2019年11月25日月曜日

【駆け出しのころ】日特建設取締役常務執行役員安全環境品質本部長・大塚雅司氏

 ◇客観的に考え視野広げる◇

 北海道・函館で生まれ育ち、小中学生のころには目の前の津軽海峡で青函トンネルの工事が進められていました。海底の下を掘って本州とつながるのはもちろん、両側から掘り進んで地中でどのように合わせるのかと興味が膨らみました。

 進学先の函館高専で土木を学び、就職活動時には担当の先生の薦めもあり、縁あって日特建設に入社しました。

 初任地は石川県内を流れる手取川水系で進められていた総合開発事業で、関連の地滑り・斜面対策などを統括する総合事務所。学校で土木を学んだとはいえ、仕事で使える知識は別物です。忙しい毎日でしたが、休みの前の日には金沢の街まで飲みに繰り出し、英気を養いました。

 山の中での現場勤務が多かったですが、思い出深い現場は30歳過ぎて現場代理人として任された街中の下水道工事です。それまで人家のない山間部の現場ばかりだったため、地域住民への配慮という観点が薄かったこともあり、現場周辺にある大型スーパーなど関係者からのさまざまな要望・要請への対応は大変でしたが、新鮮な経験でした。

 「駐車場にスムーズに出入りできるように」「売り出し日は現場を休みにするように」といったお願いごとをクリアしないと工事が進みません。工学的・技術的なこと以上に、地元対応が現場管理・運営での肝となり、山間部の現場とは異なる学びがありました。

 街から離れた山あいの現場では不便な面はありましたが、スキー場が近く、休日は頻繁に滑りに行きました。慣れれば山での暮らしも楽しいものです。

 30代半ば過ぎに営業へ移りました。なかなか仕事が取れなくて焦っていた時に先輩から「ものごとを客観的に捉える」ことの大切さを学びました。自分の立場からは見えないものが、相手の立場で考えると、それまで足りなかったものが見えてくる。視野を広げ、相手の気持ちを理解しようとする姿勢は営業だけでなく、さまざまな場面でいい影響をもたらしてくれると思います。

 いつでもコミュニケーションは大切にしてきました。特に支店長時代は風通しの良い組織づくりに力を入れました。若い世代には社会人、社員それぞれの立場で責任感を持って行動してほしいと伝えています。

 家族と離れた単身生活も今年で12年目になります。気分転換も兼ねて始めた料理も、今では一番のオフの楽しみです。何でも作りますが、和食の煮物が好きです。社員の方々には家族サービスにも積極的に取り組んでもらいたい。家庭が充実していれば、仕事も自然と充実してきます。

30代半ばころ、宮城県内のスキー場で。
幼い娘とそり遊びを楽しんだ時の一枚
(おおつか・まさし)1977年函館工業高等専門学校土木工学科卒、日特建設入社。執行役員札幌支店長や常務執行役員大阪支店長、同安全環境品質本部長(現任)などを経て2019年6月から現職。北海道出身、63歳。

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