2019年8月5日月曜日

【回転窓】シーザー・ペリのまなざし

外国人建築家が極東の島国・日本に進出するチャンスは少ない。そんな中でも日本で多くの大規模プロジェクトを実現したのが、7月19日に92歳で亡くなった米建築家のシーザー・ペリ氏だった▼マレーシアの首都を象徴する「ペトロナスツインタワー」やニューヨークの「ワールドフィナンシャルセンター」、日本の「あべのハルカス」など世界各国で超高層ビルのデザインを手掛けた。その多くをコンペで勝ち取った▼ペリ氏は国や地域が違っても建築や都市を使う、住む「ヒト」の存在を常に重視する建築家だった。建築デザインも自己表現を押し付けず形態的な先入観も極力排除。「デザイン・オン・レスポンス」という理念の下、建築を「モノ」ではなく街並みや文化の一部となり街とともに成長する生き物のように捉えて具現化していった▼「建築を考えることで都市を、都市を考えることで人を、そして人を考えることで建築をさらに魅力的にしたい」との思いでコンペに挑んだ。人への温かいまなざしが、コンペを勝ち抜いた源だったのかもしれない▼日本各地にあるペリ建築を訪れ、その魅力を改めて味わいたい。

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