。

 現在担当しているのはその地域では規模が大きなプロジェクト。老朽化した中小規模の建物が集積し、細い街路も多いなど課題が山積する。再開発の早期実現を願う地権者が多い一方で、事業に反対している地権者も少なからずいる。

 今でこそ反対派の地権者とも話ができる関係を築けているが、担当になったばかりの頃は、事業の目的や意義を説明したくても「女じゃ話にならないから、上司を出せ」と厳しく言われたことも。「悔しい思いをしたし、うんざりすることもあった」のは一度や二度ではない。

 それでも愚痴をこぼしたくなる気持ちを抑えて地権者の元に通い詰め、どういう思いで反対しているのか徹底的に話を聞き続けた。その中で見えてきたのは一口に「反対」と言っても、背景にさまざまな思いがあるということだった。

 ある70代の地権者は旧耐震基準で建てられた小規模なオフィスビルで不動産賃貸業を営んでおり「このままビルと心中するから、開発はしなくていい」とかたくなだった。時間をかけて話を聞いてみると、過去に単独での建て替えを検討したものの、敷地の条件やコストでメリットがなかったため、開発を諦めたことが分かった。

 「一度決めたことを簡単に翻意できない」のが反対の理由。本当は息子に譲りたかった会社を自らの代で畳むという、苦渋の決断が背景にあったことも知った。もつれた糸を丁寧にほぐすように、今も「にぎわいのある良好な街並みを息子さんや次の世代に引き継ぐことができる」と再開発の意義や目的を伝え続けている。

 事業に対する漠然とした不安から反対している人などもおり、プロジェクトの実現に向けた道のりはまだまだ遠い。けれども「説明を丁寧に重ね、事業に対する理解が深まれば賛同してくれるはず」と強い気持ちで仕事と向き合っている。

 目標は「地権者全員の同意で再開発を実現する」こと。これからも地道に、そして丁寧に地権者と話し続けようと心に決めている。

【サークル】世紀東急工業 フットサル同好会


 ◇運動後の「反省会」が原動力◇

 「運動した後においしいお酒を飲もう!」という掛け声に賛同したサッカー好きが集まり、2008年にフットサル同好会「世紀東急ペイヴメンツ(舗装)」は誕生した。

 本社など首都圏の事業所から役員や社員が参加。20人のメンバーは年齢層が幅広い。汗を流した後に「反省会」と称して開く飲み会が、発足から10年続く活動を支える原動力になっている。

 都内での練習が主な活動内容。ただ、ホームにしているコートが抽選制のため、活動が不定期になってしまうのが悩みの種という。代表を務める猪爪正和総務人事部専任部長は「月に1度活動できれば御の字」と話し、次回の活動は3月を予定しているそうだ。

 以前は首都圏の複数の事業所と本社メンバーによる総当たり戦の大会を開催。社員の家族も駆けつける運動会のようなイベントになったという。活動を続ける中でメンバーの変更もあり、大会は休眠状態になってしまったが、現在、久々の開催を考えている。

 「ボールが1個あれば老若男女関係なく、わいわいと楽しめるのがフットサルの魅力」と猪爪専任部長。親睦を深めるため、今後も「飲みニケーションツールとして生かしていきたい」と活動に意欲的だ。

【駆け出しのころ】三菱地所設計専務執行役員・国府田道夫氏


 ◇考えた時間の総量が結果に◇

 大学内の掲示板で知った三菱地所のことを調べると、大規模建築の設計も数多く手掛けている会社だと分かり、ここでお世話になろうと入社試験を受けました。

 入社した当時は会社が東京・丸の内の(旧)丸ビル内にありました。時代を感じさせる独特の雰囲気が漂う建物であり、設計部の広い部屋に入ると、大勢の先輩方が製図板の上でT定規を使いながら黙々と設計図を描いていました。

 新人として最初の仕事は電話番で、一日に何度も電話を受けるたびに「○○さん、お電話です」と大きな声で呼んでいました。初めのころは私のことなど忙しくて構ってくれなかった先輩方でしたが、徐々に話していただけるようになり、毎週土曜日にビル内の喫茶店でいろいろな話を聞けるのも楽しいひとときでした。

 1年目の終わりころに小さなビルの設計を任せていただきました。これとほぼ同時期に若手の設計者らが集まり、大規模プロジェクトのコンペにも挑戦しました。一日の仕事を終えた夜にコンペ関係の準備を進めるため、会社に泊まる日が多くなり、1週間も続けて家に帰れなかったこともありました。コンペに挑むのは楽しくもあったのですが、自分が意見を言っても採用されず、いつも先輩の手伝いばかり。正直に言って疲労感ばかりが募る日々でした。私がこれまでどうもコンペを好きになれずに来たのは、そんな新人時代の苦い経験があったからかもしれません。

 4年目に神奈川県内の銀行本店ビルの設計を担当することになり、本社から離れた場所にあるビルの地下に設けられた分室で作業を進めました。この時の上司2人には、私の得意な面をよく認めて頂きいろいろなことをやらせていただきました。チームワークも良く、独立した一つの設計事務所で働いているような毎日でした。それまでの業務の進め方に迷いと疑問を感じていた時期でもあったため、このプロジェクトに携われたことが大きな転機となりました。

 どんな時も設計のことが頭から離れず、浮かんだアイデアをすぐに表現しようと、電車の中で無意識のまま空間に指でスケッチを始めてしまうことが多く、周囲の人から笑われたのもいい思い出になっています。建築設計は時間をかければいいという仕事ではありません。でも、自分の経験から言えるのは、考えている時間の総量が結果に表れるということです。

