2019年11月11日月曜日

【回転窓】給料制度と人材育成

給料制にするとハングリー精神がなくなってしまう-。俳優の三宅裕司さんが、主宰する劇団での経験談を、テレビ番組で話していた▼売れていない劇団員は、俳優業だけでは食べていけないため、生活費を稼ぐためアルバイトに時間を費やす。そうするとどうしても稽古の時間が減ってしまい、演技力が伸びない。状況を打開しようと給料制にしたものの、思ったような成果は上がらなかったそうだ▼生活の糧をどうやって得るか。その方法は目指す道によって異なるように思う。少数の抜きんでた人材を伸ばすのであれば、競争心をバネにするやり方が効果的だろう▼だが、チームを維持して一定水準以上の仕事を継続するならできるだけ脱落者を出さない仕組みが大切。成功した人の報酬を使って全体的に底上げして収益力を高めていく。三宅さんはこの方法を試みようとしたと思う▼メンバーの個性や時代によって、望ましい方策は変わってくる。多様な選択肢が用意され、リーダーとメンバーが目指す方向性を共有しつつ、力を伸ばしていく。人材確保が難しさを増す中で、多くの産業でそうした姿勢が求められている。

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