2019年11月29日金曜日

【働きやすい職場環境づくりに全力!】日建連のけんせつ小町工事チーム、登録300件突破!!

 日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)が申請を受け付けている「けんせつ小町工事チーム」の登録数が300件を突破した。

 大成建設が山形県内で進めている「日新製薬荒谷工場増築工事ステロイド棟」の現場で結成された「日新荒谷作業所けんせつ小町工事チーム」が300チーム目。28日時点で301件の登録がある。

 同チームは、定期的に「働きやすさ向上ワーキンググループ」を開催。女性目線で意見交換し、現場や事務所の快適な環境を目指している。A型バリケードをキャラクター型にするなど、第三者からの建設業界のイメージアップにも積極的に取り組んでいる。

 けんせつ小町工事チームは、女性も働きやすい職場環境の整備やPR活動などに貢献してもらおうと2014年8月に登録を始めた。日建連は、20年度から5年間に取り組む「けんせつ小町活躍推進計画」を策定。5年前に作った計画の達成状況を踏まえ、女性の「定着」「活躍」「入職」支援をさらに推進する。

【4社が100年企業の仲間入り】帝国データの周年企業調査、2020年は若築建設が130周年

 2度目となる東京五輪が開かれる2020年。建設関連各社は56年前の前回大会に引き続き、大会成功に向けて力を注いでいる。そうした中、創業や設立から節目の年を迎える企業も多い。上場企業では若築建設が1890年の設立から130周年を迎える。佐田建設は創業100周年企業の仲間入りを果たす。「新たな100年に向けたスタート」(佐田建設)など各社はさらなる成長を誓う。

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【どう生かす、五輪レガシー】有明アーバンスポーツパーク跡地活用、都が検討本格化

 東京都は2020年東京五輪で自転車(BMX)とスケートボードの競技会場となる「有明アーバンスポーツパーク」(江東区)の跡地活用に向けた検討を具体化させる。

 五輪後の跡地の一部は、ほかの仮設スポーツ施設も移設させ、五輪のレガシー(遺産)を生かす「アーバンスポーツゾーン」として再整備する。都は施設整備や運営・維持管理を担う民間事業者を公募する方向で検討を進めている。

 同パークの所在地は有明1の7(敷地面積9・7ヘクタール)。五輪時は仮設施設としてBMXレーシング(仮設観客席5000席)、同フリースタイル(3000席)、スケートボード(7000席)の会場が設置される。都は跡地活用の想定イメージとして2区画(2・6ヘクタール、1・6ヘクタール)をアーバンスポーツゾーン、新交通ゆりかもめ有明テニスの森駅前の1区画(2・5ヘクタール)をにぎわい誘導用地と位置付けている。

 現段階の検討では五輪後に仮設観客席などを撤去した上で、大会シンボルやモニュメント、青海アーバンスポーツパーク(江東区)を会場とするスポーツクライミングや3×3バスケットボールの競技施設などを移設し、再配置する。都オリンピック・パラリンピック準備局が29日まで入札参加を受け付けている「(仮称)有明アーバンスポーツパーク基本構想検討・基本設計業務委託」を通じ、詳細を具体化させる方針だ。同委託の開札は12月17日。履行期限は20年3月24日。

 同局は「(仮称)有明アーバンスポーツパーク等運営事業に係る支援業務委託(その2)」の入札手続きも進めている。五輪後の施設運営・維持管理を民間事業者に任せることを前提に、事業者公募手続きを支援する業者を選定する。開札は12月18日。履行期限は20年3月31日。

 アーバンスポーツゾーンの整備にはPPPやPFIといった民間活力を生かす事業手法の採用を想定している。民間事業者の公募時期は未定だが、20年度以降になるとみられる。都が昨年度実施した民間の進出意欲を探るサウンディング(対話)型調査の結果も参考に、施設整備の方向性や事業者選定の公募条件を詰める。

 同調査には建設業者やデベロッパーなど26者が参加。アーバンスポーツゾーンには教育やリハビリなどのスポーツ関連施設に加え、キャンプ施設や職業体験施設を設けるアイデアが寄せられた。有明テニスの森駅前のにぎわい誘導用地には住宅や商業施設、業務施設、公共施設など幅広い提案があった。

【延長630m、横浜で空中散歩】MM21地区に都市型ロープウエー、来年度末までの開業目指す

桜木町駅舎の完成イメージ
 遊園地の企画や建設、経営などを手掛ける泉陽興業(大阪市浪速区、山田勇作社長)は、横浜市西区のみなとみらい(MM)21地区で計画している「ロープウエー整備プロジェクト」で、周辺景観や夜間照明などに配慮したデザインコンセプトを公表した。周辺施設との調和を重視しながら、横浜の都市文化を継承した夜間景観の創出を目指す。同社は横浜市と事業実施協定を締結した後、着工する予定。2020年度末までの営業開始を目指す。

 施設名称は「YOKOHAMA AIR CABIN(仮称)」。同社が整備と運営を担う。ルートはJR京浜東北根岸線の桜木町駅東口駅前広場と新港ふ頭の運河パークを結ぶ延長約630メートル。汽車道沿いの海上で、停留所は桜木町駅前(S造2階建て、ピロティ形式)と運河パーク(S造2階建て)の2カ所。支柱は地上2基(高さ約10メートル)と海上3基(高さ約40メートル)。ゴンドラは乗車定員8人で36基(全基車いす対応)構成を計画している。

 26日に開かれた市の第55回都市美対策審議会景観審査部会で、泉陽興業が明らかにした。照明計画は世界的な照明デザイナー・石井幹子さんが監修する。説明によると屋外広告物は、過度な主張を避けシンプルかつ必要最小限の情報を示すサイン計画とする。演出照明は周辺の住宅やホテルなどに配慮し、都市的交通としての落ち着いた夜間景観を目指すとしている。

 同計画は横浜市が17年10月に公募した「まちを楽しむ多彩な交通の充実」で採用された提案の一つ。完成すれば国内初の常設都市型ロープウエーになるという。

2019年11月28日木曜日

【回転窓】高級ブランドのいま…

1950~60年代のハリウッド黄金期に活躍し、世界的に知られる女優オードリー・ヘプバーン。生誕90年の今年はイベントや主演作の上映会などが行われ、今なお多くの人たちを魅了している▼「永遠の妖精」と称された希代の女優は映画の枠を超え、ファッションやライフスタイルでも大きな影響を与えた。銀幕の中での彼女のファッションが業界のトレンドとなり、トップモードの代名詞として注目を集めた▼代表作の一つである「ティファニーで朝食を」は、ニューヨークを舞台に自由奔放に生きる女性主人公を描いた。題名にある米ティファニーはご存じの通り高級宝飾店。映画の公開から60年余りの時を経て、2017年に同ブランド初のダイニングスペースがオープンした▼70以上の高級ブランドを傘下に収める仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンがティファニーの買収で基本合意した。買収総額は162億ドル(1兆7600億円)▼今回の買収劇は宝飾品市場で事業拡大を狙うLVMH、生き残り策を模索していたティファニーの双方にメリットがあったよう。高級ブランドの巨人は足場固めに余念がない。

【建設発生土の環境対策を重視】鉄道運輸機構、北海道新幹線立岩トンネルルコツ工区の現場公開

 鉄道建設・運輸施設整備支援機構北海道新幹線建設局は26日、北海道新幹線立岩トンネルのうち北海道八雲町と長万部町で建設が進むルコツ工区の建設現場を報道関係者に公開した。トンネル延長5000メートルのうち、970メートルの掘削を完了。自然由来重金属を含む発生土の処理状況を説明した依田淳一北海道新幹線建設局長は「機構として責任を持って対策土の盛り土を施工するとともに、周辺環境へ影響を及ぼさないよう適切に対処する」と述べた。

 立岩トンネルは北海道新幹線新函館北斗~札幌間に建設する延長1万7035メートルのトンネルで、このうちルコツ工区は八雲町と長万部町にかかる5000メートルを施工する。2016年3月に奥村組・竹中土木・山田組・近藤工業JVと契約し、24年1月の完了を予定している。工事用の横坑(延長1063メートル)掘削から始まった工事は、18年7月に本坑の掘削に着手。NATMの発破掘削で掘り進め、現在までに970メートルの掘削が完了している。