 私は周りの人たちに助けられながらこれまでやってくることができました。若い人たちも人との出会いを大切にしてください。そして一通りのことができるようになったら、自分の得意な面を発揮できる設計者になってほしいと思います。
入社3年目、設計部のオフィスでの一枚
(こうだ・みちお)1985年東工大大学院修了、三菱地所入社。93年米ペンシルベニア大大学院修了、三菱地所設計執行役員建築設計第四部長、常務執行役員などを経て、2017年4月から現職。川崎市出身、58歳。

2019年1月16日水曜日

【回転窓】ゴールデン・スポーツイヤーズ到来

国内で大規模な国際スポーツイベントの開催が相次ぐ。今年のラグビーワールドカップ、2020年東京五輪・パラリンピックに続き、21年には生涯スポーツの国際大会であるワールドマスターズゲームズ(WMG)が関西エリアで開かれる▼WMGは五輪と同じく4年ごとに開催され、アジア初の次期大会は10回目の記念大会でもある。競技種目の中には綱引きやゲートボールなどもあり、おおむね30歳以上のスポーツ愛好者であれば誰もが参加できる▼開催地は近畿6府県に鳥取、徳島両県が加わる。目標参加者数は国外2万人、国内3万人。帯同するコーチや家族を含めると16万人以上が訪れ、宿泊費や食費、交通費などを合わせた経済効果は全国規模で1400億円超に上るとの試算結果も▼世界のトップアスリートたちが競い合う姿を観戦して高まるスポーツへの機運が、3年後の市民参加型のスポーツの祭典へとつながる。3大イベントが国内の経済や社会にもたらす恩恵に期待は膨らむ▼スポーツによる健康維持や体力増進の効果は言わずもがな。正月太りの体を元に戻すためにも、まずは運動不足の解消に努めよう。

【いずれ劣らぬ力作揃いです】国土と交通の図画コンクール、小学生の6作品に大臣賞

 国土交通省は15日、18年度「国土と交通に関する図画コンクール」の表彰式を東京・霞が関の同省で開いた。大臣賞を受賞した1~6年生の6人(各学年1人)に、石井啓一国交相が賞状と盾を手渡した。

 審査を担当した石井国交相は「いずれもすばらしい作品だ。国交省のいろいろな仕事を描いてもらったが、ほかにもさまざまな仕事をしているので、これからも関心を持ってほしい。勉強もスポーツも遊びも一生懸命取り組んでください」と子どもたちに呼び掛けた。

 コンクールは全国の小学生を対象に毎年行っている。工事現場の様子や、道路などのインフラがある街の風景といった国交省の仕事に関係することを図画のテーマに設定している。今回は応募2252点の中から大臣賞を含む入賞作品84点を選定した。

【女性や高齢者の就労機会確保が不可欠】鉱業・建設業就業者数、2040年に最大221万人減

中長期的な労働政策を話し合う厚生労働省の雇用政策研究会(座長・樋口美雄労働政策研究・研修機構理事長)は15日、労働力人口の将来推計を公表した。

 女性や高齢者の就労と経済成長が進まない前提で算出したところ、「鉱業・建設業」の就業者数は2025年時点で直近の17年(493万人)と比べ54万人少ない439万人になる。40年時点は221万人減の272万人を見込む。

 労働力人口の実績値と将来推計は、総務省の労働力調査や労働政策研究・研修機構による推計を基に算出した。今後の社会構造を取り巻く主な環境変化として、国内総人口が17年の1億2671万人から40年に1億1000万人程度まで減ると予測。65歳以上が占める割合も40年ごろにピークを迎えるとみる。

 鉱業・建設業の就業者数は過去約20年間で00年658万人、10年501万人、17年493万人と推移してきた。女性や高齢者の就労や経済成長が進む前提で算出したところ、25年に41万人少ない452万人、40年に205万人少ない288万人と予測。女性や高齢者の就労や経済成長が進まない前提で算出した推計結果と比べ、25年に13万人、40年は16万人の削減抑制を期待できるという。

 厚労省研究会は今回の推計結果を踏まえ、女性や高齢者の就労機会を確保する必要性を指摘。こうした人材が十分に活躍できる環境整備が急務とした。人工知能(AI)など技術革新の急速な進展もにらみ、企業による生産性向上や働き方改革も求めた。

【BMXやスケートボードなどの競技開催】有明アーバンスポーツパーク、三つの競技エリアや観客席など配置

有明アーバンスポーツパークの完成イメージ
(実施段階環境影響評価書案より)
東京都は、2020年東京五輪・パラリンピックの自転車競技などで使用する仮設施設「有明アーバンスポーツパーク」(東京都江東区)の整備に向け、実施段階環境影響評価(環境アセス)書案をまとめた。

 約9・7ヘクタールの広大な敷地に三つの競技エリアと観客席(計1万5000席)、プレハブやテントなどの仮設施設設置エリアを設ける。大会関係者用の駐車場も確保する。工期は4月~21年3月(大会後の解体期間の7カ月を含む)。

 建設地は有明1丁目。自転車競技(BMXレーシング、BMXフリースタイル)とスケートボード競技(ストリート、パーク)の会場として使用する。

 エリアごとに観客席を設ける予定。座席数はBMXレーシング5000席、BMXフリースタイル3000席。スケートボードは計7000席を予定している。BMXフリースタイルは3600人分の立ち見スペースも備える。

