2019年12月13日金曜日

【回転窓】旅とストリートピアノ

ヘンデル、ベートーベン、ショパン、リスト。英国のピアノ製造技師のジョン・ブロードウッド(1732~1812年)が作ったピアノの弾き手には大音楽家の名前がずらりと並ぶ▼ブロードウッドが手掛けたピアノは、18世紀初頭のチェンバロ工場を起源とする鍵盤楽器の歴史と重なる。音楽界の歩みに欠かせないブロードウッド・アンド・サンズ製のピアノが、「ストリートピアノ」として京都にお目見えするそうだ▼嵯峨野観光鉄道・トロッコ嵯峨駅の19世紀ホール内にブロードウッド社製のピアノが置かれ、13日から自由に演奏できるという。19世紀に活躍したSLとピアノのハーモニー。「風光明媚(めいび)な嵯峨嵐山の旅をさらに楽しんでほしい」と同鉄道は呼び掛ける▼駅、空港、商業施設などで演奏するストリートピアノは世界中で注目され、動画サイトに多くの演奏がアップされている。高度なテクニックを披露するだけでなく、思い出に浸りながらしみじみと奏でる。弾き手の人生が垣間見えるような作品も▼ピアノの音色が旅情を豊かにする。ふらっと訪れた街で、ちょっと弾いてみようかという気になる。

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