 現場では60万立方メートルのトンネル発生土が見込まれており、このうち45万立方メートルが土壌汚染対策法で規定されている土壌溶出量基準または土壌含有量基準を超える自然由来重金属などを含む対策土となっている。対策土は現在、国縫地区の民有地に運搬し盛り土して地表に露出しないよう覆土を施し、盛り土の下流側に土堤を設けて対策土に触れた水が流出するのを防いでいる。また発生土受け入れ地周辺の地下水や表流水は定期的にモニタリングし、周辺環境への影響の有無を確認している。

 北海道新幹線新函館北斗~札幌間は工事延長約212キロのうち約169キロをトンネルが占める。39工区に分割するトンネル工事は、現在までに36工区、約160キロが契約済みで、残る3工区も本年度中に契約する予定となっている。

 新函館北斗~札幌間全体では1946万立方メートルの掘削土が発生する見込みで、現在までに受け入れ先が確保できているのは約52%だけ。発生土の受け入れ先が決まらずに着工できない工区もあり、発注済みの36工区のうち着工しているのは27工区にとどまる。依田局長は「31年3月の開業に向け、発注は想定通りに進んでいる」としながら、「今後は発生土の受け入れ地が見つからないと工期に支障が出る恐れがある。本年度がぎりぎりのところ」と話し、周辺自治体に発生土対策への理解を求める考えだ。

【総延べ33万㎡、来春から順次開業へ】住友不、東京臨海エリアに大規模複合施設「有明ガーデン」整備

 住友不動産は東京都江東区での複合開発の名称を「有明ガーデン」に決め、27日に詳細を公表した。

 都内での民間単独開発で過去最大規模となる10・7ヘクタールの区域に、同社が初めて開発・運営する大型商業施設など総延べ約33万平方メートルの施設群を設ける。来年から順次開業し、年間集客数で約1500万人の達成を目指す。同日現地で会見した津村健二事業企画部長は「湾岸エリアの活性化の起爆剤となる」と力を込めた。

 開発する施設群は▽商業棟(S一部RC・SRC造地下1階地上5階建て)▽商業別棟(同地下1階地上6階建て)▽ホテル棟(同地下1階地上16階建て)▽ホール棟(同地下1階地上5階建て)-の4棟と、3棟の高層マンションで構成する。

 商業棟全体と、商業別棟の低層部に商業施設「住友不動産ショッピングシティ有明ガーデン」が入る。総延べ約10万平方メートル、店舗面積約4万平方メートルの規模を誇る。食品やクリニックなど、有明地域に不足しているという日常的に利用される店舗を中心に約200店舗を配置する。開業予定は2020年4月。

 ホール棟に入るのは「住友不動産東京ガーデンシアター」。MICE(国際的なイベント)やコンベンションなど多様な用途に対応する。延べ床面積は2万8807平方メートル。同5月の開業を目指す。

 ホテル棟は同6月開業予定の「住友不動産ホテルヴィラフォンテーヌグランド東京有明」となる。客室数は749。商業別棟4階に設ける会議室と、5、6階に入る温浴施設「泉天空の湯有明ガーデン」を含めた総延べ床面積は3万3522平方メートルとなる。
 計1539戸を設ける分譲マンション「シティタワーズ東京ベイ」は▽ウエストタワー(地下1階地上32階建て)▽セントラルタワー(33階建て)▽イーストタワー(同)-の3棟構成。総延べ16万0823平方メートルの規模で、免震構造を採用。10月に竣工し20年2月に引き渡し予定だ。

 商業棟とマンション3棟は前田建設、商業別棟とホテル棟、ホール棟は竹中工務店が設計・施工を担当している。多くの来場者を想定し約1900台分の駐車場を確保する。

 21年4月には、四季(横浜市青葉区、吉田智誉樹社長)が住友不から土地を借りて、約1200人を収容する「有明四季劇場」を開業する。保育所の開設も予定する。

 津村部長は「湾岸エリアの中でも有明は大きく人口の増加が見込まれる」と開発地のポテンシャルを説明。「開発が先行する台場と豊洲エリアの中間に位置する結節点として、一帯を盛り上げていく」と事業の意義を語った。

 有明ガーデンの所在地は有明2の1。11年に都と都市再生機構から取得した敷地などで構成する。16年に国家戦略特区事業の認定を受けた。

【総事業費100億円、2024年完成目指す】水戸ホーリーホック、新スタジアム建設を計画

 サッカーJリーグ・水戸ホーリーホック(水戸市、沼田邦郎代表取締役)は、水戸市内で収容1万5000~2万人規模の新スタジアム建設を計画している。

 自前のサッカー専用スタジアムを整備することで、観客数の増加とクラブ規模の拡大を目指す。完成目標を2024年に設定し計画を具体化する考え。総事業費は100億円程度を見込んでいる。

 Jリーグはスタジアム基準でJ1は1万5000人以上、J2は1万人以上の入場可能数を求めている。水戸ホーリーホックはJ1のスタジアム基準を満たす1万5000人以上の収容規模を念頭に、計画を詰める考えだ。建設地は未定。整備に当たっては、民間の資金や技術力を生かすPFIやPPPの導入も検討している。設計・施工者は計画を具体化する過程で決める。

 水戸市内で22日に会見した沼田代表取締役は「クラブ創設30周年となる24年の完成を目指す」との考えを表明した。クラブ運営を後任に譲り、自身はスタジアム建設に専念する意向。今後は「魅力ある街づくりに力を尽くしたい」と述べた。

 水戸ホーリーホックのホームスタジアム「ケーズデンキスタジアム水戸」(小吹町2058の1)は、観客席を3000席増設し1万5000席にする改修計画を市が進めている。9月補正予算で基本計画策定に必要な費用として500万円を確保した。

【長崎幸太郎知事が方針表明、年明けに懇話会開催へ】山梨県、総合球技場建設(甲府市)の在り方再検討へ

 山梨県は甲府市の小瀬スポーツ公園で予定している総合球技場建設事業の計画内容を再考する。長崎幸太郎知事が26日の会見で方針を明らかにした。従来の小瀬スポーツ公園での建設は原則維持していく見通しだ。

 県は、五輪などを契機にスポーツをキーワードにした地域振興策の展開を目指していた。長崎知事は「総合球技場基本計画検討委員会」が3月にまとめた報告書を踏まえ、年間5000万~8000万円の運営赤字になるとの見通しを問題視。12月補正予算に計上した「スポーツによる地域活性化懇話会」を年明け以降に開催し、在り方を再度検討する。

 地域活性化を図る上での収益可能性などで有識者の意見を聞く考え。一方、懇話会の開催回数や今後の具体的なスケジュールは未定。会見で長崎知事は「スポーツで稼げる県づくりのグランドデザインを描いていきたい」と話した。

 小瀬スポーツ公園は都市公園施設のため、収益を確保する施設づくりに制約が出る可能性がある。長崎知事は「甲府市とも市街化調整区域を見直すことができないか相談する」と説明した。

 検討委の報告では、建設予定のスタジアムはサッカーやラグビーに対応した84×124メートルのフィールドを備え、客席数は2万席規模を想定。施設整備費は設計や監理、外構整備などを除き110億~120億円と試算した。事業手法はPark-PFI(公募設置管理制度)など4案を比較検討し選定するとしていた。

2019年11月27日水曜日

【回転窓】MaaSってなに?