【都財務局、工事中断への対応決定】有明テニスの森公園改修工事、2社と特命随契

東京都財務局は、2020年東京五輪・パラリンピックで使用する競技会場のうち、施工業者の経営破綻で中断している「有明テニスの森公園」(東京都江東区)の改修工事について、施工者を選び直した。

 「有明テニスの森公園(30)施設改修工事」は6億5400万円で関東建設工業、「同電気設備工事」が1億1600万円で栗原工業に決め、10日に特命随意契約を締結した。

 有明テニスの森公園(有明2の2の22)は9月に開かれるテニスの国際大会「楽天オープン」と10月の「全日本テニス選手権」の競技会場にもなるため、工期の大幅な遅れは許されない。そのため、同局は施工者の再選定に当たり、施設整備内容や工事・敷地条件などを熟知している点を重視。同一敷地内で施工中の「有明テニスの森公園及び有明コロシアム(29)改築及び改修その他工事」(施工者=関東建設工業・菊池建設・小沢組JV)、「同電気設備工事」(同=栗原工業・サンテック・川北電気工業JV)を元請として受注した関東建設工業と栗原工業を選ぶことにした。

 施設改修工事のうちテニスコートの整備は、中断前の契約や「有明テニスの森公園及び有明コロシアム(29)改築及び改修その他工事」で下請契約を締結しているNIPPOが施工する予定だ。

 工事では、同公園の既存施設を五輪・パラリンピック競技のテニスと車いすテニスで使用するため再整備する。工期は20年3月18日まで(楽天オープンなどで使用するエリアは19年8月30日まで)。

2019年1月15日火曜日

【回転窓】育成の在り方

「指示を出すべきか、控えるか、折々の判断が正しかったのか悩みは尽きない」-。近所で活動する小学生の球技スポーツの指導者が、新年会の席で選手の育成の在り方を保護者と熱心に話し合っていた▼育成が話題になるのは建設業も同じ。「背中を見て育ってほしいと思ってきたが、今はとにかく寄り添おうと思っている」。建設関係団体の表彰式で、現場の工夫改善が優れ、最優秀賞に選ばれた技術者が若手との向き合い方をそう語っていた▼政府の19年度予算案を見ると、国土交通、厚生労働両省は、建設人材の確保・育成策に288億円以上を計上した。リカレント(学び直し)教育や、建設キャリアアップシステムに登録した技能者の技能実習講習のサポートなど、さまざまなメニューを用意する▼高齢化が進展し、世代交代を促すあらゆる手だてを講じる必要がある。支援策が充実し、育成の選択肢は増えつつあるが、相手が人である以上、それぞれに応じた向き合い方が求められる▼方法に正解も間違いもないのかもしれない育成。働き方改革を目指す一環として、その在り方を見つめ直す1年にしてはどうか。

【宇宙テーマに〝つながり〟など表現】三機工業、「全国カレンダー展」で銀賞受賞

 三機工業の19年のポスターカレンダー「Holo-Scape」が、第70回全国カレンダー展(主催・日本印刷産業連合会ら)で、第1部門「BtoB向け企業カレンダー」の部門賞銀賞を受賞した。

 今年のカレンダーは銀河や惑星、星座をモチーフとし金色に輝く宇宙を描いている。星座や太陽系の惑星は「つながり・循環」、金色の銀河と瞬く星々は「広がりゆく情熱・輝き」を表現。それらのモチーフを1枚に収めることで、調和や多様なものとの共存を表した。

 全国カレンダー展は1950年にスタート。一般企業や印刷会社、出版会社が制作するカレンダーの中から印刷技術や企画・デザイン力、機能性、実用性に優れた作品を選出する。入選作品は一般公開される。

【全日空やNIPPOら参画】羽田空港で自動運転バスの実証実験開始

羽田空港の制限区域内にある通路に
磁気マーカーシステムを埋め込み自動運転を行う
(イメージ図提供:全日空)
東京都大田区にある羽田空港の制限区域内で15日から自動運転バスの実証実験が実施される。全日本空輸やNIPPOなど6社グループが参画。15~25日に航空機や特殊車両が走行する特殊な環境下で、自動運転に必要な環境整備などを検証するほか、実用化に向けた課題の抽出などを行う。

 国土交通省が全国4空港で取り組んでいる実証実験の一つ。全日空とNIPPO以外の参画企業は▽愛知製鋼▽SBドライブ(東京都港区、佐治友基社長兼最高経営責任者〈CEO〉)▽先進モビリティ(東京都目黒区、青木啓二代表取締役)▽NEC-の4社。市販の小型バスを改造した自動運転バスを、羽田空港第2ターミナル本館~別館間(延長約600メートル)で運行させる。走行ルートでは乗客や貨物を輸送する専用車両も走行するため、高い精度で車両位置を調整しながら走行することが求められる。

 走行ルートには周囲の建物に衛星利用測位システム(GPS)の電波受信を阻まれるエリアもあるため、走行ルートに沿って磁気マーカーを埋設。車両の底部に設置した高感度磁気(MI)センサーがマーカーを検知することで、安定的に車両位置を自動調整できるようにする。実証実験を経て、20年の実用化を目指す。

 NIPPOは舗装に磁気マーカーを埋設する作業を担う。RFID(電波個体識別)タグを付けた磁気マーカーを空港の制限区域内に埋設するのは今回が初めて。同社は国交省が全国の道の駅で取り組む磁気マーカーを活用した自動運転の実証実験で多くの実績を持つ。今回の実証で特殊な環境下での自動運転技術に関する実績を積み、今後の展開に役立てたい考えだ。

