2019年3月27日水曜日

【回転窓】都市計画法制定100年

都市計画制度の変更は利害調整がからむ。「それだけに政治の力によるところが大きい」と、国土交通省OBのT氏はいう▼2006年に改正されたまちづくり3法。当時、郊外に大型店の出店が続き、中心市街地はシャッター街となって空洞化が進んだ。その状況を憂いたある政治家が「大型店を商業地域以外には立地できなくすべきだ」と、国交省に詰め寄った▼T氏はその意見に理解を示しつつも「建築基準法で商業地域以外で建てられないのは風俗産業などに限定され、風俗店と大型店は一緒にできない」と抵抗。役人として当然の反論だろう▼ただ政官で議論を重ねるうちに、典型的な商業施設である大型店が商業地域以外で広範囲に立地できる都市計画制度とは一体何なんだと疑問を抱く。その問題意識が改革への信念に変わり、法律改正が進んだという▼都市計画に関する規制は企業や個人に大きな影響を与える。政治的な判断が求められるケースも多かろう。今年、都市計画法は制定100年を迎える。これを機に都市計画とは誰のためのものか、もう一度考えてみてはどうか。T氏こと竹歳誠氏の話は実に興味深い。

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