最近、新聞紙面で見かけるようになった「Mobility as a Service」という言葉。文字を見ただけ「ああ、あれね」と理解できる方はまだまだ少数だろう▼ICT(情報通信技術)を活用し、地域住民や旅行者などが自身の好みや都合に合わせて鉄道やバス、タクシー、シェアサイクルなどを組み合わせる。スマートフォンのアプリで検索から予約、決済まで一連のサービスが受けられる仕組みが広まりつつある▼国土交通省によると、現在全国の19地域で実証実験が行われているそう。実験は大都市近郊型・地方都市型、地方郊外・過疎地型、観光地型の3種類。例えば京都府北部の京丹後地域では年明けにバス会社や自治体などが連携し、日本三景の一つに数えられる「天橋立」もある京都丹後鉄道沿線で観光型の実験が行われる▼スマホさえあれば初めて訪れる地域でも不自由なく移動ができ、サービスが受けられる。本当に便利な世の中になったが、「この電車で大丈夫なのかな?」とドキドキすることも旅の楽しさと思えるのだが▼便利になると昔の不自由さが懐かしくなる-。ぜいたくな悩みか。

【鉄筋王、決まる】第3回TETSU-1GP、和田浩茂選手が優勝

 全国鉄筋工事業協会(全鉄筋、岩田正吾会長)が主催する「第3回全国鉄筋技能大会(TETSU-1グランプリ)」が、富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)で24日開かれ、鉄筋組み立ての作業時間と精度を競った。関西鉄筋工業協同組合代表の和田浩茂選手(富田興業、33)が優勝し最強鉄筋工の座を手にした。

 TETSU-1グランプリは鉄筋技能者の技能の向上を目的に2年に1度開催されている。今回は全国の予選を勝ち抜いた34人の選手が参加。限られた時間内に日頃練習してきた技を競い合った。

【3棟総延べ25万㎡】虎ノ門一・二丁目地区再開発(東京都港区)が起工

 東京都港区の虎ノ門エリアで新たな再開発事業が本格始動した。

 虎ノ門一・二丁目地区市街地再開発組合(早津功理事長)が進める再開発事業で、ビルの建設工事が始まり、25日に現地で起工式が開かれた。森ビルの辻慎吾社長は「虎ノ門エリアでの要の事業となる」と話す。

 計画地は虎ノ門1、2(区域面積約2.2ha)。参加組合員として事業に参画する森ビルが特定建築者となり、3棟総延べ約25万m2の再開発ビル群を整備する。

【東京都、実態把握し対応へ】廃プラの国内滞留、建設業界への影響じわり

 ◇都、処理実態の把握急ぐ◇

 建設現場などから発生する廃プラスチックの処理を巡る動きが慌ただしくなってきた。廃プラの受け入れ先だった中国や東南アジア各国が輸入規制を導入して以降、国内で行き場を失った廃プラの滞留が顕在化。産業廃棄物処理業界では受け入れ制限や処理費の値上げに踏み切るケースも増えてきた。主要な排出事業者となる建設業界にもその影響は徐々に表れている。他自治体に先行し、東京都が対応に乗りだした。

 都は10月、産廃処理業者や排出事業者に向け、廃プラ処理の監視・指導を強化する通知を出した。廃プラを一般廃棄物に意図的に混入させるなど不適正処理の情報などが都に寄せられているという。

 背景にはアジア各国の貿易政策の転換がある。最大の受け入れ国だった中国が2017年末に輸入禁止措置を講じたのを皮切りに、台湾、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアも規制強化で同調。この1、2年で日本からの廃プラ輸出量は大幅に減少している。

 今春、産廃処理業者で構成する「全国産業資源循環連合会」が会員企業を対象に実施したアンケートでも、廃プラが国内に滞留している実態が改めて浮き彫りとなった。18年度の受け入れ量が前年度に比べて増加したとの回答は4割に到達。既に受け入れを制限している企業は3割を超え、保管量も増加傾向。会員企業のうち4割は処理料金の引き上げに踏み切り、2割は値上げを検討中と答えた。

 不適正処理の横行を懸念した都は、本年度に実態調査や排出事業者からの相談体制の構築に着手。10月には、じかに相談を受け付ける専門ホームページ(HP)を開設した。同月には都廃棄物審議会が「プラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方について」の最終答申を都に提出。当面は産業用の原燃料として廃プラを有効利用する取り組みを拡大し、将来的に「新たな国内資源循環ルートの構築を図っていくべきだ」との方針が盛り込まれた。

 審議会の委員で東京都産業資源循環協会の高橋俊美会長は「17年の暮れから廃プラ処理で大変な思いをしている。そのさなかの対応は素晴らしい」と評価。同じく委員を務める日本建設業連合会(日建連)の米谷秀子環境委員会建築副産物部会長は「汚れが付いた低品位のプラスチックごみを出している業界として(最終答申は)非常にありがたく、心強い」と歓迎の意を示した。

 都は今夏、主要な関係団体や産廃処理業者を対象にヒアリングを実施。東京建設業協会(東建、飯塚恒生会長)の会員企業からは、処理費の値上げや受け入れ制限の実例も報告されている。一方、建設業界関係者からは「行政の動きは把握しているが、まだ様子見という感じだ」との本音も漏れる。処理コストの上昇は、まだ深刻なほどではないとの認識もある。ただ今後は「新たな国内資源循環ルートの構築」に向け、業界としての対応が求められてきそうだ。

 都環境局の担当者は建設業界の実態をさらに深掘りする必要性も指摘する。「建設関係の廃プラで発生割合が大きい塩化ビニール管を扱う設備工事業界などもヒアリングする必要があるかもしれない」という。廃プラの受け入れを拡大しているセメント業界、廃プラ由来のRPF(廃棄物固形燃料)を利用する製鉄業界なども対象とする予定だ。担当者は「HPの内容は随時更新していく。排出事業者からの相談がわれわれの情報収集にもなる。ぜひ活用してほしい」と期待している。

【観光振興や物流円滑化に貢献】那覇空港第2滑走路、20年3月26日に供用

国土交通省は26日、那覇空港(那覇市)の滑走路増設事業で整備を進めている第2滑走路を2020年3月26日に供用すると発表した。

 供用により滑走路の処理容量は現在の約1・8倍に当たる年間24万回に増加。空の玄関口の機能が強化され、観光振興や物流の円滑化などに大きく寄与することが期待される。

 第2滑走路は延長2700メートル、幅60メートル。現滑走路の沖合を埋め立てて整備した。13年度に新規事業化され14年1月に着工した。総事業費は約2074億円。

 滑走路本体の舗装工事が完了するなど完成のめどが立ったことから供用日を決めた。今後は終盤を迎えている舗装工事や無線工事、無線施設の検査などを進める。

 第2滑走路の供用に先立ち、管制官の慣熟のために20年1月15日には新たな管制塔の運用を開始する。第1滑走路と第2滑走路の間に整備した新管制塔は8階建て高さ88メートルで、国内では羽田空港に次ぎ2番目の高さの管制塔となる。ターミナル地域の機能強化も進めており、同7月ごろにはCIQ(税関、出入国管理、検疫)施設の拡張を予定している。

 会見で赤羽一嘉国交相は「那覇空港が沖縄県と国内外を結ぶ人流、物流の拠点としてさらに重要な役割を果たし、観光客の受け入れ拡大や利便性向上につながっていくことを強く期待している」とコメントした。

【日吉トンネル、施工は清水建設JV】JR東海、リニアトンネルの掘削現場を初公開

 JR東海は26日、岐阜県瑞浪市で掘削工事を進めているリニア中央新幹線のトンネル現場を報道陣に公開した。本線の掘削現場を公開するのは初めて。

 中央新幹線岐阜工事事務所の加藤覚多治見分室室長は「工期内に掘り上げる。心配はしていない。工事の安全や環境の保全、地域との連携を重視して着実に作業を進めたい」と話した。

 公開したのは「中央新幹線日吉トンネル新設(南垣外工区)」工事の現場。延長14・5キロの日吉トンネル(岐阜県恵那市~御嵩町)のうち、7・4キロを構築する。施工は清水建設・大日本土木・青木あすなろ建設JV。2018年10月に0・4キロの斜坑掘削が完了し、同10月中旬から本線の掘削を開始した。本線の掘削断面は約100平方メートル。26日時点で西側230メートル、東側660メートルを掘削した。現場は土被りが30~140メートルとなり、河川の下も掘削する。

 加藤室長は「今は水が多く出ておらずありがたい。地山が悪くなることも想定し、適切な補助工法を採用するなど、状況を確認しながら掘り進めたい」と意欲を見せた。

2019年11月25日月曜日

【回転窓】地域に根差した名建築

京都・天王山山麓にたたずむ木造モダニズム建築の傑作「聴竹居」。建築家藤井厚二(1888~1938年)が自宅として設計し1928年に完成した▼日本の気候風土に合わせ自然の力を利用し、環境との共生を図るとともに日本人の生活様式に西洋的な空間構成を融合。窓や仕切りに円形のデザインを用いるなど、随所に昭和初期のモダンな雰囲気が感じられる▼藤井が竹中工務店に在籍していた縁で2000年に同社の有志が空き家になっていた聴竹居を実測調査した。土地と建物を16年に取得した後、地元住民と連携しながら維持管理し、見学会やイベントが開かれるように。17年には国の重要文化財に指定された▼聴竹居の保存・公開による建築文化の発信やイベントを通じた交流などは評価が高く、企業による芸術・文化を通じた社会創造活動を表彰するメセナアワード2019で大賞に選ばれた。地元の人々が地域に根差した建築の魅力を発見し、それを語り未来に引き継ぐ。こうした地道な活動が受賞につながったのだろう▼解体の危機に直面している名建築が各地にある。聴竹居の活動から学べることは多い。

【現場の課題、見逃しません】PC建協東北、女性職員が橋梁工事現場をチェック!!

 プレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協)東北支部(光田秀幸支部長)は21日、東北地方整備局福島河川国道事務所が発注した橋梁上部工工事(福島県伊達市)を対象に女性職員らによる安全パトロールを実施した。

 女性の目線で事務所や現場の環境を見てもらい、将来を担う若者や女性らが働きやすい職場づくりにつなげるのが目的。会員企業から9人が参加した。

 女性隊員が訪れたのは、錢高組が施工を担当する「東北中央自動車道阿武隈川橋上部工工事」(櫻井尚久作業所長)。相馬福島道路(福島県相馬市~桑折町)の霊山~福島間(延長12・2キロ)のうち、1級河川阿武隈川をまたぐPC4径間連続箱桁橋を施工するもので、片持ち式の張り出し架設工法を採用し、現場で製作したブロックをPC鋼線で緊張させて長さ398メートルの橋を造り上げる。

 櫻井所長は「職員や技能者にどんどん質問して意見を出してほしい。そのやりとりで現場の環境が良くなり、活気づく」と話し、担当者から工事概要について説明を受けた後、現場に移動した。エレベーターで柱頭部に上がり、箱桁のブロック製作が進んでいる現場内を見学。現場では4ブロック目の鉄筋工事などが行われ、女性ならではの視点で現場内を見て回り、技能者らに積極的に質問していた。

 参加者からは「きれいな現場で、整理整頓が行き届いている」「注意を促す看板があっていい」「女性トイレが建物の奥にあるのがいい」といった意見や「トイレに手すりがあった方がいい」「事務所の救急箱が分かりにくい」「これから日没が早くなり、照明灯を増やしてほしい」など女性ならではの細かな指摘もあった。

【収容1・5万人、整備費370億円】有明アリーナ、12月9日竣工へラストスパート

 東京都は、2020年東京五輪・パラリンピックでバレーボールと車いすバスケットボールの競技会場となる「有明アリーナ」(江東区)の内部を21日初公開した。

 10月末時点の工事進捗(しんちょく)率は98%。現在は外構工事や内装工事などの最終段階に入っている。12月9日の竣工を予定している。整備費は約370億円。

 施設規模は5階建て延べ4万7200平方メートル。観客席約1万5000席(仮設席約3000席含む)を備える都内最大級のアリーナとなる。車いす席150席、広めの仕様となる付加アメニティー席157席も分散配置した。

 特徴的な湾曲した外壁は、限られた敷地の中で建物の外部に滞留空間を確保するための工夫の一つだという。屋根の構造材には木材と鉄骨のハイブリッド材を採用。内装の壁など多くの部分に都内産などの木材を取り入れ、日本らしさを演出した。

 施設の後利用に当たっては、都有施設で初めてコンセッション(公共施設等運営権)方式を導入。7月には電通ら7社が設立した特別目的会社(SPC)と実施契約を結んだ。

 スポーツ大会やコンサートなど幅広いイベントの企画を想定。面積約4100平方メートルのアリーナ部分はコンクリート床で、スポーツ以外のイベント利用も見込んだ造りとなっている。

 工事期間は17年4月からの33カ月。今後は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が五輪会場用の床を整備する。

【お前ははもう…】マンホールカード第11弾、12月14日に配布開始

 総発行枚数が約430万枚に上る「マンホールカード」の第11弾が12月14日から配布される。初参画の地方自治体48団体を含め、63団体・66種のカードが加わる。

 カードは、マンホールのふたを管理する自治体と、下水道の価値向上や情報共有に取り組む下水道広報プラットホーム(GKP、長岡裕会長)が共同作成。ふたの写真や位置座標、デザインの由来などを知ることができる。第11弾の追加により、累計502団体が605種のカードを発行することになる。

 第11弾では人気アニメ「北斗の拳」の原作者・武論尊氏を輩出した長野県佐久市が、主人公のケンシロウを中央に配置した大胆なデザインのカードを配布する。配布場所など詳細はGKPのホームページへ。

【お知らせ】「建設技術展2020関東」、来夏に東京・池袋で開催します

10月に大阪で開催した「建設技術展2019近畿」の様子
日刊建設工業新聞社は2020年7月1、2の両日、東京・池袋のサンシャインシティ展示ホールで「建設技術展2020 関東」を開催します。国土交通省関東地方整備局が開催している「建設技術フォーラム」とコラボレートし、当社が2008年から開催している「建設技術展 近畿」(近畿建設協会と共催)の実績を生かしながら建設産業の一層の発展に寄与する目的で企画しました。

 共催は土木学会関東支部をはじめ、日本建設業連合会関東支部や全国建設業協会、建設コンサルタンツ協会関東支部、水資源機構、日本建設情報総合センター、先端建設技術センターなど約30団体を予定。関東整備局や東京都など関東地区の自治体などの後援を予定しています。

 サブタイトルは「見せる、魅せる!匠のWAZA」。建設産業各社が開発した新技術・新工法を紹介するとともに、産学官の交流、新技術の各工事への積極的な活用、担い手確保に向けたマッチング事業の場としても利用して頂きます。

 展示は200ブースを予定し、▽防災▽環境▽安全・安心▽施工▽維持・更新▽IT・ICT(情報通信技術)|の6分野に分けて、企業・団体の新技術や新工法などを紹介します。建設業界の最新動向や最先端の技術を紹介する特別講演やセミナー(詳細は後日)も開催します。

 入場は無料。土木学会CPD、全国土木施工管理技士会連合会CPDSのプログラム認定を受ける予定です。来場者は約2万人を予定。展示ブースの詳細や申し込みは12月中旬に告知します。ご期待ください。

 問い合わせはメール(01kengi2020@decn.co.jp)で日刊建設工業新聞社建設技術展担当まで。

【凜】MIC工事部長・土鼻亜耶さん


 ◇土木に心を引かれて20年◇

 2020年東京五輪・パラリンピックの選手村にバス停留所を整備する「選手村トランスポートモール整備工事」で現場代理人兼監理技術者を務める。今月、現場見学に訪れた女子学生らに仕事の魅力を熱く伝えた。「20年やってきて気づいた。職方との調整や細やかな配慮。現場監督は女性の方が向いている」。

 大学を中退し、20歳で家業の土木の世界に。すぐに現場に入ると「土木の魅力に取りつかれ、流れるままに2、3年」。自発的に資格取得も始め、20代半ばの頃、京都府内を流れる桂川上流の橋梁工事で最初の現場を任された。「苦しいこともあったが、根性には自信があった。あとは、ものができる喜びに尽きる」と振り返る。

 選手村の現場は都の「女性活躍モデル工事」。その一環で現場見学の受け入れに初めて挑んだ。女性に適した仕事もあると知ってもらいたくて、U型側溝の目字詰め作業の体験会を見学メニューに盛り込んだ。