 自動運転の実用化に向けた実証実験は羽田空港のほかに仙台、成田、中部の3空港で行われる。

【国交省で伸びやかな声披露】国交省で伝統の「祝い木やり」うたい上げる

 日本鳶工業連合会(日鳶連、清水武会長)は11日、東京・霞が関の国土交通省を新年のあいさつで訪れ、工藤彰三、阿達雅志両政務官や同省幹部を前に、伝統の労働唄「祝い木やり」を披露した。

 日鳶連の地方組織に当たる東京都鳶工業会に所属する木やり師が張りのある伸びやかな声でうたい上げた。

 木やりは建設機械がなかった時代に大勢の労働者が資材を人力で運ぶ際、力を一つに結集させ士気を高めるための「呼び声」として1200年代に始まったとされる。

 冒頭、清水会長は「毎年恒例の木やりを披露させていただき、新年の安全を祈願したい」とあいさつした。続いて、木やり師が祝儀の木やり「千秋万歳」を高らかに披露した。

 工藤政務官は「素晴らしい木やりをご披露いただいた。建設現場の第一線を担う皆さまには伝統や文化を継承・発展させていただきたい。私たちもそれを日本人として誇りに思いながら、国交省として支援していきたい」と話した。

2019年1月10日木曜日

【回転窓】阪神大震災後の奮闘がドラマに

平成の時代には多くの出来事が起きた。国内を振り返って挙げられる一つが、自然災害だろう▼日本列島が災害と隣り合わせであることを改めて認識させる発端となったのは阪神大震災だった。発災から24年を目前に控えた15日、震災後の応急復旧をテーマにしたドラマが全国放送される▼関西テレビが企画した「BRIDGE はじまりは1995・1・17神戸」だ。高架橋などが崩落したJR神戸線の六甲道駅を74日間で復旧させた工事を題材にしたフィクションで、俳優の井浦新さんが現場所長役を演じる▼モデルとなったのは実際に工事を指揮した奥村組の岡本啓氏。余震が続く中での難工事だった。「『日本の大動脈を自分らが握っているんや!』という思いでした」。井浦さんとの対談で岡本氏はこう話している。「工事のみなさま、おケガのないように」。復旧工事の最中、同駅にはこうした垂れ幕も掲げられたという▼大きな災害に居合わせた人は奮闘を余儀なくされる。それは市民も行政も建設産業も同じだ。災害を乗り越えていく姿から大切な何かを学んでいく。平成の締めくくりには必要な姿勢であろう。

【提出期限は21日、2月に審査結果】全建協連、学生対象に仮囲いデザインコンテスト実施

 全国建設業協同組合連合会(全建協連、青柳剛会長)は、高校生以上の学生から工事現場の仮囲いのデザインを募集する「仮囲いデザインアイデアコンテスト」の作品提出の受け付けを開始した。デザインのテーマは「工事中と人々を結ぶ装置」。作品の提出期限は21日。公開プレゼンテーションや審査を経て、最優秀賞などを決める。青柳会長と建築関係の審査委員にコンテストへの思いを語ってもらった。
コンテストの実施を発表した記者会見。
青柳氏㊨と古谷氏は建設業の魅力アップに意欲を見せた
(18年10月18日、東京都内で)
コンテストは、「KOJICHUプロジェクト」と銘打ち、仮囲いが建設業や工事現場の魅力を伝えるための「観覧席」となるようなデザインを求める。鹿島が東京都町田市で進めている桜美林大学の「(仮称)本町田キャンパス新築工事」の現場にある仮囲いがデザインの対象。青柳会長は「安全を理由に仮囲いが建設業の見せ場を隠しすぎている」と指摘する。コンテストは建設業の魅力を高める全建協連の取り組みの一環で、「若い人の感性による自由な発想の作品がたくさん出てきてほしい」と期待を寄せる。

 審査委員は、建築設計やデザインの専門家、国土交通省幹部などが務める。その一人、建築学会長の古谷誠章氏は、仮囲いについて「活気が伝わらない。迷惑の塊を包んでいるように思われていたら残念」と語る。

 建築家で横浜国立大学客員准教授の大西麻貴氏(写真㊨)は「完成までのプロセスが見えず、『ハコもの』という呼び方につながってしまう」と懸念を示す。クリエーティブディレクターの宮崎桂氏(写真㊧)は「仮囲いにネガティブなイメージはない」と考えているものの、「有効に使われていない」と指摘。その上で「独自性やアイデンティティーを表現するスペース」として利用できる余地があると見ている。

 コンテストは「学生と建設業の距離をさらに縮める」(青柳会長)のも狙い。技術者が自分を表現することができ、やりがいに結び付く事業を行おうと、実施に踏み切った。古谷氏は「職人が生き生きと働き、建築が進む様子を外からも感じてほしい」と賛意を表明。大西氏も「街に生まれる建築に興味を持ってもらえる」と同調する。宮崎氏は「街をおしゃれにするツールになる」と期待し、「養生シートや機材にもおしゃれなデザインが波及する」と副次的な効果も挙げる。

 KOJICHUプロジェクトは、東京モード学園の学生がデザインした作業着を実際に仕立てた17年度の「ユニフォームデザインプロジェクト」に続く取り組みとなる。「日本中の建設現場をおしゃれにするくらいの気持ちで構わない」と青柳会長。宮崎氏は「私も参加したい」と笑顔を見せ、▽周辺環境を落ち着かせる▽SNS(インターネット交流サイト)での見栄えの良さ▽コストも当然意識-と注文を付ける。古谷氏は「にぎやかで活気があるポジティブな工事中を感じさせる案」を求める考え。大西氏は「大勢で一つの建築を造る現場の面白さが伝わる提案」を待つという。審査結果は2月14日に発表する。

