2019年5月16日木曜日

【回転窓】エスカレーターで異文化体験

東京から新幹線で大阪に着き、改札口に向かうエスカレーターで自分だけが左側に立っている-。この瞬間、関西圏に来たんだなと実感する方も多いのでは▼立ち位置の違いは諸説あるようだが、東京は武士、大阪は商人中心の文化の違いが影響していると聞いたことがある。刀を左側の腰に差す武士が右側に立つと、脇を通る際に左側の刀に触れてしまう。無用ないさかいを起こさないため、左側に立つ意識が今も残っているというのが理由のようだ▼真偽は定かではないが、エスカレーターは本来、立ち止まって利用するものであり、安全基準もこれが前提。歩行する人のために片側を空け、順番待ちの利用者が長蛇の列をなすのは円滑な移動の妨げにもなっている▼エスカレーターでの歩行は、衝突や転倒などの事故につながる。鉄道事業者らは「歩行禁止」や「両立ち」を呼び掛けているが、従来の慣行を変えるのはなかなか難しい▼9月にラグビーワールドカップ、来年は五輪・パラリンピックの開催が控える。数多く訪れる海外からの人たちはエスカレーターの習慣をどう思うか。ぜひ当たり前を見直すきっかけに。

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