 人材不足にあえぐ建設業界に「恩返しがしたい」という思いは人一倍強い。「『女性でもできるじゃん』と思ってもらいたい。まずは同性の意識を変えたい」。苦手意識や先入観を自分自身で打破してきた自負もある。世の中を変えていくには「誰かが動かないといけない」。そうした気持ちを共有する仲間たちをつくっていきたいと思っている。

 (どばな・あや)

【やっぱり!マイユニホーム!!】前田建設「ICI総合センター専用、ジャケットでフォーマル感演出」

 茨城県取手市にある新技術研究拠点「ICI総合センターICIラボ」の開業に合わせ、センターに勤務する社員専用のジャケットを製作した。ジャケットには最新技術や独自技術をふんだんに取り入れ、イノベーションを生み出す技術研究拠点にふさわしい一着となっている。

 公式イベントにも着用できるよう、ジャケットはフォーマル感のあるデザインを採用。製作に当たってはデザインをプログラミングすると自動で縫い目の無いウエアを製造する最新技術を導入し、市販品にはない仕上がりを実現した。

 同社が開発した新材料の隠しボタンを採用したほか、ポケットには研究者同士の会話を生み出す仕掛けとして、研究者の情報が読み取れるQRコードのタグを取り付けた。

 製作に携わった同センターの須江まゆプロデューサーは「最新技術を取り入れることで、発想やひらめきの仕掛けがある装いにした」とコンセプトを説明する。「縫い目が無いため肩周りがつっぱらず快適。いくら働いても疲れないウエアが完成して満足」と話す。

【駆け出しのころ】日特建設取締役常務執行役員安全環境品質本部長・大塚雅司氏

 ◇客観的に考え視野広げる◇

 北海道・函館で生まれ育ち、小中学生のころには目の前の津軽海峡で青函トンネルの工事が進められていました。海底の下を掘って本州とつながるのはもちろん、両側から掘り進んで地中でどのように合わせるのかと興味が膨らみました。

 進学先の函館高専で土木を学び、就職活動時には担当の先生の薦めもあり、縁あって日特建設に入社しました。

 初任地は石川県内を流れる手取川水系で進められていた総合開発事業で、関連の地滑り・斜面対策などを統括する総合事務所。学校で土木を学んだとはいえ、仕事で使える知識は別物です。忙しい毎日でしたが、休みの前の日には金沢の街まで飲みに繰り出し、英気を養いました。

 山の中での現場勤務が多かったですが、思い出深い現場は30歳過ぎて現場代理人として任された街中の下水道工事です。それまで人家のない山間部の現場ばかりだったため、地域住民への配慮という観点が薄かったこともあり、現場周辺にある大型スーパーなど関係者からのさまざまな要望・要請への対応は大変でしたが、新鮮な経験でした。

 「駐車場にスムーズに出入りできるように」「売り出し日は現場を休みにするように」といったお願いごとをクリアしないと工事が進みません。工学的・技術的なこと以上に、地元対応が現場管理・運営での肝となり、山間部の現場とは異なる学びがありました。

 街から離れた山あいの現場では不便な面はありましたが、スキー場が近く、休日は頻繁に滑りに行きました。慣れれば山での暮らしも楽しいものです。

 30代半ば過ぎに営業へ移りました。なかなか仕事が取れなくて焦っていた時に先輩から「ものごとを客観的に捉える」ことの大切さを学びました。自分の立場からは見えないものが、相手の立場で考えると、それまで足りなかったものが見えてくる。視野を広げ、相手の気持ちを理解しようとする姿勢は営業だけでなく、さまざまな場面でいい影響をもたらしてくれると思います。

 いつでもコミュニケーションは大切にしてきました。特に支店長時代は風通しの良い組織づくりに力を入れました。若い世代には社会人、社員それぞれの立場で責任感を持って行動してほしいと伝えています。

 家族と離れた単身生活も今年で12年目になります。気分転換も兼ねて始めた料理も、今では一番のオフの楽しみです。何でも作りますが、和食の煮物が好きです。社員の方々には家族サービスにも積極的に取り組んでもらいたい。家庭が充実していれば、仕事も自然と充実してきます。
30代半ばころ、宮城県内のスキー場で。
幼い娘とそり遊びを楽しんだ時の一枚
(おおつか・まさし)1977年函館工業高等専門学校土木工学科卒、日特建設入社。執行役員札幌支店長や常務執行役員大阪支店長、同安全環境品質本部長(現任)などを経て2019年6月から現職。北海道出身、63歳。

2019年11月22日金曜日

【回転窓】人口減少下の合理性

「募集をかけても(人が)集まらない」「継がせる気がない。こんなつらい仕事をさせられない」-。経済産業省のヒアリングに寄せられたコンビニオーナーの切実な声だ。競合会社やドラッグストアなどの出店攻勢で競争は過熱するばかり。人件費の上昇もあり最前線の苦悩は深まっている▼マニュアル化や物流の効率化などで成長を遂げてきたコンビニ業界。店舗単位では合理的なシステムでも、ニーズを上回る数の競合店が集積すれば経営は成り立たない▼最寄り駅前にはコンビニが5店舗ある。便利だが深夜に客がいないことも。現実には難しいだろうが、深夜営業を輪番制にして顧客を集中させ労力に見合った利益を上げる方が合理的▼コンビニ業界全体の売り上げは伸びている。災害時などのライフライン的な役割でも期待は大きい。持続可能な在り方を構築できるか、そして省人化が克服すべき問題か▼高度経済成長期に伸びてきたビジネスが人口減少時代に入りきしみを起こしている。自由で公正な競争に配慮しつつ、地域に必要な産業をどう存続させていくのか。建設業を含めた多くの産業が再考時期を迎えている。

【最優秀は「花園町通り」などに】土木学会、「デザイン賞2019」の受賞作品決定

「女川駅前シンボル空間/女川町震災復興事業」
 土木学会(林康雄会長)は21日に「土木学会デザイン賞2019」の受賞作品を発表した。応募12作品を審査し、最優秀賞に「津和野川・名賀川河川災害復旧助成事業名賀川工区」(島根県津和野町)、「女川駅前シンボル空間/女川町震災復興事業」(宮城県女川町)、「花園町通り」(松山市)の3作品を選定した。

 優秀賞3作品、奨励賞4作品も選んだ。授賞式は2020年1月25日に東京・四谷の学会講堂で行う。
「津和野川・名賀川河川災害復旧助成事業名賀川工区」
 同学会景観・デザイン委員会デザイン賞選考小委員会の中井祐委員長(東京大学大学院教授)は、災害復旧・復興事業が受賞したことを踏まえ「広域災害が多発しており面的な復興が増えてくる。復旧・復興での土木の在り方についてメッセージを出すことができたと思う」と講評している。
「花園町通り」(撮影:Norihito Yamauchi)

【入賞9作品に表彰状贈呈】中部建設青年会議、「国土をつくる人」写真展の表彰式開く

中部地方整備局長賞を受賞した加藤学さんの「息を合わせて」
中部建設青年会議(吉川幸輝会長)は20日、第8回「国土をつくる人」写真展の表彰式を名古屋市中区の名古屋銀行協会で開いた。今年は「ものづくり 日常の一コマ」をテーマに中部5県から179作品の応募があり、中部地方整備局長賞など9点が受賞作品に選ばれた。式典では勢田昌功局長や吉川会長、各県支部長から表彰状が贈られた。

 写真展は、社会資本整備に携わる地元建設業の姿やそこで働く人々の姿を一般に広く知ってもらうとともに、魅力ある地域建設業の育成を目的に2012年から毎年開催している。

 表彰式で吉川会長は「地域建設業の魅力を広く知ってもらい、建設産業発展の一助になってほしい」とあいさつ。勢田局長は「生き生きと素晴らしい写真だった。一般に広くPRする良い試みであり、社会に貢献する建設業への認識が高まってほしい」と述べた。

 受賞作品と応募作品は12月19日から同25日まで、セントラルパーク市民ギャラリーで展示する。

 各賞受賞者と作品名は次の通り。敬称略。

 【中部整備局長賞】▽加藤学(中日建設、愛知県)=息を合わせて

 【中部建設青年会議会長賞】山浦正貴(ヤマウラ、長野県)=アスファルト舗装へのお絵かき▽田口正勝(金子工業、岐阜県)=お疲れっす!