 □ユニホームは実際に着用□


 ユニフォームデザインプロジェクトは「わくわくする建設業」を目指し、「自信と誇りを着る」をコンセプトに東京モード学園の学生からデザインを募集した。

 レーシングスーツがモチーフの男性用、赤・白・黒のデザインと視認性の高さが特徴の女性用の作業着をそれぞれ最優秀賞に選定した。プロジェクトは、「業界全体のイメージアップを図る画期的な取り組み」(毛利信二前国土交通事務次官)と高く評価された。

 6着の作業着が実際に仕立てられ、女性用の最優秀賞作品は群馬県建設業協会が会員企業の女性職員に着用してもらっている。

【総投資額2000億円、4棟総延べ15万㎡】日本電産、京都府向日市に新拠点建設

 日本電産が京都市南区の本社ビルに近接するJR向日町駅東側の敷地約6万平方メートルに4棟総延べ約15万4700平方メートルの施設を建設する。

 投資額は約2000億円を予定している。工事は3期に分けて実施する予定で、第1期については2021年の着工と22年3月の竣工を見込んでいる。設計は都市居住文化研究所(京都市中京区)が担当。施工者は未定。

 新拠点の建設構想は、2030年度に10兆円というグループ売り上げ目標の達成に向け、グループ企業間の連携をさらに高めるのが目的。地元の地権者や行政からの誘致を受け、本社ビル(京都市南区)とJR向日町駅(京都府向日市)の間で、同駅東側に位置する向日市森本町の敷地約6万平方メートルを建設地に決めた。

 同構想によると、敷地内には、第二本社(仮称、15階建て延べ3万3600平方メートル)のほか、生産研究棟となるA棟(同、6階建て延べ2万4200平方メートル)、B棟(同、8階建て延べ5万0100平方メートル)、C棟(同、9階建て延べ4万6800平方メートル)を整備する計画で、投資額は設備などを含め、総額約2000億円を見込んでいる。

 施設整備は第1期~第3期の3段階で実施。このうち、第1期については21年初めからA棟とC棟の一部に着手し、22年3月の竣工を予定。その後は第2期として25~26年でB棟とC棟の残り、第3期として30年に第二本社をそれぞれ竣工させる。

【落札額は497億円】北海道新幹線・札樽トンネル札幌工区、大林組JVに

鉄道建設・運輸施設整備支援機構北海道新幹線建設局は「北海道新幹線、札樽トンネル(札幌)」工事の落札者を大林組・東亜建設工業・大本組・みらい建設工業・丸彦渡辺建設JVに決めた。

 落札額は497億円。予定価格は後日公表する。18年12月7日に条件付き一般競争入札を開札し低入札価格調査のため保留していた。入札には大林組JVを含む5JVが参加した。

 総合評価方式を採用。大林組JVは入札価格が最も低く、標準点と加算点の合計が3番目の124点を獲得し、総合評価値0・249で落札を決めた。

 札樽トンネルは、北海道新幹線新函館北斗~札幌間で2番目に長い延長2万6230メートルで、同工事ではこのうち札幌市街地の地下に密閉型シールド工法で8412メートル(距離更正を含む本坑実延長)のトンネルと、ニューマチックケーソン工法による発進立坑を新設する。JR函館本線交差部と高架橋基礎に近接する区間の掘進、シールドマシン解体・搬出は鉄道営業線との近接工事になる。工期は91カ月。

【ライブホールやシネコンなど配置】新宿ミラノ座跡地再開発、エンタメ施設の運営会社設立

 東京急行電鉄と東急レクリエーションが東京・歌舞伎町で進める「新宿TOKYU MILANO再開発計画」に関連し、エンターテインメント施設の企画・運営会社が設立された。施設は約850席の劇場、最大約1500人収容のライブホール、8スクリーンの映画館などで構成する。

 両社にソニー・ミュージックエンタテインメント(東京都千代田区、水野道訓代表取締役最高経営責任者〈CEO〉)を加えた3社が出資。社名は「TSTエンタテイメント」で、東急レクリエーションの石崎達朗取締役兼常務執行役員が代表取締役に就いた。

 同計画では、歌舞伎町の映画館・新宿ミラノ座跡地を中心とした敷地を開発。地下5階地上48階建て延べ8.9万m2、高さ225m規模の複合ビルを建設する。低層部に店舗やラウンジを配置。中層部はエンターテインメント施設、高層部がホテルとなる。

 設計は久米設計と東急設計コンサルタントが担当。8月の着工、22年8月の竣工を目指す。

2019年1月9日水曜日

【回転窓】本気度を試す年に

あるゼネコン社員の嘆き。「会社の幹部は普段から休日をもっと取得しろと言っているが、年末年始は12月28日までみっちり仕事で、年明けも4日から通常出勤。言うことと、やることが違う」▼今回の年末年始の休暇はゼネコン各社の対応が分かれた。以前であれば足並みをそろえて4日に仕事始めとなるところだが、4日を休日とした企業が目立った。年末の仕事納めも27日に前倒しし、28日を休む企業もあった▼建設業界にとって今年、最大の課題が「働き方改革」の実現。現場には「4週6閉所の実施」や「長時間労働の是正」などの指示が飛ぶ。ただ具体策は現場任せで、現場所長は頭を抱える▼生産性の向上で対応するにしても、実現には時間とお金がかかる。このままだと若手社員に休みを取らせ、管理職社員がその分を埋めて、何とか現場を回すという本末転倒の事態にもなりかねない▼働き方改革の実現には思い切った全社的な生産体制の見直しが不可欠だろう。まずはボトムアップで現場の声を吸い上げ、最後はトップダウンで英断を下す。建設業が魅力ある産業になれるのか。本気度が試される年になる。

