2019年5月20日月曜日

【中堅世代】それぞれの建設業・227

娘と過ごす時間をなによりも大切にしている
 ◇働く母を見て育った自分だからこそ◇

 地方の建設関連団体に勤務する青島優子さん(仮称)は、小学3年生の娘を持つシングルマザーだ。団体が企画するセミナーやイベントの運営を任されている。出産するまでは時間を気にせず仕事に打ち込んでいたが、今は違う。娘との時間を大切にするため、仕事を効率的に進めることを最優先している。目の前にある壁は仕事の内容よりも時間制限。毎日が時間との戦いだ。

 高校を卒業後、地元の大学に進んだ。大学を受験するまでまったく興味がなかったという土木を専攻。河川の研究室に所属していた。指導教授が川を見にいろいろな場所へ連れて行ってくれたのがきっかけとなり、景観やデザインに興味を持つようになった。就職活動ではゼネコンやコンサルを志望したものの、当時は就職氷河期と言われる時代。思うように選考が進まず、内定をもらった広告会社に入社した。

 その会社では媒体のレイアウトを手掛ける日々。建設業と同じものづくりだと自分に言い聞かせて激務に励んだ。ただ、3年たったころ体調を崩した。やりたいこととできることは違う。頭の中では分かっていたが体が言うことを聞いてくれなくなった。そんな時、今の職場から声を掛けてもらった。実務とは離れているが、それでも建設分野に関われることがうれしく、二つ返事で入職を決めた。

 娘が保育園に通っているころは、職場の時短制度を利用していた。小学校に上がると制度を使えなくなるため、授業が終わった後は娘を学童保育に預けている。夕方に会議が入ることも少なくない。帰りが遅くなると、自分で迎えに行けない。そんな時は近くに住む母親に代わりをお願いしている。「母がいなければ成り立たないくらい、助けてもらっている」と感謝する。

 結婚して仕事を辞めようとは思わなかった。ただ出産は違った。価値観が激変し、娘が中心の生活になった。産休・育休を経て、職場に復帰する時は後ろ髪を引かれる思いだった。保育園に預けて職場に向かう時、娘に大泣きされたことが何度かあり、今でも忘れられないという。

 母もばりばり働いていた。そんな働く母を見て、出産後も仕事を続けたいと思った。「今は育休や時短など、働く女性の支援制度が充実している。でも母の時代はそういうのがなくて大変だったと思う」。仕事終わりに娘を迎えに行けないことがある分、朝は必ず送り出してから出勤するように決めている。

 職場には同世代の女性が数人いる。子どもの年齢も近く、互いに仕事を融通し合いながら、それぞれが育児と仕事を両立している。とても働きやすい職場だと気に入っている。

 働き方改革により、女性にとっても働きやすい環境整備が進んでいる。「母のような働く女性が頑張ってきたから、今の制度ができ、女性が働きやすくなっている。私も頑張って働いて、娘が働くころにはもっともっと働きやすくなっていてほしい」。母が自分にしてくれたことを娘に返していく。確実にバトンをつなげたいと考えている。

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