 【建設産業再生賞】▽前沢英明(木下建設、長野県)=道を守る人

 【中部建設青年会議長野県南部支部長賞】▽村松圭介(吉川建設、長野県)=#スマイルシンデレラボーイ

 【同岐阜県支部長賞】▽金子健一郎(金子工業、岐阜県)=真剣なまなざし

 【同静岡県支部長賞】▽良知秀紀(渡邊工業、静岡県)=缶コーヒーの時間

 【同愛知県支部長賞】▽鈴木完幸(太啓建設、愛知県)=私の指示で

 【同三重県支部長賞】▽森田大介(アイトム建設、三重県)=負けられない施工がそこにはある。

【夢洲IR、事業者選定手続き開始へ】大阪府・市、実施方針案を公表



 大阪府と大阪市は21日、同市此花区夢洲地区への誘致を目指すカジノを含むIR(統合型リゾート)施設の進出事業者公募に向けた実施方針案を公表した。夢洲地区で開催する2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)との相乗効果を狙い、24年度の全面開業を目指していたが、万博会場整備の工期と重なるため、万博前の開業を目指しつつ早期開業に取り組む目標を設定。大阪メトロ中央線延伸費の一部など202億5000万円の事業者負担を明記した。

 12月に募集要項を公表、20年4月に提案書類を受け付け、同6月ころに事業者を決める。実施方針案の公表は、誘致活動や検討を進める他都市に先駆け全国初。

 大阪のIR予定区域は此花区夢洲中1ほかの市有地。面積は約49ヘクタール(南側敷地約39ヘクタール、北側敷地約10ヘクタール)。35年間の定期借地権を設定し事業者に貸す。契約後10年間の賃料は1平方メートル当たり月額428円で、その後5年ごとに見直す。土地は21年秋ころに引き渡す。将来拡張できる用地も東側に9ヘクタール設定した。

 予定区域には、10万平方メートル以上の展示場や収容人数6000人以上の国際会議場、3000室以上の宿泊施設、日本の魅力などを発信する施設、日本各地の観光地に送客できる施設、カジノを備えた「日本最大の複合MICE(国際的なイベント)施設」を整備する。

 IR施設の開業時期は万博前開業を目指すとしながらも「世界最高水準のIRおよび早期開業による速やかな事業効果の発現が実現できるよう、公民連携して取り組む」とし、万博前開業を努力目標とした。

 応募できるのはIR事業が実施できる単体企業か企業グループ。09年以降に延べ床面積50万平方メートルのエンターテインメント施設やレジャー施設などで構成する複合施設か、区域面積が約25ヘクタールで床面積が25万平方メートル以上の複合施設を開発・運営した実績を求める。

 □事業者提出のコンセプト公表、想定総投資額9300億円超□


  カジノを含むIR(統合型リゾート)施設の誘致プロジェクトに関連し、大阪府と大阪市が民間事業者を対象に実施していたコンセプト募集の概要が21日公開された。

 応募企業は▽MGMリゾーツ・インターナショナル(米国)とオリックスのグループ▽香港に親会社の本社があるギャラクシー・エンターテインメント・ジャパン▽ゲンティン・シンガポール・リミテッド(シンガポール)-の3者。立地や眺望、広い土地を生かした施設配置、特徴的なデザインの建築物などを提案した。

 中核となる施設のうちMICE(国際的なイベント)施設について、3者は6000人以上収容可能な大規模な国際会議室や、会議場全体で1万2000人以上が収容可能な国際会議場、10万平方メートル以上の展示施設を提案した。宿泊施設はファミリー層から富裕層まで多様なニーズに対応できる3000室以上のプランを示した。

 「非日常を感じられる独創的な都市景観などの実現」「夢洲の玄関口にふさわしいシンボリックなエントランス広場」「エンターテインメントを楽しめる屋外空間」「多彩なエンターテインメント施設の導入」なども示された。

 3者の想定投資規模は9300億円を上回る。大阪府・市は「十分な参画・投資意欲が確認できた」と評価した。

【アクアティクスセンター、工事関係者1000人が現場で奮闘】東京都整備の五輪関連2施設、工事進捗が9割超に

 東京都は21日、2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場となる新規恒久施設として建設中の「東京アクアティクスセンター」と「有明アリーナ」(いずれも江東区)の現場を報道機関に公開した。

 10月末時点の工事進捗(しんちょく)率は東京アクアティクスセンターが90%、有明アリーナも98%に到達している。世界のアスリートがしのぎを削る舞台がほぼ出来上がった。

 東京アクアティクスセンターは辰巳の森海浜公園内で建設中。20年2月末の完成へ工事は順調に進展している。公開当日のメインプールは水が張られた状態。3層にわたり約1万5000席を用意する観客席は、上層部を除く6割程度が取り付けを終えた。

 現場は最盛期が続いている。施工を担当する大林組・東光電気工事・エルゴテック・東洋熱工業異業種JVの職員を合わせ約1000人が作業に当たっている。今後は残る観客席の取り付け工事をはじめ、内装仕上げ工事、外構工事、ダイビングプールのタイル仕上げ工事などを進める。

 施設規模は地下1階地上4階建て延べ約6万5500平方メートル。五輪とパラリンピックでは水泳競技が行われる。メインプールの建屋に隣接し、同様のプール槽(50メートル×10レーン)を備えたサブプールの建屋もある。全体の整備費は567億円を見込む。

 大会後は上層部の観客席を取り外し、延べ床面積約5万6000平方メートル、座席数約5000席にスケールダウンさせる改修工事を予定。仮設の観客席には、撤去しやすいよう床に木材を利用している。

2019年11月21日木曜日

【回転窓】日本酒文化の発展に乾杯!

年の瀬が近づき忘年会など酒宴の席が増える方も多かろう。この時期は報道関係者との懇談会を開く企業も目立つ。記者にとっては普段なかなか会えない経営幹部と交流を深める絶好の機会。情報が収集、交換できる貴重な場となる▼宴席には日本酒好きの幹部がお気に入りの銘酒を用意していることも。好きなお酒を酌み交わしながらの会話はいつも以上に弾む。ほろ酔い気分で冗舌になったところで取材のきっかけが飛び出すこともしばしば▼東京・渋谷に22日開業する「渋谷PARCO」は、日本酒を気軽に楽しめる施設が入るそうだ。スタートアップ企業の未来酒店(東京都渋谷区)が朝日酒造(新潟県長岡市)と共同で、豊富にそろった日本酒とそれに合うペアリングフードなどを提供する▼日本酒の新しい楽しみ方を体験できるバーでは、人工知能(AI)による味覚判定サービスの導入も。12種類の味覚タイプに合った日本酒やオリジナルカクテルが楽しめる▼海外でも人気が高まっている日本酒を利用して町おこしに取り組む地域も少なくない。酒飲みの一人として、日本の酒文化のさらなる発展に期待したいところ。

【「光の刺しゅう」で三井本館などライトアップ】三井不、28日から日本橋でイルミイベント

昨年のイルミネーションでライトアップされたCOREDO室町1
三井不動産は東京・日本橋で28日からイルミネーションイベントを開催する。日本橋にゆかりのある「江戸小紋」の柄をイメージした赤と白の「光の刺しゅう」で建物を彩る。建物の管理組合らによるイルミネーションも同時に開かれ、日本橋エリアが幻想的な光景になる。

 三井不が開催するのは「真紅の光街(ひかりまち)~日本橋~」。三井本館や日本橋三井タワー、COREDO室町1などに、江戸小紋の柄に現代風のアレンジを加えたライトアップを施す。期間は12月28日まで。同イベントの開催に合わせ、9月に開業したCOREDO室町テラスでもライトアップイベント「冬のあかりテラス」(主催・日本橋室町三井タワー管理組合)を開催する。