【湖月わたるさんらがテープカット】東京会館新本館(東京都千代田区)が開業

 東京・丸の内に建設された東京会館の「新本館」が8日に開業した。

 東京会館と東京商工会議所、三菱地所の3者が共同開発した丸の内二重橋ビルディング(千代田区丸の内3の2の3)の低層階に入居。1922年の創業当時から提供する本格フレンチを継承したレストランをはじめ、バンケットや結婚式場が入る複合施設となる。

 同日のセレモニーで東京会館の渡辺訓章社長は「22年に迎える創業100周年とその先に向け、お客さまに愛されるホスピタリティー施設の運営に全力を尽くす」とあいさつした。テープカットでは渡辺社長をはじめ、元宝塚歌劇団星組トップスターで女優の湖月わたるさんらがはさみを入れ、門出を祝った。

 新本館は丸の内二重橋ビルディング(地下4階地上30階塔屋2階建て延べ17万4000平方メートル)の地下1階から地上7階を占める。丸の内二重橋ビルディングの設計・監理は、三菱地所設計がプロジェクト全体を担当し、東京会館専有部を日建設計コンストラクション・マネジメントが手掛けた。大成建設が施工した。

【海上工事の生産性向上に貢献】五洋建設の大型SEP船が完成、800t吊りクレーン搭載

五洋建設が建造していたSEP(自己昇降式作業台)型多目的起重機船「CP-8001」が完成した。国内で初めて800トンつりの大型クレーンを搭載したSEP船。北九州港(北九州市)が母港となる。

 気象・海象条件が厳しい海域でも高い稼働率を確保でき、安全に高精度な施工が可能となる。大型海洋構造物や洋上風力発電向けの10メガワット級風車の設置作業にも対応できる。洋上風力発電施設の設置工事や港湾工事などで積極的に活用していく。

 基本設計はオランダのグストMSCが担当。ジャパンマリンユナイテッド(横浜市西区、千葉光太郎社長)が建造した。有価証券報告書に記載している投資予定額は120億円。

 既に保有している自航式多目的起重機船「CP-5001」との併用で、効率的な作業が可能になる。海上工事の生産性向上に向け新造したSEP船を活用していく。

2019年1月8日火曜日

【回転窓】新時代への幕開け

1989年の1月8日、「平成」がスタートした。当時の資料を振り返ると新元号の最終候補に残ったのは平成、修文、正化の3案だったそうだ▼8人の有識者で構成する懇談会の議論を経て、臨時閣議で新元号を正式に決定。当時の小渕恵三内閣官房長官が毛筆で平成と書かれた台紙を示した姿を覚えている方も多かろう▼平成は中国前漢時代の歴史家・司馬遷によって編さんされた『史記』の五帝本紀に記された「内平外成(内平かに外成る)」などが由来。「国の内外、天地とも平和が達成される」という意味が込められている▼新しい年を迎え昨日が仕事始めだった人も少なくないだろう。今月半ばからは受験シーズンも本格化。年度末に向かって何かと忙しい時期に入る。今年のえと「己亥(つちのとい)」にあやかって、慎重を期して調子に乗り過ぎず、将来のチャンスをしっかりとつかめるように行動したい▼国民生活への影響を最小限に抑えるため、4月1日には新しい元号が発表されるそう。どのような思いが込められるのかは今後の議論を待ちたいが、まずは今年も読者に喜ばれる新聞づくりを日々心掛けたい。

【新たな時代へ変化の年】19年始動-各社トップが年頭あいさつ

2019年が幕を開けた。仕事始めを迎えた4日と7日、建設業界各社のトップが社員に対して年頭あいさつを行った。

 持続的な成長を目指し働き方改革や生産性向上に力を入れる発言が目立つ。事業環境の変化を見据え、より強固な経営基盤づくりを目指す企業も多い。

 4月には平成に代わる新たな元号が発表される。時代の節目を迎え、各社は変化を先取りした取り組みに注力しようとしている。

続きはHP

【お悔やみ申し上げます】建築家・中園正樹氏が死去、提案力と設計力で多くの秀作

 建築家の中園正樹(なかその・まさき=松田平田設計最高顧問・前社長)氏が昨年12月25日に死去した。76歳だった。告別式は近親者で済ませた。喪主は妻のともゑ(ともえ)さん。後日、お別れの会を開く予定。日時や場所は未定。

 1942年生まれ。64年に武蔵工業大学(現東京都市大学)工学部建築学科を卒業し、松田平田坂本設計事務所(現松田平田設計)に入社した。取締役、常務を経て95年に社長就任。身の丈に合った経営を貫き通し、社会の変化に対応できる組織づくりに心血を注いだ。18年12月6日付で最高顧問に就き、後進に将来を託した。

 松田軍平、平田重雄両氏の顔を見た最後の世代として、「建築に対する理念と情熱、職能倫理を常に堅持し誠実・公正な設計を行う」という創業者の精神を自ら実践。優れた提案力と設計力を発揮し、横浜国際総合競技場や東京国際空港(羽田)第2旅客ターミナルなどの秀作を残した。日本建築学会賞やBCS賞など多くの賞も受けた。

 中園氏の死去を受け、高校時代からの後輩となる建築家・新居千秋氏は、日刊建設工業新聞の取材に「格好いい先輩だった。自宅も近く普段から声を掛けていただき、困った時には心配し支えてくれた」とコメント。「松田平田では新しいことができる、そんなきっかけを作った人。建築にとどまらずファッションなどに対しても美意識が高く、存在感やキャラクターが際だっていた。建築界がつまらなくなってしまう」と別れを惜しんだ。

【来シーズンはトップチャレンジリーグでの戦いに】清水建設ブルーシャークス、入れ替え戦に勝利!!