 日本橋地域を東西に走る江戸桜通りを紅とシャンパンゴールドで彩る「江戸桜イルミネーション2019」(同・ECO EDO日本橋実行委員会)も行われる。

【洋上風力に照準、185億円投資】五洋建設ら3社がSEP船を共同で建造


 五洋建設と鹿島、寄神建設(神戸市兵庫区、寄神正文社長)は20日、SEP(自己昇降式作業台)型多目的起重機船(SEP船)を共同建造すると発表した。

 洋上風力発電プロジェクトを見据えた取り組み。1600トンつりの全旋回式クレーンを搭載する。

 2020年1月に3社の共同出資で船舶保有会社を設立。22年9月の完成、23年3月の稼働開始を目指す。

続きはHP

【簡易型スタジアム、パッケージ化でコスト低減】大成建設、「みんスタ」提案活動を積極展開

 大成建設が自治体やサッカークラブを対象に、低コストを実現した簡易型スタジアムの提案を始める。

 シャワー室や医務室など必要最低限の機能と、屋根付きスタンドをパッケージにして提案。顧客の要望に応じて機能をカスタマイズしていく。子どもが参加するサッカーチームやプロの練習場としても利用可能。観戦者が楽しめるよう物販などを配置すれば、地域の活性化にも貢献する。

 同社が提案活動を開始する「みんスタ」は、子どもが参加するサッカーチームからプロクラブまで幅広く利用可能な簡易型のスタジアム。医務室やミーティングルームといった必要最低限の機能を完備する。顧客のニーズに合わせてVIPルームやトレーニングルーム、仮設スタンドも増設できる。スポーツ以外のイベント利用も可能にする。

 老朽化した施設を保有する自治体やプロスポーツクラブなどを対象に、大成建設が提案活動を展開。グループ会社の大成ロテックなどがグラウンドやスタンドを整備する。

 事業に巨額な投資が伴っていた従来のスタジアムと比べ、大幅なコスト低減を実現。大成建設によると、約400人が収容可能な屋根付きスタンドの整備コストは約5億円と試算。施設管理者の費用負担を軽減できる。

 仮設スタンドを含め最大で約6000人を収容できる。子どもやプロのサッカー選手の育成に貢献する。グラウンド周囲の余剰スペースに飲食を提供する屋台や移動式の物販店舗を配置すれば、地域の活性化も期待できる。

【現駅舎、意匠残し五輪後建て替えへ】山手線原宿駅の新ホームなど、来年3月21日から供用

 ◇年末年始の臨時改札は見納め◇

 JR東日本は、改良工事を進めている東京都渋谷区のJR山手線原宿駅の新しい駅舎とホームを2020年3月21日の始発から供用する。線路とホームの上に2層の新駅舎を新設し、コンコースとトイレ、表参道改札を拡張。同改札は出入り口を表参道方面と明治神宮方面の2方向とする。24人乗りエレベーターを3基設置。山手線外回りの専用ホームを設け、ホームドアを付ける。

 20年東京五輪に向け、混雑緩和、利便性・快適性の向上を目的に工事を進めている。既存の駅舎は、五輪後に解体した上で、現在の意匠を再現する方向で建て替える。防火地域の基準を踏まえた材料を使用する。

 明治神宮への参拝の最寄り駅となっており、年末年始は混雑が予想される。工事中のホームには仮設通路を設け、降車専用の臨時改札に接続させる。新しい駅舎に明治神宮方面の出入り口ができるため、臨時改札の設置は今年の年末から年始にかけてが最後となる。

 臨時改札の利用は12月31日午後11時から20年1月1日午後5時、同1月2~5日の各午前10時~午後5時。混雑に伴い隣の代々木駅の利用を求めるという。

2019年11月20日水曜日

【回転窓】人的資本のこれから

企業経営者がよく使う言葉に「人的資本」がある。人的資本を上手に活用できれば企業は発展できる▼ただ人を育てるにはコストがかかる。育成コストと生産性の向上などの関係を学術的に実証し「人的資本」という言葉で表したのが、ノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者ゲーリー・ベッカーだ▼ベッカーは金銭や経済問題だけを分析してきた従来の経済学の適用範囲を、広範で多様な人間行動・社会問題にも広げた。人々の思考や生活行動は経済的な損得ですべて説明できるとしたユニークな論文も発表している▼その人的資本の考え方も最近変わりつつある。企業が専門性の高い人材を育てる余裕がなくなり、優れた能力を持つ人材を中途採用するようになってきたからだ。高額報酬で声を掛けられれば、勤めている会社に義理を感じつつも、他社に転職してしまうのが今の世相だろう▼建設業界も他産業同様に人材の流動化が進む。人材獲得競争では資本力のある大手企業がどうしても有利になる。中堅・中小企業は人材流出をどう防げば良いのか。経営者には営業力や技術力とともに、真の経営力が求められている。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/大都市圏の鉄道網倍増へ

国土交通部の大都市圏広域交通委員会は、全国5大都市圏(首都、釜山・蔚山、大田、大邱、光州)での今後10年の広域交通政策の方向などを示した基本構想「広域交通2030」を発表した。

 首都圏の西部には政府が広域急行鉄道(GTX)1路線を新設する。地下鉄延伸など鉄道を中心に交通網を大々的に拡充・再編する考えも盛り込んだ。30年までに大都市圏の鉄道ネットワークの規模を倍増する方針だ。

 構想では、本格的な開発を控えた首都圏第3期新都市の交通対策をはじめ、既存の新都市の交通混雑を解消するためのインフラ拡充策などを明示。これらの施策を通じて△広域間拠点の通行時間を30分台まで短縮△通行費用を最大30%節減△乗り換え時間を30%短縮-の3大目標を達成する。

 広域鉄道の総延長を現在の730kmから1577km、都市鉄道も710kmから1238kmに伸ばす計画。道路関係ではソウル東西横断幹線道路を大深度地下に建設する。首都圏外郭循環高速道路を2層構造とするなど交通機能も高める。

CNEWS、11月1日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/スマートシティー会合成功へ協力

 グエン・ヴァン・シン建設副大臣は、10月29日にハノイ市内の建設省で、国土交通省の平井秀輝海外プロジェクト審議官と会談し、ベトナムでのスマートシティー開発について意見交換した。

 平井審議官は、近年の両者の協力に謝意を示した上で、10月上旬に日本で開かれた「日・ASEANスマートシティー・ネットワークハイレベル会合」の成果を説明。「次回のネットワークの会合は2020年にベトナムで開かれ、ASEAN各国の代表が集まる。会合を成功に導くため、密接に協力していきたい」と述べた。

 シン副大臣は、「来年の会合に向け、プログラムを検討する。政府、建設省ともスマートシティー開発に大きな関心を持っている。日本に対しては、基準づくりや法令整備への協力をお願いしたい」と答えた。

セイ・ズン、11月2日)

【設計・施工は竹中工務店】新生・渋谷PARCO(東京都渋谷区)、22日開業へ

 パルコは22日に開業する大型複合施設「渋谷PARCO」(東京都渋谷区)の内覧会を19日開いた。2016年8月に閉店した店舗を「次世代型商業施設」に建て替え、3年3カ月ぶりにリニューアルオープンする。

 商業施設や劇場、オフィスなどで構成。デザイン、アート、エンターテインメント性に優れる専門店を配置し、世界中から人が訪れるビルを目指す。

 15年に都市再生特別地区の決定を受け、市街地再開発事業として整備してきた。周辺の歩道や敷地内の広場も整備し、地域のにぎわい創出に貢献する。

 所在地は宇田川町15の1。建物は地下3階地上19階建て延べ約6・4万平方メートルの規模。設計と施工は竹中工務店が担当した。地下1階~地上8階と10階の一部を商業施設、9階はクリエーティブスタジオとして活用する。10階の一部と12~18階はオフィスになる。

 193店舗が入り、ファッションやゲーム、アニメといった日本の文化を発信する。8階には「PARCO劇場」がオープンする。客席数を旧劇場の458席から636席に増席し、舞台の規模も大幅に拡張した。9階のクリエーティブスタジオは多目的スペースや文化発信型のスクールの開催などを想定しており、産官学民連携組織の渋谷未来デザインも入居する。

 旧渋谷PARCOのパート1とパート3の間にあった道路は、24時間通り抜け可能な歩行者専用通路「ナカシブ通り」としてリニューアルした。

 建物の外周には、隣接する道路かららせん状に10階までをつなぐ「立体街路」を整備し、街との一体感を演出した。立体街路がつなぐ4階、8階、10階部分には屋外広場があり、イベントの開催を予定している。