 清水建設の社会人ラグビーチーム「ブルーシャークス」が5日、広島市西区のコカ・コーラボトラーズジャパン広島ラグビー場でトップチャレンジリーグへの昇格をかけた入れ替え戦に臨んだ。

 対戦相手は中国電力カレッドレグリオンズ。激戦の末、劇的な逆転でブルーシャークスが33対28と勝利し、昇格を決めた。

 試合会場は広島という完全アウェーでの決戦だったが、全国の支店長をはじめ多くの観客が応援に駆けつけた。

 試合は前半7対21と苦しい展開だったが、後半開始早々に2トライを挙げて点差を詰め、残り約5分でトライを決め逆転勝ちした=写真。

 試合後、宮本洋一会長は「大逆転という感激の勝利だ。スタッフをはじめとする関係者が一体となって取り組んできた結果。チャレンジリーグでの戦いは大変になると思うが、頑張っていけるよう全力で支援していく」と喜びを語った。

 チームの部長を務める今木繁行副社長は、「会社のサポートもあり3年目にしてトップチャレンジに昇格することができた。これにより会社の一体感がより強まると思う。仕事とラグビーを両立していくことがポリシーなので厳しい戦いになると思うが、持ってる力を十分に出ししっかりやっていきたい」と昇格に向けた抱負を話した。

 トップチャレンジリーグはジャパンラグビートップリーグの第2部に相当する。

2019年1月7日月曜日

【回転窓】どうぞ健やかな1年に

年末年始の休暇を終え今日が仕事始めという方も多かろう。新年を迎え企業や行政機関、団体などではトップが年頭のあいさつで今年1年の方針を職員に伝える▼こうした年頭訓示を記事にするのが記者にとって、年が明けて手を付ける最初の仕事になるケースが多い。社会・経済情勢の変化は目まぐるしく、春には元号が変わる。今年の年頭訓示では「変化」に着目した首脳が多いようだ▼2019年の建設業は「初」という言葉も目立ちそう。技能者の資格と就業履歴を業界統一の仕様で登録・管理する建設キャリアアップシステムが本格稼働する。建設業は5年猶予となるが時間外労働の罰則付き上限規制の適用も始まる。改正出入国管理法に基づき外国人材の活用も進んでいく▼同システムの稼働は技量に応じた処遇の実現を促すなど新しい付加価値を生む。時間外労働規制と外国人材の活用は建設生産活動の見直しを迫ることになるだろう。初と変化にしっかりと向き合う必要がある▼そのためにもまずは健康第一。現場や事務所、新天地それぞれで仕事を始める皆さんにとって今年が健やかな1年になりますように。

【開閉式屋根付き球場で国内初】大林組、北海道ボールパーク(北広島市)に天然芝導入提案

 大林組は設計・施工一括で受注し、北海道北広島市に計画されている球場「北海道ボールパーク(仮称)」に天然芝を導入する。

 開閉式屋根を備えた球場に天然芝を採用するのは国内初となる。施設内の環境条件から芝の生育状況を高精度に予測できるシステムを適用する。開閉式屋根の複雑な日照条件を考慮した緻密なシミュレーションを繰り返し実施し、芝が良好に生育する建築・設備の設計を目指す。

 北海道ボールパーク(札幌市豊平区、福田要社長)が実施した技術提案型総合評価方式の「北海道ボールパーク(仮称)建設工事」設計・施工者選定コンペで、大林組は芝の生育予測システム「ターフシミュレータ」を使い、選手の健康や安全に適した天然芝を導入する提案をした。

 同システムは2011年に京都大学と共同開発した。建物の設計データや建設地の気象データ、芝の初期状態を入力して芝の生育環境をシミュレーションすると、平面図上に葉と根の生育状況の分布と年変化が出力できる。大規模な生育試験を行わなくても、計画初期段階で施設の形状や環境条件の改善に必要な設備を検討できる。

 新球場はRC・S造地下1階地上4階建て延べ約10万平方メートルの規模で、プロ野球・北海道日本ハムファイターズの新本拠地となる。収容人数は3万5000人。現在は基本計画が完了した段階で、今後設計を進め2020年春ごろに着工する予定。23年1月の竣工と同3月の開業を計画している。

 設計・施工は大林組と米大手建築設計事務所HKSの2社グループが担当。PM(プロジェクトマネジメント)・CM(コンストラクションマネジメント)業務は山下PMCが担当する。

【世界で活躍する女性】レーシングドライバー・井原慶子さんに聞く/女性活躍の必要性や在り方は?