 内覧会の冒頭、パルコの牧山浩三社長はリニューアル前の店舗と比較し「すべてが新しく変わり、すてきな施設になった」と説明。「パルコの原点が集積したデザインになっている。ここからを第2章として、刻々と変化する渋谷PARCOに期待してほしい」と話した。

【民営化計画は五輪後に先送り】政府、新国立競技場の月末完成確認

 政府は19日、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた関係閣僚会議を官邸で開いた。メインスタジアムとなる新国立競技場(東京都新宿区、渋谷区)の月末完成を最終確認した。

 当初は年内としていた民営化の計画策定は、大会後に先送りすることも報告された。大会後に競技場の運営権を民間事業者に売却する従来方針に変更はない見通しだ。

 民営化計画を巡ってはセキュリティー確保を目的に、詳細な図面を大会前に示せず、事業者側から「十分な検討ができない」との意見が出ていた。

 競技場は16年12月に本体工事が着工。12月21日にはオープニングイベントを開催する。会議で月末の完成見込みの報告を受け、菅義偉官房長官は「定められた工期、コストの範囲内で完了できる見込みであることを確認した。計画通りに竣工できることは非常に喜ばしい」と述べた。

 大会後の競技場活用案としては、球技専用とする従来方針を見直し、陸上トラックを存続させる案が浮上している。

 これを受け萩生田光一文部科学相は19日の閣議後の記者会見で「民間の意見を聞いた上で決めるが、基本的に球技専用スタジアムに改修する方向で継続して検討したい」との考えを明らかにした。

 □大成建設JV、30日正午にJSCへ引き渡し□


起工当時の現場の様子(2016年12月撮影)
2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる「新国立競技場」(東京都新宿区、渋谷区)の整備事業で、発注者の日本スポーツ振興センター(JSC)は設計・施工者の大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVが提出した完成通知書を14日に受領したと発表した。19日からはJSCによる最終的な完成検査を実施。当初の予定通り30日正午に完成・引き渡しとなる。

 敷地内では一部の別途工事を除き、すべての工事が完了。法令に定められた各種検査も済ませた。6日には外部有識者によるアドバイザリー会議を開き、▽要求水準を満たすこと▽事業費の上限を超えていないこと▽提案工期を超えていないこと▽物価や労賃の変動に適切に対応していること-など整備事業の履行状況を確認。これを踏まえ設計図書を見直し、14日に大成建設JVと最終的な変更契約を行った。

 整備事業の全体工期は36カ月。JSCによると、工事に関わった専門工事業者は1次下請だけで300社程度、現場に出入りした作業員は延べ130万人以上に達した。設計・管理費を合わせた整備費は、五輪以降の手直し工事を含め約1569億円となった。

2019年11月19日火曜日

【回転窓】おかしいなと思ったら

木々の葉が落ち始め、各地から初雪の便りが届き始めた。冬の訪れを感じることが多くなったこの時期は気温や湿度の低下もあり、体調管理が何かと難しい▼厚生労働省は先週、インフルエンザが全国的な流行期に入ったと発表した。定点報告を行っている全国5000カ所余りの医療機関から寄せられた情報を集計。流行の目安となる「1機関当たり1人」の受診者数を上回ったそうだ▼昨年よりも約4週間早い流行宣言。1999年以降では2番目の早さという。急な高熱に激しい頭痛、強い悪寒などが主な症状。何かおかしいなと思った後、症状が急に悪化してつらい経験をした方も多かろう▼風邪を含めてインフルエンザにかからないための第一歩は免疫力のアップ。規則正しい生活を心掛け、バランスの良い食事、外出後の手洗いとうがい、マスクの着用。そして毎日の生活でストレスをためないことも大切とか▼厚労省によると、先月中旬以降に診察で検出されたウイルスのほとんどは2009年に新型として流行したA(H1N1)。今のところワクチン不足はなさそうなので、気になる方はぜひとも早めの接種を。

【施工は清水建設、初打ち上げは2021年度】スペースワン(東京都港区)、和歌山県串本町でロケット発射場起工

ロケット打ち上げのイメージ(スペースワン提供)
小型ロケットの開発や打ち上げなどを手掛けるスペースワン(東京都港区、太田信一郎社長)が、和歌山県串本町で16日にロケット打ち上げ射場の起工式を開いた。国内初の民間事業者による射場。施主はスペースワンで、清水建設が施工する。

 起工式には太田社長のほか、清水建設の井上和幸社長やキヤノンの御手洗冨士夫代表取締役会長、IHIの斎藤保代表取締役会長、仁坂吉伸和歌山県知事らが出席した。=3面に関連記事

 神事後、井上社長は「清水建設は施工者としてだけでなく、事業者としても本事業に参加し、国内外から期待を寄せてもらっている。民間打ち上げの成功に向けて全力を挙げていきたい」と話した。

 スペースワンの株主には清水建設のほか、キヤノン電子(埼玉県秩父市、酒巻久社長)、IHIエアロスペース(東京都江東区、牧野隆社長)、日本政策投資銀行(東京都千代田、渡辺一社長)が名を連ねている。

 同日、串本町内のホテルで開いた祝賀会の冒頭、ロケット打ち上げ射場の名称を「スペースポート紀伊」にすることが発表された。ロケットの基本設計を年内に終え、来年試験を実施。2021年度には初号機を打ち上げる。

 ロケットの開発を手掛けるIHIの斎藤代表取締役会長は「コスト競争力のあるロケットを数多く打ち上げたい。インフラ点検や交通量調査など、衛星を活用したビジネスへの展開が期待できる」と話した。

【2021年の運用開始めざす】川崎市、ちどり公園にXスポーツ拠点整備へ

川崎市はスケートボードやBMX(バイシクル・モトクロス)、スポーツクライミングなど若い世代が求めるスポーツコンテンツの場を整備する。

 整備候補地は川崎区千鳥町6のちどり公園(敷地面積約4万平方メートル)。2020年に共同事業者を選定し、21年の運営開始を目指す。整備と管理・運営は既存の事業手法の枠組みにとらわれず、新たな民間活力導入手法となる市と民間事業者が連携する共同事業を前提として検討する方針だ。

 市は15日、「若者文化の発信によるまちづくりに向けた環境整備等に関する基本計画」を策定した。今後10年間程度を想定しハード、ソフト両面から若い世代が求めるコンテンツを提供するための方向性を示している。

 想定する施設とコンテンツはスケートパーク(スケートボード、BMXフリースタイル、インラインスケート)、レースコース(BMXレース)、クライミングウオール(スポーツクライミング)、ダンスステージ(BMXフラットランド、ブレイキン、ヒップホップダンス、ダブルダッチ)、バスケットボールのハーフコート(バスケットボール3バイ3)、パルクールパーク(パルクール)。

 施設はワールドクラスの上級者でも十分に楽しめるレベルで、ランドマーク的な施設を目指すとしている。

【コンセプトは「劇場公園」】池袋西口公園がリニューアルオープン

 東京・豊島区が整備していた「池袋西口公園」が16日にリニューアルオープンした。ステージや照明装置などを新設し、演劇などの開催を見込む「劇場公園」をコンセプトに改修した。公園の愛称は「GLOBAL RING」。公園の上空に浮かぶ5本のリングが特徴だ。設計は三菱地所設計・ランドスケープ・プラスJV、大成建設が施工した。

 所在地は西池袋1の8の26(面積3123平方メートル)。縦3メートル、横11メートルの大型ビジョンやLEDライト、音響設備などを備え、クラシックコンサートや演劇など多彩なプログラムに対応する。ステージには生演奏の迫力を高めるため音響反射材を取り付けた。

 ステージの高さを低めに設置するなど公園との一体感を創出するよう工夫した。地域のインバウンド(訪日外国人旅行者)向けの観光案内機能を持つ木造のカフェも併設した。同日に現地で完成披露のセレモニーを開いた。

 高野之夫豊島区長は「区の文化や芸術を発信していく拠点になってほしい」と期待を込めた。