 ◇女性を本気で育てる覚悟を◇

 1990年代後半、レーシングドライバーの道へと進み世界で活躍した井原慶子氏は現在、自動車産業で女性活躍の裾野を広げる活動を展開している。「日本の基幹産業である自動車産業での取り組みが進めば他産業にも波及する」。女性が活躍できる仕組み作りが企業の競争力を高め、新しい時代の利益を生み出すと指摘する。日本社会における女性活躍の必要性や在り方を語ってもらった。

 レースクイーンとして活動する中で、メカニックやエンジニア、レーサーが生死を懸けて挑む現場を目の当たりにした。ここまで責任感を持って取り組む仕事があるのだと肌で感じ、自分も生まれたからには、頭と体が持つ能力すべてを発揮して本気を出す仕事をしてみたいと思い、レーサーの道に進むことにした。

 実際に始めてからは、レースクイーンやモデルをやっていた女の子としてもり立てられたが、結果を出した瞬間、足を引っ張ろうという言動が多くなった。このまま日本で活動し続けるのは難しいと考え、チャンスを得て英国の選手権に挑戦した。

 海外では、女性も外国人も、結果を出せば素直に受け入れられる。そんな世界を見て頑張ろうと思った。数は多くないが、レーサーとして活躍する女性もいた。

 それでも日本人、アジア人にリーダーシップを取ってほしくない人たちから差別を受けた。嫌な思いもしたが、自分で壁を作るようでは結果も出せない。だから、日本人女性を受け入れたくない人たちにも笑顔で話し掛け続けた。さすがに無視もできず、コミュニケーションが取れるようになると、「ケイコを応援するよ」と言ってくれる人たちも出てきた。
 レースで結果を出すことは当たり前だが、自主的にコミュニケーションを取ることで自分の道を切り開くことができた。17年に世界三大レースの一つである米国のインディ500で優勝した佐藤琢磨君や私など何人かが当時の欧州で活躍したことは、その後に日本人が海外へ出て行く基盤になったと思う。

 15年から国際自動車連盟(FIA)、日本自動車連盟(JAF)とウィーメン・イン・モータースポーツ・プロジェクトを進めている。自動車産業やモータースポーツでの女性活躍を推進するもので、レーサーだけでなく、エンジニアやメカニックなど、自動車に携わって仕事をしたいと考える女性を育てている。3年間で18歳から68歳まで1000人を超える応募があり、自動車に携わって仕事をしたいと考える女性が数多くいることが分かった。全員は育てられず、少しずつになるが、さまざまな訓練や実技、理論の習得などをICT(情報通信技術)も生かして指導育成に取り組んでいる。既に自動車やタイヤのメーカーで活躍する女性も出始めている。

 ◇多様性が企業の競争力に◇

 自動車産業は日本の基幹産業で、そこで女性が活躍できれば、間違いなく他産業に波及する。自動車産業で活躍する女性の数を増やして関心を高め、社会的ムーブメントを作り、女性活躍の裾野を広げたい。

 16年にソフト99コーポレーション、18年から日産自動車の社外取締役に招聘(しょうへい)された。自動車産業はほとんどの役員が男性で、日産の女性取締役も私が初めてだ。取締役会の役割が、多様な価値観から会社経営を管理監督することだとすれば、取締役を日本人男性にとどめる必要はない。女性目線で意見を出すことが改善につながる面もある。そうした多様性に加え、リーダー的ポジションとしてロールモデルとなることが女性活躍の裾野を広げることになると期待されているようだ。
アジアンルマンレース出場時(2017年)
 日本の企業には高度経済成長の成功体験から今も抜け出せていない面があると感じる。時代の流れが加速し、迅速な意思決定が求められるのに、組織の規模が大きくなって難しくなっている。社内でそれなりのポジションの人が発言しにくいこともあるようだ。社外取締役は、しがらみなく、改善すべき点をアドバイスできる。女性や外国人が取締役に入り、多様性を持つことが企業の競争力を保ち続け、透明性を高めることになるだろう。
 自動車産業と同様に安全が問われる建設産業でも女性が活躍できる職種はたくさんあるのではないか。

 私は自動車レースに取り組む中で、大雨など天候が悪い時や、24時間レースで寒い夜から太陽が昇って環境が変わるような場面で活躍させてもらう機会が多い。それは環境変化への順応性や感情のコントロール、解析能力などにおいて女性は優れているからだと思う。これまで可視化できなかったけれど生産性や競争力を向上させるための資質・能力を女性が持っていることは多く、企業の工夫次第で活躍できる場面は多いのではないか。

 そのためには女性が活躍できる仕組みを作らなければならないし、人数も増やさなければならない。
世界耐久選手権(WEC)で表彰台に
(2014年、富士スピードウェイで)
 これからの企業に求めたいのは、入ってきた女性を責任を持って育てることだ。女性が入り、「お手並み拝見」とばかりに失敗すればそこにつけ込むようなことが日本の社会には多かった。職場のリーダー、さらには経営者となるような女性を育て上げる覚悟を持ってほしい。

 体力面では、どうしても男女差はある。私もレーサーとして海外で活躍する中、男性と同じようにトレーニングを積み、世界を転戦して体をこわした。今はなるべく休む時間を多く取るようにしている。睡眠時間も男性と比べて長い。それだけ休むには、働いている時間にものすごく効率を上げなければならない。少ない時間で結果を出せる方法を自分なりに考え、仕事の生産性を上げることが重要だろう。

 自動車産業で推進する女性活躍は2~3年もすればいろいろな業界に広がっていくと思う。ただ現状でいえば、地方部にいくほど難しいようだ。男性と違う働き方で女性が活躍できる方法を考えることは、新しい時代の利益を生み出すことになるはずだ。

 (いはら・けいこ)1973年、東京都出身。法政大学卒。99年国内でレース初参戦。2000年英国の選手権に挑戦。12年WEC世界耐久選手権、ルマン24時間レースに参戦し、同年政府から「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」として表彰される。現在、ソフト99コーポレーションや日産自動車の社外取締役、慶応大学大学院特任准教授、FIAアジア代表委員を務める。